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理由は何だったかの、さっぱり思い出せないけれど、きっと他愛もないことだったと思うのね。
お兄ちゃんが、あたしの人形をこわしたとかなんとか。子どもの頃にはよくあることよね。それで喧嘩になっちゃったの。
子ども同士の喧嘩といっても、当時あたしが小学三年生、お兄ちゃんはわたしより三つ年上だったから六年生だったかな。男子としては小柄な方だけれど、それでも本気で喧嘩となると、お転婆のあたしも絶対退かなかったから、座敷の中がめちゃくちゃになっちゃうほど二人で暴れたの。
しまいに騒ぎを聞きつけて駆けつけてきたお祖母ちゃんに止められたけれど、その際、床の間に飾ってあった掛け軸を破ってしまったのよ。
お兄ちゃんに小突かれたあたしが床の間まで転がって、逆上して手にふれた掛け軸を引っぱってしまったのね。それで芯のところでお兄ちゃんを打とうとして、掛け軸を破って芯も壊してしまったの。
子どもの喧嘩といっても、手加減とか遠慮を知らないから、すさまじかったわね。
悔しい話だけれど、原因はたしかにお兄ちゃんにあったと思うのに、その植物の絵が描かれた掛け軸が貴重なものだったみたいで、あたしはお祖母ちゃんに嘆かれ、後からやってきた両親にもひどく叱られたわ。年に一度の里帰りの日に、おまえって子は、って……。
そう、そこは父の実家になる九州の田舎の家だったのよ。古い家だったから、和室の座敷に掛け軸や壷やいろんな骨董品が置いてあったの。むやみに触っちゃいけないって言われていたんだけれど、よりにもよって、お祖父ちゃんのお父さん、つまりあたしのひいお祖父ちゃんがその家を建てたときに特別に買いもとめて、以来ずっと飾ってあった大事な大事な掛け軸を、あたしが台無しにしちゃったってわけ。
でもね、そのときお祖母ちゃんが変なことを言っていたのが気になったの。
(ああ……妙なことが起こらないといいけれど……。また悪い事でもあったら厭だねぇ)
お兄ちゃんが、あたしの人形をこわしたとかなんとか。子どもの頃にはよくあることよね。それで喧嘩になっちゃったの。
子ども同士の喧嘩といっても、当時あたしが小学三年生、お兄ちゃんはわたしより三つ年上だったから六年生だったかな。男子としては小柄な方だけれど、それでも本気で喧嘩となると、お転婆のあたしも絶対退かなかったから、座敷の中がめちゃくちゃになっちゃうほど二人で暴れたの。
しまいに騒ぎを聞きつけて駆けつけてきたお祖母ちゃんに止められたけれど、その際、床の間に飾ってあった掛け軸を破ってしまったのよ。
お兄ちゃんに小突かれたあたしが床の間まで転がって、逆上して手にふれた掛け軸を引っぱってしまったのね。それで芯のところでお兄ちゃんを打とうとして、掛け軸を破って芯も壊してしまったの。
子どもの喧嘩といっても、手加減とか遠慮を知らないから、すさまじかったわね。
悔しい話だけれど、原因はたしかにお兄ちゃんにあったと思うのに、その植物の絵が描かれた掛け軸が貴重なものだったみたいで、あたしはお祖母ちゃんに嘆かれ、後からやってきた両親にもひどく叱られたわ。年に一度の里帰りの日に、おまえって子は、って……。
そう、そこは父の実家になる九州の田舎の家だったのよ。古い家だったから、和室の座敷に掛け軸や壷やいろんな骨董品が置いてあったの。むやみに触っちゃいけないって言われていたんだけれど、よりにもよって、お祖父ちゃんのお父さん、つまりあたしのひいお祖父ちゃんがその家を建てたときに特別に買いもとめて、以来ずっと飾ってあった大事な大事な掛け軸を、あたしが台無しにしちゃったってわけ。
でもね、そのときお祖母ちゃんが変なことを言っていたのが気になったの。
(ああ……妙なことが起こらないといいけれど……。また悪い事でもあったら厭だねぇ)
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