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勇者なんて俺は知らない
あれ?俺、いらなくない?
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ふくろう亭で一泊した翌朝。
もう少しのんびりしたい、と毛布に包まりながら一人でゴネたんだけど…
でも、半ば嫌々とはいえ、自分で決心したことをこうもすぐに曲げるのは、流石にどうかとも思ったので、俺は美味しく朝ご飯を頂いた後、御一行に合流することにした。
が、合流場所にした食堂には、俺以外だと、まだシャミィと、ナナ?だけしかいない。
改めてだけど、ホント、なんでこの人たち妙に露出が高いんだろ。昨日はお腹いっぱいになった後すぐ寝ちゃったから気づかなかったけど、弟子もやたら生足強調してるし。
師匠の方だって、あれ鎧着けてる意味ある?谷間すごいんだけど。
最早、視線誘導が本来の目的になってない?
ミレットは、スカートがめちゃくちゃ短いんだ。剣士なんだよね?なんでミニスカート?やっぱり視線誘導が目的だろ。
えっと、アミア?は魔術師らしく、黒いローブなんだけど、何故か胸元だけばっくりと切れ込み入ってて。
そこ、開ける意味ある?視線誘導しかないよね?
異世界とはいえ、こういう時代だ。
「セクハラだ!」
と言われないよう、なるべく視線を向けず、話題にもしないようにした。
「おはよう。遠目から見てたけど
朝からとんでもない食いっぷりだったねぇ…。アタシは、他の小娘共は置いてってもいいんだが…。」
「はい、師匠。」
シャミィと…ナナ?は、食後のコーヒーを楽しんでいた。
あとの二人は、準備に手間取っているようだ。
まぁ確かに、かなり食べたよな…。
店主さんごめん。そしてありがとう。
「約束を破るのは、主義じゃないから。
面倒でも、ちゃんと待つよ。」
俺もコーヒーをもらうことにした。
あ、ミルクと砂糖多めにください。
「ふ、お利口さんだねぇ。」
「何なら、あんたが抜けてもいいんじゃない?」
俺は熱いコーヒーをフーフーしながら嫌味を言ってみた。
「それは困る。アンタみたいな強いヤツ、そうお目にかかれるモンじゃない。
アンタと一緒にいりゃ、儲け話もベラボーに転がり込んでくるだろうから、さ。」
「はい、師匠。」
なるほど、確かに。
まぁ、どこまでが本心なのかは俺にはわからないけど。
「そう。俺は別に、自分がどんだけ強いのか…比較対象がいないからよくわからないし、あんまり興味も無いんだけど…。
一緒に来るって言うなら、それなりに協調性持ってもらわないと、ね。」
ミルクと砂糖をドバドバ入れながら、俺は釘を刺す。
「おやおや、手厳しい。」
「ご、ごめんなさい!お待たせしました!」
「準備、手間取った。ごめんね。」
女の子はいろいろ大変だっていうけど、本当なんだな。こればかりは仕方がない。
「じゃ、行きますか。道案内よろしく。」
というわけで、街の皆さんにあたたかく見送られながら、俺たちは街を出る。
なんと、ポレポレまで行く用事があるから、と、街の商人さんが馬車を手配してくれた。
ありがたすぎる。
被害は大きくなかったとはいえ、化け物に壊された家屋が、早く元通りになることを祈るばかりだ。
女性陣と共に馬車に揺られ、俺はゆったりと景色を眺めていた。
それにしても、昨日の今日ではあるけれど、街の外もかなり平穏だ。
広がる青空。生い茂る緑に、鳥の囀り。爽やかな風。川のせせらぎ。
昨日と同じような感想と着眼点だけど、中にいると心が落ち着くし、どうにものんびりしてしまう。
こんなんで、魔物?モンスター?は
どっから現れるんだろう?
「ねぇ、ちょっと聞きたいんだけど。」
道中、面々に疑問をぶつけてみる。
「魔物、っていうの?モンスター?
何でもいいんだけど、アレって、何?
どこから出てきて、どうして人を襲ったの?」
「魔物なら、多分私、一番詳しい。
魔物、元々この世界に住んでる、生き物。食物連鎖、上の方。人間、時々食べるため、出てくる。
でも、あんまり数、多くない、から、被害、そこまで多くない。
なのに…。」
なのに…?
あ、なるほどね。
「昨日は、かなりの数出てきたよね。しかも、どこからともなく。」
「勇者様、さすが。そう、最近魔物の動き、変。数、多い。突然出てきて、人間いっぱい、襲う。」
「うーん、確かに私の旅の途中でも、魔物に襲われたって言う人、かなり多かったですね。」
「アタシらは、主に犯罪者にかけられた賞金目当てで、この稼業やってるけど…最近は魔物に対する案件も相当なモンだよ。ま、おかげで儲かるけどね。」
ふむ。それが「勇者」が必要とされる理由なのか…?
でも、やっぱり腑に落ちないんだよなぁ。まだまだわからないことだらけだ。
「ん?!何だ、この気配。」
暖かな気候にウトウトしかけていた俺は、突如として、不穏な空気を感じ取った。ていうか、なんで?
あ…スキルとかそういうこと?すっかり忘れてた。
「え?!敵ですか?!」
「て、敵って…アタシは特に何も感じな…」
「?!転送、魔法…?!」
「上だ!!」
俺が叫ぶと同時に、ミレットとシャミィ、ナナはすぐ様、目にも止まらぬ速さで馬車から飛び出した。
次の瞬間、馬車の上から爆発音が響く。
「な、なんだ何だァァ?!」
馬車の御者さんの悲鳴が轟く。が、この爆発音の中で無事そうに叫んでいる…。
「大丈夫、防御魔法。これ、魔法の攻撃。」
慌てて隣に目を向けると、アミアが杖を天にかざしていた。杖の先からは、眩いばかりの光が迸っている。
どうやらアミアのおかげで助かったらしい。
「私も、出る。」
そう言うと、アミアはふわっと宙を舞うように、馬車の外に踊り出た。
この流れだと、俺も行かないとだよね…。
俺が急いで馬車から降りるやいなや、今度は雷が落ちるような轟音が鳴り響く。
たまらず目と耳を塞ぐ俺。
そして、恐る恐る目を開けると…。
数10体…30くらいはいるだろうか。昨日の化け物とは違う、かなり小型の化け物たちが、累々と地に伏していた。
その中で、女性陣たちが皆、ふぅ、と一息ついている。
え…何この人たち…。めっちゃ強いじゃん。
勇者別に、いらなくない?
もう少しのんびりしたい、と毛布に包まりながら一人でゴネたんだけど…
でも、半ば嫌々とはいえ、自分で決心したことをこうもすぐに曲げるのは、流石にどうかとも思ったので、俺は美味しく朝ご飯を頂いた後、御一行に合流することにした。
が、合流場所にした食堂には、俺以外だと、まだシャミィと、ナナ?だけしかいない。
改めてだけど、ホント、なんでこの人たち妙に露出が高いんだろ。昨日はお腹いっぱいになった後すぐ寝ちゃったから気づかなかったけど、弟子もやたら生足強調してるし。
師匠の方だって、あれ鎧着けてる意味ある?谷間すごいんだけど。
最早、視線誘導が本来の目的になってない?
ミレットは、スカートがめちゃくちゃ短いんだ。剣士なんだよね?なんでミニスカート?やっぱり視線誘導が目的だろ。
えっと、アミア?は魔術師らしく、黒いローブなんだけど、何故か胸元だけばっくりと切れ込み入ってて。
そこ、開ける意味ある?視線誘導しかないよね?
異世界とはいえ、こういう時代だ。
「セクハラだ!」
と言われないよう、なるべく視線を向けず、話題にもしないようにした。
「おはよう。遠目から見てたけど
朝からとんでもない食いっぷりだったねぇ…。アタシは、他の小娘共は置いてってもいいんだが…。」
「はい、師匠。」
シャミィと…ナナ?は、食後のコーヒーを楽しんでいた。
あとの二人は、準備に手間取っているようだ。
まぁ確かに、かなり食べたよな…。
店主さんごめん。そしてありがとう。
「約束を破るのは、主義じゃないから。
面倒でも、ちゃんと待つよ。」
俺もコーヒーをもらうことにした。
あ、ミルクと砂糖多めにください。
「ふ、お利口さんだねぇ。」
「何なら、あんたが抜けてもいいんじゃない?」
俺は熱いコーヒーをフーフーしながら嫌味を言ってみた。
「それは困る。アンタみたいな強いヤツ、そうお目にかかれるモンじゃない。
アンタと一緒にいりゃ、儲け話もベラボーに転がり込んでくるだろうから、さ。」
「はい、師匠。」
なるほど、確かに。
まぁ、どこまでが本心なのかは俺にはわからないけど。
「そう。俺は別に、自分がどんだけ強いのか…比較対象がいないからよくわからないし、あんまり興味も無いんだけど…。
一緒に来るって言うなら、それなりに協調性持ってもらわないと、ね。」
ミルクと砂糖をドバドバ入れながら、俺は釘を刺す。
「おやおや、手厳しい。」
「ご、ごめんなさい!お待たせしました!」
「準備、手間取った。ごめんね。」
女の子はいろいろ大変だっていうけど、本当なんだな。こればかりは仕方がない。
「じゃ、行きますか。道案内よろしく。」
というわけで、街の皆さんにあたたかく見送られながら、俺たちは街を出る。
なんと、ポレポレまで行く用事があるから、と、街の商人さんが馬車を手配してくれた。
ありがたすぎる。
被害は大きくなかったとはいえ、化け物に壊された家屋が、早く元通りになることを祈るばかりだ。
女性陣と共に馬車に揺られ、俺はゆったりと景色を眺めていた。
それにしても、昨日の今日ではあるけれど、街の外もかなり平穏だ。
広がる青空。生い茂る緑に、鳥の囀り。爽やかな風。川のせせらぎ。
昨日と同じような感想と着眼点だけど、中にいると心が落ち着くし、どうにものんびりしてしまう。
こんなんで、魔物?モンスター?は
どっから現れるんだろう?
「ねぇ、ちょっと聞きたいんだけど。」
道中、面々に疑問をぶつけてみる。
「魔物、っていうの?モンスター?
何でもいいんだけど、アレって、何?
どこから出てきて、どうして人を襲ったの?」
「魔物なら、多分私、一番詳しい。
魔物、元々この世界に住んでる、生き物。食物連鎖、上の方。人間、時々食べるため、出てくる。
でも、あんまり数、多くない、から、被害、そこまで多くない。
なのに…。」
なのに…?
あ、なるほどね。
「昨日は、かなりの数出てきたよね。しかも、どこからともなく。」
「勇者様、さすが。そう、最近魔物の動き、変。数、多い。突然出てきて、人間いっぱい、襲う。」
「うーん、確かに私の旅の途中でも、魔物に襲われたって言う人、かなり多かったですね。」
「アタシらは、主に犯罪者にかけられた賞金目当てで、この稼業やってるけど…最近は魔物に対する案件も相当なモンだよ。ま、おかげで儲かるけどね。」
ふむ。それが「勇者」が必要とされる理由なのか…?
でも、やっぱり腑に落ちないんだよなぁ。まだまだわからないことだらけだ。
「ん?!何だ、この気配。」
暖かな気候にウトウトしかけていた俺は、突如として、不穏な空気を感じ取った。ていうか、なんで?
あ…スキルとかそういうこと?すっかり忘れてた。
「え?!敵ですか?!」
「て、敵って…アタシは特に何も感じな…」
「?!転送、魔法…?!」
「上だ!!」
俺が叫ぶと同時に、ミレットとシャミィ、ナナはすぐ様、目にも止まらぬ速さで馬車から飛び出した。
次の瞬間、馬車の上から爆発音が響く。
「な、なんだ何だァァ?!」
馬車の御者さんの悲鳴が轟く。が、この爆発音の中で無事そうに叫んでいる…。
「大丈夫、防御魔法。これ、魔法の攻撃。」
慌てて隣に目を向けると、アミアが杖を天にかざしていた。杖の先からは、眩いばかりの光が迸っている。
どうやらアミアのおかげで助かったらしい。
「私も、出る。」
そう言うと、アミアはふわっと宙を舞うように、馬車の外に踊り出た。
この流れだと、俺も行かないとだよね…。
俺が急いで馬車から降りるやいなや、今度は雷が落ちるような轟音が鳴り響く。
たまらず目と耳を塞ぐ俺。
そして、恐る恐る目を開けると…。
数10体…30くらいはいるだろうか。昨日の化け物とは違う、かなり小型の化け物たちが、累々と地に伏していた。
その中で、女性陣たちが皆、ふぅ、と一息ついている。
え…何この人たち…。めっちゃ強いじゃん。
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