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第四章 学園に行くケモナー
商人の子
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手をパンと叩いてナザドはやる気のなさそうなまま指示を出す。
「はい、さっさと並んで見せてください。使用可能か調べたら、実技に入ります。聴講生でも新しい杖の確認がしたいのなら並んでもいいですが、それは…遅れてきたサーシャル先生がやります」
「横暴よ!誰のせいで遅れたと」
「文句は依頼した学長にいえば?さっさと仕事しろよ」
ナザドが呼びかけた方をみれば、肩で息をしているサーシャル先生がいた。確かにサーシャル先生がいないのは変だと思っていたが、学長先生になにか頼まれていたみたいだな。
しかし、本当に仲が悪いな。
「出来栄えは気にしなくてもいいですからね。初めての杖ですから」
ナザドがケルンにむけて話をしたが、それは全体にむけて話してほしい。
まぁ、杖を出している人をみれば、ほとんど全員細工もしていない。削っただけの杖だから出来映えを競うとしたら、ケルンのが一番だな。
ケルンの杖は色んな意味で特別だからな。
「お兄ちゃんと一緒に作ったんだもん!一番だよ!」
とはいえ…他と違いすぎたけどな。
「んー。流行りなのかな?」
かもなぁ。
どうするかな…いや、大丈夫だ。うん。あの、銀髪の女の子も、ケルンの杖と似たような物を持っているし。一人じゃないってのは、いいもんだ。
しかし、あの杖の模様をみたことあるんだけど…どこだったかな?
列をなしてナザドやサーシャル先生が杖のチェックをしているが、ナザドの場合は新入生の杖だからほぼ一瞬で終わっている。一言かけていたりするが、早さでいうならナザドの列だな。
サーシャル先生のところはかなり話し込んでる。
ケルンが並んだら時間をかけそうだから、最後でもいいかな。杖を見られなくてもすむし。
最後尾に並ぼうかとふらふらとしていたら、ミケ君たちと少し離れてしまった。
怒られる前に戻ろうと思ったら声をかけられた。
「君、どないしたん?」
声をかけてきたのはケルンのクラスにいる子だ。
「あ、えっと…マティ君だっけ?」
訛りが独特だったから忘れていなかった。自己紹介のときから話をしたのは初めてだ。杖の素材集めもミケ君たちといたし、魔力量で順番を決めていたから、交流をしていなかった。
「そうやで。よろしゅう頼んます!ケルン君やったよな?」
マティ君もケルンのことを覚えていてくれたようだ。まぁ、人数が少ないクラスだしな。
「いやぁ、えらい綺麗な顔の子やなぁって思ってたんやけど、あの頭でっかちやうちの将来の大将がおったら声かけにくかってん」
「頭でっかち?」
綺麗な顔ってのはケルンのことか?頭でっかち…大将?誰のことだ?
「いやぁ、ほんまは直接お礼がいいたかったんやけど、難しいって、聞いてな。伝えといて。君のな、お兄さんには感謝してるんよ。エフデはんのおかげで大助かりや!ほんま、おおきにな!」
マティ君はぶんぶんと音をたてるほど握手をする。
ほどほどにしてくれ。手首が抜けるじゃないか。
「わわっ!あ、あの。僕のお兄ちゃんを知ってるの?」
「もちろんや」
はて?感謝をされるようなことをした覚えはないし、学園に入るまでマティ君をみたことはないんだが。
「おい!マティ!お前はまた迷惑をかけているのか!」
「おー、こわっ!頭でっかちがきよった」
「誰が頭でっかちだ!」
アシュ君が思いっきり走り込んでマティ君の頭を殴った。痛そうだけどけろりとしている。
「こんっの!石頭が!」
代わりにアシュ君が手をさすっている。
「ご先祖さん譲りや。堪忍な」
呆気に取られていると、列を離れてミケ君たちがこっちにきていたことがわかった。
「久しいな。アシュと仲がいいとは知らなかったぞ?」
「お久しぶりですわね」
二人がマティ君に話しかけている姿は、外じゃなかったら完璧に絵になっているな。さっと腰に手を当てて頭を下げるマティ君をみているとパーティ会場のようだと思うほどだ。
貴族って本当に美男美女だらけというか、結婚相手に器量を求めているせいなのか、子供が美少年と美少女しかいないんじゃないだろうかってぐらいだ。
ケルンみたいにぽやってしてる子とかいないんだろうか?
