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第一章の裏話
追話 使用人の日記より庭師ランディの日記
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ランディは正しい文章が書けないので、くどい表現や、ぼかしたような表現が多いです。あと、誤字も多いです。
読みにくいかもしれませんが色んなことを書いています。
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今日もケルン坊ちゃまがきなさった。
坊ちゃまは、オラとスラ吉の絵を描いてくださった。
スラ吉のかわいさが伝わってきた。
何度もお礼をいうと、坊ちゃまは、家族なんだから、いいと、いって、くださった。
オラとスラ吉の二人しか家族がいなかった頃と比べて、家族がたくさん増えた。
思えば、オラも遠くまできたもんだ。北の大陸の村から、流れ流れて、中央大陸まできた。
文字も知らない農夫の倅が、もうすぐ、五十年もお世話になっている。
ありがてぇことだ。
村が魔族に焼かれ、スラ吉と二人、どうにかたどり着いた森で、生活を始めていると、オラより五歳は上の貴族様と、三歳ほど上のお付きの方がこられた。
キラキラと綺麗な髪に、空のような目をした貴族様に、浅黒い、耳以外は人族なお付きの方がオラの小屋の前に来ていた。
「誰かは、知らぬが、すぐに出てこい!」
貴族様が大きな声で怒鳴られていた。オラは、きっと殺されるんだと思った。村にいたときも、人間様は、オラのような獣人が嫌いだった。父ちゃんからも、よく、逆らうなと言われていただ。
オラは、スラ吉に、隠れているようにいった。父ちゃんと母ちゃんが、そうオラにいって、魔族から、隠してくれた。今度はオラがスラ吉を守る番だ。村にいたときに拾った傷ついて、小さかったスラ吉も、元気になった。オラがいなくても大丈夫だべ。
「お前一人か?親はどうした?」
貴族様は、とてもびっくりされてた。森に何かがいるのがわかって、来てみたら、十歳ほどの獣人…オラがいたからだ。
オラは、頭を地面になすりつけながら、説明した。村が焼かれ、オラは、一人だと。人間様の土地とは知らずに申し訳なかったと。
すると、貴族様は、とても怒っておられた。オラの話し方が悪かったのかと思うと、こういわれた。
「同じ人なのに、何故、人間様などという?お前は人であろう。ならば、そんなに自分を卑下するな!」
オラは、びっくりした。そんなこと言われたことはなかった。父ちゃんも母ちゃんも獣人で、オラ達は家畜よりマシなもんだと教わっていた
オラが殺されるとでも思ったのか、小屋から、スラ吉が飛び出して、オラを庇うように前に出てきた。今も勇敢だが、オラとしては、女の子らしくお淑やかな方がいいと思うだ。
「スラ吉!出るでねぇ!」
威嚇しているスラ吉を抱きしめると、目の前には、剣をスラ吉に向けている獣人がいた。
「旦那様…いかがいたしましょう?」
とても冷たい目がオラとスラ吉にむけられていた。オラは殺されると思った。村を焼いた奴らの目を思い出したり、この森に来るまでにみた兵士の目そのままだったからだ。
オラは死んでもいいと思った。父ちゃんや母ちゃんもいねぇ。でも、オラは死んでも、スラ吉だけは、助けたかった。
「お願いします!どうか、スラ吉は見逃してくだせぇ!オラのただ一人の家族なんだ!」
スラ吉を抱えて、土下座した。もしかしたら、オラを殺している間に、スラ吉を逃がせるかもしれない。オラはそれしか考えてなかった。今はだいぶ治っただが、オラは泣き虫だ。その時も、泣いていた。日記だから、綺麗に書けてるが、きちんと聞こえてかはわからねぇ。
でも、貴族様は獣人を止めてくれた。
「ただ一人の家族か…ふむ。なら、こうしよう。カルド、うちに庭師はいたか?」
「いいえ、旦那様。執事の私一人しかお屋敷にはおりません」
困っていそうな貴族様の顔と、呆れた顔の獣人、カルド様は、そういって、オラとすら吉を忘れたように話し始めただ。
「それは困ったな。誰かおらんのか?できれば…農家育ちで、野菜作りの上手い者がいいな。残念ながら、我が家は貧乏なのでな。家計の足しにせねば、ならん」
貴族様でも、やっぱり、戦が長く続くと貧乏になるのかもしれない。オラはそう思っただ。
ぼんやり思っていたら、さっきまで怖い目をしていたカルド様が、しゃがんで、オラと目を合せていいなさった。
「おい、お前。名前はなんだ?」
「ラ、ランディといいますだ」
ぶっきらぼうにきかれ、オラは震えながら答えた。今のカルド様は、優しく、大人だが、最初の頃は、息子のティルカによく似て、狼そのままな獣人だった。
「家は農家で、野菜作りは…この畑を、見ればわかるが、上手いな」
小屋のそばに小さい畑をこしらえていただ。自慢じゃないが、オラの父ちゃんもオラも、農地系の促進と改良のスキルを持っていた。母ちゃんからは、農地系の大地の癒しスキルをもらっていたから、どんな作物も、何度植えても、土地が痩せたり、塩害などが起きにくかった。
オラは土の精霊の加護もあって、畑作りには、自信があった。オラのような獣頭の獣人は、得に、価値がなければ、家畜か、家畜以下の生活が、北じゃ当たり前だった。
父ちゃんも、母ちゃんも、手足の一部が熊の獣人だった。それだけでも、税が多かったそうだ。オラが産まれて、さらに税が増やされた。それでも、暮らしができるほどには、土地を肥えさせたし、作物も村一番収穫できた。
カルド様は、貴族様に、オラを指さしてこういった。
「旦那様、ここにランディという庭師がおります。庭師は自分の小屋で作業する方がよろしいと思います」
オラはただ、びっくりした。獣頭の獣人は、貴族様の庭師にはなれない。もし、オラが獣頭でなかったら、庭師になって、父ちゃん達を楽にしてやれるのにと、村にいた頃は思っていた。父ちゃんも庭師だったが、オラの所為で、仕事を無くしてしまった。
「そうだな。それと、手伝いができるものもいるな?そうだ、そのランディは、家族がいるな?その者と一緒に雇おう」
「かしこまりました。ランディ。今日からあなたは、庭師です。何かあればいいなさい」
話についていけない間に、オラとスラ吉は雇われていた。貴族様、いや、旦那様は、ニコニコと、とても暖かい笑顔で、オラ達にいってくっださった。
「よし、今日からお前は俺の家族だ!何かあれば」
「旦那様。俺では威厳がありませんよ」
「そうだったな。とりあえずだ、何かあれば、私にいえ!私は、旦那様だからな!」
カルド様に注意されながら、旦那様は、自信にあふれていなさった。
オラにもそれが移ったように、胸が暖かくなった。
今日から、家族。人間様の、それも貴族様にそういわれるなんて、父ちゃん達は、どんな顔をするだろうな。
それから、色々あっただ。旦那様と奥様、カルド様とフィオナ様と、立て続けにご結婚なされた。オラにも縁談をと、お二人からいわれたが、オラは断った。
オラは、結婚してはいけない。父ちゃん達と約束したことだ。
オラには、お屋敷にいるみんなと、スラ吉がいるので、さびしくはない。
カルド様の息子たちや、娘は、オラをおじさんと呼んで慕ってくれる。それだけで、幸せだ。
一度、オラが街で酔っ払いに絡まれた時なんて、カルド様が「私の弟に何をする!」と助けてくださったり、奉公にきていた使用人から、熊は森から出るなという言葉を言われた時も、子供たちが「おじさんを悪くいうお前が出ていけ!」と追い出していた。
思い出しても、嬉しくて泣けてくるだ。歳を取ると泣き虫は治ると、母ちゃんはいってただが、歳を取ると嬉しくて泣けてくるんだなぁ。
一時、お屋敷には、笑い声がなくなって、悲しいことがあったが、ここ五年は、幸せ以上のものだ。オラには、学がねぇから、いい言葉が浮かばないが、旦那様がいってたように、生きててよかった。
子供は特にオラを怖がるのに、熊の顔をしたオラを怖がらないのは、カルド様の四人の子供たちと、坊ちゃまだけだ。
坊ちゃまは、スラ吉も可愛がってくださる。
料理長のハンクが、坊ちゃまの為に作ったおやつをわけてくださる。ハンクは、坊ちゃまが分けてくださるのを見越して、多めに作っている。
蜂蜜たっぷりのシフォンケーキは、オラも好きだ。坊ちゃまと食べると、さらにおいしい。それ以上に坊ちゃまの笑顔が大好きだ。
明日も、坊ちゃまが怪我をなされぬように、石がないかみてまわり、芝生をもっとふかふかにするだ。
ずっと待っていたオラ達の大切な坊ちゃま。どうか、明日も笑顔をみせてくだせぇ。
ランディは正しい文章が書けないので、くどい表現や、ぼかしたような表現が多いです。あと、誤字も多いです。
読みにくいかもしれませんが色んなことを書いています。
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今日もケルン坊ちゃまがきなさった。
坊ちゃまは、オラとスラ吉の絵を描いてくださった。
スラ吉のかわいさが伝わってきた。
何度もお礼をいうと、坊ちゃまは、家族なんだから、いいと、いって、くださった。
オラとスラ吉の二人しか家族がいなかった頃と比べて、家族がたくさん増えた。
思えば、オラも遠くまできたもんだ。北の大陸の村から、流れ流れて、中央大陸まできた。
文字も知らない農夫の倅が、もうすぐ、五十年もお世話になっている。
ありがてぇことだ。
村が魔族に焼かれ、スラ吉と二人、どうにかたどり着いた森で、生活を始めていると、オラより五歳は上の貴族様と、三歳ほど上のお付きの方がこられた。
キラキラと綺麗な髪に、空のような目をした貴族様に、浅黒い、耳以外は人族なお付きの方がオラの小屋の前に来ていた。
「誰かは、知らぬが、すぐに出てこい!」
貴族様が大きな声で怒鳴られていた。オラは、きっと殺されるんだと思った。村にいたときも、人間様は、オラのような獣人が嫌いだった。父ちゃんからも、よく、逆らうなと言われていただ。
オラは、スラ吉に、隠れているようにいった。父ちゃんと母ちゃんが、そうオラにいって、魔族から、隠してくれた。今度はオラがスラ吉を守る番だ。村にいたときに拾った傷ついて、小さかったスラ吉も、元気になった。オラがいなくても大丈夫だべ。
「お前一人か?親はどうした?」
貴族様は、とてもびっくりされてた。森に何かがいるのがわかって、来てみたら、十歳ほどの獣人…オラがいたからだ。
オラは、頭を地面になすりつけながら、説明した。村が焼かれ、オラは、一人だと。人間様の土地とは知らずに申し訳なかったと。
すると、貴族様は、とても怒っておられた。オラの話し方が悪かったのかと思うと、こういわれた。
「同じ人なのに、何故、人間様などという?お前は人であろう。ならば、そんなに自分を卑下するな!」
オラは、びっくりした。そんなこと言われたことはなかった。父ちゃんも母ちゃんも獣人で、オラ達は家畜よりマシなもんだと教わっていた
オラが殺されるとでも思ったのか、小屋から、スラ吉が飛び出して、オラを庇うように前に出てきた。今も勇敢だが、オラとしては、女の子らしくお淑やかな方がいいと思うだ。
「スラ吉!出るでねぇ!」
威嚇しているスラ吉を抱きしめると、目の前には、剣をスラ吉に向けている獣人がいた。
「旦那様…いかがいたしましょう?」
とても冷たい目がオラとスラ吉にむけられていた。オラは殺されると思った。村を焼いた奴らの目を思い出したり、この森に来るまでにみた兵士の目そのままだったからだ。
オラは死んでもいいと思った。父ちゃんや母ちゃんもいねぇ。でも、オラは死んでも、スラ吉だけは、助けたかった。
「お願いします!どうか、スラ吉は見逃してくだせぇ!オラのただ一人の家族なんだ!」
スラ吉を抱えて、土下座した。もしかしたら、オラを殺している間に、スラ吉を逃がせるかもしれない。オラはそれしか考えてなかった。今はだいぶ治っただが、オラは泣き虫だ。その時も、泣いていた。日記だから、綺麗に書けてるが、きちんと聞こえてかはわからねぇ。
でも、貴族様は獣人を止めてくれた。
「ただ一人の家族か…ふむ。なら、こうしよう。カルド、うちに庭師はいたか?」
「いいえ、旦那様。執事の私一人しかお屋敷にはおりません」
困っていそうな貴族様の顔と、呆れた顔の獣人、カルド様は、そういって、オラとすら吉を忘れたように話し始めただ。
「それは困ったな。誰かおらんのか?できれば…農家育ちで、野菜作りの上手い者がいいな。残念ながら、我が家は貧乏なのでな。家計の足しにせねば、ならん」
貴族様でも、やっぱり、戦が長く続くと貧乏になるのかもしれない。オラはそう思っただ。
ぼんやり思っていたら、さっきまで怖い目をしていたカルド様が、しゃがんで、オラと目を合せていいなさった。
「おい、お前。名前はなんだ?」
「ラ、ランディといいますだ」
ぶっきらぼうにきかれ、オラは震えながら答えた。今のカルド様は、優しく、大人だが、最初の頃は、息子のティルカによく似て、狼そのままな獣人だった。
「家は農家で、野菜作りは…この畑を、見ればわかるが、上手いな」
小屋のそばに小さい畑をこしらえていただ。自慢じゃないが、オラの父ちゃんもオラも、農地系の促進と改良のスキルを持っていた。母ちゃんからは、農地系の大地の癒しスキルをもらっていたから、どんな作物も、何度植えても、土地が痩せたり、塩害などが起きにくかった。
オラは土の精霊の加護もあって、畑作りには、自信があった。オラのような獣頭の獣人は、得に、価値がなければ、家畜か、家畜以下の生活が、北じゃ当たり前だった。
父ちゃんも、母ちゃんも、手足の一部が熊の獣人だった。それだけでも、税が多かったそうだ。オラが産まれて、さらに税が増やされた。それでも、暮らしができるほどには、土地を肥えさせたし、作物も村一番収穫できた。
カルド様は、貴族様に、オラを指さしてこういった。
「旦那様、ここにランディという庭師がおります。庭師は自分の小屋で作業する方がよろしいと思います」
オラはただ、びっくりした。獣頭の獣人は、貴族様の庭師にはなれない。もし、オラが獣頭でなかったら、庭師になって、父ちゃん達を楽にしてやれるのにと、村にいた頃は思っていた。父ちゃんも庭師だったが、オラの所為で、仕事を無くしてしまった。
「そうだな。それと、手伝いができるものもいるな?そうだ、そのランディは、家族がいるな?その者と一緒に雇おう」
「かしこまりました。ランディ。今日からあなたは、庭師です。何かあればいいなさい」
話についていけない間に、オラとスラ吉は雇われていた。貴族様、いや、旦那様は、ニコニコと、とても暖かい笑顔で、オラ達にいってくっださった。
「よし、今日からお前は俺の家族だ!何かあれば」
「旦那様。俺では威厳がありませんよ」
「そうだったな。とりあえずだ、何かあれば、私にいえ!私は、旦那様だからな!」
カルド様に注意されながら、旦那様は、自信にあふれていなさった。
オラにもそれが移ったように、胸が暖かくなった。
今日から、家族。人間様の、それも貴族様にそういわれるなんて、父ちゃん達は、どんな顔をするだろうな。
それから、色々あっただ。旦那様と奥様、カルド様とフィオナ様と、立て続けにご結婚なされた。オラにも縁談をと、お二人からいわれたが、オラは断った。
オラは、結婚してはいけない。父ちゃん達と約束したことだ。
オラには、お屋敷にいるみんなと、スラ吉がいるので、さびしくはない。
カルド様の息子たちや、娘は、オラをおじさんと呼んで慕ってくれる。それだけで、幸せだ。
一度、オラが街で酔っ払いに絡まれた時なんて、カルド様が「私の弟に何をする!」と助けてくださったり、奉公にきていた使用人から、熊は森から出るなという言葉を言われた時も、子供たちが「おじさんを悪くいうお前が出ていけ!」と追い出していた。
思い出しても、嬉しくて泣けてくるだ。歳を取ると泣き虫は治ると、母ちゃんはいってただが、歳を取ると嬉しくて泣けてくるんだなぁ。
一時、お屋敷には、笑い声がなくなって、悲しいことがあったが、ここ五年は、幸せ以上のものだ。オラには、学がねぇから、いい言葉が浮かばないが、旦那様がいってたように、生きててよかった。
子供は特にオラを怖がるのに、熊の顔をしたオラを怖がらないのは、カルド様の四人の子供たちと、坊ちゃまだけだ。
坊ちゃまは、スラ吉も可愛がってくださる。
料理長のハンクが、坊ちゃまの為に作ったおやつをわけてくださる。ハンクは、坊ちゃまが分けてくださるのを見越して、多めに作っている。
蜂蜜たっぷりのシフォンケーキは、オラも好きだ。坊ちゃまと食べると、さらにおいしい。それ以上に坊ちゃまの笑顔が大好きだ。
明日も、坊ちゃまが怪我をなされぬように、石がないかみてまわり、芝生をもっとふかふかにするだ。
ずっと待っていたオラ達の大切な坊ちゃま。どうか、明日も笑顔をみせてくだせぇ。
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