雷撃の紋章

ユア教 教祖ユア

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6章 神に愛された子

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「何で…私たちの村を!!!!!!!壊したんだ!!!」

私は叫ぶ。

「何故!!!!どうして!!!」

君のせいで、私の日常は壊れたんだ。

「何でそんなに怒っているの?」

「あの村は私にとって存在する意味があった。」

「あんな場所、何の意味もない!何故固執するの!?」

「本気で分からないの?」

「え?」

「あの村を最初から無かった事にしたかったんだよ、私の手で。それを君が横入れした。本当に無駄なことを君はしたんだ。重罪だ。私を裏切った。無かった事にするためには、君を殺さないといけない。それは流石に迷ったけど、もう殺すしかないね。」

「なんで…?」

あの場所はこの世界の汚点だ。

知性の欠片もない屑共が、砂糖に群がる蟻のようにいる。

そして、そこから生まれた、自分たちもまた、汚点。

「私は神は嫌い。そのせいで死ねない人間になってしまったから。だからさ、神を殺す。」

「ロデ…」

「私の名前を呼ばないで。この世界にその名前を残したくない。」

「何で…そこまで…」

エレスト、エウル、トーラス。

この三人が私と関わっている以上、私とは知り合いになってしまっている。

私は死ぬ。

名前を知れば、他人以上の関係になる。

他人以上の関係の人間が死ぬのを見たくないだろう。

「私の最期の我儘。小さな我儘なんだから…」

「ロ…」

親友も私の名前を言うのを止めた。

彼らが来る。

私は左の紋章を光らせた。

「殺し合おう。そっちは死にたくないんじゃない?私は死にたいけど。」

どちらが敵なのか。

それは神が教えてくれる。






「あそこだ!」

「エレスト、いける?」

「ああ。もう解けた。」

エレスト達は二人の声の元に辿り着く。

「全て、君のせいだ!!!!私を壊して何が楽しいんだ!」

「何故わかってくれないの!?何でそこまで、固執するの!?」

彼女は血に包まれながら、氷結の紋章の者と戦っている。

「氷結の紋章か!?」

「ああ。そうみたいだ。」

「私を殺しても、何も変わらない!」

「そうだね!村の人間を皆殺しにしなかったらね!!!!」

すると、二人ともエレスト達に気付く。

「何で、此処に来れるの!?」

「皆さん!?」

「いつの間にな…」

その瞬間血の縄が氷結の紋章の者を縛り上げる。

「…!?」

「早く逃げてください…!相手は神の紋章です…無策では勝てません…!」

氷結の紋章の者は笑い出した。

「…そう!!理解した。」

その瞬間、血鬼の紋章を持つ彼女は氷に包まれた。

「全員でかかってきてよ。そうじゃないと私を殺せない。勝つのは『神に愛されている者』か!『神に選ばれた者』か!」

「トーラス!」

「分かってる!」

「ただの魔法で壊せると思わないでね。あ、私の親友に言っておいて。『貴方にとっての悲劇を終わらせましょう。』ってね。三人とも、私たちに介入するなら…命の覚悟はしておくことね。」

「おい、どういうことだ?待て…!」

氷結の紋章の者は、エレスト達が追いかけないことを分かっているようにゆっくりと去っていった。

「その前にこの子を助けるぞ!」

トーラスが叫ぶ。

「あ、ああ…!」

「下手に砕くと、この子も割れる…!」

すると、氷が一瞬で粉砕された。

彼女の血鬼の紋章が光っている。

体中に血の棘が付いている為、中から破壊したのだろう。

「…無事か!?」

「………ハハッ…」

氷から出てから最初の言葉は笑っていた。

「…お、おい…?」

「やっぱり…存在するべきじゃないんだ…」

「しっかりしろ、大丈夫か!?」

トーラスにしっかり掴まれたあと、正気を取り戻したかのように、目に光が戻る。

「…は、はい…生きてます…」

「…怪我は?」

「してません…紋章の血です…」

「…そうか、分かった。一応体は大丈夫みたいだな。」

「取り敢えず、氷結の紋章の人は何処かに行ってしまったし、今日は宿屋で休みましょう。その間に何かあったら直ぐに私に言ってね。」

「…すみません、気を遣わせてしまって…」

「馬鹿か。こういう時は感謝の言葉を言うんだよ。」

「す、すみま…いや、ありがとうございます。」

トーラスは口は悪いが今回ばかりはめちゃくちゃ優しい。

取り敢えず宿屋に戻る。

氷は去ってから直ぐに消えてしまった。

部屋は女二人、男二人で部屋を取った。

店員にトーラスが女だと勘違いされたが、まあこの先何度もあることだろう。

何故ならトーラスは美形だからである。

エレストと、トーラスは同じ部屋でベッドに横たわった。

「ああ、クッソ…疲れた…」

「珍しいな。トーラスがめちゃくちゃ気を遣うなんてさ。トーラスみたいだったからか?」

「……さあな。……どちらかといえば…俺は…俺の妹を見てるのかもな…」

「…そうなのか?」

「まあ、復讐を俺の妹がしたいのか、分からないけどな。」

「……妹は、生きているんだろ?」

「ああ。俺以外の奴に殺されていなかったらな。あれからもう結構時間は経ってる。一度もあの場所に帰ってないから、まだ生きているのかは知らない。」

「帰らないのか?」

「帰りたくないし、帰ろうとも思わないし、。正直に言えばこんな感じだな。」

「俺は最初から親に捨てられてる側だから、そこのところはよく分からないが…家族って普通は会いたくなるものじゃないのか?」

「普通はな。普通は。エウルはその点普通だよ。貴族は嫌いだが、貴族の割にはまだまともなのが、普通の親って事だろ。エレストと同じように、俺も普通の親に育てられてない。」

「そうなのか…本当に帰らないつもりか?…親は嫌いでも、妹は好きなんだろ?」

「……俺に会っても嬉しかねえよ。守ってくれなかった兄に…誰が会いたいと思うんだ。」

「トーラス…」

「まあ、でも…余程の理由が無ければ帰ることは無いさ。…あの場所に理由が出来る事なんて相当だけどな。」

「悪い理由じゃなかったらいいな。」

「ああ。」

「で…あの子の事だけど。」

エレストは深い溜息を吐いた。

「……やっぱり気になるか?」

「トーラスが気になるようにね。」

「…嫌な予感がするんだよな。」

「嫌な予感?」

「ああ。ただ…嫌な予感。」

トーラスは静かに言う。

「あの子は俺たちの味方だとか敵だとか関係無くて、ただ自分のやることに邪魔しなかったらいい…そんなことを考えているようにも見える。俺は…それが不安なんだ。」

「トーラスも不安になることがあるんだな。」

「不安というか…まあ、うん…そうだな…だが、俺をなんだと思ってる。」

「顔良い奴。」

「……間違っては無いか。」

その時、激しいノック音が聞こえた。

「おおっ!?」

扉を開けるとそこにはエウルがいた。

「あの子は?知らない!?」

「いや…」

「どっか行ったきり、帰ってこないの!探して!」









(…私の名前はロディ。まあ、それも…ロディという女がいたという事実すらも消える。私が望んでいることは、親友を殺すことじゃない。)

まあ、今思えば何でもいいのかもしれない。

親友を殺したとて、何の意味も産まれない。

しかし、全てはその後に産まれる。

(私をロディと呼ぶ者は…もう居ない。居てはならない。親友もまた…呼ばせない。)

最初から居無かったのだ。

ロディなんて。

最初から存在してなかったのだ。

全て。

そう思いたい。

「だからそうさせる。」

この紋章が…親友が村を滅ぼす前にあったら…この手で村を滅ぼしていただろうか。

いや、きっと出来ないだろう。

望んでいることはだから…親友を殺すという選択肢は取れない。

「早く死にたいな。」

ポロッと本音が溢れる。

死ねない癖に。

言っても無駄。

死ねない事に悲しくなるだけ。

「実際に試してやろうか。神が私を見捨ててくれるならきっと私は死ねる。」

刃を自分の動脈に向けて振り下ろした。
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