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5章 魔法国の始まり
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「で?次何処に行くんだ?」
トーラスはエレストに尋ねた。
「さあ。もうここからただの観光みたいなものだし、エウルの行きたいところでいいんじゃないか?」
「うーん…じゃあ、和の国とかどうかしら。」
「………遠くね?」
トーラスは嫌そうな顔をする。
「そうよ、だから寄り道をしてから、最終的に和の国に行くの。」
「まあ、それも悪くないかもな。ずっと直線的に行ってたし。」
という簡単な会話で、和の国に行くことになった。
和の国とは、エレストが元居た場所とは、景色も文化も全く違う場所だ。
それに、紋章や魔法を使うことが重要ではなく、『勉学』自体に重要視されている、特異な国でもある。
少なくとも、他の国より圧倒的に識字率が高いらしい。
勉強するような場所にエレストが放り込まれたら、エレストは勉強をし出すのだろうか。
「色んな町が、そこらかしこにあるから、回っていってみるか。」
「だったら、久しぶりにゆったりできるな。」
トーラスも、エレストとエウルよりも吸血鬼の国に長時間いて、精神をすり減らしていたのだから、ゆっくり過ごしたくなっていた。
「次行く場所は…ここら辺じゃあ小さい村しかないな。」
「じゃあ、そこに向かおうぜ。」
三人はそこに向かい、歩いて行った。
「…魔物を見るのが久しぶりに感じる。」
「確かに。ずっと吸血鬼だったし、特にトーラスはそうかもね。」
「どうせ、ここから嫌でも見ることになるはずだ。吸血鬼の国から抜け出したんだし。」
三人は久しぶりの光景を見ながら、先に進んでいった。
「そういえば、エレストの魔法気になるな。結局使って無いだろ?」
「確かにな。…一回使ってみるか。」
エレストは右手を前に出し、本の通りにして魔力を集めた。
すると、指先から、僅かな灯が現れた。
「てっきり、得意な属性って雷かなって思ったけど、炎だったんだね。」
「魔法と紋章は似てるが違うからな。」
トーラスはエレストの炎をまじまじと見つめる。
「しかし、えらく小っせえ火だな。」
「悪かったな。」
「それ以外は出せないの?」
「魔法が使えないお前は黙ってろ。」
「なんですって!?」
「喧嘩するなよー。」
そんな話をしながら、少し経って、ようやく村に辿り着くことが出来た。
「…珍しいの…」
高齢者が大半を占めているらしい村だった。
「若いの。ちと、今日は此処に滞在するのは止めた方がいいぞ。」
おじいさんに止められる。
「どうしてだ?じいさん。」
「今日は新月が近いのじゃから、魔物が襲ってくるんじゃ。」
「月の満ち欠けで変わるのか?」
「あの山には『月の魔女』がおっての。満月の夜は良いんじゃが、新月になると魔物をこの村に襲わせてるのじゃ。」
「月の魔女…か。」
「魔法国らしい呼び名だな。」
月の満ち欠けで物事が起こるのは、月の魔女のせいだろう。
「俺は構わない、そういうことには慣れてる。」
「私も構ないわ。」
「俺は構う。」
「構うなよ、トーラス。よぼよぼの老人たちが魔物を倒せると思うか?」
「くそ、おばあちゃん子かよ…」
「老人位は優しくしてやれよ…」
「はいはーい。」
ということで、魔物の襲撃に備えることが決定した。
「しかし、月の魔女か。俺は魔物の襲撃よりも、そっちの方が気になる。」
「よりも…という事は置いといて、月の魔女について気になるのはトーラスと同じ、俺も同意だ。」
「月の魔女…やっぱり、『月の紋章』かしら。」
月の紋章…それは神の紋章の一つである。
月の満ち欠けによって、性質が変化するという特殊な紋章である。
満月の時は皆を癒し、新月の時は牙を向く。
これが、昔から言われている月の紋章の説明だ。
「新月の時にとかなんちゃら言ってたし、実際そうかもしれねえな。」
「意外と、探せば神の紋章ってどこにでもいるのね。」
「まあ、普通、一人でも見つかればある意味幸運って言われてるくらいだしな。」
