雷撃の紋章

ユア教 教祖ユア

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6章 神に愛された子

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(皆殺しにするのはリーレンじゃない。私である筈だったのに。)

「私の親まで殺す必要あった?そっちの親もさ。」

「それは…私の紋章が強すぎて…」

「プッ…!!!!アハハ、煽ってんの?」

「違う、制御が…」

「いや、別に原因は興味ない。私に必要なのは事実だけだから。まあ、君が殺したってことは、もう私が邪魔する倫理観なんて必要ない訳で。」

「ろ…」

「だから私の名前を呼ばないでって。あの人たちに聞かれたくないの。」

せめて、名前の知らない人間が、勝手に死んだことにしたい。

「あの人たちには、酷いところを見せてしまう。せめての私の慈悲を無駄にしないで。それとも…そうしてまで私を苦しませたいの?」

「…何を…考えているの?」

「だから、実質的なだよ。消してやる。」

「…」

怯えているようにも見える。

しかし、こうなっているのはリーレン自身だ。

「全て自業自得だよ。」

と、言っているが、リーレンが殺さなくても、殺さない理由が無ければ同じ末路を辿っているが。

その場合、エレスト、エウル、トーラスの三人からは敵と思われるだろう。

戦う前に自殺してるだろうから、会う事も無かっただろう。

「私が君に望むことはただ一つ。敵らしく、私を殺しに来てよ。」

「…」

「死にたくないんでしょ?死にたくないなら、私を殺すしかない。」

まあ、神に愛されている者の呪いのせいで、殺されないと思うが。

神の紋章の使い手如きに死ねたら何も考えなくて済むが、どうせそれも叶わない。

「それがだよ。」

もう、とっとと死なせてくれ。そうずっと思っていた。

自分という存在を端から存在しなかったようにしたかった。

ゴミを産むゴミみたいな村も嫌いだった。

村も存在を完全に抹消すべきだ、ロディはそう思った。

「私が悪いんじゃない、そう思わせた、この世界が悪い!」

血を使い、リーレンを攻撃する。

「早く私を殺せ!!!!」

血の攻撃を氷で簡単に防ぐ。

「そんなに殺されたいなら、殺してやるわよ!!!!」










「どれだけの距離を移動したんだよ!」

「しんどいわ!流石に!」

「もう弱音か?はぁ…はぁ…これだから貴族サマは!」

「息切れしている平民さんに言われたくないわ!」

「喧嘩するくらいは余裕があって安心だ!」

エレストはヤケクソで叫ぶ。

「やっと、ちゃんと目視できる距離に…!」

エレスト達の視線の先に二人の存在が見えた。

「そんなに殺されたいなら、殺してやるわよ!!!!…そんな紋章で、私を!神の紋章を持っているこの私を殺せると思わないでよね!!!!」

二人は戦っている。

確かに、神の紋章と戦っている割に、善戦している。

血を操る紋章は確かに強いが、氷結の紋章とは相性が悪い。

「私の思い通り、殺してやる!!!!」

弓も使えるが、近接攻撃もある程度できるらしい。

しかし、遠距離の方が上手いと感じる。

「クッソ!氷結の紋章のせいで、滅茶苦茶だよ!俺の魔法が使えるかどうか!」

トーラスは悪態を吐いた。

「来たのね…」

「皆さん…!」

「なんか…興醒めしたわ。誰も…幸せにならないのに…貴方達は私を殺そうとする。」

「元はと言えば、村人を私以外殺したからだろ…!」

「…そう。一体何が正解なのか分からないけれど…このエンディングしかないのなら…私達で殺しあいましょう。」

冷たく笑った。

「あの村で…どちらが正しいのか。ハッキリさせよう。貴方か…私か。」

氷の竜巻が現れる。

「なんだこの大きさ…!!!」

「三日後…村で殺し合いを始めましょ?じゃあね、親友。」

「待て!!!!何度逃げる気だ!!!」

「もう逃げないわよ。…貴方から。」

雪の様に儚く消えた。

氷の竜巻が邪魔して、追いかけることが出来ない。

「止めないとまずい!消える気配が無いぞ!」

「氷に対抗するなら、炎だ!」

「必死に…高速で…詠唱してるわよ!!!火球よりも威力のある魔導を!燃え上れ。『魔導・火柱フレア』!!!」

