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晩餐 二
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ここ数ヶ月、プロイセンとの戦争の話は嫌というほど聞き、不安と恐怖をおぼえたが、それがどういう経緯でか、国内での紛争や内乱のようになってしまった。
いや、そもそも、マルゴにはなぜフランスがプロイセンと戦争になったのか、その理由だとて本当のところは良くわからないのだ。わからないままに、のどかだった村でも、男たちのなかには兵卒として戦争へ行く者もあり、敵地へ向かう息子や夫を見送るおかみさんたちは暗い顔をし、大人の男たちは集まればすぐ戦争の話で熱くなっているの見聞きしていた。
マルゴたちの住んでいた地域はフランスに侵入してきたプロイセン兵の災禍に会うこともなく、物資にもそう事欠くことはなかったが、それでも不穏な空気は国中に垂れこめ、人々の表情を曇らせる。戦争に負けたのは辛いが、これでやっと平和が戻ってくるのだと思っていたら、今度はパリでのコミューンの騒動である。
外国との戦争から、どういうわけか、ヴェルサイユ側とパリ側で内戦のような状況になってしまい、この騒動でパリはすっかり疲弊してしまった。どうしてプロイセンと戦争していたのが、フランス人同士の戦争になってしまったのか、マルゴにはますます理解できない話だった。
困惑顔のマルゴに気づいたのだろう。フランソワが子どもに教えるように説明してくれた。
「大統領が……、つまり皇帝であり大統領でもあったナポレオン三世が逃亡したあと、新たに大統領となったアドルフ・ティエールが、プロイセンと結んだ休戦協定をまもるべくパリの武装解除をしようとしたんだが、それに反対した民衆が暴徒と化して新政府そのものに抵抗したんだ」
ヴェルサイユに本拠を置いた新政府と、それに反対するパリの一部民衆、つまりパリ・コミューンとのあいだでの闘争になったのだ、というのがフランソワの意見であるが、マルゴは「そう……」と呟き、納得した顔をしてみせたものの、やはりよくわからない。
マルゴに不可解なのは、最近よく耳にする、そのコミューンというものだ。コミューンというよくわからない厄介な集団が、物事をさらに難解にさせてしまっている気がするのだが、フランソワがその名を口に出したとき、その瞳は奇妙に青春の情熱をふくんできらめいている気がする。
戦争と内乱、コミューンという集団のなかでのまた争いや意見の食い違いで、騒動につぐ騒動、混乱につぐ混乱で、パリではいまだに銃声や悲鳴が絶えない。
いや、そもそも、マルゴにはなぜフランスがプロイセンと戦争になったのか、その理由だとて本当のところは良くわからないのだ。わからないままに、のどかだった村でも、男たちのなかには兵卒として戦争へ行く者もあり、敵地へ向かう息子や夫を見送るおかみさんたちは暗い顔をし、大人の男たちは集まればすぐ戦争の話で熱くなっているの見聞きしていた。
マルゴたちの住んでいた地域はフランスに侵入してきたプロイセン兵の災禍に会うこともなく、物資にもそう事欠くことはなかったが、それでも不穏な空気は国中に垂れこめ、人々の表情を曇らせる。戦争に負けたのは辛いが、これでやっと平和が戻ってくるのだと思っていたら、今度はパリでのコミューンの騒動である。
外国との戦争から、どういうわけか、ヴェルサイユ側とパリ側で内戦のような状況になってしまい、この騒動でパリはすっかり疲弊してしまった。どうしてプロイセンと戦争していたのが、フランス人同士の戦争になってしまったのか、マルゴにはますます理解できない話だった。
困惑顔のマルゴに気づいたのだろう。フランソワが子どもに教えるように説明してくれた。
「大統領が……、つまり皇帝であり大統領でもあったナポレオン三世が逃亡したあと、新たに大統領となったアドルフ・ティエールが、プロイセンと結んだ休戦協定をまもるべくパリの武装解除をしようとしたんだが、それに反対した民衆が暴徒と化して新政府そのものに抵抗したんだ」
ヴェルサイユに本拠を置いた新政府と、それに反対するパリの一部民衆、つまりパリ・コミューンとのあいだでの闘争になったのだ、というのがフランソワの意見であるが、マルゴは「そう……」と呟き、納得した顔をしてみせたものの、やはりよくわからない。
マルゴに不可解なのは、最近よく耳にする、そのコミューンというものだ。コミューンというよくわからない厄介な集団が、物事をさらに難解にさせてしまっている気がするのだが、フランソワがその名を口に出したとき、その瞳は奇妙に青春の情熱をふくんできらめいている気がする。
戦争と内乱、コミューンという集団のなかでのまた争いや意見の食い違いで、騒動につぐ騒動、混乱につぐ混乱で、パリではいまだに銃声や悲鳴が絶えない。
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