「お久しぶりですぅ、殿下方。教室では挨拶もせんと失礼しました」
「ミケで構わん。気にするな。他家の子供たちも気にするなといわれていたはずだ」
「頭でっかちは聞かんと行動してはるようですけど」
「口調を改めろ、マティ」
「これは建国以来うちの特権や。知ってるやろ?…おーこわ。睨んできよったで。アシュはなんで大事な幼馴染にこないに冷たいんやろ」
あ、仲がいいとは思っていたが幼馴染なんだ。
まぁ、建国貴族同士なら繋がりがあってもおかしくはないか。ケルンはまだそういうパーティには出ていないが出るようになれば知り合いも増えていくだろうし。
「マティ君のお家はどんなお家?」
「ケルン君は夜会に出てへんかったな。あんま家名はいわんほうがええらしいけど…うちはクウリィエンシア皇国で輸入と銀行関係をさせてもろうてます」
銀行をしていて、商会もやってるっていえば、レーダト家か。
「レーダト家って、お味噌とか?」
そうだな。輸入品とかうちもお世話になっている商会の息子さんなのか。
「まいどです。味噌は王妃様のおかげで人気の品になってますわ」
「ほう。ではお前の店の商いは上手くいっているのか?」
「ぼちぼちでんな」
なんだろう…こてこてな会話だとつっこみをいれたい。
ってか、学園に入ったばかりで商いとかをしているのか?
「商い?お仕事しているの?」
「マティは父親から店を一つ渡されていて経営している」
「小遣い稼ぎは自分でせなあかん。がうちの家訓ですねん」
へー。店を一つか!やっぱり建国貴族ってすげぇな!
「すごいね!」
手放しでほめれば、マティ君は手をふりながら否定する。
「いやいや、別にすごいいことはないんよ。ただおとんの知り合いから渡ってきたもんを店に出してるだけや。おとんみたいな才能はないし。ご先祖さんから続く家の才能も弟が継いでるから、俺は遊んでるだけや」
マティ君はあっけらかんといってのけたが、その場でいた他の子たちの顔色が一瞬だけくもった。
ミケ君が教えてくれたみたいに、マティ君も家の落ちこぼれといわれているのだろうか。
しかし、そんな心配も無意味なほど明るくマティ君は再度ケルンの手を握った。
「せや!弟で思い出したわ!ケルン君。お兄さんによろしゅういっておいてや」
「それなんだけど、なんでお兄ちゃんに?」
心当たりがないんだよなぁ。
「あんな。エフデさんの絵で商売とおとんの同士集めが順調やねん」
「お兄ちゃんの絵で?」
「獣人を守る立場の人らを集めるのに、エフデさんのなんやったかな?注文してた絵で助かったとかいうてたわ」
注文してた絵で…この訛り…あー!
「自営部がこいのおじさん?」
「うちのおとんやな。口癖や」
やっぱりか。あのケモナーのおじさんがマティ君のお父さんか。
肖像画の注文を受けたとき、やたらとたくさんの動物を周りに描いてくれたという注文だったし、エセニアたちを雇えるのを羨ましがっていたから覚えていたのだ。
商人だと周りの目がありすぎて雇った人へ負担になるから屋敷では雇えないと愚痴をいっていたからな。
「おとんはケルン君のお兄さんの愛好家でな…ほら、おたくのご先祖さんのお一人がうちのおとんの趣味と同じやったもんで…子孫であるお兄さんを勝手に同士いうてはしゃいではるんですわ…恥ずかしい」
いやまごうことなき同士だ。なんなら棒神様もそこにはいるぞ。
あとご先祖様はハーレムの人だな。たぶんあの人もケモナーだ。間違いない。
「我が国だけではなく、クレエル帝国内でも獣人保護を頑張ってされている立派な父君ではないか」
「ありゃ、半分以上趣味なんですわ。ほんまかなわんで」
いやいや、マティ君。君のお父さんは立派だ!
母様の出身国ではあるけど、獣人差別が酷いからな。そんな中で他国でも獣人保護をしようとするなんて、素晴らしいじゃないか。
「お兄ちゃんが立派な人だって!お兄ちゃんが家族以外をほめるなんて珍しいんだよ?」
「ほんま?そないいわはってたん?いやぁ、おとんも喜びますわ。でも、おとんが頑張ってくれてるから、クレエルだけやなく、うちらの国もだんだん雰囲気変わってきてて…うちの弟妹もちゃんと夜会に出れそうなんですわ…ただ、心配なんで自分がついていく予定です」
ん?なんでマティ君の弟妹が関係するんだ?わからないでいると、アシュ君が耳打ちしてくれた。
「マティの弟たちは…兎の獣人なんだ。一部だけだが…昔の悪習を引きずる悪い貴族もいるからな」
「僕、悪い人嫌い!」
ケルンは悪い人が本当に嫌いだからな。正義感からじゃなく、俺の身体を奪ったのが悪い人ってので、目の敵にしているのだ。
クレエル帝国とわかれてもまだまだ獣人差別は残っている。寿命の長い人からすれば祖父母の代の話らしいしな。
純潔主義の人は入れ替わりが早くても混血化が進んでいる今では考えれないことだ。
まぁ、そんなことよりもだ。
兎!いいな。どこに特徴がでてるんだろうな。
「うちの弟、ごっつぅかわいいんですよ。耳もふわふわで、妹も精霊みたいで…変態貴族が手出さんように兄ちゃんとして目を見張らんとあきません!」
「似た者親子だな」
「夜会でお父様に語ってらした姿そっくりですわ」
「マティはいつもこうですので…申し訳ないです」
「アシュになら妹を嫁がせてもええで?金も家柄もあるから苦労はせぇへんし…泣かせたら社会的にも物理的にも殺すけど」
「いらん!」
「いらんやと!うちのかわいい精霊様の化身に失礼やろ!」
「お前を義兄なぞ、死んでもごめんだ!」
わーわーと喧嘩をしているが、仲良しの口喧嘩は面白い。マティ君の気持ちもよくわかる。
妹とかろくでもない男には渡したくないよな。うちだと…ミルディが俺からすれば当てはまるのか?
「どこのお兄ちゃんも一緒だね。お兄ちゃんも心配屋さんだもんね」
ケルンに対してはとくに心配になることもあるんだけどな。
「僕?なんでー?」
素直すぎて騙されないかと。
「そこはお兄ちゃんが守ってね?」
おー。
甘えてくるのはいいんだが、俺はお前なんだぞ?ちゃんと、自覚してほしいもんだ。
「夏の夜会か。今年は各家の子供たちが揃うのか」
「楽しいでしょうね」
夜会のことをミケ君とメリアちゃんが話している。
というか、夜会ってなんだろうか?クウリィエンシアではそういった行事があるのか。
「おい、貴様!」
詳しく聞こうと思ったらなんだか偉そうな声をあげるやつがいるようだ。
誰にむけてなんだろうな。
「はい、さっさと並んで見せてください。使用可能か調べたら、実技に入ります。聴講生でも新しい杖の確認がしたいのなら並んでもいいですが、それは…遅れてきたサーシャル先生がやります」
「横暴よ!誰のせいで遅れたと」
「文句は依頼した学長にいえば?さっさと仕事しろよ」
ナザドが呼びかけた方をみれば、肩で息をしているサーシャル先生がいた。確かにサーシャル先生がいないのは変だと思っていたが、学長先生になにか頼まれていたみたいだな。
しかし、本当に仲が悪いな。
「出来栄えは気にしなくてもいいですからね。初めての杖ですから」
ナザドがケルンにむけて話をしたが、それは全体にむけて話してほしい。
まぁ、杖を出している人をみれば、ほとんど全員細工もしていない。削っただけの杖だから出来映えを競うとしたら、ケルンのが一番だな。
ケルンの杖は色んな意味で特別だからな。
「お兄ちゃんと一緒に作ったんだもん!一番だよ!」
とはいえ…他と違いすぎたけどな。
「んー。流行りなのかな?」
かもなぁ。
どうするかな…いや、大丈夫だ。うん。あの、銀髪の女の子も、ケルンの杖と似たような物を持っているし。一人じゃないってのは、いいもんだ。
しかし、あの杖の模様をみたことあるんだけど…どこだったかな?
列をなしてナザドやサーシャル先生が杖のチェックをしているが、ナザドの場合は新入生の杖だからほぼ一瞬で終わっている。一言かけていたりするが、早さでいうならナザドの列だな。
サーシャル先生のところはかなり話し込んでる。
ケルンが並んだら時間をかけそうだから、最後でもいいかな。杖を見られなくてもすむし。
最後尾に並ぼうかとふらふらとしていたら、ミケ君たちと少し離れてしまった。
怒られる前に戻ろうと思ったら声をかけられた。
「君、どないしたん?」
声をかけてきたのはケルンのクラスにいる子だ。
「あ、えっと…マティ君だっけ?」
訛りが独特だったから忘れていなかった。自己紹介のときから話をしたのは初めてだ。杖の素材集めもミケ君たちといたし、魔力量で順番を決めていたから、交流をしていなかった。
「そうやで。よろしゅう頼んます!ケルン君やったよな?」
マティ君もケルンのことを覚えていてくれたようだ。まぁ、人数が少ないクラスだしな。
「いやぁ、えらい綺麗な顔の子やなぁって思ってたんやけど、あの頭でっかちやうちの将来の大将がおったら声かけにくかってん」
「頭でっかち?」
綺麗な顔ってのはケルンのことか?頭でっかち…大将?誰のことだ?
