上 下
5 / 13

4.キングダムスクール

しおりを挟む
 15歳の春。

 セレーナはキングダムスクールに入学した。

 学校については事業のこともあるので本当は行きたくなかったので、試験で手を抜いたのだが何故か受かってしまった。

 そしてセレーナは入学する前日から学校の寮に住み始めた。

 昨日まで住んでいた王宮を追い出されたからだ。

 あれ?セレーナって公爵邸に住んでないの?と思うでしょう?

 それというのも、セレーナは入学する一年ほど前から王太子妃教育とかなんとか言われて王宮に住むように言われたのだ。

 王妃様に。

 勿論、住んでいたとはいうがチャーリーとはチャーリーの誕生日の日にしか会っていない。

 セレーナの誕生日?祝ってもらえるわけないじゃない。食事も王族とは別だし。

 それでも王太子妃教育という名のチャーリーと王妃の仕事を押し付けられる日々。

 王太子妃教育?初日で終わったわ。

 まぁ、義母と義妹の嫌がらせが年々ひどくなってきたのがウザくなってきたので、タイミング的にはよかったし、仕事はなんだかんだで簡単なものが多いので30分も有ればできる内容だだったから話に乗った。

 だからといって早く片付けると王妃の仕事も増やされそうなのでめちゃくちゃ時間がかかりました。風を装って提出している。

 こんな簡単な仕事もしないあの2人は王族としてやばいと思う。

 ちなみに、セレーナは仕事が終わったら影武者に仕事をしているふりをするように言って出かけていた。

(まぁ、寮生活はありがたい事だけど)

 公爵家に比べたらまだ王宮の方がマシだったが王宮も王宮で面倒だった。

 寮生活になれば今までの中でも1番自由がきく。家に帰らなくても王宮にいなくてもいいなんてパラダイスでしかない。

 侍女はいないし、王宮でしていた仕事は土日にまとめて王宮でやれと言われているけれど。

 それでもいいと思えるセレーナは一つの考えを叩き出した。

(私ったら…すっかりブラック企業に慣れ切ったOLのようね)

 …兎にも角にもセレーナは昨日、王宮から寮へと移り、徒歩で学校へとやってきた。

 普通のご令嬢はこの距離でも馬車を使うのが一般的だが、馬車はそもそも公爵家から出してもらっていない上に馬車だと長蛇の列ができるので降車まで時間がかかる。

 しかも今年は例年よりも生徒が多く入学したそうで、その列は例年の5倍だそう。

 今年は例年より優秀な生徒が多いのだろうか?と思っていたのだが、予想外の人間が入学すると聞いてセレーナはびっくりした。

 入学する生徒の中にはチャーリーと義妹のミリアも入学するそうだ。

 2人とも勉強も魔法も教養もからっきしダメだった覚えしかなかったからてっきりキングダムスクールには入学出来ないと思っていた。

(まさかあの2人が入学できたとは…。私が知らない間に勉強したのかしら…?)

 と、その当時は思っていたのだけれど…。

 後で知ったことだが、チャーリーの成績で入学基準が大幅に下げられたらしい。

 表向きは門戸を開くためって言っていたみたいだけど。

(そもそもチャーリーが頭悪いのも、魔力が少ないのも全部王妃似だからよね)

 そう、王妃の生家は男爵家(今は伯爵家)なのだ。

 魔力が少ないのも納得だし、頭が悪いのも元々王立学校に通う頭がなかったからだ。

 そしてミリアは完全な裏口入学だったらしい。なんでも、とあるやんごとなき血筋の方が、完工寸前の大講堂にどうしてもサロンを作れといって来たことが全ての始まり。

 それで、大慌てで作ることになり、その分大陸から応援も呼んで、税金も大量に注ぎ込んだことで会計が赤字になりそうだったので、裏口入学を募った…らしい。

「道理で入れなさそうなご子息やご令嬢がうようよしている思ったわけだわ」

 と、のちに真実を知ったセレーナはこう呟いていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ぽっちゃりOLが幼馴染みにマッサージと称してエロいことをされる話

よしゆき
恋愛
純粋にマッサージをしてくれていると思っているぽっちゃりOLが、下心しかない幼馴染みにマッサージをしてもらう話。

転移先は薬師が少ない世界でした

饕餮
ファンタジー
★この作品は書籍化及びコミカライズしています。 神様のせいでこの世界に落ちてきてしまった私は、いろいろと話し合ったりしてこの世界に馴染むような格好と知識を授かり、危ないからと神様が目的地の手前まで送ってくれた。 職業は【薬師】。私がハーブなどの知識が多少あったことと、その世界と地球の名前が一緒だったこと、もともと数が少ないことから、職業は【薬師】にしてくれたらしい。 神様にもらったものを握り締め、ドキドキしながらも国境を無事に越え、街でひと悶着あったから買い物だけしてその街を出た。 街道を歩いている途中で、魔神族が治める国の王都に帰るという魔神族の騎士と出会い、それが縁で、王都に住むようになる。 薬を作ったり、ダンジョンに潜ったり、トラブルに巻き込まれたり、冒険者と仲良くなったりしながら、秘密があってそれを話せないヒロインと、ヒロインに一目惚れした騎士の恋愛話がたまーに入る、転移(転生)したヒロインのお話。

異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!

東導 号
ファンタジー
雑魚モブキャラだって負けない! 俺は絶対!前世より1億倍!幸せになる! 俺、ケン・アキヤマ25歳は、某・ダークサイド企業に勤める貧乏リーマン。 絶対的支配者のようにふるまう超ワンマン社長、コバンザメのような超ごますり部長に、 あごでこきつかわれながら、いつか幸せになりたいと夢見ていた。 社長と部長は、100倍くらい盛りに盛った昔の自分自慢語りをさく裂させ、 1日働きづめで疲れ切った俺に対して、意味のない精神論に終始していた。 そして、ふたり揃って、具体的な施策も提示せず、最後には 「全社員、足で稼げ! 知恵を絞り、営業数字を上げろ!」 と言うばかり。 社員達の先頭を切って戦いへ挑む、重い責任を背負う役職者のはずなのに、 完全に口先だけ、自分の部屋へ閉じこもり『外部の評論家』と化していた。 そんな状況で、社長、部長とも「業務成績、V字回復だ!」 「営業売上の前年比プラス150%目標だ!」とか抜かすから、 何をか言わんや…… そんな過酷な状況に生きる俺は、転職活動をしながら、 超シビアでリアルな地獄の現実から逃避しようと、 ヴァーチャル世界へ癒しを求めていた。 中でも最近は、世界で最高峰とうたわれる恋愛ファンタジーアクションRPG、 『ステディ・リインカネーション』に、はまっていた。 日々の激務の疲れから、ある日、俺は寝落ちし、 ……『寝落ち』から目が覚め、気が付いたら、何と何と!! 16歳の、ど平民少年ロイク・アルシェとなり、 中世西洋風の異世界へ転生していた…… その異世界こそが、熱中していたアクションRPG、 『ステディ・リインカネーション』の世界だった。 もう元の世界には戻れそうもない。 覚悟を決めた俺は、数多のラノベ、アニメ、ゲームで積み重ねたおたく知識。 そして『ステディ・リインカネーション』をやり込んだプレイ経験、攻略知識を使って、 絶対! 前世より1億倍! 幸せになる!  と固く決意。 素晴らしきゲーム世界で、新生活を始めたのである。 カクヨム様でも連載中です!

義弟の為に悪役令嬢になったけど何故か義弟がヒロインに会う前にヤンデレ化している件。

あの
恋愛
交通事故で死んだら、大好きな乙女ゲームの世界に転生してしまった。けど、、ヒロインじゃなくて攻略対象の義姉の悪役令嬢!? ゲームで推しキャラだったヤンデレ義弟に嫌われるのは胸が痛いけど幸せになってもらうために悪役になろう!と思ったのだけれど ヒロインに会う前にヤンデレ化してしまったのです。 ※初めて書くので設定などごちゃごちゃかもしれませんが暖かく見守ってください。

クズな義妹に婚約者を寝取られた悪役令嬢は、ショックのあまり前世の記憶を思い出し、死亡イベントを回避します。

無名 -ムメイ-
恋愛
クズな義妹に婚約者を寝取られ、自殺にまで追い込まれた悪役令嬢に転生したので、迫りくる死亡イベントを回避して、義妹にざまぁしてやります。 7話で完結。

条件付きチート『吸収』でのんびり冒険者ライフ!

ヒビキ タクト
ファンタジー
旧題:異世界転生 ~条件付きスキル・スキル吸収を駆使し、冒険者から成り上がれ~ 平凡な人生にガンと宣告された男が異世界に転生する。異世界神により特典(条件付きスキルと便利なスキル)をもらい異世界アダムスに転生し、子爵家の三男が冒険者となり成り上がるお話。   スキルや魔法を駆使し、奴隷や従魔と一緒に楽しく過ごしていく。そこには困難も…。   従魔ハクのモフモフは見所。週に4~5話は更新していきたいと思いますので、是非楽しく読んでいただければ幸いです♪   異世界小説を沢山読んできた中で自分だったらこうしたいと言う作品にしております。

悪役令嬢が攻略対象の幸せを願っては駄目ですか?

こうやさい
恋愛
 乙女ゲームの最萌えルートの義妹かつ悪役令嬢に転生している事に気づいた。 ・細切れです ・三話目までは一日一話投稿します ・その後は順次最新話のしおり数が前話のしおり数を超えるかつ五以上あるときに予約します ・投稿時間の変更は今回予定しておりません ・確認も予約も手動なので状況によっては条件を満たしていても遅れる事があります ・今後の参考にするために考えたやり方なので非実在他の読者のために読んでないのにしおりを付けたり進めたりする事はご遠慮下さい ・二週間経っても前話のしおり数を超えない、最新話のしおり数が五に満たない、その他これ以上参考にならないと判断した場合、あるいは運営に怒られた場合はこの更新方法は中止します。その後の更新をどうするかは未定です ・内容的にはいつものです ・一応完結しているシロモノですが、途中で問題を見つけた場合、上記の条件に関係なく更新停止する可能性があります ・条件を満たさない間に他の話を更新をする可能性があります  本編以外はセルフパロディです。本編のイメージ及び設定を著しく損なう可能性があります。ご了承ください。  ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。

ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩
ファンタジー
美月は気がついたら森の中にいた。 どうも交通事故にあい、転生してしまったらしい。 現世に愛犬の銀を残してきたことが心残りの美月の前に傷ついたフェンリルが現れる。 傷を癒してやり従魔となるフェンリルに銀の面影をみる美月。 フェンリルや町の人達に溺愛されながら色々やらかしていく。 みんなに愛されるミヅキだが本人にその自覚は無し、まわりの人達もそれに振り回されるがミヅキの愛らしさに落ちていく。 途中いくつか閑話を挟んだり、相手視点の話が入ります。そんな作者の好きが詰まったご都合物語。 2020.8.5 書籍化、イラストはあめや様に描いて頂いてております。 書籍化に伴い第一章を取り下げ中です。 詳しくは近況報告をご覧下さい。 第一章レンタルになってます。 2020.11.13 二巻の書籍化のお話を頂いております。 それにともない第二章を引き上げ予定です 詳しくは近況報告をご覧下さい。 第二章レンタルになってます。 番外編投稿しました! 一章の下、二章の上の間に番外編の枠がありますのでそこからどうぞ(*^^*) 2021.2.23 3月2日よりコミカライズが連載開始します。 鳴希りお先生によりミヅキやシルバ達を可愛らしく描いて頂きました。 2021.3.2 コミカライズのコメントで「銀」のその後がどうなったのかとの意見が多かったので…前に投稿してカットになった部分を公開します。人物紹介の下に投稿されていると思うので気になる方は見てください。

処理中です...