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二
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「ちょっ、やめて下さい!」
男の手がコンスタンスの寝間着のなかに入ってくる。コンスタンスは悲鳴をあげそうになったが、声が出ない。
「いや……だ、やめて! やめてよ」
「私はコンドルセ伯爵だよ。私に触られると女は皆喜ぶものだよ。ほら、気持ちいいだろう」
(冗談じゃないわ!)
コンスタンスは怒りと屈辱に身体が燃えた。渾身の力でもって男をはねつける。相手は男にしては小柄でしかも年寄りなので、若いコンスタンスの全身全霊をかけた抵抗にたじろいだようだ。
「いや! いや! はなしてよ!」
コンスタンスが声を大きくあげた瞬間、ドアが開いた。
「伯爵、こんな所で何していらっしゃるの!」
入って来たのはアントワネットだ。腰に両手を当て、浮気な夫をしかる嫉妬ぶかい古女房のような仕草で、ツカツカと靴音を鳴らして部屋に入ってくる。
「い、いや、これは……」
伯爵はあわててベルトをなおしながら身づくろいする。仮にも伯爵で客なのだから、娼婦に言い訳する義理はないはずなのだが、アントワネットの権幕のまえに怯んでしまっているようだ。
「この娘に誘われて……つい、うっかり」
コンスタンスはとんでもない、と叫びそうになったが、その前に左頬に燃えるような痛みを感じて悲鳴をあげた。
「この、淫売、雌猫! よくも私の客を取ったわね!」
「と、取ってなんか……」
事情を説明しようと口を開いたが、今度は逆の頬に痛みを感じた。
「よくも、この牝豚! あんた、私になんの恨みがあるのよ!」
「や、やめなさい、アントワネット」
さすがに伯爵はあわててアントワネットを止めようとしたが、怒りと嫉妬に力を得たアントワネットはおさまらない。
「この、小娘、ちょっと若いからって調子に乗って」
激しい力がコンスタンスの頬や頭にぶつかってくる。コンスタンスは必死に手で防ごうとしたが、襲ってくる暴力の嵐から逃れることはできなかった。
男の手がコンスタンスの寝間着のなかに入ってくる。コンスタンスは悲鳴をあげそうになったが、声が出ない。
「いや……だ、やめて! やめてよ」
「私はコンドルセ伯爵だよ。私に触られると女は皆喜ぶものだよ。ほら、気持ちいいだろう」
(冗談じゃないわ!)
コンスタンスは怒りと屈辱に身体が燃えた。渾身の力でもって男をはねつける。相手は男にしては小柄でしかも年寄りなので、若いコンスタンスの全身全霊をかけた抵抗にたじろいだようだ。
「いや! いや! はなしてよ!」
コンスタンスが声を大きくあげた瞬間、ドアが開いた。
「伯爵、こんな所で何していらっしゃるの!」
入って来たのはアントワネットだ。腰に両手を当て、浮気な夫をしかる嫉妬ぶかい古女房のような仕草で、ツカツカと靴音を鳴らして部屋に入ってくる。
「い、いや、これは……」
伯爵はあわててベルトをなおしながら身づくろいする。仮にも伯爵で客なのだから、娼婦に言い訳する義理はないはずなのだが、アントワネットの権幕のまえに怯んでしまっているようだ。
「この娘に誘われて……つい、うっかり」
コンスタンスはとんでもない、と叫びそうになったが、その前に左頬に燃えるような痛みを感じて悲鳴をあげた。
「この、淫売、雌猫! よくも私の客を取ったわね!」
「と、取ってなんか……」
事情を説明しようと口を開いたが、今度は逆の頬に痛みを感じた。
「よくも、この牝豚! あんた、私になんの恨みがあるのよ!」
「や、やめなさい、アントワネット」
さすがに伯爵はあわててアントワネットを止めようとしたが、怒りと嫉妬に力を得たアントワネットはおさまらない。
「この、小娘、ちょっと若いからって調子に乗って」
激しい力がコンスタンスの頬や頭にぶつかってくる。コンスタンスは必死に手で防ごうとしたが、襲ってくる暴力の嵐から逃れることはできなかった。
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