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40 浮遊島1
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サタン隊は、すでに結界が破壊された第一浮遊島に上陸していた。
天空神殿の前に到着すると、サタンは笑みを浮かべる。
「あら~? 邪神は神域に入れないんじゃなかったかしら?」
サタンが話しかけたのは、天空神殿の門の前に立っていた女神セクメトだ。
鋭い目つきでサタンを睨んでいる。
「他の神は、ここにいないのかしら?」
「スベテ、コロセ」
二人の会話は成立していなかった。
天使同様に誰かに操られている、とサタンは確信する。
『各兵は隙を見て散開』
サタンは、死精霊経由で背後にいる兵に密かに告げた。
各兵は指示通り姿を消し、移動を開始する。
「——そうなる前に私が殺してあげるわ」
セクメトは歯ぎしりをした。
「あー!!!」
セクメトは言葉にならない声を発し、業火の檻でサタンを閉じ込めた。
「残念ね~。痛くもかゆくもないわ。炎は私も得意なのよ。しかも、あなたの炎よりも強力よ?」
サタンは炎の中からそう告げると、業火の檻は漆黒の炎とともに崩れ落ちた。
セクメトはすぐさま業火球を連続でサタンへ放つ。
「言葉が理解できないって大変ね。私には効かないのよ、その炎は」
サタンはセクメトの放った炎を漆黒の炎で跳ね返し、そのままセクメトを狙う。
セクメトはそれを振り払おうと、瞬時に炎の盾を出して対抗する。
「馬鹿ね……」
その盾に当たる直前、サタンの漆黒の炎は広がり、セクメトを包み込んだ。
「あ゛ー!!!」
セクメトは黒煙で皮膚を焼かれ、痛みで叫び声を上げる。
「あなた、正気だった頃の方が強かったと思うわ。じゃあね」
その言葉を言い終わる頃、セクメトは焼き尽くされ、灰に変わり果ててしまった。
その後、先に神殿へ攻め込んでいた小隊から、サタンへ連絡が入る。
『——サタン様、神のヘスティアー、ヘルメスと戦闘中なのですが、苦戦しています!』
「さすが十二神ね。いいわ、私が相手をする。到着するまで足止めしておいて」
『畏まりました!』
サタンは口角を上げた。
「この島はやっぱり当たりだったわね。私って運がいいわ~!」
*
第二浮遊島。
ベルゼブブ隊もすでに上陸しており、立ちはだかる天使たちと兵が戦闘中だった。
ベルゼブブは副隊長のベリアルとともにそれを退屈そうに眺めていると、上空から殺気を感じる。
天使とは明らかに違う雰囲気をまとう者が、ゆっくりと降りてきた。
「ベルゼ、手強そうな奴が来たじゃない?」
その者は、女神ネメシスだった。
「ベルゼ、こいつは私がやるわ」
銀色の鎧をまとったベリアルは、舌なめずりをしながらそう言った。
「いいだろう、好きにしろ。だが、前みたいにヘマはするなよ?」
「いつまでも昔のことを言わないでよ!」
昔の失態を掘り起こされたベルゼブブは、顔を真っ赤にしながら叫んだ。
ベルゼブブはその反応に呆れている。
「わかっているのならそれでいい、私は他に神がいないか探しに行く」
「邪魔だから、早く行って!」
ベルゼブブは「はい、はい」と言いながら、手が空いていた配下を連れて浮遊島の奥へ向かった。
「——悪ニハ神罰ヲ」
ネメシスはそう言うと、右手に持っていた大剣をゆっくりと振りかぶった。
「——がはっ!」
ネメシスは剣を振り下ろし、渾身の一撃を放つつもりだった。
しかし、動きがあまりにも遅かった。
気づいた時には、ベリアルの手がネメシスの胸を貫通していた。
「先制攻撃あるのみ~」
ベリアルは笑みを浮かべながら、突き刺した手を抜き取る。
「さて、これで勝ったつもりはないよ。油断は禁物だからねー」
ベリアルは、突き刺した手に握られていた神の魂を握り潰した。
そして、念押しでネメシスに火を放つ。
「これをやっておかないと、ベルゼにまた何言われるかわからないからね……。さて、もっと強いやつをベルゼよりも先に見つけないと!」
ベリアルは黒い翼を広げて飛び立った。
*
第三浮遊島。
この島には、アスモデウス隊が上陸していた。
「——ッチ、男ばかりじゃないか……。やる気がでねーな」
この島は男系天使や神が多いため、アスモデウスはふてくされていた。
「お前ら、適当にやっとけよ!」
アスモデウスは役に立たない指示を配下に出した後、木の上に飛び乗って寝転がった。
日光の心地よさに、アスモデウスはうとうとしていると……。
途中、何かを察知して目を瞑ったまま口角を上げる。
「——いい香りだぜ~」
木から転移したアスモデウスは、女の背中から抱きつき、首筋の香りを嗅いでいた。
「殲滅シテヤル!」
そう言ったのは、女神アルテミスだった。
抱きつかれた腕を振り払い、アスモデウスに矢を連射する。
「そんな近距離で矢を放つな! 危ねーなー!」
「——殲滅シテヤル!」
