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二
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「馬鹿なことを。あなたがなれるわけがないでしょう。あなたはまずこの学院で、外の世界で犯した罪を清めなければなりません」
衝撃を受けたのは雪葉だけではない。美波も聞いていて背が固くなった。
それ以上はなにも言わず、雪葉は荒々しくシャワーブースの扉を閉める。
髪を洗えて気持ち良かったが、それでも美波はシスターの言葉が気になって仕方ない。
(わたしたちは……罪人なの?)
放課後に控え室に行くように、とシスターから告げられ、美波は重い足取りで一階のその部屋へ向かった。廊下に雪葉の姿は見えない。
ドアの前で迷っていると、突然ドアが開き、美波は室内の人物と目が合って驚いた。
「ちょうど来るかな、と思っていたんだ。チーフ、最後の生徒さんが来ましたよ」
そこにいたのは若い男性だった。
「おお」
答えたのは中年の男で、別の生徒の髪を忙しげに切っている。
「君で最後だね。もう少しで終わるからそこに座っていて」
「あ、はい」
髪を切るのは美波たちだけではなく、すでに数人の生徒が切ってもらったらしく、新聞紙を敷いたうえに髪が散乱している。それを他の生徒が箒で集めてゴミ袋に入れている。そういうことも生徒たちでするらしい。
「司城さん、それじゃ、またね」
「ああ、元気でね」
髪を切ってもらったばかりの生徒がどことなく楽しげに挨拶しているのは、司城と呼ばれたその若い美容師がなかなか見栄えが良いからだろうか。
すらりとした脚をつつむ紺のジーンズからは、どことなく洒落た雰囲気がただよってくる。仕事用の黒いエプロンがひどく似合っているのは、やはり仕事柄か。入学してまだ五日足らずの美波ですら#眩__まぶ
__#しく感じるのだから、何カ月もこの女ばかりの城に閉じこめられている少女たちからすれば、ちょっとしたアイドルだろう。我知らず、美波も胸が久しぶりに高鳴り、現金なことに髪を切らなければならない憂鬱さが吹きとんでしまった。
「じゃ、こっち座って。準備しようね」
新聞紙の上に置かれたパイプ椅子に座らされ、ビニールのエプロンをかけられる。櫛で髪を梳かれているだけでも心地良い。
チョキ、チョキ、と髪を切る音が響く。ぱらぱらと散っていく自分の黒髪が視界に入ると、やはり美波は寂しいような悲しいような気分になる。
それに気づいたのか、手を動かしながら司城が声をかけてきた。
「君、初めて見る顔だね」
「あ、はい。来たばかりなんです」
「新入生かい。慣れるまで大変だろうね」
「ええ……。びっくりすることばかり」
何気ない会話が新鮮だった。
「この学院、規則が厳しそうだしね」
司城は苦笑するように眉をゆがめる。
衝撃を受けたのは雪葉だけではない。美波も聞いていて背が固くなった。
それ以上はなにも言わず、雪葉は荒々しくシャワーブースの扉を閉める。
髪を洗えて気持ち良かったが、それでも美波はシスターの言葉が気になって仕方ない。
(わたしたちは……罪人なの?)
放課後に控え室に行くように、とシスターから告げられ、美波は重い足取りで一階のその部屋へ向かった。廊下に雪葉の姿は見えない。
ドアの前で迷っていると、突然ドアが開き、美波は室内の人物と目が合って驚いた。
「ちょうど来るかな、と思っていたんだ。チーフ、最後の生徒さんが来ましたよ」
そこにいたのは若い男性だった。
「おお」
答えたのは中年の男で、別の生徒の髪を忙しげに切っている。
「君で最後だね。もう少しで終わるからそこに座っていて」
「あ、はい」
髪を切るのは美波たちだけではなく、すでに数人の生徒が切ってもらったらしく、新聞紙を敷いたうえに髪が散乱している。それを他の生徒が箒で集めてゴミ袋に入れている。そういうことも生徒たちでするらしい。
「司城さん、それじゃ、またね」
「ああ、元気でね」
髪を切ってもらったばかりの生徒がどことなく楽しげに挨拶しているのは、司城と呼ばれたその若い美容師がなかなか見栄えが良いからだろうか。
すらりとした脚をつつむ紺のジーンズからは、どことなく洒落た雰囲気がただよってくる。仕事用の黒いエプロンがひどく似合っているのは、やはり仕事柄か。入学してまだ五日足らずの美波ですら#眩__まぶ
__#しく感じるのだから、何カ月もこの女ばかりの城に閉じこめられている少女たちからすれば、ちょっとしたアイドルだろう。我知らず、美波も胸が久しぶりに高鳴り、現金なことに髪を切らなければならない憂鬱さが吹きとんでしまった。
「じゃ、こっち座って。準備しようね」
新聞紙の上に置かれたパイプ椅子に座らされ、ビニールのエプロンをかけられる。櫛で髪を梳かれているだけでも心地良い。
チョキ、チョキ、と髪を切る音が響く。ぱらぱらと散っていく自分の黒髪が視界に入ると、やはり美波は寂しいような悲しいような気分になる。
それに気づいたのか、手を動かしながら司城が声をかけてきた。
「君、初めて見る顔だね」
「あ、はい。来たばかりなんです」
「新入生かい。慣れるまで大変だろうね」
「ええ……。びっくりすることばかり」
何気ない会話が新鮮だった。
「この学院、規則が厳しそうだしね」
司城は苦笑するように眉をゆがめる。
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