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三
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「これからともに神の前で学びましょう。皆さん、彼女たちの罪が許されるように祈ってください」
一瞬、美波はぽかんとしてしまった。ちらりと横を見ると、夕子も憮然とした顔になっている。しかし生徒たちは誰も不審そうな顔をせず、両手を組んで祈りを捧げる。
「そして、皆さんの罪もまた許されることを」
学院長のかわいた声が食堂にひびく。
「あたしら罪人なのね」
かすかに小声で夕子が呟く。
生徒たちが祈りつづけているあいだ、二人はぼんやりと立っていた。やがて学院長の「座りなさい」という声にほっとして腰を下ろし、とにかく食事をはじめた。
調味料が控えめなせいか、病院食のように味気ない気がするが、昼前に駅前のコンビニで買ったおにぎりをひとつ食べたきりだったので、ひどく美味しく感じる。夕子も文句をつけることなくせっせと食べている。
あらかた食事がすむと、美波はまわりを見渡してみた。たしかに料理を残す者がいないことに感心した。今時の高校生、それも女子たちが、これだけきちんと食べるのは珍しいのではないかとさえ思う。
そんな疑問と感嘆が表情に出ていたのだろう。ふと目が合った斜め向かいに座っていた少女が美波に小声で囁いた。
「今食べとかないと辛いから」
美波は訊き返したくなったが、声をたてるのが心配で訊けず、少女も私語を気づかれるのを怖れたように顔をそむける。耳の上まで髪を切り上げているせいで形の良い耳に目を引かれ、そこで美波はまた違和感をおぼえた。
食堂に来てから、いや、廊下で生徒たちとすれ違うたびに、なにかしら感じていたもやもやしたものの理由がわかった。
生徒たちは皆ショートカットなのだ。こうして全生徒がならんでいるのを見渡すと、あらためて実感した。全員髪を短くしているのだ。
(そんなことってある?)
今時の高校で女生徒が全員髪を短くしているなどということがあるだろうか。髪の色が少し違って見える生徒もちらほらいるし、パーマや染色のなごりが見える生徒もいるが、おそらく彼女たちは入寮してまだ日が浅いのだろう。
だが、よくよく見るとセミロングぐらいまで伸ばしている生徒もおり、美波はやや安心する。さらにさまよう視線の先、シスターたちの席に近いテーブルの一番前で食事をとっている裕佳子が目に入り、美波は内心苦笑した。
(そうよ、裕佳子は髪を長くしているじゃない。わたしったら、また神経質になって考え過ぎていたんだわ)
しかし、それが美波の考え過ぎでないことが、食事を終えて席を立とうとしたときにわかった。
シスター・アグネスが近づいてきて目を細めた。
「美波、言うのを忘れていましたが、髪を切るように」
一瞬、美波はぽかんとしてしまった。ちらりと横を見ると、夕子も憮然とした顔になっている。しかし生徒たちは誰も不審そうな顔をせず、両手を組んで祈りを捧げる。
「そして、皆さんの罪もまた許されることを」
学院長のかわいた声が食堂にひびく。
「あたしら罪人なのね」
かすかに小声で夕子が呟く。
生徒たちが祈りつづけているあいだ、二人はぼんやりと立っていた。やがて学院長の「座りなさい」という声にほっとして腰を下ろし、とにかく食事をはじめた。
調味料が控えめなせいか、病院食のように味気ない気がするが、昼前に駅前のコンビニで買ったおにぎりをひとつ食べたきりだったので、ひどく美味しく感じる。夕子も文句をつけることなくせっせと食べている。
あらかた食事がすむと、美波はまわりを見渡してみた。たしかに料理を残す者がいないことに感心した。今時の高校生、それも女子たちが、これだけきちんと食べるのは珍しいのではないかとさえ思う。
そんな疑問と感嘆が表情に出ていたのだろう。ふと目が合った斜め向かいに座っていた少女が美波に小声で囁いた。
「今食べとかないと辛いから」
美波は訊き返したくなったが、声をたてるのが心配で訊けず、少女も私語を気づかれるのを怖れたように顔をそむける。耳の上まで髪を切り上げているせいで形の良い耳に目を引かれ、そこで美波はまた違和感をおぼえた。
食堂に来てから、いや、廊下で生徒たちとすれ違うたびに、なにかしら感じていたもやもやしたものの理由がわかった。
生徒たちは皆ショートカットなのだ。こうして全生徒がならんでいるのを見渡すと、あらためて実感した。全員髪を短くしているのだ。
(そんなことってある?)
今時の高校で女生徒が全員髪を短くしているなどということがあるだろうか。髪の色が少し違って見える生徒もちらほらいるし、パーマや染色のなごりが見える生徒もいるが、おそらく彼女たちは入寮してまだ日が浅いのだろう。
だが、よくよく見るとセミロングぐらいまで伸ばしている生徒もおり、美波はやや安心する。さらにさまよう視線の先、シスターたちの席に近いテーブルの一番前で食事をとっている裕佳子が目に入り、美波は内心苦笑した。
(そうよ、裕佳子は髪を長くしているじゃない。わたしったら、また神経質になって考え過ぎていたんだわ)
しかし、それが美波の考え過ぎでないことが、食事を終えて席を立とうとしたときにわかった。
シスター・アグネスが近づいてきて目を細めた。
「美波、言うのを忘れていましたが、髪を切るように」
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