【完結】最愛の人 〜三年後、君が蘇るその日まで〜

第１１章 過去と現在

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辺りが静まり返っているせいもあり､


いろいろなことが頭を駆け巡る｡


結菜に対する罪悪感｡


揺らぎそうな決意｡


結菜の顔を見つめている俺の心は複雑で､


早く目覚めてほしい半面､このまま目覚めずに時間が止まってほしいと思った｡


結菜の手を握る｡


…あたたかい｡





｢……んっ｡

…あ…ゆむ?…｣




心臓が止まりそうになった｡


聞き慣れた声｡


とても懐かしい…


愛しい声｡



｢あれ?…

私…あれ?…｣



結菜は状況が理解出来ないようだった｡



｢あれ?…

歩…だよね??｣



そうか｡


一応は３年たってるし､格好も髪型も違うもんな｡



｢…そうだよ｡

多分､まだ混乱してると思うけど､

まずは俺の話を聞いてくれる?…｣



結菜は頷き｡



俺はいままでの経緯をゆっくり話しだした｡





結菜が一度死んだこと｡


悪魔との契約｡


そして３年という月日がたったということ｡


結菜は黙って聞いていた｡


｢…信じられないと思うけど…

本当の話なんだ｡｣



話終えて俺は結菜のほうを見る｡


見ると結菜の瞳からは涙が溢れ出していた｡


俺は動揺した｡


いったいこの涙がなんの涙なのかわからなかった｡




｢……結菜?｣




パシィっ!!!




頬に痛みが走る｡


俺は状況が理解できないでいた｡



｢ふざけないでよっ!!!!｣



結菜が泣きじゃくりながら怒鳴った｡



｢寿命の半分と引き換えなんてバカじゃないの!?

それで私が喜ぶと思った!?｣



パシィっ!!



また頬に痛みが｡



そうか｡


結菜にビンタされたのか｡


俺は頬の痛みに懐かしさを感じていた｡


結菜はもともと怒りっぽくてすぐに手が出るんだったな…｡



｢勝手なことしないでよ!!

こんなことされたって嬉しくないよっ!!

歩の寿命と引き換えなんて全然嬉しくないよっ!!!!｣



結菜はその場に泣き崩れた｡



｢………結菜…｡｣



正直…この反応は想像していなかった｡


かける言葉が浮かばない俺から出た言葉｡




｢……ごめん｡｣



｢すぐにそれだよ!

すぐそうやって自分が折れて謝るっ!

どうしていつもそうなのっ!?｣




口から反射的に出てしまう…無意識に｡



｢…ご､ごめん｡｣




｢なんでそうなの!?

どうして!!!!

…どうして…うぅ…

優しすぎるんだよ歩は…｣



結菜は俺の胸元にもたれ掛かってしがみついて泣いた｡



｢歩はいつもそうだよ!

私の為に優しくしてるのはわかってるけど!

なんにもわかってない!!

全然わかってないよっ!!｣



俺には結菜が言っている意味が理解できないでいた｡