「神の紋章持ってる人と絡んだら、ろくなことが起きないって言われてるものね。」
「なあ、俺を目の前にして言うのか?普通そういうの言うか?実は仲いいだろ…」
エウルとトーラスが同時に叫ぶ。
「仲良くない!」
「…信憑性が感じられないんだが…?」
まあいいや、とエレストは続き、更に言った。
「まあ、今日は様子見でどんな感じか見てみて、明日の夜に魔女に会ってみよう。」
「今日行かないのか?」
「こういうのは、下見が肝心なんだよ。俺が盗みを働いていた時は下見をちゃんとしてたぜ。」
「盗むなよ…」
「俺は平民ですらない。だから、息をするように盗みを働く。これが国を出る前の俺だ。流石に今は盗んでないけどな。」
「私の所持金をちまちまと使ってるわ。まあ、魔物と長らく戦ってないからだけど。」
「貴族サマがお金に対して節約できるとは思えねえな?」
「ええ!普通にできないわ!思った以上に出来なかったわ!」
「…お、おう…そこまで堂々と言われると…」
「珍しくトーラスが完敗してる…じゃなくて、今日の夜に備えるぞ。」
「また夜戦かよ…」
トーラスは溜息を吐きながら言うが、一番それに慣れているのは彼である。
直ぐに太陽が落ち、魔物が来ると言われていた時間になる。
すると、どこからか獣の咆哮が聞こえた。
「なんだ、この音は…!?」
空気が揺れるほどの爆音が響く。
その瞬間、魔物が全速力でこちらに来ているような、足音が聞こえた。
「なるほど、獣の咆哮が開戦の合図か!」
トーラスは本を開く。
「山からこの村まではそんなに近くない筈なのに、この村に来るの早くない!?」
「全速力でこっちに来てるってことか…!」
先ずはエウルとトーラスの攻撃で殲滅させる。
「降り注げ。『星雨』。」
「爆ぜよ、散れよ。『魔導・地雷』。」
「おお…やっぱり二人になると派手だな…」
後ろの村民も驚いている。
「魔導士と魔法使いが同時に居るのは珍しいのお。」
「これは…久しぶりにみたの。」
二人の攻撃を抜け出した魔物はさらに、村に突撃してきた。
「次は俺か。『雷撃』。」
エレストは左手を構え、雷を撃った。
「吸血鬼と比べて、ものすごく簡単だな。」
トーラスは本を閉じた。
「そうね、魔物も下級だし…」
エレストは少しだけ考えてから言った。
「…こいつら、逃げてるんじゃないか?」
「魔物が?何に…あ、さっきの獣?」
「ああ。でも、月の魔女と何の関係が?」
「そこなんだよなあ。」
そう言いながら、魔物を討伐する。
「本当に月の紋章なのか?」
「取り敢えず、大分片付けたか。」
エウルは考えながら発言する。
「やっぱり…この村を襲うつもりで来てる感じじゃなかったよね…」
「ここまで分かりやすいとな。村民が分かってないと思う方が疑わしい。」
「逆に言えば、分かってるってことか?」
「うーん…もしかして、原因は分かってるけど、解決策が見つからないから放置してるってことだよね?」
「だから月の魔女ってことにしてるのか?俺が色んな所を回ってた時に、よくあった小さい村にある伝統的な言い伝え的なものかもな。」
「神の紋章じゃなくても、それに似た紋章なんて、幾らでもあるだろうからな。雷の紋章とかそういうのは特に。」
「私も神の紋章と巡り合うまで、神の紋章と普通の紋章の違いって神様の名前が付いているか付いてないかの違いでしかないんじゃないかと思ってたし。」
エレストは軽い口調で言う。
「あながち間違ってないと思うぞ。雷撃の神と自称してる奴と会ったことある。」
「はあ!?」
「え、いつ!?」
「暴走してる時。」
「え!?マオの時に暴走してて、焦ってた時に貴方は悠長に神様と会ってたの!?」
「言い方に悪意が…いやあ、あれは悪かったよ。それでも頑張って直ぐに戻ってきたんだ。」
「ヴァンと戦ってた時もだよな。」
「ああ。神同士で因縁があるのか俺が殺してやるって騒いでた。引っ込んでろ的なこと言った。」
「……神にだろ?正気か?」
「私を襲ってる時に貴方は悠長に神様と…!」
「それは本当にゴメン…」
「一瞬だけ、エウルが不憫に思えたぜ。」
「なんで一瞬だけなのよ。ある程度思っときなさいよ。」
「神の紋章なら、もしかしたら雷撃の紋章と反応するかもな。一回実際に会ってみようぜ。月の魔女に。」
