メゾン・クローズ 光と闇のはざまで

平坂 静音

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「わたし? うーん、まぁ、ブリジットと似たようなものよ。カルメ、いえ、ペリーヌとも似てるかな」

「え? ペリーヌもお母さんか、お父さんが病気なの?」

 うまく話をらされているとは思いつつ、コンスタンスは気をひかれて訊いていた。

「うん。ペリーヌもお母さんが病気らしくて、入院しなければならないから、その入院費を稼ぐためにここへ来ているの」

 ビュルのコバルトブルーの瞳に翳がちらつく。だが、隣に座っているブリジットの目配せに気づいたコンスタンスは深くたずねるのはやめた。

(なんだか……ちょっと疲れる)

 もともと同性との付き合い方があまりうまくないコンスタンスは、ここでのくせのある少女たちとの会話にすでにんできた。

 どうも、ここは、ここにつどう少女の顔をした女たちは油断できないものがある。

 ペリーヌはまだ判らないが、ビュルには特に奇妙な違和感をおぼえてしかたない。ブリジットが一番気が合いそうだが、なんといっても会ったばかりだ。そうそう心を許してはいけない気がする。

 べつにここが売春宿で、かならずしも相手が若い売春婦だから、という理由だけではなく、コンスタンスぐらいの年頃になると、同性とのつきあいでも警戒しなくてはならないときがあるのだ。つきあう相手をまちがってしまうと、とんでもない陥穽かんせいに落ちてしまうこともある。

 じっさい、アガットのように苛められたり、ペリーヌのとりまきのジャンヌのように、おもてむきは友達だと言いながら、ていのいい下僕にされてしまう危険もある。もう一人のとりまきのアンナの方はまだペリーヌの片腕のような存在だが、ジャンヌにかぎってはどう見てもメイドのようなものだ。あんな付き合いはコンスタンスは絶対受け入れられない。

 こういうことをつらつら考えいることは、すでにここにこの先ここにいることを想定してのことだと、まだコンスタンスは気づいていなかった。そんなとき、ドアの向こうからマダムの声が聞こえてきて、コンスタンスは緊張した。

「ビュル、お客様よ」

「はーい」

 ビュルは仔兎こうさぎのようにねて椅子から立ちあがると、靴音を立てて廊下へむかう。
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