選ばれたのはケモナーでした

竹端景

文字の大きさ
228 / 229
第七章 ケモナーと精霊の血脈

護衛

しおりを挟む
 今日の朝は少し用事があって早めに寮を出てハルハレで朝食をとった。眠気というのはあまりない。眠りには強い体っていうのはいい。
 ケルンが授業をしている間に調べ物もできるからな。

 とはいえ、一人では行動はできない。護衛を誰かしらに頼んでも、その日のケルンの気分にも大きく左右されて許可が降りない日もある。屋敷の人間というか、家族ならいいんだけど、クランの人間も日によっては許可がおりずに、ケルンの胸ポケットに収納されるときもある。

 今回もちゃんと護衛を頼んだし、それにケルンの機嫌がかなりよかったので、護衛にも手を振って見送られた。

「護衛を頼んだが…なんでお前が来た?」
「若様。俺が護衛じゃ不満なのか?」

 ちょっとした絵の資料とかを探すときに図書館を利用しているんだが、ケルンがいると脱線する。
 一人のときなら時間もかからないんだけど、図書館の蔵書に絵本とかいれてあるのはトラップだと思う。ケルンに釣られて俺も読んでしまい何度も通うはめになり…その絵本も借りて読み聞かせをするし…まさか、ケルンが狙って…ないな。素だわ。

 護衛でも目立たないってことと、サイジャルに通っていたのを含めていつもはカルドが来ているのに、なんでティルカが来たんだ?
 不満はないが、理由がわからないからもどかしい感じだ。

「親父は旦那様のお使いの真っ最中だからな。それに若様を守るなら俺だろ」

 お使い?父様がカルドに頼むってことは屋敷関係かな?だったら仕方ないか。屋敷の執事はカルドだけだからな。ミルディは見習いだし、ケルンの専属だ。他に誰か雇ってもいいけど、今のとこ不便は感じないから、雇うことはない。行儀見習いもしばらく断るらしいし。
 俺としてはランディを手伝える庭師の見習いが欲しい。ランディと触れ合える時間が増えるのは俺としてもケルンの情操教育にとてもいい効果があると思っている。
 あと俺の癒し。

 俺専属の執事はおそらくつけられることはない。父様が冗談か本気かわからないことをいっていたからな。

「エフデに執事をつけるなら、最低でも王宮の執事長程度のことができないと話にならない」
「身のまわりの世話はエセニアがいますもの。必要ないわ」

 と母様と笑いながらいっていた。目も笑っていたから含みはないと思う。
 王宮の執事長と同レベルなんて聞いたことがない。つまり、そんな人物はいないってことだ。

 カルドには悪いが元気なうちは働きまくってくれ。

「いや、お前でいいけどさ…仕事はどうした?」
「暇だから休んだ!」
「暇なのはいいが…暇でいいんだよな?」

 軍でこき使われているティルカが休めるってことは、今は本当に暇なんだろう。
 でも、軍で暇っていいんだよな?忙しいのもよくないが、暇な軍って解体とかされないか?まだティルカに満足な給料を上げれないんだけど。

 うち名産とかないから、俺とケルンが頑張って名産になるものを作らないとな…屋敷に帰る前に実験をしにいってみるか。

「ささ、若様」
「おう。図書館まで案内するから頼むわ」

 そのまま上機嫌なティルカの肩の上に乗せられて図書館に行き資料集めをした。いつもと違いファンの人や意見交換の人がら声をかけられることもなく、集中してやれたんだが、いつもこうなら資料集めがはかどるんだけどな。

 ただいい笑顔のティルカがじっとしてられず、たまに素振りをし始めたりして俺の邪魔をしてきていたけど。
 予定より早く済んだからティルカと近況報告をしていたら、昼になりケルンへと返されてティルカとは別れた。

 あいつも冗談をいえるようになったんだな。

「んじゃ、若様。坊ちゃま。俺走って帰るから」

 っていって走っていった。ハルハレで父様が拾ってくれるはずだから待たせないように気を使ったのか。そんなことをしなくても父様のことだ。まったく気にしないどころか、気を使ったのを逆に怒るかもしれない。
 家族が遠慮しあうのは好きじゃないんだよな。

「お兄ちゃん、絵本はある?」
「ん?あるぞ。今夜読んでやるからな。午後からの勉強を頑張れよ」
「わーい!頑張る!」

 かなり機嫌がいいな…午後からの授業って、ケルンが苦手なマナー関係じゃなかったか?夜会が近いから母様から強制的に参加させられていて、終わるたびにべそをかいてミケ君とメリアちゃんに慰められているほど嫌いだっていうのに。

 まぁ、気が変わらないことを祈ろう。
 俺はクランのやつらと原稿を描く。

 俺もマナー関係の授業は好きじゃない。
 そもそもダンスなんて踊れるかっていうの。そういうのはケルンに任せた。俺は保護者席で茶でもしばく。

 機嫌がよかった原因がわかったのは授業を終えてすぐだった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
少し出ていたのと仕事で遅れました。
明日も更新します。
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。 パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。 車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。 ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!! 相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム! けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!! パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

神のミスで転生したけど、幼女化しちゃった! 神具【調薬釜】で、異世界ライフを楽しもう!

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
旧題:神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜  ※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!  電子書籍は、2026/3/9に発売です!  書籍は2026/3/11に発売(予約受付中)です!メロンブックス様より、特典の描き下ろしSSペーパーがあります。詳しくは、メロンブックス様へお願い致します。  イラストは、にとろん様です。よろしくお願い致します!  ファンタジー小説大賞に投票して頂いた皆様には、大変感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...