139 / 229
第四章 学園に行くケモナー
杖の完成
しおりを挟む
ナザドに持ち上げられ、部屋に戻ることになった。途中でミルデイに会うかと思ったが、部屋に戻るとミルデイは書き置きを残していた。
「少し出てきますだって」
珍しいな。出迎えがあるもんかと思ったけど。
「んー…お部屋で待ってようかな?『コール』してもいいけど、ミルデイもゆっくりしてもらいたいから」
その方がいいかもな…夜は気を使うだろうしな。
「んー…仕方ないよね…」
仕方ないなぁ…あれは。
どこか遊べる所を見つけてきてくれるのかもしれないな。
時おり、帰ってきた時に、服に泥がついていることがあるのだが、講義のあとでこっそり一人で探検をしているに違いない。何せ、学園の地図に書き込みが増えているからな。丸とかしてあるところは、店とかかな?
そう考えると、この後に控えているナザドの我が儘も我慢できるというのものだ。
「坊っちゃま!今日は僕と晩ご飯を一緒にしてくれますよね?」
叱る意味で断るか悩みそうになったのだが、サーシャル先生の「お願い!」という、目での懇願で承諾した。
確かに影が大きなままだったし、静電気がパチパチと起こっていたからな…内心ではまだサーシャル先生に対していらついてたんだろう。
ケルンを部屋に送るっていうのがなければ、たぶん雷でも落としていただろうな。
迎えにきてくれるらしいけど、食べる場所が微妙だな。
「職員専用食堂だよね?僕も行っていいのかな?」
持ち込みでなら問題ないだろ。他にも王族専用とか、獣人専用とかあるみたいだし…絶対、ご先祖様が絡んでるな。
「んーと…獣人専用のとこのこと?『空気清浄と抜け毛対策がしてあって毛の多い方もご利用になれます』だって。僕たちのお家みたいだね」
むしろ、うちの機能と同じだろ…同じ人なんだし。
学園を建て直したご先祖様は屋敷を建てた人だ。まぁ、屋敷は改装したという方が正しいか。大本は初代の頃のままらしい。
あの「広いとこで鍋パしたらよくね?」でダンスホールを作った人。そのご先祖様の母親はたくさんいて、その中に獣人の母親もいたから、屋敷を改装したそうだ。
掃除とか大変だろうからな。廊下に吸気口があって、毛をまとめて吸い込んで、焼却室で他のゴミと一緒に燃やしている。お湯はその時の熱を利用できるし、冬には床暖房となっていて、一度も寒いと思ったことがない。
おかげでうちは抜け毛がない。埃もないからな。使用人が少なくても美観を損なわない一つの要因だ。もちろん、普段からフィオナとエセニアが窓をふいたり清掃に余念はないがな。
カルドは…ああみえて、不器用なんだよなぁ。
うち以外だと王城も同じような作りだったが、学園も床暖房なんだろうな?そうだじゃなく、あんまり寒かったらケルンが風邪をひくかもしれない。
「お兄ちゃん、心配しすぎだよ」
くすくすとケルンが笑うが、体力はあまりないんだから、風邪を引かないように心がけるのは大事なことだ。
「お兄ちゃんを心配させないようにちゃんと温かくするから」
そうだな。フィオナに編んでもらおう。
「フィオナのお裁縫はすごいもんねー。僕たちもできる?」
やれなくはないが…フィオナから針を借りれるか?
「無理!」
ということで、裁縫は無理にしなくていいだろ。
「はーい!」
フィオナは裁縫が得意だ。それに編み物も得意で家族全員の冬の部屋着を編める。というか服を縫えるのだ。
さすがに式典に出るような服は縫えないだろうが、他のものはだいたい縫える。
「奥様のために覚えまして…安全と補修をしていたらいつの間にかスキルを覚えたときには、どうしたものかと」
なんてフィオナはいっていた。あのときはわからなかったが、母様が剣を使えるって聞いたのを考えたら答えはわかるようなもんだ。
針仕事はフィオナのものと屋敷では決まっている。ケルンが怪我をしないように針仕事をさせてもらえるわけがないのだ。
晩ご飯は、もちろん、ハンクが送ってきた物を食べることになる。そういう約束だからなのと、美味しいのはわかっているからな。
だから、どこで食べても一緒なんだけどな…この部屋でも構わないんだけど、屋敷でもミルデイがナザドを部屋に入れるのを嫌がるからな。
「坊っちゃま。ナザドさんは、絶対に部屋に入れないで下さい。持ち物が無くなるのは困ります」
と、カルドと同じことをいっていたんだよな…流石に、もう、枕とか持っていくことはないと思うんだけどな。
「坊ちゃまに会えないので代わりに持っていきます」
そう笑顔でもって帰るからな。それをみて、ケルン以外が毎回ドン引きしてもナザドは止めないんだよなぁ。
「ご飯なにかなー」
温かいもんかもな。今日も少し冷えたし。
「あっちちー?」
よく冷まして食べろよ。
料理は毎回できたてのように温かい。ハンクの料理が熱々なのはおそらく、父様が移動系の魔法で瞬時に送っているからだろうな。ケルンのためならそれくらい仕事の合間でもやる人だから。
温めるような、機械も魔道具もないからな…レンジとか、あれば色々楽なんだけど、似たような魔法があるらしいからそれで魔道具でもあればな…発明するか。
そんなことに、魔法や知識をを使うのはどうかとも思うのだが、舌がハンクに染まってるからな。美味しい食事は大切だ。
あ、そうだった。ミケ君達にいっておかないとな。晩御飯を一緒にと思ってたけど、ナザドと一緒には遠慮するだろうし。一応、先生と食べるのは気を使うだろうし。ご飯ぐらいは、ゆっくりしたいだろう。
ミケ君たちにいっておけよ?晩御飯は一緒には食べれないって。
「そうだね。精霊様、お願い!『コール』ミケ君?」
「ケルンか。どうした?何かあったか?」
ん?あれ?『コール』の魔法が変だな?声だけなはずなのに、がさごそと音を拾ってきている。魔力を込め過ぎたか。あとで調整し直しておかないと。
何か書いているのだろうか?ミケ君は、皇子モードのようだ。
「あのね、晩ご飯、ナザド先生と食べるから、今日は一緒に食べれないんだぁ」
「ナザド先生と?…そうか。ナザド先生は、元々、フェスマルク家の人間だったな」
やっぱり、知っていたか。ミケ君の頭の中は、いったいどうなっているんだろうか…一回、どこまで知っているのか聞いてみたいな。
ミケ君は、どうやら、まだメリアちゃんと話し込んでいたようだった。談話室にでも行っていたのかな?学園の地図にいくつか談話室あるから、その中の一つにでも行っているんだろう。ざわざわと話し声みたいなのも遠くで聞こえているし、作戦会議とやらを部屋から別なとこにしたってとこか。
「メリア。ケルンは食事を、共にできなくなったぞ…いや、そうじゃない。あの女ではなく、ナザド先生と食事をするそうだ…ああ。それは、明日からでいいだろう?」
メリアちゃんの声は聞こえなかったが、ミケ君が一歩引いたようなガタッという音は聞こえた。もしかしたら、メリアちゃんに威圧でもされたのかな?いやいや、メリアちゃんがそんなこと…しなくもないな。さっきの先輩への対応をみる限り、確実に、母様の血縁を感じる。
「こちらは、構わない。アシュにも伝えておこう」
「ありがとう!お願いするねー」
『コール』を切る間際に、ミケ君の「計画を…」ってのが聞こえた気がしたが凄く気になる。
ミケ君達は、本当に何をしているんだろう?
「遊びに行く予定かな?」
そうかもな。楽しみにしてような。
「うん!」
少しケルンと話しているとやたらとスッキリしたような顔のミルデイが帰ってきて、夜の予定を伝えた。
ミルデイの顔の代わりようは面白かった。
ナザドとの食事については、触れないでおこう。
ミルデイに対して、冷たすぎたから、ケルンが怒ったのだ。もう一度叱ったら、ぽろぽろと泣き出す大人なんて、面倒くさいし、周囲の先生らしき人の目線が、厄介だったからな。
生徒が先生を泣かしているとか、学級崩壊の始まりではないです。あと、調教とか聞こえたけど、止めてくれ!ナザドもケルンもノーマルだからな!俺が保障するから!
ってか、ケルンに変なこと覚えさせる気はねぇかんな!そこの先生は発酵しているのはわかるが手元で描いたもんは消してくれ!
確かに端からみれば変に思うだろうけど、ナザドは昔色々と嫌なことがあって、人間不信なのと屋敷にあんまりいないから、その分を今ケルンに構うことで取り返そうとか、あとは…えーと…普通に病んでるだけだから!
病んでるのさえなければ、いい奴なんだよ!ハイライトのない瞳がデフォルトだけど、いい奴なんだよ!
ただ、しばらく、一緒にはご飯は食べないでおこうと思う。ハンクのご飯は美味しかったが、ナザドの分はなかったことだけは、触れておく。
ハンクはティルカの次にナザドを嫌っているからな。前に大怪我させられたのだから今後も仲良くはできないかもしれない。
まったく気にせずお腹いっぱいでご機嫌なケルンと、なんでか疲れた気分になる俺。おかしいな…ケルンの満足感で俺も満足しているはずなんだが?
部屋に戻って杖を取り出した。
なんでだよ、ほんと。
「戻ってるね」
杖が鍵尻尾になって、葉っぱがピンとはっている。ピコピコと揺れて挨拶しているが、今は目をそらさしてほしい。
「あのね、お兄ちゃんがいってたから、この小さい鐘を…お兄ちゃん?どうしたの?」
え!あ、いや。いい杖だなってな!ケルンが頑張ったから思わずみとれちまった。
「ほんと!嬉しいなー!あ、それでね?この鐘をつけようかなぁって思うの!どう?」
あー…『失せ物探しの鐘』か。いいかもな。サイジャルで、落とし物をしたら使えるだろうし。
ケルンが宝箱から取り出したのは屋敷にあった鐘だ。小さな黄金色の鐘は失くした物を探せるもので、初代のご先祖様の遺品の一つらしい。見た目が綺麗だったから誕生日に父様から貰ったのだ。
かなり古い品らしいけど、今でも現役で使える魔道具だ。
失せ物がこの世にあるかぎり、鐘をそちらにむければ鳴るという優れものだ。
とはいえ、探している場所から遠すぎたり、この世に無いものには効果がない。
ケルンが一番最初に探したのは俺の身体だが、鳴るはずもなかった。それ以外はきちんと鳴った。
性能は高いな。俺の身体はないが、ケルンの中の俺には反応したからな。
「このね、曲がったとこに引っ掛けを作って…あれ?引っ掛け作らなくてもあるね。あったっけ?」
き、気にすんな。
「そう?ま、いっか!飾ってあげるねー。うん!かっこよくなった!」
ケルンの言葉に合わせるように鐘を引っ掛けれるような枝が伸びて、鍵尻尾の内側に鐘が吊るされた。
ほめられた杖は、葉っぱをぶんぶん、ふった。
「僕の杖!素敵だね!」
杖だけに、ステッキってか。
「ステーキ?食べたいの?僕お腹いっぱいだから明日でもいい?」
あ、うん。すまん。寝よう。
「ん?変なお兄ちゃんー」
オヤジギャグには触れないでくれ。
ベッドに潜り込んだら、杖作りで憑かれ…違った。疲れたのもあったのだろう。朝まで熟睡してしまい、またも寝坊だ。ミルデイに減点されてしまった。
ご飯の食べ方が綺麗だったから、プラマイゼロにしてもらったがな!魚の骨を取るのは、得意なのだ。
そして、ついに、まともな授業が今日から始まる。
「少し出てきますだって」
珍しいな。出迎えがあるもんかと思ったけど。
「んー…お部屋で待ってようかな?『コール』してもいいけど、ミルデイもゆっくりしてもらいたいから」
その方がいいかもな…夜は気を使うだろうしな。
「んー…仕方ないよね…」
仕方ないなぁ…あれは。
どこか遊べる所を見つけてきてくれるのかもしれないな。
時おり、帰ってきた時に、服に泥がついていることがあるのだが、講義のあとでこっそり一人で探検をしているに違いない。何せ、学園の地図に書き込みが増えているからな。丸とかしてあるところは、店とかかな?
そう考えると、この後に控えているナザドの我が儘も我慢できるというのものだ。
「坊っちゃま!今日は僕と晩ご飯を一緒にしてくれますよね?」
叱る意味で断るか悩みそうになったのだが、サーシャル先生の「お願い!」という、目での懇願で承諾した。
確かに影が大きなままだったし、静電気がパチパチと起こっていたからな…内心ではまだサーシャル先生に対していらついてたんだろう。
ケルンを部屋に送るっていうのがなければ、たぶん雷でも落としていただろうな。
迎えにきてくれるらしいけど、食べる場所が微妙だな。
「職員専用食堂だよね?僕も行っていいのかな?」
持ち込みでなら問題ないだろ。他にも王族専用とか、獣人専用とかあるみたいだし…絶対、ご先祖様が絡んでるな。
「んーと…獣人専用のとこのこと?『空気清浄と抜け毛対策がしてあって毛の多い方もご利用になれます』だって。僕たちのお家みたいだね」
むしろ、うちの機能と同じだろ…同じ人なんだし。
学園を建て直したご先祖様は屋敷を建てた人だ。まぁ、屋敷は改装したという方が正しいか。大本は初代の頃のままらしい。
あの「広いとこで鍋パしたらよくね?」でダンスホールを作った人。そのご先祖様の母親はたくさんいて、その中に獣人の母親もいたから、屋敷を改装したそうだ。
掃除とか大変だろうからな。廊下に吸気口があって、毛をまとめて吸い込んで、焼却室で他のゴミと一緒に燃やしている。お湯はその時の熱を利用できるし、冬には床暖房となっていて、一度も寒いと思ったことがない。
おかげでうちは抜け毛がない。埃もないからな。使用人が少なくても美観を損なわない一つの要因だ。もちろん、普段からフィオナとエセニアが窓をふいたり清掃に余念はないがな。
カルドは…ああみえて、不器用なんだよなぁ。
うち以外だと王城も同じような作りだったが、学園も床暖房なんだろうな?そうだじゃなく、あんまり寒かったらケルンが風邪をひくかもしれない。
「お兄ちゃん、心配しすぎだよ」
くすくすとケルンが笑うが、体力はあまりないんだから、風邪を引かないように心がけるのは大事なことだ。
「お兄ちゃんを心配させないようにちゃんと温かくするから」
そうだな。フィオナに編んでもらおう。
「フィオナのお裁縫はすごいもんねー。僕たちもできる?」
やれなくはないが…フィオナから針を借りれるか?
