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ひととき
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それは私が……玉藻が大陸を追われて人を嫌いになり。
命からがら彷徨い辿り着いたのがこの国。
そこで復讐に燃えて、人も国も陥れようとした。
そんなときに帝。鳥羽帝に愛されてしまった。
玉藻はそれが嬉しかった。人に追われたのに、疲れた心を癒したのは人だった。
仲間の土蜘蛛や鵺達にやめろと言われた。人はどうせ裏切ると。
ならばと思い玉藻は帝を試した。
玉藻は正直に鳥羽帝に自分の正体を暴露したのだ。
でも帝の愛は変わらなかった。ますます寵愛された。
しかし、それが周囲の嫉妬を生み、悪いことが起きると全て……。
「玉藻のせいにされてしまった。しかもその時に丁度、阿倍野晴命に正体を見破られちゃったんだよね……」
鷹夜様が小さく体を揺らしたので、ぽんぽんと肩を撫でる。
「そしてね。玉藻は帝は何も悪くないと、自分が悪者になった。じゃないと帝も悪者にされてしまうから……帝も泣く泣く玉藻の意思を汲んで、阿倍野晴命に九尾の討伐を命令した」
その後は朧げだが玉藻は人に追われながら、めちゃくちゃに暴れた。
憂さ晴らしだったのかもしれない。悲しみをそれにぶつけていたかもしれない。
もしくは、最後に阿倍野晴命と命を賭けた戦いに興じたのかもしれない。
そして阿倍野晴命は全てを知った上で、玉藻を殺すしか無かった。それが彼の仕事だから。
阿倍野晴命と玉藻がどんなやり取りをしたかはわからないが、阿倍野晴命が最後はあのように悲しい顔をしていたのは、もしかしたら──。
「ううん。それは分からなくていい。私が知りたいのは今の鷹夜様のことだけだから」
書物でもその他に殺生石伝説のことや、九尾は神獣としての側面もあると知ったが、私が一番知りたい土蜘蛛から逃げる方法。それはどこにも記載されていなかった。
きっと私が出島に行ったとしても、土蜘蛛は来るのだろう。その先に逃げても、海を渡っても、土蜘蛛は私を追いかけて来そうな気がした。
「やっぱり私は迷惑だよね。玉藻が滅茶苦茶に暴れて帝のもとを去ったのは、どうしようもなく好きだったから。なのに玉藻は妖で人と一緒に居れないって、気が付いたからなんだと思う」
そう思うと瞳から涙が溢れてしまった。
そのまま涙は鷹夜様の頬の上に落ちる。微かに鷹夜様の唇が動いたのは気のせいだろうか。
そのまま気持ちも吐露する。
「私ね……最近、いつも朝起きると、このまま出て行こうと思ってしまうの。でも、鷹夜様がおはようって言いに来てくれるから、結局ここに居てしまう。皆の優しさに甘えてしまう」
だけども、土蜘蛛襲来までもう時間は残されていないと思った。
「その前に、私がここを出て行けたらいいなって……けれども、その勇気がまだ出なくて。ごめんなさい」
それ以上は言葉が詰まって、何も言えず。
静かに眠る鷹夜様の手を強く握るのだった。
命からがら彷徨い辿り着いたのがこの国。
そこで復讐に燃えて、人も国も陥れようとした。
そんなときに帝。鳥羽帝に愛されてしまった。
玉藻はそれが嬉しかった。人に追われたのに、疲れた心を癒したのは人だった。
仲間の土蜘蛛や鵺達にやめろと言われた。人はどうせ裏切ると。
ならばと思い玉藻は帝を試した。
玉藻は正直に鳥羽帝に自分の正体を暴露したのだ。
でも帝の愛は変わらなかった。ますます寵愛された。
しかし、それが周囲の嫉妬を生み、悪いことが起きると全て……。
「玉藻のせいにされてしまった。しかもその時に丁度、阿倍野晴命に正体を見破られちゃったんだよね……」
鷹夜様が小さく体を揺らしたので、ぽんぽんと肩を撫でる。
「そしてね。玉藻は帝は何も悪くないと、自分が悪者になった。じゃないと帝も悪者にされてしまうから……帝も泣く泣く玉藻の意思を汲んで、阿倍野晴命に九尾の討伐を命令した」
その後は朧げだが玉藻は人に追われながら、めちゃくちゃに暴れた。
憂さ晴らしだったのかもしれない。悲しみをそれにぶつけていたかもしれない。
もしくは、最後に阿倍野晴命と命を賭けた戦いに興じたのかもしれない。
そして阿倍野晴命は全てを知った上で、玉藻を殺すしか無かった。それが彼の仕事だから。
阿倍野晴命と玉藻がどんなやり取りをしたかはわからないが、阿倍野晴命が最後はあのように悲しい顔をしていたのは、もしかしたら──。
「ううん。それは分からなくていい。私が知りたいのは今の鷹夜様のことだけだから」
書物でもその他に殺生石伝説のことや、九尾は神獣としての側面もあると知ったが、私が一番知りたい土蜘蛛から逃げる方法。それはどこにも記載されていなかった。
きっと私が出島に行ったとしても、土蜘蛛は来るのだろう。その先に逃げても、海を渡っても、土蜘蛛は私を追いかけて来そうな気がした。
「やっぱり私は迷惑だよね。玉藻が滅茶苦茶に暴れて帝のもとを去ったのは、どうしようもなく好きだったから。なのに玉藻は妖で人と一緒に居れないって、気が付いたからなんだと思う」
そう思うと瞳から涙が溢れてしまった。
そのまま涙は鷹夜様の頬の上に落ちる。微かに鷹夜様の唇が動いたのは気のせいだろうか。
そのまま気持ちも吐露する。
「私ね……最近、いつも朝起きると、このまま出て行こうと思ってしまうの。でも、鷹夜様がおはようって言いに来てくれるから、結局ここに居てしまう。皆の優しさに甘えてしまう」
だけども、土蜘蛛襲来までもう時間は残されていないと思った。
「その前に、私がここを出て行けたらいいなって……けれども、その勇気がまだ出なくて。ごめんなさい」
それ以上は言葉が詰まって、何も言えず。
静かに眠る鷹夜様の手を強く握るのだった。
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