5 / 9
4
しおりを挟む
不思議な夢を見た。見たこともない場所にいて、白い髪の男が立っていて。なんだか足元を掬われた気がしてとても不安になって。
そんな夢を終わらせるために俺は目を開けた。
「あっ、起きた」
「うわ、まじか」
鼻がくっつきそうなほどのぞき込んでいる少女には見覚えがあった。
「ヴェルガ様お目覚めになりました。あれ? ヴェルガ様?」
少女はくるりと向きを変えると俺の視界から消える。
なんだか頭がすっきりとしない。それに喉にも違和感がある。
「寝ちゃったんですか」
体を起こすとソファーに座ったまま眠っているあの白い男がいた。少女は忍び足で近づいていく。ソファーの真ん前に立つとその場でゆっくりとしゃがみ込む。
「はぁぁ…」
「起こさないの?」
「しーっ!」
「えっ、なに」
少女は膝に肘をついてヴェルガを見上げる。……見上げている。
「かわいぃぃ…」
少女の口からため息と同時にほろりと漏れでた。本人は彼に夢中で気づいていないらしい。口許が緩んでいる。
「ねぇ、ちょっと」
声がかすれた。ベッドから立ち上がろうとすると不意に力が抜けた。
「うふぁっ」
床に落ちベッドの側面で体が跳ねる。口から息が漏れた。
「ジン様っ」
少女は驚いた様子で大きな声をあげる。
「──んう、…メリッサか。どうしたんだい?」
「ヴェルガ様っ、ジン様がっ!」
目が覚めた様子のヴェルガは伸びをすると、こちらに視線を向けた。
「おや、気がつきましたか」
立ち上がったヴェルガはこちらに歩いてくる。メリッサはあわあわと首をあちらに向けこちらに向け、
「メリッサ、食事を持ってきてくれるようクーボップさんにお願いしてきてくれ」
「かしこまりましたっ」
メリッサは慌てて部屋を後にする。
ヴェルガは俺の横に立つとどこからか水差しを取りだし、それを俺の口に注いだ。冷たい水が喉を滑り落ちるのが何とも言えない。
「…こ、ここは?」
まだ少し嗄れた声だが幾分かはましになっただろうか。
「覚えていませんか、オッシュニカ城の客間です。私が来たときにはもう貴方は眠っていました」
「眠ってた? …まだ夢が覚めな──」
「もう三日です。夢からはとっくに覚めていますよ」
「じゃあなんで」
あんたがこんなとこに? そう言おうとしたところで扉が勢いよく開いた。
「ヴェルガ様っ」
飛び込んできたメリッサの後ろには食事の乗ったカートを押す大柄の男が付いていた。
「お待たせしました」
男は白い歯を見せて笑った。
「早かったな」
「丁度そこまでいらしてました」
「そろそろ朝食の時間ですので」
「気遣い感謝します。ジンくん、立てますか?」
「えっ? あ、あぁ」
ヴェルガに支えられてベッドに座り直す。
「メリッサ、そこのテーブルをこっちに持ってきてくれるか」
「はいっ」
メリッサは窓辺の一人テーブルをヴェルガの前に置く。
「たんと食べてください。なんてったって三日もお休みになってたんです。体もへたってますよ」
そう言うと男はテーブルに豪勢な料理をいくつも並べた。香しい香りが鼻をくすぐる。気づいたときには口の中にぎっしりと詰め込んだ後だった。
「よく噛んで食べないと」
男は嬉しそうににこにこと笑う。
俺はモグモグと口を動かし
「───!」
慌てて口を押さえた。
「どうしましたか?」
落ち着け…俺は今…何を食べた?
