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九
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女中のような仕事をしながら売春をしているのだろうか。コンスタンスはそれ以上訊く勇気がなかった。
「いろいろありがとうございました」
そう口早に言うと席を立っていた。クレオが目を丸くする。
「帰るの?」
「はい。あの、これ、カフェオレ代」
「いいんだよ、そんな」
クレオの金色の眉が苦笑にゆがむ。
「いえ。以前も御馳走していただいたし」
「そんなカフェオレぐらいで。でも、君ってきちんとした子なんだね。あの子たちとはすごい違いだね」
その言葉はコンスタンスの気を引いた。
「え? あの子たちって……?」
「いや、実はね、最近ちゃんとした家の子でも売春する子がいるらしくて、もちろん認可を取らずに違法でね……それでその事件を調査していたんだ」
「わたしと同じ歳ぐらいの子ですか?」
つい興味をひかれて訊くコンスタンスに、クレオは苦々しく笑ってうなずいた。
「そう。ちゃんとした学校に通っているそこそこいい家のお嬢さんたちさ。そういう子が親や教師の目を盗んで売春しているんだよ。それも、メゾン・クローズ付近にたむろんで、そこへ行こうという客の袖を引くんだから、すごいもんだよ」
クレオは呆れた顔を見せる。堅気の娘たちがプロの女たちの客を奪っているのだから、驚きもするだろう。
「実をいうと、この話を持ってきたのは警官でね。その警官はメゾン・クローズの娼婦たちに泣きつかれたらしい。自分たちの客を盗む小娘どもをどうにかしてほしい、って」
「はあ……」
中流家庭の娘が職業娼婦から客を奪うというようなことが本当にあるとは。
しかし見た目は中流家庭でも内情は厳しいという家もある。貧民街の子の苦労とはまたべつに、中流や上流家庭の貧困というのはそれはそれで辛いものだ。今のコンスタンスには痛いほど理解できる。
なにより元々貧しい家の子ならそれほど感じないかもしれないが、中流以上の家庭の子が味わう貧しさには、羞恥と屈辱という非常に厄介な重荷がついてまわるのだ。
「その子たち、お金に困っているんでしょうか?」
「いろいろありがとうございました」
そう口早に言うと席を立っていた。クレオが目を丸くする。
「帰るの?」
「はい。あの、これ、カフェオレ代」
「いいんだよ、そんな」
クレオの金色の眉が苦笑にゆがむ。
「いえ。以前も御馳走していただいたし」
「そんなカフェオレぐらいで。でも、君ってきちんとした子なんだね。あの子たちとはすごい違いだね」
その言葉はコンスタンスの気を引いた。
「え? あの子たちって……?」
「いや、実はね、最近ちゃんとした家の子でも売春する子がいるらしくて、もちろん認可を取らずに違法でね……それでその事件を調査していたんだ」
「わたしと同じ歳ぐらいの子ですか?」
つい興味をひかれて訊くコンスタンスに、クレオは苦々しく笑ってうなずいた。
「そう。ちゃんとした学校に通っているそこそこいい家のお嬢さんたちさ。そういう子が親や教師の目を盗んで売春しているんだよ。それも、メゾン・クローズ付近にたむろんで、そこへ行こうという客の袖を引くんだから、すごいもんだよ」
クレオは呆れた顔を見せる。堅気の娘たちがプロの女たちの客を奪っているのだから、驚きもするだろう。
「実をいうと、この話を持ってきたのは警官でね。その警官はメゾン・クローズの娼婦たちに泣きつかれたらしい。自分たちの客を盗む小娘どもをどうにかしてほしい、って」
「はあ……」
中流家庭の娘が職業娼婦から客を奪うというようなことが本当にあるとは。
しかし見た目は中流家庭でも内情は厳しいという家もある。貧民街の子の苦労とはまたべつに、中流や上流家庭の貧困というのはそれはそれで辛いものだ。今のコンスタンスには痛いほど理解できる。
なにより元々貧しい家の子ならそれほど感じないかもしれないが、中流以上の家庭の子が味わう貧しさには、羞恥と屈辱という非常に厄介な重荷がついてまわるのだ。
「その子たち、お金に困っているんでしょうか?」
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