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存在
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海人がいなくなって三日目の朝、ひまわりは頭のふらつきもようやく治まり、さくらが作ってくれた雑炊を残さずに食べることができた。
さくらは今日もひまわりの代わりに海人を捜しに行くと言って、地図を見て下調べをしている。
「さくら、無理しないでいいよ。
今日の夕方頃なら私もきっと動けるから、その時に私につき合って」
「でも…」
さくらは口を尖らせる。
「大丈夫だよ。
最近は、昼間の暑さは尋常じゃないし、さくらまで倒れちゃったら元も子もないじゃない?
それに本当のことを言うと、一人で家にいるのが怖いんだ…
海人さんと出会うまでは、ずっと一人だったのにね。
一人のほうが気楽で良かったのに、今は、一人になったら寂しくてしょうがない…」
ひまわりは、正直にさくらに話した。
変わってしまった自分をさらけ出すのは、少し恥ずかしかったけれど。
「分かった。じゃ、今日はのんびりしようっと」
さくらはそう言うと、ソファに横になり目を閉じた。
正午になり、一層、蝉の声が甲高く聞こえる。
海人が寝泊まりしていた客間の窓を開けたままにしていたため、蝉の声が響いていた。
ひまわりはその部屋の窓を閉め、しばらくそこでくつろいだ。
この部屋で、海人は何を考えていたのだろう。
過去の自分と、未来の自分に、折り合いをつけることができずに苦しんでいたのかもしれない。
私は彼の事を何も分かっていなかったし、分かろうともしていなかった。
この部屋で、彼はどれ程の孤独を感じていたのだろうか。
海人がいなくなった今、ようやく気づくなんて…
ひまわりは自分の愚かさに腹が立ち、ただただ、悲しかった。
「ひまちゃん、浩太君、覚えてる?
お兄ちゃんと一緒に、大阪から遊びにきてたあの人。
今、電話がきて、ひまちゃんに話があるって」
そう言うと、さくらはひまわりに携帯を渡した。
「もしもし、代わりました。ひまわりです」
「あ、ひまわりさん、浩太です。
突然、すみません…」
ひまわりが黙っていると、浩太はぼそぼそと話し出した。
「実は、あの、今から話すこと、先輩には黙っててもらえますか?
あの、海人さんの事なんだけど、僕もこの情報が定かかは分からないんです。
でも、ひまわりさんとさくらさんを見ていたら、あまりにも可哀そうで。
僕は海人さんの事は悪い奴には見えなかったし、ひまわりさんと海人さんが愛し合ってるのも見ていて痛いほど分かったし。
でも、きっと、先輩のしたことも本当は正しいことなのかもしれなくて…
あ、僕の気持ちなんてどうでもいいですよね。
それで、ひまわりさん、この情報が違ってたとしても絶対にがっかりしないでください。
その時には、僕も一緒に捜しますから…」
浩太は、ゆっくりと話し続けた。
「あの海水浴に行った日、ひまわりさんと先輩がちょっと喧嘩してひまわりさんが帰るって言ってた時、あの時、先輩がどこかの電話番号を調べてたんです。
ちょっと離れたところに僕はいたんだけど、それでもなんとなく聞こえて…
民宿あおさの電話番号を教えてくださいって言ってた。
民宿?って思ったから、頭に残ってたんです。
でも、そこに海人さんが居るのかどうかは僕は全く分からないけど、一つの情報としてひまわりさん達に教えなきゃと思って」
ひまわりは、携帯を握る手が震えているのが分かった。
「浩太さん、本当にありがとう。
とにかく、すぐに、確かめに行かなきゃ」
ひまわりが動揺して話していると、さくらがひまわりの手から携帯を取り上げた。
そしてもう一度、浩太から詳しい事を聞いている。
海人に会えるかもしれない。
海人に会いたい。
ひまわりは帽子をかぶり、玄関へ向かって走り出した。
さくらは今日もひまわりの代わりに海人を捜しに行くと言って、地図を見て下調べをしている。
「さくら、無理しないでいいよ。
今日の夕方頃なら私もきっと動けるから、その時に私につき合って」
「でも…」
さくらは口を尖らせる。
「大丈夫だよ。
最近は、昼間の暑さは尋常じゃないし、さくらまで倒れちゃったら元も子もないじゃない?
それに本当のことを言うと、一人で家にいるのが怖いんだ…
海人さんと出会うまでは、ずっと一人だったのにね。
一人のほうが気楽で良かったのに、今は、一人になったら寂しくてしょうがない…」
ひまわりは、正直にさくらに話した。
変わってしまった自分をさらけ出すのは、少し恥ずかしかったけれど。
「分かった。じゃ、今日はのんびりしようっと」
さくらはそう言うと、ソファに横になり目を閉じた。
正午になり、一層、蝉の声が甲高く聞こえる。
海人が寝泊まりしていた客間の窓を開けたままにしていたため、蝉の声が響いていた。
ひまわりはその部屋の窓を閉め、しばらくそこでくつろいだ。
この部屋で、海人は何を考えていたのだろう。
過去の自分と、未来の自分に、折り合いをつけることができずに苦しんでいたのかもしれない。
私は彼の事を何も分かっていなかったし、分かろうともしていなかった。
この部屋で、彼はどれ程の孤独を感じていたのだろうか。
海人がいなくなった今、ようやく気づくなんて…
ひまわりは自分の愚かさに腹が立ち、ただただ、悲しかった。
「ひまちゃん、浩太君、覚えてる?
お兄ちゃんと一緒に、大阪から遊びにきてたあの人。
今、電話がきて、ひまちゃんに話があるって」
そう言うと、さくらはひまわりに携帯を渡した。
「もしもし、代わりました。ひまわりです」
「あ、ひまわりさん、浩太です。
突然、すみません…」
ひまわりが黙っていると、浩太はぼそぼそと話し出した。
「実は、あの、今から話すこと、先輩には黙っててもらえますか?
あの、海人さんの事なんだけど、僕もこの情報が定かかは分からないんです。
でも、ひまわりさんとさくらさんを見ていたら、あまりにも可哀そうで。
僕は海人さんの事は悪い奴には見えなかったし、ひまわりさんと海人さんが愛し合ってるのも見ていて痛いほど分かったし。
でも、きっと、先輩のしたことも本当は正しいことなのかもしれなくて…
あ、僕の気持ちなんてどうでもいいですよね。
それで、ひまわりさん、この情報が違ってたとしても絶対にがっかりしないでください。
その時には、僕も一緒に捜しますから…」
浩太は、ゆっくりと話し続けた。
「あの海水浴に行った日、ひまわりさんと先輩がちょっと喧嘩してひまわりさんが帰るって言ってた時、あの時、先輩がどこかの電話番号を調べてたんです。
ちょっと離れたところに僕はいたんだけど、それでもなんとなく聞こえて…
民宿あおさの電話番号を教えてくださいって言ってた。
民宿?って思ったから、頭に残ってたんです。
でも、そこに海人さんが居るのかどうかは僕は全く分からないけど、一つの情報としてひまわりさん達に教えなきゃと思って」
ひまわりは、携帯を握る手が震えているのが分かった。
「浩太さん、本当にありがとう。
とにかく、すぐに、確かめに行かなきゃ」
ひまわりが動揺して話していると、さくらがひまわりの手から携帯を取り上げた。
そしてもう一度、浩太から詳しい事を聞いている。
海人に会えるかもしれない。
海人に会いたい。
ひまわりは帽子をかぶり、玄関へ向かって走り出した。
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