「うんうん、確かにそうかも。」
「じゃあ今日は大人しく寝るか。」
「そうだな。」
エレスト達は宿屋に向かった。
トーラスはエレストに尋ねた。
「さあ。もうここからただの観光みたいなものだし、エウルの行きたいところでいいんじゃないか?」
「うーん…じゃあ、和の国とかどうかしら。」
「………遠くね?」
トーラスは嫌そうな顔をする。
「そうよ、だから寄り道をしてから、最終的に和の国に行くの。」
「まあ、それも悪くないかもな。ずっと直線的に行ってたし。」
という簡単な会話で、和の国に行くことになった。
和の国とは、エレストが元居た場所とは、景色も文化も全く違う場所だ。
それに、紋章や魔法を使うことが重要ではなく、『勉学』自体に重要視されている、特異な国でもある。
少なくとも、他の国より圧倒的に識字率が高いらしい。
勉強するような場所にエレストが放り込まれたら、エレストは勉強をし出すのだろうか。
「色んな町が、そこらかしこにあるから、回っていってみるか。」
「だったら、久しぶりにゆったりできるな。」
トーラスも、エレストとエウルよりも吸血鬼の国に長時間いて、精神をすり減らしていたのだから、ゆっくり過ごしたくなっていた。
「次行く場所は…ここら辺じゃあ小さい村しかないな。」
「じゃあ、そこに向かおうぜ。」
三人はそこに向かい、歩いて行った。
「…魔物を見るのが久しぶりに感じる。」
「確かに。ずっと吸血鬼だったし、特にトーラスはそうかもね。」
「どうせ、ここから嫌でも見ることになるはずだ。吸血鬼の国から抜け出したんだし。」
三人は久しぶりの光景を見ながら、先に進んでいった。
「そういえば、エレストの魔法気になるな。結局使って無いだろ?」
「確かにな。…一回使ってみるか。」
エレストは右手を前に出し、本の通りにして魔力を集めた。
すると、指先から、僅かな灯が現れた。
「てっきり、得意な属性って雷かなって思ったけど、炎だったんだね。」
「魔法と紋章は似てるが違うからな。」
トーラスはエレストの炎をまじまじと見つめる。
「しかし、えらく小っせえ火だな。」
「悪かったな。」
「それ以外は出せないの?」
「魔法が使えないお前は黙ってろ。」
「なんですって!?」
「喧嘩するなよー。」
そんな話をしながら、少し経って、ようやく村に辿り着くことが出来た。
「…珍しいの…」
高齢者が大半を占めているらしい村だった。
「若いの。ちと、今日は此処に滞在するのは止めた方がいいぞ。」
おじいさんに止められる。
「どうしてだ?じいさん。」
「今日は新月が近いのじゃから、魔物が襲ってくるんじゃ。」
「月の満ち欠けで変わるのか?」
「あの山には『月の魔女』がおっての。満月の夜は良いんじゃが、新月になると魔物をこの村に襲わせてるのじゃ。」
「月の魔女…か。」
「魔法国らしい呼び名だな。」
月の満ち欠けで物事が起こるのは、月の魔女のせいだろう。
「俺は構わない、そういうことには慣れてる。」
「私も構ないわ。」
「俺は構う。」
「構うなよ、トーラス。よぼよぼの老人たちが魔物を倒せると思うか?」
「くそ、おばあちゃん子かよ…」
「老人位は優しくしてやれよ…」
「はいはーい。」
ということで、魔物の襲撃に備えることが決定した。
「しかし、月の魔女か。俺は魔物の襲撃よりも、そっちの方が気になる。」
「よりも…という事は置いといて、月の魔女について気になるのはトーラスと同じ、俺も同意だ。」
「月の魔女…やっぱり、『月の紋章』かしら。」
月の紋章…それは神の紋章の一つである。
月の満ち欠けによって、性質が変化するという特殊な紋章である。
満月の時は皆を癒し、新月の時は牙を向く。
これが、昔から言われている月の紋章の説明だ。
「新月の時にとかなんちゃら言ってたし、実際そうかもしれねえな。」
「意外と、探せば神の紋章ってどこにでもいるのね。」
「まあ、普通、一人でも見つかればある意味幸運って言われてるくらいだしな。」
「神の紋章持ってる人と絡んだら、ろくなことが起きないって言われてるものね。」
「なあ、俺を目の前にして言うのか?普通そういうの言うか?実は仲いいだろ…」
