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一章
唯一の光
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ルシアン様に部屋まで案内されたあと、やってきた侍女が湯浴みの準備が整ったと告げる。
汗でベタついていた体を清められ、丁寧にタオルで拭われたあとに薬を塗って包帯が巻かれた。
こうして改めて手当てをされると、体の至る所に痣や傷が残っているのだと分かって痛々しい。
もしかしたら目を覚まさないんじゃないかと焦っていたルシアン様の気持ちが、自分についた傷の多さを知った今、少しだけ分かる気がした。
「セシリア様、歩けますか?」
「はい。大丈夫です」
腕にも脚にも怪我をしているが、運んでもらうほどの酷さではない。
ゆっくりと足を動かし、今度は髪の手入れをするためにドレッサーの前に座る。そこで初めて、私は自分の顔をしっかりと見ることになった。
腰の下まで伸ばされたふわふわの桃色の髪と、ヘーゼルブラウンの瞳。そんな自分の姿を鏡で確認すると同時に、胸元や腕に無数に散らされたキスマークがあることに気付いてしまい、思わず自分の肌から視線を逸らす。
なんだか、見てはいけないものを見てしまった気分だ。
(夫婦なんだから、そういうことをしているのは何もおかしいことじゃないけど……)
分かっているのにドキドキする。
ルシアン様とはまだ少し話をしただけで、彼の全てを知っているわけではない。それでも、あんなにも優しくて穏やかそうな人が、私と夜の行為をしていることが正直信じられなかった。
こんなにもたくさん、情熱的な行為の痕が残っている意味を考え、かぁっと顔に熱が広がる。
(こんな状態の私を相手に、ルシアン様は手を出したりしないと思うけど……)
包帯の巻かれた自分の足を見て、汚い――と思う。
傷だらけで痣だらけ。決して、見ていて楽しい体ではないだろう。
それに私は、まだルシアン様に対して、妻として上手く接することが出来ない。
結婚三年目だというのに、今の私には彼と積み重ねてきた思い出が一つもないのだ。話をするにも少し緊張してしまい、どこまで親しい態度で接していいのか分からない。
ふぅとため息を吐いたところで、ちょうど髪の手入れが終わったらしい。
肌を隠すようにショールをかけてもらい、ドレッサーに木製のブラシが置かれる。
「本日はお疲れでしょうし、少し早いですがもうお休みになってください。ベッドまでお連れします」
「いいえ、大丈夫。このくらいなら自分で歩けます」
ベッドまでの距離は、ほんの数メートル程度だ。侍女に運んでもらうほどでもないと思い、提案を断ってゆっくりと椅子から腰を上げる。
そのタイミングで、コンコンと扉をノックする音が響いた。
「はい、どうぞ」
私が返事をすると、部屋に入ってきたのはルシアン様だ。
ドレッサーの前で立っている私を見て、困ったように眉を下げる。
「安静にしてないと駄目なんじゃなかった? そんな風に立っていて大丈夫なの?」
「はい、ちゃんと歩けますよ。お医者様も、日常生活に支障はないとおっしゃっていましたし」
「それでも怪我が治るまでは、あんまり無理をしないで欲しいけどね」
言いながら抱き上げられ、ほんの数歩歩けば済む距離を、ルシアン様に運ばれてしまう。
気を利かせるように静かに侍女は退出していき、二人きりになった室内。包帯の巻かれた足をルシアン様にじっと見つめられ、慌ててナイトドレスの下に隠した。
「痛いところはない?」
「あ……いえ。見た目ほど痛くないので、あんまり心配しないでください」
「心配くらいさせて。僕にはそのくらいしか出来ないんだから」
「そんなことないです……! 一人で階段から落ちた私が悪いのに、これだけいろいろと手を尽くしてくださって……。もう十分に、ルシアン様には良くしてもらっています」
正直にお礼を口にすると、ルシアン様はどこか泣きそうな目をして微笑む。
いきなりこんなことになって、困らせているのだろう。気を遣うような笑い方に、きゅっと胸の奥が締めつけられる。
「そう言ってもらえてよかった。セシリアが不自由なく過ごせるように何でも用意するから、欲しいものがあったら遠慮せず僕に言ってね」
「いえ、そんなことは……」
「本当になんでもいい。どんなに些細なことでもいいから、頼って」
必死さの滲むその声は、まるで何かに縋っているみたいだ。
躊躇いつつもゆっくりと頷くと、安心したようにルシアン様が表情を緩める。
「セシリアは覚えていないと思うけど、僕たちは夫婦なんだから。セシリアが大変な時だからこそ、夫らしいことをさせて欲しいな」
