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仲間なんて俺は知らない
『敵』って一体、何なの?
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・・・ように見えただけ、さ。
アミアの背中に到達するその寸前、
瞬間光速
なるスキルを使い、俺が矢をキャッチしたのだ。
「(アミア、やられたフリをするんだ。)」
俺は、
「庇ったものの間に合わなかった」
風を装い、アミアの背中に覆い被さるようにその場に倒れ込んだ。
そして、俺の思惑通りというべきか
第二撃が俺の背中を襲う。
が、放たれた矢は一本どころの騒ぎではなく、三本、四本と次々に降り注ぎ、俺の背中はヤマアラシのように見えたことだろう。
やはりこれも、全て当たったように見せただけなんだけど。
「ユージーン様!アミアさん!ご無事ですか?!」
倒れ込んだ俺たちへ、ミレットが慌てて駆け寄ってくる。
「無事だよ。それより…いいのかよ、追わなくて。」
「だ、だって!」
「あ、皆さん下手に矢に触らないでください。多分毒が塗ってあるんだと思います…俺たちはこの通り、大丈夫なんで。
美しい港町に、人々のどよめきが巻き起こる。俺たちの姿を見て悲鳴がわき、心配してくれる者、どこかに知らせに行ってくれる者、様々だ。
ただ、町の人たちに迷惑はかけられない。
とにかくやられたフリをして犯人を泳がせれば、相手の素性や目的、アジトなど…何かしらの情報は入るだろう。
「ナナに追わせたよ。あの子は眼がいいからね、すぐ犯人を見つけるだろうさ。」
「そうか…とにかく一旦移動しよう。ここに長く留まるのは、いろいろとまずそうだし。」
そうして、俺は倒れた(多分空腹が主な原因なんだろうけど)アミアを抱え、近くの食堂に厄介になることにした。
こんな状態でも、事情を説明したら快く入店させてくれた店主さんマジ感謝。
『勇者です』って言いふらすの、なんかイキってるみたいでイヤなんだけど…この状況は仕方ない。
それにしても、腑に落ちないことだらけなんだ。
この前の魔物が大量に転送されてきたあの一件、魔力…と言っても詳しくないからイマイチわからないけど、それらしきモノ、あとはとにかく、大量の
『殺気』のようなものを感じたから、みんなより早く気付くことができた。
しかし、今回はそれが全く無かった。
弓矢だから『魔力』的なものはないだろうけど、『殺気』を感じないというのはどうもおかしい。
…俺のスキルの使い方がおかしいせいだ、って言われたら、それまでだけど。
「お、戻ったねナナ。見つけたかい?」
シャミィが食堂の入り口に、2人の間でしかわからない目印をつけておいたようで、それを頼りにナナはここへたどり着いたのだった。
シャミィのその言葉の直後、ナナはクビを横に振る。
「おかしいね…。ナナが敵を捕捉できないなんて、相当だよ。」
「ま、まさか、例の
『神殺しの団』の仕業なんでしょうか…。」
「とにかく、やっぱりこの町には何かあるね。調べてみようじゃないか、ユージーン。」
3人で何か言ってら。
前にも言ったけど、ご飯食べてる時は邪魔しないでほしい。何だろうコレ、エビかな?エビを煮込んだやつかな?とにかく美味い。
今回はアミアも、黙々と美味しそうに料理を頬張っている。よっぽどお腹が空いていたのだろう。
「あ…そうだった…『食』には興味ありまくりだったね、この勇者は。」
「で、調査ってさ、どうすんの?具体的に。」
デザートを食べ終わり、食後のコーヒーをいただきながら、俺は問いかけた。
心なしか、アミアも満足そうにしている。
「そうさね…手がかりが何もないからね…どうしたモンか。」
「はい、師匠。」
「私は正直、あんなの見たらこわくて…あんまり外を歩きたくないですよ…。しばらくここで、機会をうかがいませんか…?」
当事者2人を差し置いて、議論を重ねる3人。だが俺たち2人には、ある程度の糸口が見えていた。
「手がかり、ある。矢。」
アミアがコーヒーを飲み干し、つぶやく。
その一言を聞いて、放置プレイを続けていた3人は目を丸くした。
「え?だ、だってユージーン様、
『矢羽にまで毒が塗ってあるだろうから触るな』って…。そんな危険なもの、どうやって…?」
「アレは確かに、危なそうだから魔法で燃やしたよ。でも、その矢を俺のスキル
後天双子の生成で再現したのが、コレ。」
俺は、さっきのをスキルでコピーした一本の矢を、テーブルの上に置いた。
勿論、毒は矢尻のほんの一部に再現しているのみだ。
「これでいろいろ分析できるんじゃないかな、毒の成分とか。俺は武器とか詳しくないから、いろいろ教えてもらえると…。」
見ると、やはりアミア以外の3人は目を丸くし、同時に口をポカンと開けている。
「す、すごいですユージーン様!そんなことまでできるなんて…!