「いやぁ、ほんまは直接お礼がいいたかったんやけど、難しいって、聞いてな。伝えといて。君のな、お兄さんには感謝してるんよ。エフデはんのおかげで大助かりや!ほんま、おおきにな!」
マティ君はぶんぶんと音をたてるほど握手をする。
ほどほどにしてくれ。手首が抜けるじゃないか。
「わわっ!あ、あの。僕のお兄ちゃんを知ってるの?」
「もちろんや」
はて?感謝をされるようなことをした覚えはないし、学園に入るまでマティ君をみたことはないんだが。
「おい!マティ!お前はまた迷惑をかけているのか!」
「おー、こわっ!頭でっかちがきよった」
「誰が頭でっかちだ!」
アシュ君が思いっきり走り込んでマティ君の頭を殴った。痛そうだけどけろりとしている。
「こんっの!石頭が!」
代わりにアシュ君が手をさすっている。
「ご先祖さん譲りや。堪忍な」
呆気に取られていると、列を離れてミケ君たちがこっちにきていたことがわかった。
「久しいな。アシュと仲がいいとは知らなかったぞ?」
「お久しぶりですわね」
二人がマティ君に話しかけている姿は、外じゃなかったら完璧に絵になっているな。さっと腰に手を当てて頭を下げるマティ君をみているとパーティ会場のようだと思うほどだ。
貴族って本当に美男美女だらけというか、結婚相手に器量を求めているせいなのか、子供が美少年と美少女しかいないんじゃないだろうかってぐらいだ。
ケルンみたいにぽやってしてる子とかいないんだろうか?
「お久しぶりですぅ、殿下方。教室では挨拶もせんと失礼しました」
「ミケで構わん。気にするな。他家の子供たちも気にするなといわれていたはずだ」
「頭でっかちは聞かんと行動してはるようですけど」
「口調を改めろ、マティ」
「これは建国以来うちの特権や。知ってるやろ?…おーこわ。睨んできよったで。アシュはなんで大事な幼馴染にこないに冷たいんやろ」
あ、仲がいいとは思っていたが幼馴染なんだ。
まぁ、建国貴族同士なら繋がりがあってもおかしくはないか。ケルンはまだそういうパーティには出ていないが出るようになれば知り合いも増えていくだろうし。
「マティ君のお家はどんなお家?」
「ケルン君は夜会に出てへんかったな。あんま家名はいわんほうがええらしいけど…うちはクウリィエンシア皇国で輸入と銀行関係をさせてもろうてます」
銀行をしていて、商会もやってるっていえば、レーダト家か。
「レーダト家って、お味噌とか?」
そうだな。輸入品とかうちもお世話になっている商会の息子さんなのか。
「まいどです。味噌は王妃様のおかげで人気の品になってますわ」
「ほう。ではお前の店の商いは上手くいっているのか?」
「ぼちぼちでんな」
なんだろう…こてこてな会話だとつっこみをいれたい。
ってか、学園に入ったばかりで商いとかをしているのか?
「商い?お仕事しているの?」
「マティは父親から店を一つ渡されていて経営している」
「小遣い稼ぎは自分でせなあかん。がうちの家訓ですねん」
へー。店を一つか!やっぱり建国貴族ってすげぇな!
「すごいね!」
手放しでほめれば、マティ君は手をふりながら否定する。
「いやいや、別にすごいいことはないんよ。ただおとんの知り合いから渡ってきたもんを店に出してるだけや。おとんみたいな才能はないし。ご先祖さんから続く家の才能も弟が継いでるから、俺は遊んでるだけや」
マティ君はあっけらかんといってのけたが、その場でいた他の子たちの顔色が一瞬だけくもった。
ミケ君が教えてくれたみたいに、マティ君も家の落ちこぼれといわれているのだろうか。
しかし、そんな心配も無意味なほど明るくマティ君は再度ケルンの手を握った。
「せや!弟で思い出したわ!ケルン君。お兄さんによろしゅういっておいてや」
「それなんだけど、なんでお兄ちゃんに?」
心当たりがないんだよなぁ。
「あんな。エフデさんの絵で商売とおとんの同士集めが順調やねん」
「お兄ちゃんの絵で?」
「獣人を守る立場の人らを集めるのに、エフデさんのなんやったかな?注文してた絵で助かったとかいうてたわ」
注文してた絵で…この訛り…あー!
「自営部がこいのおじさん?」
「うちのおとんやな。口癖や」
やっぱりか。あのケモナーのおじさんがマティ君のお父さんか。
肖像画の注文を受けたとき、やたらとたくさんの動物を周りに描いてくれたという注文だったし、エセニアたちを雇えるのを羨ましがっていたから覚えていたのだ。
商人だと周りの目がありすぎて雇った人へ負担になるから屋敷では雇えないと愚痴をいっていたからな。
「おとんはケルン君のお兄さんの愛好家でな…ほら、おたくのご先祖さんのお一人がうちのおとんの趣味と同じやったもんで…子孫であるお兄さんを勝手に同士いうてはしゃいではるんですわ…恥ずかしい」
いやまごうことなき同士だ。なんなら棒神様もそこにはいるぞ。
あとご先祖様はハーレムの人だな。たぶんあの人もケモナーだ。間違いない。
「我が国だけではなく、クレエル帝国内でも獣人保護を頑張ってされている立派な父君ではないか」
「ありゃ、半分以上趣味なんですわ。ほんまかなわんで」
いやいや、マティ君。君のお父さんは立派だ!
母様の出身国ではあるけど、獣人差別が酷いからな。そんな中で他国でも獣人保護をしようとするなんて、素晴らしいじゃないか。
「お兄ちゃんが立派な人だって!お兄ちゃんが家族以外をほめるなんて珍しいんだよ?」
「ほんま?そないいわはってたん?いやぁ、おとんも喜びますわ。でも、おとんが頑張ってくれてるから、クレエルだけやなく、うちらの国もだんだん雰囲気変わってきてて…うちの弟妹もちゃんと夜会に出れそうなんですわ…ただ、心配なんで自分がついていく予定です」
ん?なんでマティ君の弟妹が関係するんだ?わからないでいると、アシュ君が耳打ちしてくれた。
「マティの弟たちは…兎の獣人なんだ。一部だけだが…昔の悪習を引きずる悪い貴族もいるからな」
「僕、悪い人嫌い!」
ケルンは悪い人が本当に嫌いだからな。正義感からじゃなく、俺の身体を奪ったのが悪い人ってので、目の敵にしているのだ。
クレエル帝国とわかれてもまだまだ獣人差別は残っている。寿命の長い人からすれば祖父母の代の話らしいしな。
純潔主義の人は入れ替わりが早くても混血化が進んでいる今では考えれないことだ。
まぁ、そんなことよりもだ。
兎!いいな。どこに特徴がでてるんだろうな。
「うちの弟、ごっつぅかわいいんですよ。耳もふわふわで、妹も精霊みたいで…変態貴族が手出さんように兄ちゃんとして目を見張らんとあきません!」
「似た者親子だな」
「夜会でお父様に語ってらした姿そっくりですわ」
「マティはいつもこうですので…申し訳ないです」
「アシュになら妹を嫁がせてもええで?金も家柄もあるから苦労はせぇへんし…泣かせたら社会的にも物理的にも殺すけど」
「いらん!」
「いらんやと!うちのかわいい精霊様の化身に失礼やろ!」
「お前を義兄なぞ、死んでもごめんだ!」
わーわーと喧嘩をしているが、仲良しの口喧嘩は面白い。マティ君の気持ちもよくわかる。
妹とかろくでもない男には渡したくないよな。うちだと…ミルディが俺からすれば当てはまるのか?
「どこのお兄ちゃんも一緒だね。お兄ちゃんも心配屋さんだもんね」
ケルンに対してはとくに心配になることもあるんだけどな。
「僕?なんでー?」
素直すぎて騙されないかと。
「そこはお兄ちゃんが守ってね?」
おー。
甘えてくるのはいいんだが、俺はお前なんだぞ?ちゃんと、自覚してほしいもんだ。
「夏の夜会か。今年は各家の子供たちが揃うのか」
「楽しいでしょうね」
夜会のことをミケ君とメリアちゃんが話している。
というか、夜会ってなんだろうか?クウリィエンシアではそういった行事があるのか。
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