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死の秘密 一
しおりを挟む「わ、私をどうするんですか?」
「勿論、死んでもらうんだよ。香玉や愛莉を殺したことを悔やんだ果ての自害ということで事を治めたいんでね」
枇嬋の口調や態度はひどく柄が悪くなっていた。
「あら、殺してしまうの? つまらないわ」
「仕方ありませんよ。それに、銀媛お嬢様、この娘、生かしておいたら英風様を盗ってしまうかもしれませんよ」
銀媛の表情が変わった。見えない目で輪花を睨みつけてくる。
「嫌よ! 今だって金媛に奪われて悔しくてしょうがないのに」
銀媛は双子の姉と瓜ふたつの可憐な頬をふくませた。
「金媛たら、ずるいのよ。ちゃんと半分ずつっていう約束だったのに、私の番なのにどいてくれないの。約束したこと守ってくれないのよ」
「でも、銀媛様、銀媛様もいけませんよ。いくら姉上がお先なのが嫌だからといって、初夜のお褥を台無しにして」
「あ、あれは、あなたの仕業だったのね!」
叫んだのは輪花だった。あのとき、褥をびしょ濡れにしたのは銀媛だったのだ。だが、さらに気になることがある。
「ど、どうせ殺すなら教えてちょうだい。どうして、香玉や愛莉は死んだの?」
枇嬋は忌々しげな顔をした。
「あの二人は長くいるだけあって、お屋敷の秘密に気づいたのさ。ま、確かにおまえはどうせ死ぬんだから、全部教えてやるよ。このお屋敷は、あんたも気づいているようだけど、かなり困窮していてね。それでもどうにかやっていけるのは、禁制の品物をあきなう闇の仕事に関わっているからだよ」
「き、禁制の品って……?」
輪花の動揺をおもしろそうに見、枇嬋が得意げに鼻をそらす。
「魔香さ。おおっぴらには商うことを禁じられている品を都の商人を通じて売買していたのさ。このお屋敷に来る都からの賓客というのは、実は裏で魔香の売買をする闇の業者なのさ」
「そ、その事実に二人は気づいたの?」
ふん。枇嬋は腕を組んで鼻を鳴らした。
「香玉は香が好きで、お屋敷の香炉に残っていた線香の燃えかすを集めていたんだよ」
線香の芯の残りを集めて香袋に詰めて楽しんでいたのだという。小さな物だが集めるとそれなりに香る。どのみち捨てる物なのだから、そうやって使用して楽しんでも悪くはないと思ったのだろう。
だが、その燃え残りの線香にも、魔香は含まれていたのだ。
「屋敷の秘密……、銀媛様の存在を隠すためにも魔香が必要だったのさ。香玉はその魔香の存在に気づいてしまった。秘密が洩れると、こっちは命取りになるからね。ちょうど金の問題で愛莉と揉めていたのを見つけて、愛莉が香玉を池に突き飛ばしたとき、これは千載一遇の機会と思ってね」
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