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詮議 一
しおりを挟む翌朝、朝食がすむと、わたくしどもは姫様の室から出てきたマヌエル夫人を呼び止めました。四人の侍女が皆寝不足そうな顔をして並んでいるのを見て、夫人は目を丸くされます。
「いったい、どうしたというの、そろいもそろって」
「あの、夫人、実は……」
マリアの説明に夫人は呆れた顔をしました。
今朝も空に海鳥が舞い、神の恩寵のような光が甲板の飴色の床を照らしております。少し離れたところでは船員が、側仕えの侍女たちがあつまって話し込んでいるのを物珍し気に眺めております。その船員の目をはばかって、夫人はわたくしたちとともに侍女たちの室に進みました。
「まったく、呆れたものだわね、フランセスカ。夜半に使用人部屋へ行くなんて」
大仰に眉をしかめる夫人に、フランセスカは包帯を巻いた自分の顎を差ししめしました。
「これを見てください。わたくしはあの娘に怪我をさせられたのでございますよ! 下女がお側仕えの侍女に刃物をふるうなど、ゆるしてよろしいのでございますか!」
マヌエル夫人はますます眉をしかめられました。
「とはいっても、あなたがそもそも下女のものを取ろうとしたからそうなったのでしょう?」
「あれは絶対あの娘のものではございません。ご覧になればわかると思いますが、あんなものを庶子の娘に与えるなんておかしいです」
マヌエル夫人の黒い目に奇妙なものが混じりました。夫人の好奇心が揺さぶられたようでございます。わたくしは心配になりながらも口を挟むこともはばかられ黙って控えておりました。
「この船のなかに盗人がいるというのは……たしかに困るわね。一度、そのルシアという娘を詮議したほうが良いかもしれません。わたくしが直々訊いてみましょう」
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