「ジンくん、大丈夫ですか?」
「…味が、味がしない…?」
口の中の気持ちの悪いモノ達を体が拒む。ひどく不味いものを口に入れた気がしたが違っていた。味がないのだ。
「…うぅ、ま──」
言いきる前にヴェルガが俺の口を塞いだ。
「クーボップさん、すみませんがホットミルクを用意していただけますか? メリッサも飲むかい?」
「は、はいっ!」
「では二人分、お願いします」
クーボップは俺の方をまじまじと見た。
「お口に合いませんでしたか」
「味が──」
「メリッサ、クーボップさんを外へ。好きなだけ作ってもらいなさい」
「はいっ!」
ヴェルガの指示で怪訝な顔をしたクーボップをメリッサが退場させる。扉を閉める直前彼女は振り返ると大きく頷いて見せた。
静かになった部屋でヴェルガは大きなため息と共に俺の口から手を離した。
「っふぁぁ。不味い」
「害はありませんので飲み込んでください」
ヴェルガは向こうから椅子を取ってくると俺の向かいに足を組んで座った。
「どうして」
「はっ?」
「口に合わないはずがない」
「味がしない飯なんて初めて食べましたよ」
味付けがないんじゃない、素材の味さえ姿を消している。口の中に感触だけが不愉快に残る。
ヴェルガは眉根を寄せて皿の肉を一欠片口に放り込む。
「ふん…」
しばらく考えた後、笑みを溢した。
「なるほど」
「…なんですか」
「適応外なのでしょう。貴方の味覚がこちらの世界に馴染んでいない」
まただ。
「適応ってなんですか。…俺が見えてない、でしたか? そんなことないじゃないですか」
クーボップもメリッサも、俺の言葉に反応していた。俺のことが見えていたはずだ。
「見えるようになったのです。二日目の昼頃でしょうか、メリッサが貴方を見つけたのは。味覚もまたその類でしょう」
じきにに戻りますよ。他人事のようなその言葉に少し苛立ちを覚えた。
「じきっていつですか、こんなところに連れてこられて飯もろくに食えないだなんてふざけてる」
「…そんなこと、言わないでください」
ヴェルガはそれでも笑った。ただそれは、少し悲しげで。言いようもなく儚い様子が俺を躊躇わせた。
「そんな顔したんじゃ、俺が悪いみたいだ」
一匙を口に運ぶ。やっぱり不味い。
「食べてください。三日間食べてないんですから。栄養はとっておかないと」
ヴェルガはもう一欠片肉を口に放る。
「それに、全部食べないとクーボップさんが大変なことになってしまう」
「お待たせしました」
扉が開いたのはヴェルガが最後に口の端についたソースを拭った直後だった。
「ギリギリセーフです」
目配せしてそう呟くと、ヴェルガはさっと立ち上がり二人を迎えた。
「ヴェルガさまぁ…」
不安げに眉尻を下げながらメリッサは部屋の隅に控える。
クーボップがテーブルにティーセットを用意した。ホットミルクが湯気をたてている。隣には俺の分の紅茶も置かれた。
「全部食べてくださったんですか」
クーボップは皿をカートに片付けながら俺の顔を見た。
「お口に合わなかったのかと思い心配しておりました」
「あっ、いえ」
向かいに座り直したヴェルガが俺の足を小突いた。意味ありげな笑みと目が合う。
「…美味しかったです。とても」
「それはなにより」
クーボップはそれまでのぎこちない表情をふっと崩すと早々に部屋を退出した。
「なんなんですか」
ヴェルガは優々と足を組みミルクに口をつける。
「クーボップさんが自信をなくされたらしばらくは城の者皆が食事にありつけなくなってしまうのです!」