エウルとトーラスが同時に叫ぶ。
「仲良くない!」
「…信憑性が感じられないんだが…?」
まあいいや、とエレストは続き、更に言った。
「まあ、今日は様子見でどんな感じか見てみて、明日の夜に魔女に会ってみよう。」
「今日行かないのか?」
「こういうのは、下見が肝心なんだよ。俺が盗みを働いていた時は下見をちゃんとしてたぜ。」
「盗むなよ…」
「俺は平民ですらない。だから、息をするように盗みを働く。これが国を出る前の俺だ。流石に今は盗んでないけどな。」
「私の所持金をちまちまと使ってるわ。まあ、魔物と長らく戦ってないからだけど。」
「貴族サマがお金に対して節約できるとは思えねえな?」
「ええ!普通にできないわ!思った以上に出来なかったわ!」
「…お、おう…そこまで堂々と言われると…」
「珍しくトーラスが完敗してる…じゃなくて、今日の夜に備えるぞ。」
「また夜戦かよ…」
トーラスは溜息を吐きながら言うが、一番それに慣れているのは彼である。
直ぐに太陽が落ち、魔物が来ると言われていた時間になる。
すると、どこからか獣の咆哮が聞こえた。
「なんだ、この音は…!?」
空気が揺れるほどの爆音が響く。
その瞬間、魔物が全速力でこちらに来ているような、足音が聞こえた。
「なるほど、獣の咆哮が開戦の合図か!」
トーラスは本を開く。
「山からこの村まではそんなに近くない筈なのに、この村に来るの早くない!?」
「全速力でこっちに来てるってことか…!」
先ずはエウルとトーラスの攻撃で殲滅させる。
「降り注げ。『星雨』。」
「爆ぜよ、散れよ。『魔導・地雷』。」
「おお…やっぱり二人になると派手だな…」
後ろの村民も驚いている。
「魔導士と魔法使いが同時に居るのは珍しいのお。」
「これは…久しぶりにみたの。」
二人の攻撃を抜け出した魔物はさらに、村に突撃してきた。
「次は俺か。『雷撃』。」
エレストは左手を構え、雷を撃った。
「吸血鬼と比べて、ものすごく簡単だな。」
トーラスは本を閉じた。
「そうね、魔物も下級だし…」
エレストは少しだけ考えてから言った。
「…こいつら、逃げてるんじゃないか?」
「魔物が?何に…あ、さっきの獣?」
「ああ。でも、月の魔女と何の関係が?」
「そこなんだよなあ。」
そう言いながら、魔物を討伐する。
「本当に月の紋章なのか?」
「取り敢えず、大分片付けたか。」
エウルは考えながら発言する。
「やっぱり…この村を襲うつもりで来てる感じじゃなかったよね…」
「ここまで分かりやすいとな。村民が分かってないと思う方が疑わしい。」
「逆に言えば、分かってるってことか?」
「うーん…もしかして、原因は分かってるけど、解決策が見つからないから放置してるってことだよね?」
「だから月の魔女ってことにしてるのか?俺が色んな所を回ってた時に、よくあった小さい村にある伝統的な言い伝え的なものかもな。」
「神の紋章じゃなくても、それに似た紋章なんて、幾らでもあるだろうからな。雷の紋章とかそういうのは特に。」
「私も神の紋章と巡り合うまで、神の紋章と普通の紋章の違いって神様の名前が付いているか付いてないかの違いでしかないんじゃないかと思ってたし。」
エレストは軽い口調で言う。
「あながち間違ってないと思うぞ。雷撃の神と自称してる奴と会ったことある。」
「はあ!?」
「え、いつ!?」
「暴走してる時。」
「え!?マオの時に暴走してて、焦ってた時に貴方は悠長に神様と会ってたの!?」
「言い方に悪意が…いやあ、あれは悪かったよ。それでも頑張って直ぐに戻ってきたんだ。」
「ヴァンと戦ってた時もだよな。」
「ああ。神同士で因縁があるのか俺が殺してやるって騒いでた。引っ込んでろ的なこと言った。」
「……神にだろ?正気か?」
「私を襲ってる時に貴方は悠長に神様と…!」
「それは本当にゴメン…」
「一瞬だけ、エウルが不憫に思えたぜ。」
「なんで一瞬だけなのよ。ある程度思っときなさいよ。」
「神の紋章なら、もしかしたら雷撃の紋章と反応するかもな。一回実際に会ってみようぜ。月の魔女に。」
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