114 / 140
見えてきた敵 二
しおりを挟む「いや!」
「しっ、静かにおし!」
力強い腕で抱きかかえられた輪花は、廊下の壁にたたきつけられそうになり、恐怖に目を閉じたが、驚いたことに鼠色の壁は二つにわかれた。
輪花は大きな手で口を押さえこまれながらも、目を見張った。
大きな屋敷にはよくあるらしいが、この廊下には隠し部屋があったのだ。
「喋るんじゃないよ。声をあげたら口を切り裂くからね!」
押し殺した声で怒鳴られ、輪花はおそろしさに必死に首を縦に振った。闇に光る銀刃が頬に当てられているのがわかり、背が冷える。
自分を抱きかかえているのは、あのとき納屋の前にいた下男だと輪花は怯えながらもすぐにわかった。そして、冷たい目で自分を見下ろしていたのは、枇嬋だった。そして、その隣にいるのは……。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
14
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる