選ばれたのはケモナーでした

竹端景

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第六章の裏話

帰省した夜の一コマ

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 お兄ちゃんとお家に帰ってきた。でも明後日には帰らないといけないんだって。
 お兄ちゃんが体をもらって初めてのお家だからもっと長くいたいけど、お勉強があるからだめだって。

 お兄ちゃんは先生だから、お休みをとるのも大変なんだってナザドがいってた。ナザドもあんまりお休みをもらえないっていってた。

「お兄ちゃん。今度のお休みっていつ?」
「今日帰ってきたってばっかりなのに、もう次の休みの話か?」

 今日のお兄ちゃんは少しぽわぽわしてる。父様とお酒を飲んでたからかな?お兄ちゃんにすりすりすると、お兄ちゃんもすりすりしてきてくれて、母様がお兄ちゃんが酔っぱらっててかわいいって笑ってた。

「俺の弟が天使すぎる…何でこんなにかわいいんだ?…キラキラやべぇ」

 っていいながら、すりすりしてくれたから、またお酒を飲んでくれてもいいなって思う。いつものお兄ちゃんも優しいけど、お兄ちゃんがぽわぽわしてるのもなんだかおもしろいもん。

 でも、すぐにいつものお兄ちゃんに戻るから酔っぱらってるのは少しだけみたい。

「三樹月後だな。九樹月に一樹月と少しの休みだったはずだ」

 三樹月後かぁ…僕たちは父様がいるからお家にすぐに戻れるから短い休みとかも帰れないのかな?…『転移』って精霊様の契約していったらできるようにならないのか?ナザドに教えてもらおうかなぁ。
 僕の誕生日前には終わっちゃうのはさびしいけど、お兄ちゃんとナザドとミケ君たちがいるもん。がまんしよ。

「世界が産まれた日まではお休みなんだね」
「そうだな。誕生日は、まぁ父様たちなら来るだろからしょげるなって…その前に夜会があるらしいけど」

 お兄ちゃんにはわかちゃうんだった。お兄ちゃんが、色々考えてくれてるのも僕には伝わっているよ。
 僕の誕生日のために…お兄ちゃんの誕生日って僕と一緒でいいのかな?…母様に聞いてみなきゃ。
 あと、夜会ってどうするのかな?

「夜会って何するのかな?」
「そりゃ…社交界デビューなんだし…ダンス…はしなくても、色んな人とおしゃべりしたりとかじゃねぇか?」
「おしゃべりかー…それだけ?」

 でびゅー?はわからないけど、おしゃべりを色んな人とするだけなら、たいくつだなぁ。

「俺も知らないからな。まぁ、楽しんでこいよ」
「え?お兄ちゃんも行くんだよ?」

 お兄ちゃんも僕と一緒に行って、でびゅー?をやって、おしゃべりをするのに。

「俺も?いやいや、俺は留守番を」
「やだ!お兄ちゃんも夜会でびゅー!」
「んー…困ったなぁ…」

 留守番はだめ!
 お兄ちゃんがお顔をかりかりしてるときは、父様たちにだめっていわれて、考えてるときって僕は知ってるけど…でも、お兄ちゃんと一緒にいたいのに。

「お兄ちゃんがいないと僕…やだもん」

 知らない人ばっかりなんでしょ?僕。やだなぁ。

「はぁ…あとで父様と母様に一緒に頼んでくれよ?」
「うん!」

 お兄ちゃんは仕方ないなぁって笑ってる。お顔はないけど、僕には笑っているように思うんだ。僕の頭をなでなでしてくれてるときって声がすっごくやわらかくて、ぽわぽわしてる。酔っぱらってるときよりも、ふわふわしてるかも。

「ほら、布団をちゃんと被って…何だ?」

 お兄ちゃんは僕のわがままをなんだって聞いてくれる。自慢のお兄ちゃんだ。
 だから、今度は僕がお兄ちゃんのお願いを叶えるんだ。

「お兄ちゃん…僕、頑張るね。お兄ちゃんの呪いを絶対に解いてみせるから」

 きっと悪い人がお兄ちゃんに呪いをかけたんだ。お兄ちゃんがすごいから呪いをかけて邪魔をしようとしてるんだ。
 僕だけじゃどうにもならないけど、精霊様と友達になっていけば呪いが解けるんだ。

 だから、頑張る!
 そうしたら、ユリばあ様にお兄ちゃんの体をもらって、抱っこしてもらう!

 誰にも邪魔をさせない。
 絶対に。
 今度こそ。

「…頑張ろうな。じゃあ、明日のために早く寝ような」

 あ、寝る前に!

「絵本を読んで!」

 そういったら、お兄ちゃんは鞄のところに行っちゃった。あれって、お土産をいれてる鞄じゃなかったかな?

「はいはい…あった…ペギン君の新しいのを読んでやろう」
「新しいの?いつ描いたの?」

 とととってお兄ちゃんが絵本を持ってベッドに戻ってきた。持っていたのは僕の知らないペギン君の絵本の表紙だ。
 お兄ちゃんってば、いつのまに描いたんだろ?

「ふふふ…ケルンが授業を受けてるときは暇だからな。こつこつ描いてるんだ…ロウもあるが、どっちがいい?」
「ペギン君!ペギン君のお兄ちゃんはペギン君のお家に帰ってきたんだよね?」

 ロウは漫画だから、また後で読む。絵本はお兄ちゃんに読んでもらうから面白いんだ。お兄ちゃんの読み方って一番上手だもん。
 映画を作るときにペギン君の演技もお兄ちゃんのやり方を真似っこしたからきっとみんなほめてくれたんだと思うなぁ。

 それに、ペギン君のお兄ちゃんがお家に帰ってからのお話が読みたかったからすごく楽しみ!

「それじゃ、読んでやるよ。あるところに、まんまるでかわいいペンギンの」

 お兄ちゃんが絵本を読んでくれるのを聞きながら、僕はいつのまにか眠ってしまっちゃった。
 夢の中で一人ぼっちの誰かと話したと思ったけど…またすぐに忘れちゃった。
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