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第六章の裏話
建国貴族の当主 ②
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ボリンがそそくさと退室するのを横目に確認するとティストールはクレトスの対面に座る。
見た目はあまり年齢差がないように見えるが、クレトスの年齢はティストールの倍ほどもある。ティストールからすれば自分の親を知る歳の離れた友人でもあるのだ。
だからこそどこまで話をするべきか悩んでいた。ザクス家が抱える問題を知っている数少ない内の一人として。
「ティス。前振りはいらないから、教えてもらえるだろうか?」
そうクレトスが切り出す。渡りに船と答えようと思うがあまりにも曖昧だった。
「クレトスさん。教えるとは何のことでしょうか?」
どのことか検討がつかなかった。それだけ頭をよぎるほど、ここのところ立て込んでいた。
「とぼけなくてもいいのです。なぜ養子を取ったのですか?」
「養子?私に養子なんていません」
クレトスの言葉にティストールは少し声量があがる。急に何をいい出したのかと思えばいもしない養子のことで嗅ぎ回られていたのかと、少々不快に思ったのだ。
「…ティス。亡国戦争が終わってから様々な噂が流れた。知っているだろ?」
「ええ。私が妾を作って屋敷に戻っていないだとか、どこどこの娘が私の子を産んだとか…ディアニアが怪我が元で子供ができなくなったとかで私が家のためにそんな愚かなことをしたと耳によくしました」
なるべく押さえているが声量は上がる一方だ。
フェスマルク家ではめったに側室を持たない。いや、そもそも正室も側室もなく『奥さん』とひとまとめにした人物がいたことはある。だが、決して優劣はなく等しく妻として迎えてきているのだ。
先祖の中にどうしても添い遂げることができず、離れ離れになった者がおり、それならみんなで仲良くしようと子々孫々と伝えてきている。
ただ、ティストールなど最近のフェスマルクのは一人しか愛せていないためそういった噂の対象にされることは不愉快だった。
噂を利用してきていても変わらないままだった。
「ケルンですら、養子扱いをされていましたからね」
「そのように仕向けたのではないかな?」
「否定はしません」
建国貴族はサイジャルでに通わねばならない。だが、養子はいかなくてもいい。そういう気持ちがなかったとはいわない。
ロイヤルメイジの職もそうだ。ティストールはケルンが自分の跡を継ぐ必要はないと思っている。むろん、エフデも継がせる気はない。
どうしてもフェスマルク家の者がロイヤルメイジにならねばならないとなれば、以前のとおりナザドを生け贄にでもしようと決めてある。首席ロイヤルメイジなら復帰させるのは簡単なのだ。
「いや、今は話をそらさないでくれ。ケルン君の話ではないんだよ。わかっているだろ?」
やはりそちらか。
ティストールは口を閉ざしてクレトスが尋ねるであろうことを考えた。
クレトス、いやザクス家にとっては決して見逃せないことだ。
「エフデとは何者なのだ?」
何者か。その問いにティストールは一言で返す。
「エフデは私の子です」
誰が何といってもそれだけは変わらない。変えるつもりもない。間違いなく我が子なのだ。
守りきれなかった我が子が還ってきてくれた。ティストールの胸の中にそれしかない。
「やはり…噂の?」
思わずクレトスの言葉に顔をしかめてしまうほどには、腹が立ってしまった。
歳の離れた友人であり、世話にもなっている人物でなければ魔法を使うか、弓で撃ち抜くかしているほどに怒りが沸いただろう。
確かに妻であるディアニアのように、ケルンがいいだしたエフデの存在を最初っから受け入れていたわけではない。遊びのようなものだと思っていた。
子供の一人だと受け入れた矢先に、自分と妻失ったあの子しか知らないことをエフデは語った。その瞬間からティストールの中でエフデは本当の我が子になったのだ。
だというのに、愛人に産ませたり養子だとか…声量はなるべく押さえるがかなり大きくなった。