「無理!」
ということで、裁縫は無理にしなくていいだろ。
「はーい!」
フィオナは裁縫が得意だ。それに編み物も得意で家族全員の冬の部屋着を編める。というか服を縫えるのだ。
さすがに式典に出るような服は縫えないだろうが、他のものはだいたい縫える。
「奥様のために覚えまして…安全と補修をしていたらいつの間にかスキルを覚えたときには、どうしたものかと」
なんてフィオナはいっていた。あのときはわからなかったが、母様が剣を使えるって聞いたのを考えたら答えはわかるようなもんだ。
針仕事はフィオナのものと屋敷では決まっている。ケルンが怪我をしないように針仕事をさせてもらえるわけがないのだ。
晩ご飯は、もちろん、ハンクが送ってきた物を食べることになる。そういう約束だからなのと、美味しいのはわかっているからな。
だから、どこで食べても一緒なんだけどな…この部屋でも構わないんだけど、屋敷でもミルデイがナザドを部屋に入れるのを嫌がるからな。
「坊っちゃま。ナザドさんは、絶対に部屋に入れないで下さい。持ち物が無くなるのは困ります」
と、カルドと同じことをいっていたんだよな…流石に、もう、枕とか持っていくことはないと思うんだけどな。
「坊ちゃまに会えないので代わりに持っていきます」
そう笑顔でもって帰るからな。それをみて、ケルン以外が毎回ドン引きしてもナザドは止めないんだよなぁ。
「ご飯なにかなー」
温かいもんかもな。今日も少し冷えたし。
「あっちちー?」
よく冷まして食べろよ。
料理は毎回できたてのように温かい。ハンクの料理が熱々なのはおそらく、父様が移動系の魔法で瞬時に送っているからだろうな。ケルンのためならそれくらい仕事の合間でもやる人だから。
温めるような、機械も魔道具もないからな…レンジとか、あれば色々楽なんだけど、似たような魔法があるらしいからそれで魔道具でもあればな…発明するか。
そんなことに、魔法や知識をを使うのはどうかとも思うのだが、舌がハンクに染まってるからな。美味しい食事は大切だ。
あ、そうだった。ミケ君達にいっておかないとな。晩御飯を一緒にと思ってたけど、ナザドと一緒には遠慮するだろうし。一応、先生と食べるのは気を使うだろうし。ご飯ぐらいは、ゆっくりしたいだろう。
ミケ君たちにいっておけよ?晩御飯は一緒には食べれないって。
「そうだね。精霊様、お願い!『コール』ミケ君?」
「ケルンか。どうした?何かあったか?」
ん?あれ?『コール』の魔法が変だな?声だけなはずなのに、がさごそと音を拾ってきている。魔力を込め過ぎたか。あとで調整し直しておかないと。
何か書いているのだろうか?ミケ君は、皇子モードのようだ。
「あのね、晩ご飯、ナザド先生と食べるから、今日は一緒に食べれないんだぁ」
「ナザド先生と?…そうか。ナザド先生は、元々、フェスマルク家の人間だったな」
やっぱり、知っていたか。ミケ君の頭の中は、いったいどうなっているんだろうか…一回、どこまで知っているのか聞いてみたいな。
ミケ君は、どうやら、まだメリアちゃんと話し込んでいたようだった。談話室にでも行っていたのかな?学園の地図にいくつか談話室あるから、その中の一つにでも行っているんだろう。ざわざわと話し声みたいなのも遠くで聞こえているし、作戦会議とやらを部屋から別なとこにしたってとこか。
「メリア。ケルンは食事を、共にできなくなったぞ…いや、そうじゃない。あの女ではなく、ナザド先生と食事をするそうだ…ああ。それは、明日からでいいだろう?」
メリアちゃんの声は聞こえなかったが、ミケ君が一歩引いたようなガタッという音は聞こえた。もしかしたら、メリアちゃんに威圧でもされたのかな?いやいや、メリアちゃんがそんなこと…しなくもないな。さっきの先輩への対応をみる限り、確実に、母様の血縁を感じる。
「こちらは、構わない。アシュにも伝えておこう」
「ありがとう!お願いするねー」
『コール』を切る間際に、ミケ君の「計画を…」ってのが聞こえた気がしたが凄く気になる。
ミケ君達は、本当に何をしているんだろう?
「遊びに行く予定かな?」
そうかもな。楽しみにしてような。
「うん!」
少しケルンと話しているとやたらとスッキリしたような顔のミルデイが帰ってきて、夜の予定を伝えた。
ミルデイの顔の代わりようは面白かった。
ナザドとの食事については、触れないでおこう。
ミルデイに対して、冷たすぎたから、ケルンが怒ったのだ。もう一度叱ったら、ぽろぽろと泣き出す大人なんて、面倒くさいし、周囲の先生らしき人の目線が、厄介だったからな。
生徒が先生を泣かしているとか、学級崩壊の始まりではないです。あと、調教とか聞こえたけど、止めてくれ!ナザドもケルンもノーマルだからな!俺が保障するから!
ってか、ケルンに変なこと覚えさせる気はねぇかんな!そこの先生は発酵しているのはわかるが手元で描いたもんは消してくれ!
