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1.テンプレ断罪
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「セレーナ・アトランティス公爵令嬢、君は義妹をいじめ、殺害を企てたな!そのような者は私の婚約者に相応しくない!私は君との婚約を破棄する!そして私は新たにミリアを新たな婚約者とする」
ここは贅を凝らしたキングダムスクールの中でも特に贅を凝らした作りとなる大講堂だ。
シャンデリアは大陸から取り寄せた一級品を使い、カーテンはシルクとベルベットで作らせた赤地にアラベスク調の模様が美しいものを使い、絨毯は…と、あげたらきりがないくらいの贅沢がこの大講堂に詰まっていた。
この講堂は王太子であるチャーリーが生まれた時に着工した建物で、完成したのは着工から15年後、つまりチャーリーの入学に合わせて国の税金で作ったものだ。
王族でも、誰でもかれでも学校に入れるわけではないにもかかわらず、だ。
(ことの発端はこの馬鹿をキングダムスクールに入学させるために王妃がキングダムスクールの入学基準を下げた事が物語へと繋がるきっかけだったのよね)
そう言って心の中でため息をついたのは、今ほどチャーリーから婚約破棄をされたアトランティス公爵家の長女、セリーナ・アトランティス。
花もはじらうお年頃の18歳。
え?恥じらう歳じゃないって?いやいや恥じらうでしょう。18歳よ?ぴちぴちよ。
セレーナの父はこの国の中で一際魔力が高い者だけに与えられる特級魔道士の地位におり、主に攻撃魔法に特化した人物だった。
そして、セレーナの母はこの国の王の妹、つまり王妹だった。
母は美しい人だった。真っ直ぐな髪にシルバーの髪の毛、真っ白な透き通るような肌に真っ赤な唇、そして王族の象徴でもある蒼い目。それはまるで女神のような外見だった。
そしてそんな2人の遺伝子はセレーナにも引き継がれ、母に似た美貌と、父の魔力の高さを受け継ぎ、更には2人によく似た頭の賢さがあった。
故にセレーナは物心がついた頃から世間から"完璧令嬢"と呼ばれていた。
そんなセレーナには婚約者がいた。
その人物こそセレーナ婚約者であるレゾナール王国の王太子、チャーリーだ。
セレーナが生まれた時に結ばれた婚約で、セレーナの魔力に目をつけた王妃様が無理矢理結んだのだ。
(チャーリーは魔力が少なかったからね…)
まぁ、そのせいでセレーナが犠牲になってしまったのだが。
けれど、今しがたチャーリーによってセレーナはようやくそのしがらみから解放されたのだ。
(16年間もかかってしまったけれど…他にも色々準備が必要だったし、これでも最短だったのよね)
それに、今日までの日々を思うとこの茶番ですら楽しめるから不思議だ。
一方、婚約破棄を高らかに宣言したチャーリーはしてやったり!という顔で新たな婚約者であるミリアを腕に抱き、セレーナを見下ろしていた。
チャーリーは非凡どころかかなり出来が悪かった。
魔力も王族としては少なく、頭も悪い。強いて言うなら地位と顔くらい…だろうか。
一方でチャーリーの婚約者、いや元婚約者のセレーナはそんなチャーリーを嘲笑うかのように全てにおいてチャーリーの上をいく才色兼備であった。
家庭教師にも何度も比べられて辛酸を舐めたことか。チャーリーだってがんばっているのに、一向に報われない。
まぁ、そんなことはセレーナには知ったこっちゃない。だ。
それにしても…
(あんなにくっついちゃって…)
チャーリーの軽率さに思わず溜息が出そうになるが、そこは貴族令嬢としてグッと堪える。
それにしても、この婚約破棄という出来事は全てセレーナの予定通りなので問題はないことにチャーリーは気づいていない。
正直、セレーナもこんなに物語通りに行くとは思っていなかったので、予測不可能な事があった場合のためにいくつものパターンを想像して対策を練っていた事がバカバカしく思えるくらいだった。
(こんな事なら物語通りに行くと考えて、もうちょっと睡眠時間を取ればよかったわ)
なんてことを考えながら、セレーナは相棒である黒壇と黒地のシルクレースで作られたオーダーメイドで作られた真っ黒な扇子を顔に持っていき、扇子で自身の口元を隠した。
もちろん、溢れんばかりの喜びを隠すためだ。
それがチャーリーには気に食わなかったのだろう。
「おいっ聞いているのか?!」
お陰で馬鹿がギャンギャン騒いでしまった。
「……もちろんですわ」
(…もちろん、聞いていなかった、が正しいのですが)
ここは贅を凝らしたキングダムスクールの中でも特に贅を凝らした作りとなる大講堂だ。
シャンデリアは大陸から取り寄せた一級品を使い、カーテンはシルクとベルベットで作らせた赤地にアラベスク調の模様が美しいものを使い、絨毯は…と、あげたらきりがないくらいの贅沢がこの大講堂に詰まっていた。
この講堂は王太子であるチャーリーが生まれた時に着工した建物で、完成したのは着工から15年後、つまりチャーリーの入学に合わせて国の税金で作ったものだ。
王族でも、誰でもかれでも学校に入れるわけではないにもかかわらず、だ。
(ことの発端はこの馬鹿をキングダムスクールに入学させるために王妃がキングダムスクールの入学基準を下げた事が物語へと繋がるきっかけだったのよね)
そう言って心の中でため息をついたのは、今ほどチャーリーから婚約破棄をされたアトランティス公爵家の長女、セリーナ・アトランティス。
花もはじらうお年頃の18歳。
え?恥じらう歳じゃないって?いやいや恥じらうでしょう。18歳よ?ぴちぴちよ。
セレーナの父はこの国の中で一際魔力が高い者だけに与えられる特級魔道士の地位におり、主に攻撃魔法に特化した人物だった。
そして、セレーナの母はこの国の王の妹、つまり王妹だった。
母は美しい人だった。真っ直ぐな髪にシルバーの髪の毛、真っ白な透き通るような肌に真っ赤な唇、そして王族の象徴でもある蒼い目。それはまるで女神のような外見だった。
そしてそんな2人の遺伝子はセレーナにも引き継がれ、母に似た美貌と、父の魔力の高さを受け継ぎ、更には2人によく似た頭の賢さがあった。
故にセレーナは物心がついた頃から世間から"完璧令嬢"と呼ばれていた。
そんなセレーナには婚約者がいた。
その人物こそセレーナ婚約者であるレゾナール王国の王太子、チャーリーだ。
セレーナが生まれた時に結ばれた婚約で、セレーナの魔力に目をつけた王妃様が無理矢理結んだのだ。
(チャーリーは魔力が少なかったからね…)
まぁ、そのせいでセレーナが犠牲になってしまったのだが。
けれど、今しがたチャーリーによってセレーナはようやくそのしがらみから解放されたのだ。
(16年間もかかってしまったけれど…他にも色々準備が必要だったし、これでも最短だったのよね)
それに、今日までの日々を思うとこの茶番ですら楽しめるから不思議だ。
一方、婚約破棄を高らかに宣言したチャーリーはしてやったり!という顔で新たな婚約者であるミリアを腕に抱き、セレーナを見下ろしていた。
チャーリーは非凡どころかかなり出来が悪かった。
魔力も王族としては少なく、頭も悪い。強いて言うなら地位と顔くらい…だろうか。
一方でチャーリーの婚約者、いや元婚約者のセレーナはそんなチャーリーを嘲笑うかのように全てにおいてチャーリーの上をいく才色兼備であった。
家庭教師にも何度も比べられて辛酸を舐めたことか。チャーリーだってがんばっているのに、一向に報われない。
まぁ、そんなことはセレーナには知ったこっちゃない。だ。
それにしても…
(あんなにくっついちゃって…)
チャーリーの軽率さに思わず溜息が出そうになるが、そこは貴族令嬢としてグッと堪える。
それにしても、この婚約破棄という出来事は全てセレーナの予定通りなので問題はないことにチャーリーは気づいていない。
正直、セレーナもこんなに物語通りに行くとは思っていなかったので、予測不可能な事があった場合のためにいくつものパターンを想像して対策を練っていた事がバカバカしく思えるくらいだった。
(こんな事なら物語通りに行くと考えて、もうちょっと睡眠時間を取ればよかったわ)
なんてことを考えながら、セレーナは相棒である黒壇と黒地のシルクレースで作られたオーダーメイドで作られた真っ黒な扇子を顔に持っていき、扇子で自身の口元を隠した。
もちろん、溢れんばかりの喜びを隠すためだ。
それがチャーリーには気に食わなかったのだろう。
「おいっ聞いているのか?!」
お陰で馬鹿がギャンギャン騒いでしまった。
「……もちろんですわ」
(…もちろん、聞いていなかった、が正しいのですが)
応援ありがとうございます!
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