アスモデウスの言葉を遮るように、アルテミスは叫んだ。
「お嬢さん、しばらく楽しませてもらうぜ!」
天空神殿の前に到着すると、サタンは笑みを浮かべる。
「あら~? 邪神は神域に入れないんじゃなかったかしら?」
サタンが話しかけたのは、天空神殿の門の前に立っていた女神セクメトだ。
鋭い目つきでサタンを睨んでいる。
「他の神は、ここにいないのかしら?」
「スベテ、コロセ」
二人の会話は成立していなかった。
天使同様に誰かに操られている、とサタンは確信する。
『各兵は隙を見て散開』
サタンは、死精霊経由で背後にいる兵に密かに告げた。
各兵は指示通り姿を消し、移動を開始する。
「——そうなる前に私が殺してあげるわ」
セクメトは歯ぎしりをした。
「あー!!!」
セクメトは言葉にならない声を発し、業火の檻でサタンを閉じ込めた。
「残念ね~。痛くもかゆくもないわ。炎は私も得意なのよ。しかも、あなたの炎よりも強力よ?」
サタンは炎の中からそう告げると、業火の檻は漆黒の炎とともに崩れ落ちた。
セクメトはすぐさま業火球を連続でサタンへ放つ。
「言葉が理解できないって大変ね。私には効かないのよ、その炎は」
サタンはセクメトの放った炎を漆黒の炎で跳ね返し、そのままセクメトを狙う。
セクメトはそれを振り払おうと、瞬時に炎の盾を出して対抗する。
「馬鹿ね……」
その盾に当たる直前、サタンの漆黒の炎は広がり、セクメトを包み込んだ。
「あ゛ー!!!」
セクメトは黒煙で皮膚を焼かれ、痛みで叫び声を上げる。
「あなた、正気だった頃の方が強かったと思うわ。じゃあね」
その言葉を言い終わる頃、セクメトは焼き尽くされ、灰に変わり果ててしまった。
その後、先に神殿へ攻め込んでいた小隊から、サタンへ連絡が入る。
『——サタン様、神のヘスティアー、ヘルメスと戦闘中なのですが、苦戦しています!』
「さすが十二神ね。いいわ、私が相手をする。到着するまで足止めしておいて」
『畏まりました!』
サタンは口角を上げた。
「この島はやっぱり当たりだったわね。私って運がいいわ~!」
*
第二浮遊島。
ベルゼブブ隊もすでに上陸しており、立ちはだかる天使たちと兵が戦闘中だった。
ベルゼブブは副隊長のベリアルとともにそれを退屈そうに眺めていると、上空から殺気を感じる。
天使とは明らかに違う雰囲気をまとう者が、ゆっくりと降りてきた。
「ベルゼ、手強そうな奴が来たじゃない?」
その者は、女神ネメシスだった。
「ベルゼ、こいつは私がやるわ」
銀色の鎧をまとったベリアルは、舌なめずりをしながらそう言った。
「いいだろう、好きにしろ。だが、前みたいにヘマはするなよ?」
「いつまでも昔のことを言わないでよ!」
昔の失態を掘り起こされたベルゼブブは、顔を真っ赤にしながら叫んだ。
ベルゼブブはその反応に呆れている。
「わかっているのならそれでいい、私は他に神がいないか探しに行く」
「邪魔だから、早く行って!」
ベルゼブブは「はい、はい」と言いながら、手が空いていた配下を連れて浮遊島の奥へ向かった。
「——悪ニハ神罰ヲ」
ネメシスはそう言うと、右手に持っていた大剣をゆっくりと振りかぶった。
「——がはっ!」
ネメシスは剣を振り下ろし、渾身の一撃を放つつもりだった。
しかし、動きがあまりにも遅かった。
気づいた時には、ベリアルの手がネメシスの胸を貫通していた。
「先制攻撃あるのみ~」
ベリアルは笑みを浮かべながら、突き刺した手を抜き取る。
「さて、これで勝ったつもりはないよ。油断は禁物だからねー」
ベリアルは、突き刺した手に握られていた神の魂を握り潰した。
そして、念押しでネメシスに火を放つ。
「これをやっておかないと、ベルゼにまた何言われるかわからないからね……。さて、もっと強いやつをベルゼよりも先に見つけないと!」
ベリアルは黒い翼を広げて飛び立った。
*
第三浮遊島。
この島には、アスモデウス隊が上陸していた。
「——ッチ、男ばかりじゃないか……。やる気がでねーな」
この島は男系天使や神が多いため、アスモデウスはふてくされていた。
「お前ら、適当にやっとけよ!」
アスモデウスは役に立たない指示を配下に出した後、木の上に飛び乗って寝転がった。
日光の心地よさに、アスモデウスはうとうとしていると……。
途中、何かを察知して目を瞑ったまま口角を上げる。
「——いい香りだぜ~」
木から転移したアスモデウスは、女の背中から抱きつき、首筋の香りを嗅いでいた。
「殲滅シテヤル!」
そう言ったのは、女神アルテミスだった。
抱きつかれた腕を振り払い、アスモデウスに矢を連射する。
「そんな近距離で矢を放つな! 危ねーなー!」
「——殲滅シテヤル!」
アスモデウスの言葉を遮るように、アルテミスは叫んだ。
「お嬢さん、しばらく楽しませてもらうぜ!」
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