危険が去って飛び出してきたメリッサがヴェルガの座っていたソファから答えた。手にはクーボップに渡されたホットミルクがある。
「どうするのですか、皆が飢え死んでしまったらジン様に責任がとれるのですか?」
「なんで俺が…」
紅茶を口に含むが、やはり味はしなかった。
そんな夢を終わらせるために俺は目を開けた。
「あっ、起きた」
「うわ、まじか」
鼻がくっつきそうなほどのぞき込んでいる少女には見覚えがあった。
「ヴェルガ様お目覚めになりました。あれ? ヴェルガ様?」
少女はくるりと向きを変えると俺の視界から消える。
なんだか頭がすっきりとしない。それに喉にも違和感がある。
「寝ちゃったんですか」
体を起こすとソファーに座ったまま眠っているあの白い男がいた。少女は忍び足で近づいていく。ソファーの真ん前に立つとその場でゆっくりとしゃがみ込む。
「はぁぁ…」
「起こさないの?」
「しーっ!」
「えっ、なに」
少女は膝に肘をついてヴェルガを見上げる。……見上げている。
「かわいぃぃ…」
少女の口からため息と同時にほろりと漏れでた。本人は彼に夢中で気づいていないらしい。口許が緩んでいる。
「ねぇ、ちょっと」
声がかすれた。ベッドから立ち上がろうとすると不意に力が抜けた。
「うふぁっ」
床に落ちベッドの側面で体が跳ねる。口から息が漏れた。
「ジン様っ」
少女は驚いた様子で大きな声をあげる。
「──んう、…メリッサか。どうしたんだい?」
「ヴェルガ様っ、ジン様がっ!」
目が覚めた様子のヴェルガは伸びをすると、こちらに視線を向けた。
「おや、気がつきましたか」
立ち上がったヴェルガはこちらに歩いてくる。メリッサはあわあわと首をあちらに向けこちらに向け、
「メリッサ、食事を持ってきてくれるようクーボップさんにお願いしてきてくれ」
「かしこまりましたっ」
メリッサは慌てて部屋を後にする。
ヴェルガは俺の横に立つとどこからか水差しを取りだし、それを俺の口に注いだ。冷たい水が喉を滑り落ちるのが何とも言えない。
「…こ、ここは?」
まだ少し嗄れた声だが幾分かはましになっただろうか。
「覚えていませんか、オッシュニカ城の客間です。私が来たときにはもう貴方は眠っていました」
「眠ってた? …まだ夢が覚めな──」
「もう三日です。夢からはとっくに覚めていますよ」
「じゃあなんで」
あんたがこんなとこに? そう言おうとしたところで扉が勢いよく開いた。
「ヴェルガ様っ」
飛び込んできたメリッサの後ろには食事の乗ったカートを押す大柄の男が付いていた。
「お待たせしました」
男は白い歯を見せて笑った。
「早かったな」
「丁度そこまでいらしてました」
「そろそろ朝食の時間ですので」
「気遣い感謝します。ジンくん、立てますか?」
「えっ? あ、あぁ」
ヴェルガに支えられてベッドに座り直す。
「メリッサ、そこのテーブルをこっちに持ってきてくれるか」
「はいっ」
メリッサは窓辺の一人テーブルをヴェルガの前に置く。
「たんと食べてください。なんてったって三日もお休みになってたんです。体もへたってますよ」
そう言うと男はテーブルに豪勢な料理をいくつも並べた。香しい香りが鼻をくすぐる。気づいたときには口の中にぎっしりと詰め込んだ後だった。
「よく噛んで食べないと」
男は嬉しそうににこにこと笑う。
俺はモグモグと口を動かし
「───!」
慌てて口を押さえた。
「どうしましたか?」
落ち着け…俺は今…何を食べた?