確かに端からみれば変に思うだろうけど、ナザドは昔色々と嫌なことがあって、人間不信なのと屋敷にあんまりいないから、その分を今ケルンに構うことで取り返そうとか、あとは…えーと…普通に病んでるだけだから!
病んでるのさえなければ、いい奴なんだよ!ハイライトのない瞳がデフォルトだけど、いい奴なんだよ!
ただ、しばらく、一緒にはご飯は食べないでおこうと思う。ハンクのご飯は美味しかったが、ナザドの分はなかったことだけは、触れておく。
ハンクはティルカの次にナザドを嫌っているからな。前に大怪我させられたのだから今後も仲良くはできないかもしれない。
まったく気にせずお腹いっぱいでご機嫌なケルンと、なんでか疲れた気分になる俺。おかしいな…ケルンの満足感で俺も満足しているはずなんだが?
部屋に戻って杖を取り出した。
なんでだよ、ほんと。
「戻ってるね」
杖が鍵尻尾になって、葉っぱがピンとはっている。ピコピコと揺れて挨拶しているが、今は目をそらさしてほしい。
「あのね、お兄ちゃんがいってたから、この小さい鐘を…お兄ちゃん?どうしたの?」
え!あ、いや。いい杖だなってな!ケルンが頑張ったから思わずみとれちまった。
「ほんと!嬉しいなー!あ、それでね?この鐘をつけようかなぁって思うの!どう?」
あー…『失せ物探しの鐘』か。いいかもな。サイジャルで、落とし物をしたら使えるだろうし。
ケルンが宝箱から取り出したのは屋敷にあった鐘だ。小さな黄金色の鐘は失くした物を探せるもので、初代のご先祖様の遺品の一つらしい。見た目が綺麗だったから誕生日に父様から貰ったのだ。
かなり古い品らしいけど、今でも現役で使える魔道具だ。
失せ物がこの世にあるかぎり、鐘をそちらにむければ鳴るという優れものだ。
とはいえ、探している場所から遠すぎたり、この世に無いものには効果がない。
ケルンが一番最初に探したのは俺の身体だが、鳴るはずもなかった。それ以外はきちんと鳴った。
性能は高いな。俺の身体はないが、ケルンの中の俺には反応したからな。
「このね、曲がったとこに引っ掛けを作って…あれ?引っ掛け作らなくてもあるね。あったっけ?」
き、気にすんな。
「そう?ま、いっか!飾ってあげるねー。うん!かっこよくなった!」
ケルンの言葉に合わせるように鐘を引っ掛けれるような枝が伸びて、鍵尻尾の内側に鐘が吊るされた。
ほめられた杖は、葉っぱをぶんぶん、ふった。
「僕の杖!素敵だね!」
杖だけに、ステッキってか。
「ステーキ?食べたいの?僕お腹いっぱいだから明日でもいい?」
あ、うん。すまん。寝よう。
「ん?変なお兄ちゃんー」
オヤジギャグには触れないでくれ。
ベッドに潜り込んだら、杖作りで憑かれ…違った。疲れたのもあったのだろう。朝まで熟睡してしまい、またも寝坊だ。ミルデイに減点されてしまった。
ご飯の食べ方が綺麗だったから、プラマイゼロにしてもらったがな!魚の骨を取るのは、得意なのだ。
そして、ついに、まともな授業が今日から始まる。
10
あなたにおすすめの小説
スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜
櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。
パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。
車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。
ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!!
相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム!
けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!!
パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
神のミスで転生したけど、幼女化しちゃった! 神具【調薬釜】で、異世界ライフを楽しもう!
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
旧題:神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!
電子書籍は、2026/3/9に発売です!
書籍は2026/3/11に発売(予約受付中)です!メロンブックス様より、特典の描き下ろしSSペーパーがあります。詳しくは、メロンブックス様へお願い致します。
イラストは、にとろん様です。よろしくお願い致します!
ファンタジー小説大賞に投票して頂いた皆様には、大変感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる