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挑発 二
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やっぱり、実際にトヨールを見ていない友哉君は、まだ半信半疑で、完全にはトヨールの存在を信じきれていないのだ。無理もないと思う。私だって、自分の目で見ていなかったら、とても今の日本にマレーシアから来た悪い妖精か小鬼みたいなものが存在するなんて信じられない。
でも、確かにあの二人――、あの不気味な二体の魔物は存在していて、私の身体を狙っているのだ。どうして私に連中が見えて、連中が私に執着するのかはよくわからないけれど、それは、多分、二人がここまで来た過程に、私の祖母や曾祖母がからんでいるせいだ。
トヨールをこの世につくり出したのは、少なくともその手伝いをしたのは、曾祖母であり、トヨールは最初に曾祖母の血を与えられ命を得、さらにはその娘であり、私にとっては祖母に当たる幸恵さんの血をもらったため、私と奇妙な絆のようなものができてしまったのかもしれない。そう考えると、背に悪寒が走る。
「心配だけれど、くれぐれも気をつけてね」
心残りそうな目をしつつも帰ってしまう友哉君を一瞬恨みそうになったけれど、考えてみれば、友哉君にもどうにもできない状況なのだ。霊能者でもお坊さんでもないのだからしかたない。
(なんとかしなきゃ。どうにかして、トヨールたちを防ぐ方法をさがさないと)
どうすればいいのか皆目見当もつかないけれど、少なくとも昼にアレックスと会うことで、何か新しい情報を得られるかもしれない。今の私には、アレックスだけが救いだ。
私は紙コップのコーヒーを一口飲んで、その温かさにほんの少し慰められる気がした。
友哉君を駅まで見送って、その後昼まで私は時間をつぶすことにした。
自転車がならぶ狭い通りを歩いていると、ふと目の前を黒い物がよぎった気がした。
猫か犬だろうかと思って、去っていった方角に目をやると、そこには宙に浮いた黒い煙のかたまりのようなものが見える。
まさか……、と思ったら、その煙は人の形を成した。
呆然としてしまった私を、いぶかしそうに横目で見ながら中年の作業着姿の男が通り過ぎていく。他の人にはあの黒いものが見えないのだ。
(ふふふふ。どこ行くの? 帰らないの?)
頭のなかに直接響いてくるその声からすると、ミミだ。私は黒い人形を敵意を込めて睨みつけてやった。
(おー、怖い、怖い)
通りに沿ったフェンスの向こうは公園らしく、黒緑の木々が少し寒々しい日影を通りに作っている。その影に入ってしまうと、通行人からはあまり注視されないだろう。
「なんで、私につきまとうのよ」
でも、確かにあの二人――、あの不気味な二体の魔物は存在していて、私の身体を狙っているのだ。どうして私に連中が見えて、連中が私に執着するのかはよくわからないけれど、それは、多分、二人がここまで来た過程に、私の祖母や曾祖母がからんでいるせいだ。
トヨールをこの世につくり出したのは、少なくともその手伝いをしたのは、曾祖母であり、トヨールは最初に曾祖母の血を与えられ命を得、さらにはその娘であり、私にとっては祖母に当たる幸恵さんの血をもらったため、私と奇妙な絆のようなものができてしまったのかもしれない。そう考えると、背に悪寒が走る。
「心配だけれど、くれぐれも気をつけてね」
心残りそうな目をしつつも帰ってしまう友哉君を一瞬恨みそうになったけれど、考えてみれば、友哉君にもどうにもできない状況なのだ。霊能者でもお坊さんでもないのだからしかたない。
(なんとかしなきゃ。どうにかして、トヨールたちを防ぐ方法をさがさないと)
どうすればいいのか皆目見当もつかないけれど、少なくとも昼にアレックスと会うことで、何か新しい情報を得られるかもしれない。今の私には、アレックスだけが救いだ。
私は紙コップのコーヒーを一口飲んで、その温かさにほんの少し慰められる気がした。
友哉君を駅まで見送って、その後昼まで私は時間をつぶすことにした。
自転車がならぶ狭い通りを歩いていると、ふと目の前を黒い物がよぎった気がした。
猫か犬だろうかと思って、去っていった方角に目をやると、そこには宙に浮いた黒い煙のかたまりのようなものが見える。
まさか……、と思ったら、その煙は人の形を成した。
呆然としてしまった私を、いぶかしそうに横目で見ながら中年の作業着姿の男が通り過ぎていく。他の人にはあの黒いものが見えないのだ。
(ふふふふ。どこ行くの? 帰らないの?)
頭のなかに直接響いてくるその声からすると、ミミだ。私は黒い人形を敵意を込めて睨みつけてやった。
(おー、怖い、怖い)
通りに沿ったフェンスの向こうは公園らしく、黒緑の木々が少し寒々しい日影を通りに作っている。その影に入ってしまうと、通行人からはあまり注視されないだろう。
「なんで、私につきまとうのよ」
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