知っている人が誰もいなくて不安な気持ちを、優しく包んで掬い上げてくれるみたい。
安心した瞬間に涙腺が緩み、視界がじわりと涙で滲む。
慌てて俯き誤魔化そうとするが、「大丈夫だから」と優しい声が降ってきて、そのままルシアン様の胸に顔を埋めて泣いた。
ゆっくりと頭を撫でてくれる手が優しくて心地良い。結婚の経緯は先ほど聞いたけれど、どんな理由であれ、こんなに素敵な人と結婚できた私は本当に幸せ者だ。
鼻をすすり、ルシアン様に寄りかかったままで小さく口を開く。
「今は……全部忘れてしまったけど、思い出せるように頑張ります」
「…………うん」
ひとしきり泣く私を慰めるように、ルシアン様は結構な時間を私のそばで過ごしてくれた。
泣き終わると同時に、様々な疲れから急な眠気に襲われる。そんな私の様子を見て、ルシアン様はくすりと笑う。
「そろそろ眠たい?」
「……はい。ごめんなさい」
「謝らなくていいよ。ゆっくり休んでね」
そう言いながら、ルシアン様は腰掛けていたベッドから立ち上がる。
夫婦だという話をしたばかりだった私は、ルシアン様の予想外の行動に「え?」と間抜けな声を漏らしてしまった。
「え……? あ、あの……ルシアン様の寝室は、こことは別にあるんですか?」
「うん。そのほうがいいと思って用意したよ。セシリアにとっては初対面の男なんだから、同衾なんてしたくないでしょ?」
「あ……それはそう、思ってましたけど……」
確かに数分前までは、妻としてどう接すればいいのか分からないと悩んでいた。
その悩みが完全に消えたわけではないけれど、これだけ安心させてくれる人なら一緒に寝ても大丈夫だと、私は今の一瞬で完全に心を溶かされていたのだ。
この時間にルシアン様が部屋に訪ねてきた理由は一緒に寝るためなのだと考え、疑ってもいなかった。
「セシリアのことを怖がらせたくないし、もう少し慣れてからまた一緒に寝てくれると嬉しいな。それじゃあ、また明日。おやすみセシリア」
最後にもう一度私の頭を撫で、ルシアン様は本当に部屋を出て行ってしまった。
私に気を遣っての行動だと分かっているけれど、なんだか少しだけ寂しくなる。
(……ベッド、こんなに広いのに)
一人残された室内で、大きなベッドの真ん中に倒れ込む。
目覚めた時は不安で仕方なかったけれど、ルシアン様が一緒にいてくれるならきっと大丈夫だと、今なら少しだけ強い気持ちが持てる気がした。
撫でられた体温を思い出し、温かい気持ちで布団に包まれる。ふかふかの寝具を堪能しながらルシアン様のことを考え、ゆっくりと心地よい眠りに落ちていった。
汗でベタついていた体を清められ、丁寧にタオルで拭われたあとに薬を塗って包帯が巻かれた。
こうして改めて手当てをされると、体の至る所に痣や傷が残っているのだと分かって痛々しい。
もしかしたら目を覚まさないんじゃないかと焦っていたルシアン様の気持ちが、自分についた傷の多さを知った今、少しだけ分かる気がした。
「セシリア様、歩けますか?」
「はい。大丈夫です」
腕にも脚にも怪我をしているが、運んでもらうほどの酷さではない。
ゆっくりと足を動かし、今度は髪の手入れをするためにドレッサーの前に座る。そこで初めて、私は自分の顔をしっかりと見ることになった。
腰の下まで伸ばされたふわふわの桃色の髪と、ヘーゼルブラウンの瞳。そんな自分の姿を鏡で確認すると同時に、胸元や腕に無数に散らされたキスマークがあることに気付いてしまい、思わず自分の肌から視線を逸らす。
なんだか、見てはいけないものを見てしまった気分だ。
(夫婦なんだから、そういうことをしているのは何もおかしいことじゃないけど……)
分かっているのにドキドキする。
ルシアン様とはまだ少し話をしただけで、彼の全てを知っているわけではない。それでも、あんなにも優しくて穏やかそうな人が、私と夜の行為をしていることが正直信じられなかった。
こんなにもたくさん、情熱的な行為の痕が残っている意味を考え、かぁっと顔に熱が広がる。
(こんな状態の私を相手に、ルシアン様は手を出したりしないと思うけど……)
包帯の巻かれた自分の足を見て、汚い――と思う。
傷だらけで痣だらけ。決して、見ていて楽しい体ではないだろう。
それに私は、まだルシアン様に対して、妻として上手く接することが出来ない。
結婚三年目だというのに、今の私には彼と積み重ねてきた思い出が一つもないのだ。話をするにも少し緊張してしまい、どこまで親しい態度で接していいのか分からない。
ふぅとため息を吐いたところで、ちょうど髪の手入れが終わったらしい。
肌を隠すようにショールをかけてもらい、ドレッサーに木製のブラシが置かれる。
「本日はお疲れでしょうし、少し早いですがもうお休みになってください。ベッドまでお連れします」
「いいえ、大丈夫。このくらいなら自分で歩けます」
ベッドまでの距離は、ほんの数メートル程度だ。侍女に運んでもらうほどでもないと思い、提案を断ってゆっくりと椅子から腰を上げる。
そのタイミングで、コンコンと扉をノックする音が響いた。
「はい、どうぞ」
私が返事をすると、部屋に入ってきたのはルシアン様だ。
ドレッサーの前で立っている私を見て、困ったように眉を下げる。
「安静にしてないと駄目なんじゃなかった? そんな風に立っていて大丈夫なの?」
「はい、ちゃんと歩けますよ。お医者様も、日常生活に支障はないとおっしゃっていましたし」
「それでも怪我が治るまでは、あんまり無理をしないで欲しいけどね」
言いながら抱き上げられ、ほんの数歩歩けば済む距離を、ルシアン様に運ばれてしまう。
気を利かせるように静かに侍女は退出していき、二人きりになった室内。包帯の巻かれた足をルシアン様にじっと見つめられ、慌ててナイトドレスの下に隠した。
「痛いところはない?」
「あ……いえ。見た目ほど痛くないので、あんまり心配しないでください」
「心配くらいさせて。僕にはそのくらいしか出来ないんだから」
「そんなことないです……! 一人で階段から落ちた私が悪いのに、これだけいろいろと手を尽くしてくださって……。もう十分に、ルシアン様には良くしてもらっています」
正直にお礼を口にすると、ルシアン様はどこか泣きそうな目をして微笑む。
いきなりこんなことになって、困らせているのだろう。気を遣うような笑い方に、きゅっと胸の奥が締めつけられる。
「そう言ってもらえてよかった。セシリアが不自由なく過ごせるように何でも用意するから、欲しいものがあったら遠慮せず僕に言ってね」
「いえ、そんなことは……」
「本当になんでもいい。どんなに些細なことでもいいから、頼って」
必死さの滲むその声は、まるで何かに縋っているみたいだ。
躊躇いつつもゆっくりと頷くと、安心したようにルシアン様が表情を緩める。
「セシリアは覚えていないと思うけど、僕たちは夫婦なんだから。セシリアが大変な時だからこそ、夫らしいことをさせて欲しいな」
知っている人が誰もいなくて不安な気持ちを、優しく包んで掬い上げてくれるみたい。
安心した瞬間に涙腺が緩み、視界がじわりと涙で滲む。
慌てて俯き誤魔化そうとするが、「大丈夫だから」と優しい声が降ってきて、そのままルシアン様の胸に顔を埋めて泣いた。
ゆっくりと頭を撫でてくれる手が優しくて心地良い。結婚の経緯は先ほど聞いたけれど、どんな理由であれ、こんなに素敵な人と結婚できた私は本当に幸せ者だ。
鼻をすすり、ルシアン様に寄りかかったままで小さく口を開く。
「今は……全部忘れてしまったけど、思い出せるように頑張ります」
「…………うん」
ひとしきり泣く私を慰めるように、ルシアン様は結構な時間を私のそばで過ごしてくれた。
泣き終わると同時に、様々な疲れから急な眠気に襲われる。そんな私の様子を見て、ルシアン様はくすりと笑う。
「そろそろ眠たい?」
「……はい。ごめんなさい」
「謝らなくていいよ。ゆっくり休んでね」
そう言いながら、ルシアン様は腰掛けていたベッドから立ち上がる。
夫婦だという話をしたばかりだった私は、ルシアン様の予想外の行動に「え?」と間抜けな声を漏らしてしまった。
「え……? あ、あの……ルシアン様の寝室は、こことは別にあるんですか?」
「うん。そのほうがいいと思って用意したよ。セシリアにとっては初対面の男なんだから、同衾なんてしたくないでしょ?」
「あ……それはそう、思ってましたけど……」
確かに数分前までは、妻としてどう接すればいいのか分からないと悩んでいた。
その悩みが完全に消えたわけではないけれど、これだけ安心させてくれる人なら一緒に寝ても大丈夫だと、私は今の一瞬で完全に心を溶かされていたのだ。
この時間にルシアン様が部屋に訪ねてきた理由は一緒に寝るためなのだと考え、疑ってもいなかった。
「セシリアのことを怖がらせたくないし、もう少し慣れてからまた一緒に寝てくれると嬉しいな。それじゃあ、また明日。おやすみセシリア」
最後にもう一度私の頭を撫で、ルシアン様は本当に部屋を出て行ってしまった。
私に気を遣っての行動だと分かっているけれど、なんだか少しだけ寂しくなる。
(……ベッド、こんなに広いのに)
一人残された室内で、大きなベッドの真ん中に倒れ込む。
目覚めた時は不安で仕方なかったけれど、ルシアン様が一緒にいてくれるならきっと大丈夫だと、今なら少しだけ強い気持ちが持てる気がした。
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