とても大きく火炎が吹き上がる。

「これで足りるか!?燃え上れ。火柱フレア』。」

二度目の火炎が吹き上がる。

氷の竜巻は威力を失い、やがて消えた。

「フー…流石に…ハア…焦ったわ…」

「一気に魔力を取られるのに…二発撃たなきゃ…止められなかった…こんなの…急性的な魔力枯渇症になるぞ…」

「だ、大丈夫ですか?」

「一番その台詞を言いたいのは俺達だよ。」

トーラスは呆れたように言った。

「へっ?え、あ、私は大丈夫です。怪我も無いです…」

「…そうか。なら良いんだ。色々な意味で良くは無いが。」

「それはそうと、三日後に来るのか?」

「最初に皆さんと会った、私の故郷…そこで最後に戦うみたいですね。」

「逃げないのか?」

「逃げないと思いますよ。」

「そうなのか?」

「そんなことをしたって無駄ですから。」

軽くあしらうように笑い、静かに言った。

どういうつもりで言ったのだろう。

やはり、殺意がこんなにも剥き出しなのも珍しい。

憎悪とかでは説明できないような、何かがあるような気をエレスト達は感じた。

本当に氷結の紋章の使い手を殺す必要があるのか?と、思い始めてきてしまう。

いや、もう遅い。この彼女を止められない。

「さあ、戻りましょう。あの村に。」

「逆戻りかあ…」

「仕方ねえよ。」

(…この子は、一回、自分で死のうとしてたよな。やっぱり、どこか精神的におかしいのかもしれない。…また自傷行為をする前に止めた方が良いかもな…これ以上、自分を傷付けるような事が無いと良いけど…)

彼女は魔物に対して、割と普通の対応をしている。

過剰な警戒、その癖、一体倒すと直ぐに油断をするなどだ。

ようは、魔物を殺し慣れていない。

それに、別に人を平気で殺せるような人間には見えない。

ただ、氷結の紋章の使い手を見た瞬間、正気を失っている。

そして、殺すことに焦っている。

早く殺さないといけないという意思をなんとなく感じる。

まるで、エレスト達から、離れたいかのように。

(この子は…一体何を考えているんだ?何か目的があるのか?氷結の紋章の使い手彼女を殺して、一体何をこの先しようとしているんだ?)

しかし、今のこの人に正論は通用しない。

殺し合いが終わってからなら、もしかしたら、正論でも聞いてくれるかもしれない。

それをするためにも、氷結の紋章の使い手を倒さないといけない。

「結構中途半端な時間しかないし、さっさと戻らないとな。」

「丸一日はかかるか…?」

四人は移動を始めた。

「君はこの戦いが終わったら、どうするつもりなんだ?」

「…え?」

「トーラスが最初に言った通り、復讐が終わっても空しいだけだ。特にやることもなくなると思うぞ。」

「まあ、だから俺は、こいつらに付いて行ってるんだしな。」

「…そうですね…やることはもう、あの子を殺すことでしか考えていませんでしたし…どうしましょうか。…でも特に考えなくても、何とかなるかなって思っているので、まあ、終わってから考えます。」

「…それでもいいと思うぞ。時間はたくさんあるからな。」

「……」

何故か沈黙をする。

何故肯定できないのだろう。

「…いや、そうですね。」

彼女は遠い目をする。

一体何を考えて、行動しているのだろう。

この物語の終わりを、どう想像しているのだろう。

そしてそれは、今、この物語は、彼女の考える道通りに進んでいるのだろうか。

(それは俺達の邪魔をしないようなものだと良いけど。)

「皆さんはこれが終わったら、どうするんですか?」

「うーん…俺達は、和の国に向かうかな。」

「観光地として、一番最高の場所よね。何気にそうやって楽しむのは、この旅で初めてだから何気に楽しみだわ。」

「ああ、和の国にいる間だけは、ゆっくりするとするか。」

「和の国…ですか。温泉が有名ですね。色々な効能があるとのことですよ。」

「へえ…入ってみたいな。」

「和の国は他の国と比べて、特異なところがありますから、皆さんも楽しめると思いますよ。」

そんな、エレスト達が次に向かう和の国の話を聞きながら、あの村へ向かった。
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