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チュートリアルイベント
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他人が組んだイベントをやるってのはどんなささいなもんでも胸が踊るもんだ。
しかも初イベントは誰の中にも記憶として残るだろう。
俺たちがこのゲームを組んだときはチュートリアルイベントも完全ランダムになっていた。
人助けしたり、モンスターが出たり、NPCから喧嘩を売られたり。
中には初めてのイベントで知り合ったNPCと仲間になり十年以上組んだり、ゲーム内でNPCと結婚したプレイヤーも出たほどだ。
そんな大事な初イベント。
「おい!小僧!金目のもの出しな!」
なんで盗賊団のおっさんたちに囲まれてるんだろうか。
というか臭い。やベぇ、臭いがする。吐き気がじわじわくる。まさかアクティブスキルなんだろうか?んなわけねぇか。
どんだけ風呂に入っていないのかわからないが、とにかく獣臭い。それと加齢臭。
歯も茶色くボロボロだ。片寄った食生活をしているのが原因か?
アルの教育によって自慢じゃないが俺は料理や食事にこだわりがある。
サブ職の料理人は趣味と隠しステのためってのもあるが、自分で栄養管理をゲーム内とはいえやっていたかったのだ。
「おうおう。すっかりびびって黙っちまったか?あはっはっはっ!」
口臭もやべぇ。ゲーム内でしか知らないが腐肉系モンスターに囲まれたのを思い出すレベルだ。
びびってとかありえねぇ。ステータスを見るまでもなく雑魚だからな。
マスクとか装備品になかったか?ガスマスク…確かイベントでもらったのがあったような。
「この辺じゃみねぇ顔つきだが…いいもん着てんじゃねぇか?なぁ、おい」
あのイベントもいいイベントだった。エタニエルが作ったイベントだったから鬼畜かつ後味が悪かったからな。
あいつ、悪魔だ。
病魔を倒せってイベントフラグを立てた瞬間、この広いエタニティアの世界のどこかにいる患者の一人を治療しないと永続バッドステータスがついたままになる。
しかも患者が死んだら別な患者へいくっていう厄介なイベントだった。
『慈悲の医師マスク』は鳥みたいな見た目で、あれをつけていないとどんどん悪化していくうえにマスク越しでしか病魔が見えない。
『表』のエタニティアでは難易度は低かったろうが、俺たちしかやってない『裏』はマジで大変だった。
ゲーム内で切れたイベントの一つだったな。理不尽だった。
しかも病魔の見た目が犠牲になったNPCの姿で、子供だったから後味がすこぶる悪かった。
病魔はウィルスとしてNPCに感染後、データの関係上子供のNPCから破壊されていくことになったからな。
「どっかの村の村長の息子か?」
苦情もそこそこでるし、エタニエルの無慈悲っぷりに、さすがAIだなと感心したほどだ。
それからあいつの作るイベントって色んな意味でプレイヤーを苦しめたな…楽しめたけど、あいつ絶対サディストだろ。AIのくせに。
「よくみりゃ使えねぇこともねぇガキか…おら、裸になって這いつくばれよ。可愛がってやっからよ」
「んなことせずに、売って娼館に行こうぜ」
近寄ってくるから現実に戻された。
「くそ…」
消えててくれたらよかったのにな。リセットだこんなもん。だが、リセット機能はないんだよな、エタニティアには。何せ全プレイヤーの行動が世界に影響を与えるシステムになっている。
例えば俺のチュートリアルを無視して別なやつのチュートリアルに参加することも可能だ。
だが、俺がすべきだったチュートリアルは誰もしない。それによってその後どういう結果になるかはわからない。
ヨリタが作り上げたシステムの一つ『カオス・システム』これがこのゲームを現実のように予測不可能にさせた。
だがめんどくせぇ。盗賊とか。
しかしまさかこれがチュートリアルイベントでいいのか?転生しまくってるプレイヤーからすればやる価値もねぇイベントだぞ?せめてエリアボスとか連れてこいよ。
隠れているやつや、遠くにいるやつを含めて四十人ほどの集団で、わざわざ俺のとこに十人もきてもらってもだ。雑魚は雑魚。
大きな獲物にはならねぇ。
一応、確認をするがマーカーは全員赤。というか真っ赤だ。敵に間違いはねぇし…さくっと殺るか。残していてもろくなことをしないNPCなのは間違いない。
エタニエルならこいつらを使って村を焼き払うとか組みそうだしな。
なんだか順番やら色々話しているようだけど、どうでもいいか。
「うっせぇな。ほら並べよ。そっくり刈ってやんよ。剃り残しの頭を首共々な」
「んだとぉ!」
会話をする気はない。
会話ってのは同じ知能か、相手を思いやる気持ちが必要だ。
ところが、こいつらにはどちらもないし、必要もない。何の特にもならないなら、さくさく続けた方がいい。
もしかしたらこいつらと戦闘したらログアウトが可能になるかもしれないんだしな。それに俺はかけている。
「なめてんじゃねぇぞ!くそガキが!」
つばをはきちらしながら男の一人が殴りかかってきた。
「くっさ!」
「げぶっ!」
近寄るとさらに悪臭が強くなった。思わず足蹴りしてしまう。ぐちゃって音をあげて、木々をへし折りながら男は飛んでいく。
経験値が1とかゴミすぎて泣けそうだ。ドロップは…必要もないか。臭そうだし、回収はしないでおこう。
「…よぇぇ」
マジで調整をミスってるな。俺の軽い蹴りで死ぬってことは転生設定がいかされていないんじゃねぇか?やはりバグが多いと…エタニエルに修正させないとな。
「お…おい!な、なんだよ!」
「ありえねぇぞ!だいじょう…うぐ」
男の一人が吹き飛ばされた男の安否を確認しようとして口を押さえる。
重なるように隠れていた仲間たちが団子のように固まっているのが視界に入ったのだろう。
ここら辺の反応は悪くないんだが、もう少し知能を持たせたAIに育ってくれなかったのか、そういう役割なのか。
どっちにしろ、つまらねぇな。
「足が汚れたんだけど、くそ雑魚イベントはプログラムからやり直せ?わかったか?」
「何を意味がわかんねぇこといってんだ!」
「ば、化け物だ!あれを見ろよ!」
男が指差す先で肉団子が消えていく。アイテムとか拒否したした、七人もいて経験値が1しか入らないとか、旨味もない。これ、ボーナスこみで経験値が1だからな…ってことは、イベント経験値が1って可能性が高いな。
どんどんやる気がなくなる。こいつらもやる気がなくなってるし、早く次に行きたいところだ。
「何でだ!消えていってる!」
「いや、倒したら消すだろ。邪魔だし。いいエフェクトだろ?俺が組んだんだ」
砂のようにさらさら消えていくってなんかかっこいいだろ?何も残らないんだ。データの欠片すら風化して砂になるって表現だ。
まぁ、任意で残せるけど残しても何の意味もねぇからゴミ箱に送ったんだがな。
「な、なに、いって」
NPCにいったところで理解はしないし、できないだろう。それがエタニティアのルールだ。現実世界のことはこちらじゃまっとうに伝わらない。
だから隔絶された世界ってなるんだがな。
「お、おい!飛び道具を」
矢でもくんのか?
そう思っていたら、命令した男の足元へ矢が飛んできた。
「矢!どこから」
「お頭ぁ!あれ!」
一人の男が指す先に馬に乗った男たちと、馬車が見える。
馬車には旗がついており、三角形の中心に黄金の豚が描かれていた。
なぜ、豚なんだ?
「ソリアス商会の旗だとぉ!」
「あれ、B級冒険者じゃないっすか!やばいですよぉ!」
「化け物と冒険者なんて勝ち目がないっす!」
B級冒険者?そんな高いNPCじゃないだろ。Cより上はプレイヤーか、俺の配下ぐらいしかいないはずだ。
新しく作ったのか?…書いてなかったが仕様変更がやたらと多いな。
「全員ずらかれ!」
盗賊たちは逃げるようだ。始末してもよかったが、旨味もないし、それより近づいてくるNPCの方が大事だ。
ソリアス商会とかいわれたNPCはすでに確認済みだ。全員、今のところ白だった。…あんまり敵対しまくるとチュートリアルイベントが長引いてしまう。
馬に乗った男の一人が駆けて俺の前で止まる。
上等な鎧とそこそこな剣をぶら下げている。
「大丈夫か、坊主?」
「あ、ありがとう、ございます?」
疑問符が浮かぶのは仕方ないだろう。チュートリアル戦闘かと思ったら助けがくる?プレイヤーではなくNPCの?…なるほどこれが本命か。
よかった。どうやら俺の初イベントは汚い盗賊団ではなく、冒険者に助けられるイベントか。
臭くないし、こっちの方がましだ。
豚が気になるところだけど。
しかも初イベントは誰の中にも記憶として残るだろう。
俺たちがこのゲームを組んだときはチュートリアルイベントも完全ランダムになっていた。
人助けしたり、モンスターが出たり、NPCから喧嘩を売られたり。
中には初めてのイベントで知り合ったNPCと仲間になり十年以上組んだり、ゲーム内でNPCと結婚したプレイヤーも出たほどだ。
そんな大事な初イベント。
「おい!小僧!金目のもの出しな!」
なんで盗賊団のおっさんたちに囲まれてるんだろうか。
というか臭い。やベぇ、臭いがする。吐き気がじわじわくる。まさかアクティブスキルなんだろうか?んなわけねぇか。
どんだけ風呂に入っていないのかわからないが、とにかく獣臭い。それと加齢臭。
歯も茶色くボロボロだ。片寄った食生活をしているのが原因か?
アルの教育によって自慢じゃないが俺は料理や食事にこだわりがある。
サブ職の料理人は趣味と隠しステのためってのもあるが、自分で栄養管理をゲーム内とはいえやっていたかったのだ。
「おうおう。すっかりびびって黙っちまったか?あはっはっはっ!」
口臭もやべぇ。ゲーム内でしか知らないが腐肉系モンスターに囲まれたのを思い出すレベルだ。
びびってとかありえねぇ。ステータスを見るまでもなく雑魚だからな。
マスクとか装備品になかったか?ガスマスク…確かイベントでもらったのがあったような。
「この辺じゃみねぇ顔つきだが…いいもん着てんじゃねぇか?なぁ、おい」
あのイベントもいいイベントだった。エタニエルが作ったイベントだったから鬼畜かつ後味が悪かったからな。
あいつ、悪魔だ。
病魔を倒せってイベントフラグを立てた瞬間、この広いエタニティアの世界のどこかにいる患者の一人を治療しないと永続バッドステータスがついたままになる。
しかも患者が死んだら別な患者へいくっていう厄介なイベントだった。
『慈悲の医師マスク』は鳥みたいな見た目で、あれをつけていないとどんどん悪化していくうえにマスク越しでしか病魔が見えない。
『表』のエタニティアでは難易度は低かったろうが、俺たちしかやってない『裏』はマジで大変だった。
ゲーム内で切れたイベントの一つだったな。理不尽だった。
しかも病魔の見た目が犠牲になったNPCの姿で、子供だったから後味がすこぶる悪かった。
病魔はウィルスとしてNPCに感染後、データの関係上子供のNPCから破壊されていくことになったからな。
「どっかの村の村長の息子か?」
苦情もそこそこでるし、エタニエルの無慈悲っぷりに、さすがAIだなと感心したほどだ。
それからあいつの作るイベントって色んな意味でプレイヤーを苦しめたな…楽しめたけど、あいつ絶対サディストだろ。AIのくせに。
「よくみりゃ使えねぇこともねぇガキか…おら、裸になって這いつくばれよ。可愛がってやっからよ」
「んなことせずに、売って娼館に行こうぜ」
近寄ってくるから現実に戻された。
「くそ…」
消えててくれたらよかったのにな。リセットだこんなもん。だが、リセット機能はないんだよな、エタニティアには。何せ全プレイヤーの行動が世界に影響を与えるシステムになっている。
例えば俺のチュートリアルを無視して別なやつのチュートリアルに参加することも可能だ。
だが、俺がすべきだったチュートリアルは誰もしない。それによってその後どういう結果になるかはわからない。
ヨリタが作り上げたシステムの一つ『カオス・システム』これがこのゲームを現実のように予測不可能にさせた。
だがめんどくせぇ。盗賊とか。
しかしまさかこれがチュートリアルイベントでいいのか?転生しまくってるプレイヤーからすればやる価値もねぇイベントだぞ?せめてエリアボスとか連れてこいよ。
隠れているやつや、遠くにいるやつを含めて四十人ほどの集団で、わざわざ俺のとこに十人もきてもらってもだ。雑魚は雑魚。
大きな獲物にはならねぇ。
一応、確認をするがマーカーは全員赤。というか真っ赤だ。敵に間違いはねぇし…さくっと殺るか。残していてもろくなことをしないNPCなのは間違いない。
エタニエルならこいつらを使って村を焼き払うとか組みそうだしな。
なんだか順番やら色々話しているようだけど、どうでもいいか。
「うっせぇな。ほら並べよ。そっくり刈ってやんよ。剃り残しの頭を首共々な」
「んだとぉ!」
会話をする気はない。
会話ってのは同じ知能か、相手を思いやる気持ちが必要だ。
ところが、こいつらにはどちらもないし、必要もない。何の特にもならないなら、さくさく続けた方がいい。
もしかしたらこいつらと戦闘したらログアウトが可能になるかもしれないんだしな。それに俺はかけている。
「なめてんじゃねぇぞ!くそガキが!」
つばをはきちらしながら男の一人が殴りかかってきた。
「くっさ!」
「げぶっ!」
近寄るとさらに悪臭が強くなった。思わず足蹴りしてしまう。ぐちゃって音をあげて、木々をへし折りながら男は飛んでいく。
経験値が1とかゴミすぎて泣けそうだ。ドロップは…必要もないか。臭そうだし、回収はしないでおこう。
「…よぇぇ」
マジで調整をミスってるな。俺の軽い蹴りで死ぬってことは転生設定がいかされていないんじゃねぇか?やはりバグが多いと…エタニエルに修正させないとな。
「お…おい!な、なんだよ!」
「ありえねぇぞ!だいじょう…うぐ」
男の一人が吹き飛ばされた男の安否を確認しようとして口を押さえる。
重なるように隠れていた仲間たちが団子のように固まっているのが視界に入ったのだろう。
ここら辺の反応は悪くないんだが、もう少し知能を持たせたAIに育ってくれなかったのか、そういう役割なのか。
どっちにしろ、つまらねぇな。
「足が汚れたんだけど、くそ雑魚イベントはプログラムからやり直せ?わかったか?」
「何を意味がわかんねぇこといってんだ!」
「ば、化け物だ!あれを見ろよ!」
男が指差す先で肉団子が消えていく。アイテムとか拒否したした、七人もいて経験値が1しか入らないとか、旨味もない。これ、ボーナスこみで経験値が1だからな…ってことは、イベント経験値が1って可能性が高いな。
どんどんやる気がなくなる。こいつらもやる気がなくなってるし、早く次に行きたいところだ。
「何でだ!消えていってる!」
「いや、倒したら消すだろ。邪魔だし。いいエフェクトだろ?俺が組んだんだ」
砂のようにさらさら消えていくってなんかかっこいいだろ?何も残らないんだ。データの欠片すら風化して砂になるって表現だ。
まぁ、任意で残せるけど残しても何の意味もねぇからゴミ箱に送ったんだがな。
「な、なに、いって」
NPCにいったところで理解はしないし、できないだろう。それがエタニティアのルールだ。現実世界のことはこちらじゃまっとうに伝わらない。
だから隔絶された世界ってなるんだがな。
「お、おい!飛び道具を」
矢でもくんのか?
そう思っていたら、命令した男の足元へ矢が飛んできた。
「矢!どこから」
「お頭ぁ!あれ!」
一人の男が指す先に馬に乗った男たちと、馬車が見える。
馬車には旗がついており、三角形の中心に黄金の豚が描かれていた。
なぜ、豚なんだ?
「ソリアス商会の旗だとぉ!」
「あれ、B級冒険者じゃないっすか!やばいですよぉ!」
「化け物と冒険者なんて勝ち目がないっす!」
B級冒険者?そんな高いNPCじゃないだろ。Cより上はプレイヤーか、俺の配下ぐらいしかいないはずだ。
新しく作ったのか?…書いてなかったが仕様変更がやたらと多いな。
「全員ずらかれ!」
盗賊たちは逃げるようだ。始末してもよかったが、旨味もないし、それより近づいてくるNPCの方が大事だ。
ソリアス商会とかいわれたNPCはすでに確認済みだ。全員、今のところ白だった。…あんまり敵対しまくるとチュートリアルイベントが長引いてしまう。
馬に乗った男の一人が駆けて俺の前で止まる。
上等な鎧とそこそこな剣をぶら下げている。
「大丈夫か、坊主?」
「あ、ありがとう、ございます?」
疑問符が浮かぶのは仕方ないだろう。チュートリアル戦闘かと思ったら助けがくる?プレイヤーではなくNPCの?…なるほどこれが本命か。
よかった。どうやら俺の初イベントは汚い盗賊団ではなく、冒険者に助けられるイベントか。
臭くないし、こっちの方がましだ。
豚が気になるところだけど。
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