「いいえ。エフデは私と妻の子です」
「そんなはずがないだろう!」
ティストールの大声よりもさらに大きな悲鳴のような声でクレトスは否定する。
その顔は恐怖すら浮かべていた。
「あのとき私はちゃんと『視た』のだ!胎児の体はすでになく、奥方の子宮の一部も削られていた!あのときのお子は!…助からなかった!」
「確かに…肉体はあの魔族どもが奪い取ったのでしょう。ですが肉体だけです」
クレトスがいうことは正しい。何一つ間違っていない。
ティストールは苦い記憶を思い出しながら肯定する。魔族も確かにそういっていたのだ。
奇跡としかいいようがないことで、ケルンが産まれたがそれまでだ。
エフデはどうあがいても存在するわけがない。
存在していたとなれば、その答えをクレトスは断言する。
「まさか!禁忌に手を出されたか!」
音をたてて立ちあがり、目は血走りながらにらむ。ついで試験管に入った薬品を懐から何本か取り出す。深い緑や赤などの薬は封がされており、封を切らずティストールへと向けられた。
「我が兄のような愚かなことをしたのではないですか!?答えによっては、拘束させてもらいます!」
肩で息をしながらクレトスはいう。戦闘経験はほとんどなくても、前線で暴れる兵士を取り押さえてきたのだ。その手腕は老いても変わらない。
「いえ、クレトスさん。精霊の導きなのでしょう。ケルンと共にあの子は還ってきたんです。禁忌には手をつけていません」
冷静にティストールはいった。クレトスはいくら『視て』も嘘であるといいきれないことに気づいた。それどころか、ティストールの心拍はまったく変化していない。自分の行動に動じてすらいない。
生粋の医務官とロイヤルメイジの差なのだろうか。
「どうか…本当のことを…教えてほしい…」
崩れるように座りこみ、とぎれとぎれに力なくいう。薬品を懐にしまうときも手は震え、しまいおわってもまだ震えたままだ。
ティストールを信用していないわけではない。
強い後悔がクレトスの中にはあるのだ。
「…哀れなあの子のような子供を…私はもう見たくないのです」
ザクス家の汚点であり哀れな子の顔を思い出し、ぽとりと涙を一つ落とす。
「…エフデは私の息子です。偽りはありません。禁忌も犯しておりません」
「そうですか…」
嘘ではないのだろうが、真実でもないのだろう。
誤魔化すことができるティストールの方が上手かと、思ったときだった。
『偉大なる神ボージィンと光の精霊王に我が命を持って誓います』
「誓約っ!ティス!馬鹿なことを!」
魔力を持ってティストールは宣言した。それもボージィンとティストールが契約する精霊の中でわずかに縁がある光の精霊王に命をもっての誓約だ。
偽りなら灰となって死を迎える。それほど強い誓約だった。
だが、いくら待ってもクレトスの目にそんな悲惨な光景は飛び込んでこない。
「なんともありませんよ。偽りではないのですから」
真実なら何も変わらない。魔力の高い者だけが証明できる何よりの証拠だ。
「そんな…ボージィンの奇跡か…」
「かもしれません。あの子たちはひょっとするとボージィンに愛されているのかもしれませんから」
「しかし、今のままでは…」
ボージィンの奇跡であっても異物に魂が入っている状況がまともであるわけがない。確実にどこかで歪みがくるのを知っているからこそ来るべき別れを思えばフェスマルク家の面々はつらいだろうとクレトスは考えた。
「ここだけの話ですが」
その考えを読んだティストールは声を潜めていう。
「サイジャルにおわすあの方が秘技を行われるとのことです」
「なんと!あの方がですか!」
「息子を健康な体にしてくださるそうです。私と妻の血液はすでにあの方へと渡しました」
エフデの体を用意できると知るや、すぐに行動はしていた。けれども呪いの件がなくても、エフデはしばらく表から隠していただろう。
ティストールは魔族がディアニアを襲ったときの呪いの名残だとすぐにわかったが、エフデやケルンには一切いっていない。家の者にも口外しないように厳命したほどだ。
まだあのとき誰が魔族にディアニアの妊娠を教えたのかはわかっていない。エフデには悪いと思っているが、犯人に報復するまでは今の姿でいてもらわねばならない。
きっと無茶をするからな。
自分がそうだから息子もそうする。ティストールは家の者にそういった。全員が納得していたため、子供たちには内緒にすることになったのだ。
「…『曇りなき眼』を持つあの方が動かれるとは…では、まことに…まことに…ああ…」
「いずれ会わせます。我が祖。フェスマルクに誓って」
クレトスが先代の王との約束を守れず、医務官を辞した原因でもある亡国戦争。
様々な人々に傷をつけた戦争であった。
戦争で狂った家族によって行われたこともあった。
クレトスは立ちあがり地面に正座をする。
「精霊に愛されたフェスマルク家当代当主殿に医の大家ザクス家先代当主として願い奉る」
深々と頭を下げ、祈るように言葉を紡ぐ。
「どうか…哀れな…あの男の妄執に呪われたあの子を…救ってください」
狂った男によって行われたザクス家の悪行。
原因の一端でもあるフェスマルク家に願うなどおかしなことかもしれない。それでも医師としての直感が囁くのだ。
フェスマルク家ならあの子を治療できるのではないかと。
「フェスマルク家当代当主ティストール・フェスマルク。ザクス家先代当主殿の願い…しかと聞きました」
膝をつき、頭を下げたままのクレトスの肩を支え頭を上げさせる。憔悴しきったクレトスのの顔をみて、ティストールは力強くうなづいた。
「息子に…いえ、息子たちにお任せください。私以上に精霊に愛されたあの子たちなら救えるはずです」
ティストールの耳には精霊の声が聞こえている。今も語りかけている。
『フェスマルクの子に救われる』
まるで未来のことを告げるような精霊の言葉を信じたのではない。
息子たちのことだから父親として信じることにしたのだ。
「なにより、フェスマルク家の者としての宿命ですからね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
前回の『花裂病』の記述が抜けていたので確認していただけるとありがたいです。
次回から新章
『ケモナーと精霊の血脈』
をお送りする予定です。
急なアルファポリスの接続不良に焦りました。
見た目はあまり年齢差がないように見えるが、クレトスの年齢はティストールの倍ほどもある。ティストールからすれば自分の親を知る歳の離れた友人でもあるのだ。
だからこそどこまで話をするべきか悩んでいた。ザクス家が抱える問題を知っている数少ない内の一人として。
「ティス。前振りはいらないから、教えてもらえるだろうか?」
そうクレトスが切り出す。渡りに船と答えようと思うがあまりにも曖昧だった。
「クレトスさん。教えるとは何のことでしょうか?」
どのことか検討がつかなかった。それだけ頭をよぎるほど、ここのところ立て込んでいた。
「とぼけなくてもいいのです。なぜ養子を取ったのですか?」
「養子?私に養子なんていません」
クレトスの言葉にティストールは少し声量があがる。急に何をいい出したのかと思えばいもしない養子のことで嗅ぎ回られていたのかと、少々不快に思ったのだ。
「…ティス。亡国戦争が終わってから様々な噂が流れた。知っているだろ?」
「ええ。私が妾を作って屋敷に戻っていないだとか、どこどこの娘が私の子を産んだとか…ディアニアが怪我が元で子供ができなくなったとかで私が家のためにそんな愚かなことをしたと耳によくしました」
なるべく押さえているが声量は上がる一方だ。
フェスマルク家ではめったに側室を持たない。いや、そもそも正室も側室もなく『奥さん』とひとまとめにした人物がいたことはある。だが、決して優劣はなく等しく妻として迎えてきているのだ。
先祖の中にどうしても添い遂げることができず、離れ離れになった者がおり、それならみんなで仲良くしようと子々孫々と伝えてきている。
ただ、ティストールなど最近のフェスマルクのは一人しか愛せていないためそういった噂の対象にされることは不愉快だった。
噂を利用してきていても変わらないままだった。
「ケルンですら、養子扱いをされていましたからね」
「そのように仕向けたのではないかな?」
「否定はしません」
建国貴族はサイジャルでに通わねばならない。だが、養子はいかなくてもいい。そういう気持ちがなかったとはいわない。
ロイヤルメイジの職もそうだ。ティストールはケルンが自分の跡を継ぐ必要はないと思っている。むろん、エフデも継がせる気はない。
どうしてもフェスマルク家の者がロイヤルメイジにならねばならないとなれば、以前のとおりナザドを生け贄にでもしようと決めてある。首席ロイヤルメイジなら復帰させるのは簡単なのだ。
「いや、今は話をそらさないでくれ。ケルン君の話ではないんだよ。わかっているだろ?」
やはりそちらか。
ティストールは口を閉ざしてクレトスが尋ねるであろうことを考えた。
クレトス、いやザクス家にとっては決して見逃せないことだ。
「エフデとは何者なのだ?」
何者か。その問いにティストールは一言で返す。
「エフデは私の子です」
誰が何といってもそれだけは変わらない。変えるつもりもない。間違いなく我が子なのだ。
守りきれなかった我が子が還ってきてくれた。ティストールの胸の中にそれしかない。
「やはり…噂の?」
思わずクレトスの言葉に顔をしかめてしまうほどには、腹が立ってしまった。
歳の離れた友人であり、世話にもなっている人物でなければ魔法を使うか、弓で撃ち抜くかしているほどに怒りが沸いただろう。
確かに妻であるディアニアのように、ケルンがいいだしたエフデの存在を最初っから受け入れていたわけではない。遊びのようなものだと思っていた。
子供の一人だと受け入れた矢先に、自分と妻失ったあの子しか知らないことをエフデは語った。その瞬間からティストールの中でエフデは本当の我が子になったのだ。
だというのに、愛人に産ませたり養子だとか…声量はなるべく押さえるがかなり大きくなった。
「いいえ。エフデは私と妻の子です」
「そんなはずがないだろう!」
ティストールの大声よりもさらに大きな悲鳴のような声でクレトスは否定する。
その顔は恐怖すら浮かべていた。
「あのとき私はちゃんと『視た』のだ!胎児の体はすでになく、奥方の子宮の一部も削られていた!あのときのお子は!…助からなかった!」
「確かに…肉体はあの魔族どもが奪い取ったのでしょう。ですが肉体だけです」
クレトスがいうことは正しい。何一つ間違っていない。
ティストールは苦い記憶を思い出しながら肯定する。魔族も確かにそういっていたのだ。
奇跡としかいいようがないことで、ケルンが産まれたがそれまでだ。
エフデはどうあがいても存在するわけがない。
存在していたとなれば、その答えをクレトスは断言する。
「まさか!禁忌に手を出されたか!」
音をたてて立ちあがり、目は血走りながらにらむ。ついで試験管に入った薬品を懐から何本か取り出す。深い緑や赤などの薬は封がされており、封を切らずティストールへと向けられた。
「我が兄のような愚かなことをしたのではないですか!?答えによっては、拘束させてもらいます!」
肩で息をしながらクレトスはいう。戦闘経験はほとんどなくても、前線で暴れる兵士を取り押さえてきたのだ。その手腕は老いても変わらない。
「いえ、クレトスさん。精霊の導きなのでしょう。ケルンと共にあの子は還ってきたんです。禁忌には手をつけていません」
冷静にティストールはいった。クレトスはいくら『視て』も嘘であるといいきれないことに気づいた。それどころか、ティストールの心拍はまったく変化していない。自分の行動に動じてすらいない。
生粋の医務官とロイヤルメイジの差なのだろうか。
「どうか…本当のことを…教えてほしい…」
崩れるように座りこみ、とぎれとぎれに力なくいう。薬品を懐にしまうときも手は震え、しまいおわってもまだ震えたままだ。
ティストールを信用していないわけではない。
強い後悔がクレトスの中にはあるのだ。
「…哀れなあの子のような子供を…私はもう見たくないのです」
ザクス家の汚点であり哀れな子の顔を思い出し、ぽとりと涙を一つ落とす。
「…エフデは私の息子です。偽りはありません。禁忌も犯しておりません」
「そうですか…」
嘘ではないのだろうが、真実でもないのだろう。
誤魔化すことができるティストールの方が上手かと、思ったときだった。
『偉大なる神ボージィンと光の精霊王に我が命を持って誓います』
「誓約っ!ティス!馬鹿なことを!」
魔力を持ってティストールは宣言した。それもボージィンとティストールが契約する精霊の中でわずかに縁がある光の精霊王に命をもっての誓約だ。
偽りなら灰となって死を迎える。それほど強い誓約だった。
だが、いくら待ってもクレトスの目にそんな悲惨な光景は飛び込んでこない。
「なんともありませんよ。偽りではないのですから」
真実なら何も変わらない。魔力の高い者だけが証明できる何よりの証拠だ。
「そんな…ボージィンの奇跡か…」
「かもしれません。あの子たちはひょっとするとボージィンに愛されているのかもしれませんから」
「しかし、今のままでは…」
ボージィンの奇跡であっても異物に魂が入っている状況がまともであるわけがない。確実にどこかで歪みがくるのを知っているからこそ来るべき別れを思えばフェスマルク家の面々はつらいだろうとクレトスは考えた。
「ここだけの話ですが」
その考えを読んだティストールは声を潜めていう。
「サイジャルにおわすあの方が秘技を行われるとのことです」
「なんと!あの方がですか!」
「息子を健康な体にしてくださるそうです。私と妻の血液はすでにあの方へと渡しました」
エフデの体を用意できると知るや、すぐに行動はしていた。けれども呪いの件がなくても、エフデはしばらく表から隠していただろう。
ティストールは魔族がディアニアを襲ったときの呪いの名残だとすぐにわかったが、エフデやケルンには一切いっていない。家の者にも口外しないように厳命したほどだ。
まだあのとき誰が魔族にディアニアの妊娠を教えたのかはわかっていない。エフデには悪いと思っているが、犯人に報復するまでは今の姿でいてもらわねばならない。
きっと無茶をするからな。
自分がそうだから息子もそうする。ティストールは家の者にそういった。全員が納得していたため、子供たちには内緒にすることになったのだ。
「…『曇りなき眼』を持つあの方が動かれるとは…では、まことに…まことに…ああ…」
「いずれ会わせます。我が祖。フェスマルクに誓って」
クレトスが先代の王との約束を守れず、医務官を辞した原因でもある亡国戦争。
様々な人々に傷をつけた戦争であった。
戦争で狂った家族によって行われたこともあった。
クレトスは立ちあがり地面に正座をする。
「精霊に愛されたフェスマルク家当代当主殿に医の大家ザクス家先代当主として願い奉る」
深々と頭を下げ、祈るように言葉を紡ぐ。
「どうか…哀れな…あの男の妄執に呪われたあの子を…救ってください」
狂った男によって行われたザクス家の悪行。
原因の一端でもあるフェスマルク家に願うなどおかしなことかもしれない。それでも医師としての直感が囁くのだ。
フェスマルク家ならあの子を治療できるのではないかと。
「フェスマルク家当代当主ティストール・フェスマルク。ザクス家先代当主殿の願い…しかと聞きました」
膝をつき、頭を下げたままのクレトスの肩を支え頭を上げさせる。憔悴しきったクレトスのの顔をみて、ティストールは力強くうなづいた。
「息子に…いえ、息子たちにお任せください。私以上に精霊に愛されたあの子たちなら救えるはずです」
ティストールの耳には精霊の声が聞こえている。今も語りかけている。
『フェスマルクの子に救われる』
まるで未来のことを告げるような精霊の言葉を信じたのではない。
息子たちのことだから父親として信じることにしたのだ。
「なにより、フェスマルク家の者としての宿命ですからね」
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前回の『花裂病』の記述が抜けていたので確認していただけるとありがたいです。
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