2 / 15
二
しおりを挟む
眼鏡の奥の目は冗談を言っているようではなくて、本当に気がかりで気がかりで仕方がないっていうふうにくもっていたわ。それからあたしとお兄ちゃんを見下ろして、心配そうに囁いたの。
(おまえたち、くれぐれも用心するんだよ。……おかしなことが起こらなければいいんだけれどねぇ……)
その口調があんまりにも神妙なんで、子どもだったあたしは怒られた恨みも忘れてお祖母ちゃんに理由をねだったわ。ほら、あたしって、こうと思いこむと粘るから。だから年上のお兄ちゃんと喧嘩して鼻血が出るぐらい殴られても退かなかったんだけれどね。
お祖母ちゃんも根負けして、話してくれたの。その掛け軸は、やっぱり以前、大掃除の際に、あたしの叔母さんに当たる人が、誤って破ってしまったことがあったんだって。
破ったといっても少しだけだったから、なんとか直せたらしいんだけれどね。そういうのを専門に仕事している人に頼んだの。
でも、その掛け軸を傷つけてしまった晩、叔母さんはひどい悪夢にうなされて熱を出して、それから三日間ぐらい寝込んでしまったんですって。掛け軸の呪いというのがあるかどうかわからないけれど、ほら、よく言うじゃない。古い物には霊や魂が宿るって。物霊っていうんだったかしら? それで掛け軸を傷つけてしまった叔母さんは、その呪いで病気になってしまったかもしれない。なんてね。あたしの話はこれでおしまい。
(おまえたち、くれぐれも用心するんだよ。……おかしなことが起こらなければいいんだけれどねぇ……)
その口調があんまりにも神妙なんで、子どもだったあたしは怒られた恨みも忘れてお祖母ちゃんに理由をねだったわ。ほら、あたしって、こうと思いこむと粘るから。だから年上のお兄ちゃんと喧嘩して鼻血が出るぐらい殴られても退かなかったんだけれどね。
お祖母ちゃんも根負けして、話してくれたの。その掛け軸は、やっぱり以前、大掃除の際に、あたしの叔母さんに当たる人が、誤って破ってしまったことがあったんだって。
破ったといっても少しだけだったから、なんとか直せたらしいんだけれどね。そういうのを専門に仕事している人に頼んだの。
でも、その掛け軸を傷つけてしまった晩、叔母さんはひどい悪夢にうなされて熱を出して、それから三日間ぐらい寝込んでしまったんですって。掛け軸の呪いというのがあるかどうかわからないけれど、ほら、よく言うじゃない。古い物には霊や魂が宿るって。物霊っていうんだったかしら? それで掛け軸を傷つけてしまった叔母さんは、その呪いで病気になってしまったかもしれない。なんてね。あたしの話はこれでおしまい。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる