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死の秘密 二
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魔香の影響で足腰がうまく動けないでもがいている香玉を、水中に押さえ込んで殺したのだと、枇嬋はあっさりと語った。
「そ、それじゃ、愛莉は?」
輪花は恐怖心をおさえて訊いた。
「あれは、簡単だったね。あの娘は神経が細くて、香玉殺しの容疑をかけられて参ってしまっていたのさ。やんわりと甘い言葉をかけてなだめてやって、油断したところを壁にかけてあった細紐でくびり殺したんだよ」
老いた自分でも、咄嗟に不意をつくと出来るのだと、枇蝉はまた自慢気に鼻をそらした。
「な、なぜ……」
輪花は泣き出しそうになりながらも声を振りしぼった。
「なぜ、そこまでするの? どうして、そんなに人の命を簡単に奪うのよぉ!」
「御家のためさ! 決まっているだろう。この呂家を守るのが私の使命なんだからね」
もはや枇嬋の顔は普通ではなかった。目は羅刹のように吊り上がり、肌は血が通っていないように、薄闇にも青黒く見える。狂っているとしか思えない。
「香玉も愛莉も害となるから消した。あの召使の娘も、銀媛お嬢様の存在に気づきそうになったから始末したのさ。あの娘は頭が良すぎて、勘付き始めたのさ」
紅鶴の姉の翠鶴のことだ。
「あの娘を始末したとき、何とか銀媛お嬢様の存在を隠すために魔香があればいいと気づいてね。そして魔香を手に入れるうちに、それをうまく商えば金になることを知ったのさ。呂家の窮状を救うためにも魔香の闇売買にも手を出したんだ。全ては家のためさ」
「な、何故そうまでして呂家に尽くすの?」
どうしても納得いかずに輪花が発したその言葉は、枇嬋の胸に新たな怒りを呼びおこしたらしい。
「どうして? 当たり前じゃないか! 呂家は、あたしの家なんだから。あたしの物なんだからね」
「そ、それじゃ、愛莉は?」
輪花は恐怖心をおさえて訊いた。
「あれは、簡単だったね。あの娘は神経が細くて、香玉殺しの容疑をかけられて参ってしまっていたのさ。やんわりと甘い言葉をかけてなだめてやって、油断したところを壁にかけてあった細紐でくびり殺したんだよ」
老いた自分でも、咄嗟に不意をつくと出来るのだと、枇蝉はまた自慢気に鼻をそらした。
「な、なぜ……」
輪花は泣き出しそうになりながらも声を振りしぼった。
「なぜ、そこまでするの? どうして、そんなに人の命を簡単に奪うのよぉ!」
「御家のためさ! 決まっているだろう。この呂家を守るのが私の使命なんだからね」
もはや枇嬋の顔は普通ではなかった。目は羅刹のように吊り上がり、肌は血が通っていないように、薄闇にも青黒く見える。狂っているとしか思えない。
「香玉も愛莉も害となるから消した。あの召使の娘も、銀媛お嬢様の存在に気づきそうになったから始末したのさ。あの娘は頭が良すぎて、勘付き始めたのさ」
紅鶴の姉の翠鶴のことだ。
「あの娘を始末したとき、何とか銀媛お嬢様の存在を隠すために魔香があればいいと気づいてね。そして魔香を手に入れるうちに、それをうまく商えば金になることを知ったのさ。呂家の窮状を救うためにも魔香の闇売買にも手を出したんだ。全ては家のためさ」
「な、何故そうまでして呂家に尽くすの?」
どうしても納得いかずに輪花が発したその言葉は、枇嬋の胸に新たな怒りを呼びおこしたらしい。
「どうして? 当たり前じゃないか! 呂家は、あたしの家なんだから。あたしの物なんだからね」
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