「ジンくん、大丈夫ですか?」
「…味が、味がしない…?」
口の中の気持ちの悪いモノ達を体が拒む。ひどく不味いものを口に入れた気がしたが違っていた。味がないのだ。
「…うぅ、ま──」
言いきる前にヴェルガが俺の口を塞いだ。
「クーボップさん、すみませんがホットミルクを用意していただけますか? メリッサも飲むかい?」
「は、はいっ!」
「では二人分、お願いします」
クーボップは俺の方をまじまじと見た。
「お口に合いませんでしたか」
「味が──」
「メリッサ、クーボップさんを外へ。好きなだけ作ってもらいなさい」
「はいっ!」
ヴェルガの指示で怪訝な顔をしたクーボップをメリッサが退場させる。扉を閉める直前彼女は振り返ると大きく頷いて見せた。
静かになった部屋でヴェルガは大きなため息と共に俺の口から手を離した。
「っふぁぁ。不味い」
「害はありませんので飲み込んでください」
ヴェルガは向こうから椅子を取ってくると俺の向かいに足を組んで座った。
「どうして」
「はっ?」
「口に合わないはずがない」
「味がしない飯なんて初めて食べましたよ」
味付けがないんじゃない、素材の味さえ姿を消している。口の中に感触だけが不愉快に残る。
ヴェルガは眉根を寄せて皿の肉を一欠片口に放り込む。
「ふん…」
しばらく考えた後、笑みを溢した。
「なるほど」
「…なんですか」
「適応外なのでしょう。貴方の味覚がこちらの世界に馴染んでいない」
まただ。
「適応ってなんですか。…俺が見えてない、でしたか? そんなことないじゃないですか」
クーボップもメリッサも、俺の言葉に反応していた。俺のことが見えていたはずだ。
「見えるようになったのです。二日目の昼頃でしょうか、メリッサが貴方を見つけたのは。味覚もまたその類でしょう」
じきにに戻りますよ。他人事のようなその言葉に少し苛立ちを覚えた。
「じきっていつですか、こんなところに連れてこられて飯もろくに食えないだなんてふざけてる」
「…そんなこと、言わないでください」
ヴェルガはそれでも笑った。ただそれは、少し悲しげで。言いようもなく儚い様子が俺を躊躇わせた。
「そんな顔したんじゃ、俺が悪いみたいだ」
一匙を口に運ぶ。やっぱり不味い。
「食べてください。三日間食べてないんですから。栄養はとっておかないと」
ヴェルガはもう一欠片肉を口に放る。
「それに、全部食べないとクーボップさんが大変なことになってしまう」
「お待たせしました」
扉が開いたのはヴェルガが最後に口の端についたソースを拭った直後だった。
「ギリギリセーフです」
目配せしてそう呟くと、ヴェルガはさっと立ち上がり二人を迎えた。
「ヴェルガさまぁ…」
不安げに眉尻を下げながらメリッサは部屋の隅に控える。
クーボップがテーブルにティーセットを用意した。ホットミルクが湯気をたてている。隣には俺の分の紅茶も置かれた。
「全部食べてくださったんですか」
クーボップは皿をカートに片付けながら俺の顔を見た。
「お口に合わなかったのかと思い心配しておりました」
「あっ、いえ」
向かいに座り直したヴェルガが俺の足を小突いた。意味ありげな笑みと目が合う。
「…美味しかったです。とても」
「それはなにより」
クーボップはそれまでのぎこちない表情をふっと崩すと早々に部屋を退出した。
「なんなんですか」
ヴェルガは優々と足を組みミルクに口をつける。
「クーボップさんが自信をなくされたらしばらくは城の者皆が食事にありつけなくなってしまうのです!」
危険が去って飛び出してきたメリッサがヴェルガの座っていたソファから答えた。手にはクーボップに渡されたホットミルクがある。
「どうするのですか、皆が飢え死んでしまったらジン様に責任がとれるのですか?」
「なんで俺が…」
紅茶を口に含むが、やはり味はしなかった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
二年間の花嫁
柴田はつみ
恋愛
名門公爵家との政略結婚――それは、彼にとっても、私にとっても期間限定の約束だった。
公爵アランにはすでに将来を誓い合った女性がいる。私はただ、その日までの“仮の妻”でしかない。
二年後、契約が終われば彼の元を去らなければならないと分かっていた。
それでも構わなかった。
たとえ短い時間でも、ずっと想い続けてきた彼のそばにいられるなら――。
けれど、私の知らないところで、アランは密かに策略を巡らせていた。
この結婚は、ただの義務でも慈悲でもない。
彼にとっても、私を手放すつもりなど初めからなかったのだ。
やがて二人の距離は少しずつ近づき、契約という鎖が、甘く熱い絆へと変わっていく。
期限が迫る中、真実の愛がすべてを覆す。
――これは、嘘から始まった恋が、永遠へと変わる物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる