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第三章 運命の出会いとケモナー
お誘い
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皇太后様は驚いて動けないケルンをひょいっと持ち上げた。
「ティスとディアの息子って、こんなにかわいいのね…少しティスが強めでかしら?男の子だものね。男の子ってこの時期が一番かわいいわ…でも、ほんと、ディアに似すぎなくてよかったわねぇ…あの子昔っからあの容姿で苦労したもの」
「あ、あの」
「あら?なにかしら?」
いや、色々とあるんだけど、まずは確認したい。
皇太后様がさっき、お兄さんを、息子といった聞き違いかな?
「あの、お兄さんって、皇太后様の息子さんなんですか?」
「そうよ。あら?教えてなかったの?エレス」
エレス?それがお兄さんの…あっ。
「そういえばぁ、してなかったねぇ。俺はエイファレウス・クウリィエンシア・ファルメリオン。この国の王様だよぉ。昔風にいえば皇帝陛下だぞぉ!」
「こら、エレス。クレエル帝国の人が聞いたからうるさいんだから、皇帝とかいわないの」
「あはは。よかったら、エレスおじさんと呼んでもいいよぉ?」
お兄さん、いや、エレス様が自分の正体を教えてくれると皇太后様がエレス様をたしなめた。
皇太后様がいったのは、ファルメリオン王朝に関わる話だ。以前、キャスの授業でも習ったことだが、クウリィエンシア皇国は王朝が変わっている。
以前までは皇帝が国を統治していたが、王様のご先祖様が圧政を行っていた父親や兄弟を追い出してから始まった。そのとき、皇帝という名称でもめたのだ。
そのため、クウリィエンシア皇国は、皇国ながら王様と呼ぶ。ミケ君やメリアちゃんが、皇子や皇女と呼ばれるのは名残だ。昔はスメラギコ、スギラミメとかいわれてたが、おうじ、おうじょって方が、二人には合っていると思うけどな。
クウリィエンシア皇国と神聖クレエル帝国。
クレエル王朝という元は同じ血筋の王族同士だが険悪であった。
でも、先王様と皇太后様が結婚したことで少しはましになったそうだ。一年間に小競り合いが何十回もあったのが、数年に一度あるかないかまで下がったそうだ。
とくにここ数年は平和らしい。
しかし、えらいことになったな。王族に抱えられるとかすごい経験だ。
今までの知識でもそんな経験がひっかかることはないぞ。
皇太后様はそのままケルンを抱き上げて庭を歩き出した。
お兄さん、じゃなかった。エレス様が皇太后様の後ろを歩いて鎧姿の女の人は…この世の終わりみたいな顔で、かおいろも悪いな。ミルデイよりも白い。さっきまでは、青色だったのだけどな。
って、どこにつれてかれてんだ?
「ちょうど外でお茶をしようと思っていたのよ。ご一緒にいかがかしら?」
そういわれたが…屋敷に連絡をしていない…いや、しかし、皇太后様の誘いを断れるか?国で一番偉い人の母親だぞ?
「でも、あの…」
ケルン、いいんじゃないか?どのみち屋敷についでに連絡してもらう必要もあるんだ。父様に連絡をしてもらうとかさ。
「お兄ちゃんがいうならいいけどぉ…でも、大丈夫かな?」
なにがだ?
「ナザド」
あっ。
すぐに『転移』で追いかけてこないということは…よし。まだ大丈夫なはず。一刻も早く帰らないといけないけどな。
とりあえず、皇太后様のお茶のときに、使用人の人がいるだろうから、頼もう。
「えーと、んーと…最初に使用人の人に、僕がここにいるって」
「どなたとお話ししているの?」
皇太后様がケルンに尋ねられた。
そういえば、俺たちの会話って一人言にしては長いから変だよな?やばっ、家族の前以外だってことを忘れていた!
ケルン、ちゃんと。
「あのねー、お兄ちゃん!」
誤魔化してくれよ。
「お兄ちゃん…もしかして、噂の?」
ケルンのもちもちのほっぺをつまみながら皇太后様はいわれる。つままないでください。
というか噂?え?噂のっていわれるようなことは…あんまりしていないぞ!
「確か…動物が好きで、弟を弟子にして絵を描いていて、何かあると無茶をする…あの、エフデ?すごい長男体質ってきいたんだけど、無理してない?体が弱いんでしょ?」
「うん!エフデはねー。僕のお兄ちゃんなの!時々ねー、僕より頑張っちゃって疲れちゃってねー、んーと…ケモ?だから、動物さんがいないとだめなのー」
「ケモ?」
こら!ケルン!色々教えすぎだ!あと、ケモナーはお前もだからな!
というか、長男体質ってなんだ!俺がしっかりするのは当たり前だっての。ケルンはまだ小さいんだし、俺がしっかりしないとな。
「優しくて色々知ってて、面白いよー。いいお兄ちゃんだって母様もいうよ?」
「そう…」
恥ずかしくなるから、ほどほどにしてくれ。
というか、皇太后様の顔つきが一瞬、辛そうな、顔になったような気がする。カルドが同じような顔をするんだよな。
戦争や魔族の話を聞くとな。
「へぇー…あの子を騙るやつがいるって聞いてたけどぉ…今どこにいるのかなぁ?」
え?こわっ。エレス様なんか、雰囲気がこわいんだけど。
「お兄ちゃん?んと…お部屋で…なんだっけ?」
母様から、エフデは部屋で寝ている時間が長いから、人里離れた場所にいるっていわれたろ?
「あ、そっかぁ。ひとざーと?え?違う?人里?離れた場所にいるよ」
「そうかぁ…一度、話してみたいなぁ」
ああ…王様とケルンが似ているはずだわ。母親同士が従姉妹だもんな。
ひやっとする笑い方が一緒だ。
そして、話すのは遠慮します。なんかこわい。
「ティスとディアの息子って、こんなにかわいいのね…少しティスが強めでかしら?男の子だものね。男の子ってこの時期が一番かわいいわ…でも、ほんと、ディアに似すぎなくてよかったわねぇ…あの子昔っからあの容姿で苦労したもの」
「あ、あの」
「あら?なにかしら?」
いや、色々とあるんだけど、まずは確認したい。
皇太后様がさっき、お兄さんを、息子といった聞き違いかな?
「あの、お兄さんって、皇太后様の息子さんなんですか?」
「そうよ。あら?教えてなかったの?エレス」
エレス?それがお兄さんの…あっ。
「そういえばぁ、してなかったねぇ。俺はエイファレウス・クウリィエンシア・ファルメリオン。この国の王様だよぉ。昔風にいえば皇帝陛下だぞぉ!」
「こら、エレス。クレエル帝国の人が聞いたからうるさいんだから、皇帝とかいわないの」
「あはは。よかったら、エレスおじさんと呼んでもいいよぉ?」
お兄さん、いや、エレス様が自分の正体を教えてくれると皇太后様がエレス様をたしなめた。
皇太后様がいったのは、ファルメリオン王朝に関わる話だ。以前、キャスの授業でも習ったことだが、クウリィエンシア皇国は王朝が変わっている。
以前までは皇帝が国を統治していたが、王様のご先祖様が圧政を行っていた父親や兄弟を追い出してから始まった。そのとき、皇帝という名称でもめたのだ。
そのため、クウリィエンシア皇国は、皇国ながら王様と呼ぶ。ミケ君やメリアちゃんが、皇子や皇女と呼ばれるのは名残だ。昔はスメラギコ、スギラミメとかいわれてたが、おうじ、おうじょって方が、二人には合っていると思うけどな。
クウリィエンシア皇国と神聖クレエル帝国。
クレエル王朝という元は同じ血筋の王族同士だが険悪であった。
でも、先王様と皇太后様が結婚したことで少しはましになったそうだ。一年間に小競り合いが何十回もあったのが、数年に一度あるかないかまで下がったそうだ。
とくにここ数年は平和らしい。
しかし、えらいことになったな。王族に抱えられるとかすごい経験だ。
今までの知識でもそんな経験がひっかかることはないぞ。
皇太后様はそのままケルンを抱き上げて庭を歩き出した。
お兄さん、じゃなかった。エレス様が皇太后様の後ろを歩いて鎧姿の女の人は…この世の終わりみたいな顔で、かおいろも悪いな。ミルデイよりも白い。さっきまでは、青色だったのだけどな。
って、どこにつれてかれてんだ?
「ちょうど外でお茶をしようと思っていたのよ。ご一緒にいかがかしら?」
そういわれたが…屋敷に連絡をしていない…いや、しかし、皇太后様の誘いを断れるか?国で一番偉い人の母親だぞ?
「でも、あの…」
ケルン、いいんじゃないか?どのみち屋敷についでに連絡してもらう必要もあるんだ。父様に連絡をしてもらうとかさ。
「お兄ちゃんがいうならいいけどぉ…でも、大丈夫かな?」
なにがだ?
「ナザド」
あっ。
すぐに『転移』で追いかけてこないということは…よし。まだ大丈夫なはず。一刻も早く帰らないといけないけどな。
とりあえず、皇太后様のお茶のときに、使用人の人がいるだろうから、頼もう。
「えーと、んーと…最初に使用人の人に、僕がここにいるって」
「どなたとお話ししているの?」
皇太后様がケルンに尋ねられた。
そういえば、俺たちの会話って一人言にしては長いから変だよな?やばっ、家族の前以外だってことを忘れていた!
ケルン、ちゃんと。
「あのねー、お兄ちゃん!」
誤魔化してくれよ。
「お兄ちゃん…もしかして、噂の?」
ケルンのもちもちのほっぺをつまみながら皇太后様はいわれる。つままないでください。
というか噂?え?噂のっていわれるようなことは…あんまりしていないぞ!
「確か…動物が好きで、弟を弟子にして絵を描いていて、何かあると無茶をする…あの、エフデ?すごい長男体質ってきいたんだけど、無理してない?体が弱いんでしょ?」
「うん!エフデはねー。僕のお兄ちゃんなの!時々ねー、僕より頑張っちゃって疲れちゃってねー、んーと…ケモ?だから、動物さんがいないとだめなのー」
「ケモ?」
こら!ケルン!色々教えすぎだ!あと、ケモナーはお前もだからな!
というか、長男体質ってなんだ!俺がしっかりするのは当たり前だっての。ケルンはまだ小さいんだし、俺がしっかりしないとな。
「優しくて色々知ってて、面白いよー。いいお兄ちゃんだって母様もいうよ?」
「そう…」
恥ずかしくなるから、ほどほどにしてくれ。
というか、皇太后様の顔つきが一瞬、辛そうな、顔になったような気がする。カルドが同じような顔をするんだよな。
戦争や魔族の話を聞くとな。
「へぇー…あの子を騙るやつがいるって聞いてたけどぉ…今どこにいるのかなぁ?」
え?こわっ。エレス様なんか、雰囲気がこわいんだけど。
「お兄ちゃん?んと…お部屋で…なんだっけ?」
母様から、エフデは部屋で寝ている時間が長いから、人里離れた場所にいるっていわれたろ?
「あ、そっかぁ。ひとざーと?え?違う?人里?離れた場所にいるよ」
「そうかぁ…一度、話してみたいなぁ」
ああ…王様とケルンが似ているはずだわ。母親同士が従姉妹だもんな。
ひやっとする笑い方が一緒だ。
そして、話すのは遠慮します。なんかこわい。
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