あ、そうそう!選択スキルなんですけど、アレとか良くないですか?!
呪い集中!
なんか強そうですし…!ほらほら、ステータス・オープンですよ!」
「今の流れでどうしてそうなる…や、やめろって!近いんだよ離れろ!!」
ミレットは目を輝かせ、抱きつく勢いで俺に迫ってくる。やっぱり密着度が高い。
そんないつもの光景を、面々は生温かい目で見守っている。何より今は、食堂の店員さんたちの視線が痛い。
まだまだわからないことだらけだが、これで一歩、『神殺しの団』とやらに近づくことができたのだろうか。
そもそも、そいつらの目的は何なんだろう。何のために、この世界の平和を?
そして、何も知らないのに、そいつらを『敵』と決めつけていいのだろつか?
何やら不穏なにおいがプンプンする。
できることなら、平和的に事が進むことを祈るばかりだ。
今日も、夜が更けていく。
アミアの背中に到達するその寸前、
瞬間光速
なるスキルを使い、俺が矢をキャッチしたのだ。
「(アミア、やられたフリをするんだ。)」
俺は、
「庇ったものの間に合わなかった」
風を装い、アミアの背中に覆い被さるようにその場に倒れ込んだ。
そして、俺の思惑通りというべきか
第二撃が俺の背中を襲う。
が、放たれた矢は一本どころの騒ぎではなく、三本、四本と次々に降り注ぎ、俺の背中はヤマアラシのように見えたことだろう。
やはりこれも、全て当たったように見せただけなんだけど。
「ユージーン様!アミアさん!ご無事ですか?!」
倒れ込んだ俺たちへ、ミレットが慌てて駆け寄ってくる。
「無事だよ。それより…いいのかよ、追わなくて。」
「だ、だって!」
「あ、皆さん下手に矢に触らないでください。多分毒が塗ってあるんだと思います…俺たちはこの通り、大丈夫なんで。
美しい港町に、人々のどよめきが巻き起こる。俺たちの姿を見て悲鳴がわき、心配してくれる者、どこかに知らせに行ってくれる者、様々だ。
ただ、町の人たちに迷惑はかけられない。
とにかくやられたフリをして犯人を泳がせれば、相手の素性や目的、アジトなど…何かしらの情報は入るだろう。
「ナナに追わせたよ。あの子は眼がいいからね、すぐ犯人を見つけるだろうさ。」
「そうか…とにかく一旦移動しよう。ここに長く留まるのは、いろいろとまずそうだし。」
そうして、俺は倒れた(多分空腹が主な原因なんだろうけど)アミアを抱え、近くの食堂に厄介になることにした。
こんな状態でも、事情を説明したら快く入店させてくれた店主さんマジ感謝。
『勇者です』って言いふらすの、なんかイキってるみたいでイヤなんだけど…この状況は仕方ない。
それにしても、腑に落ちないことだらけなんだ。
この前の魔物が大量に転送されてきたあの一件、魔力…と言っても詳しくないからイマイチわからないけど、それらしきモノ、あとはとにかく、大量の
『殺気』のようなものを感じたから、みんなより早く気付くことができた。
しかし、今回はそれが全く無かった。
弓矢だから『魔力』的なものはないだろうけど、『殺気』を感じないというのはどうもおかしい。
…俺のスキルの使い方がおかしいせいだ、って言われたら、それまでだけど。
「お、戻ったねナナ。見つけたかい?」
シャミィが食堂の入り口に、2人の間でしかわからない目印をつけておいたようで、それを頼りにナナはここへたどり着いたのだった。
シャミィのその言葉の直後、ナナはクビを横に振る。
「おかしいね…。ナナが敵を捕捉できないなんて、相当だよ。」
「ま、まさか、例の
『神殺しの団』の仕業なんでしょうか…。」
「とにかく、やっぱりこの町には何かあるね。調べてみようじゃないか、ユージーン。」
3人で何か言ってら。
前にも言ったけど、ご飯食べてる時は邪魔しないでほしい。何だろうコレ、エビかな?エビを煮込んだやつかな?とにかく美味い。
今回はアミアも、黙々と美味しそうに料理を頬張っている。よっぽどお腹が空いていたのだろう。
「あ…そうだった…『食』には興味ありまくりだったね、この勇者は。」
「で、調査ってさ、どうすんの?具体的に。」
デザートを食べ終わり、食後のコーヒーをいただきながら、俺は問いかけた。
心なしか、アミアも満足そうにしている。
「そうさね…手がかりが何もないからね…どうしたモンか。」
「はい、師匠。」
「私は正直、あんなの見たらこわくて…あんまり外を歩きたくないですよ…。しばらくここで、機会をうかがいませんか…?」
当事者2人を差し置いて、議論を重ねる3人。だが俺たち2人には、ある程度の糸口が見えていた。
「手がかり、ある。矢。」
アミアがコーヒーを飲み干し、つぶやく。
その一言を聞いて、放置プレイを続けていた3人は目を丸くした。
「え?だ、だってユージーン様、
『矢羽にまで毒が塗ってあるだろうから触るな』って…。そんな危険なもの、どうやって…?」
「アレは確かに、危なそうだから魔法で燃やしたよ。でも、その矢を俺のスキル
後天双子の生成で再現したのが、コレ。」
俺は、さっきのをスキルでコピーした一本の矢を、テーブルの上に置いた。
勿論、毒は矢尻のほんの一部に再現しているのみだ。
「これでいろいろ分析できるんじゃないかな、毒の成分とか。俺は武器とか詳しくないから、いろいろ教えてもらえると…。」
見ると、やはりアミア以外の3人は目を丸くし、同時に口をポカンと開けている。
「す、すごいですユージーン様!そんなことまでできるなんて…!
あ、そうそう!選択スキルなんですけど、アレとか良くないですか?!
呪い集中!
なんか強そうですし…!ほらほら、ステータス・オープンですよ!」
「今の流れでどうしてそうなる…や、やめろって!近いんだよ離れろ!!」
ミレットは目を輝かせ、抱きつく勢いで俺に迫ってくる。やっぱり密着度が高い。
そんないつもの光景を、面々は生温かい目で見守っている。何より今は、食堂の店員さんたちの視線が痛い。
まだまだわからないことだらけだが、これで一歩、『神殺しの団』とやらに近づくことができたのだろうか。
そもそも、そいつらの目的は何なんだろう。何のために、この世界の平和を?
そして、何も知らないのに、そいつらを『敵』と決めつけていいのだろつか?
何やら不穏なにおいがプンプンする。
できることなら、平和的に事が進むことを祈るばかりだ。
今日も、夜が更けていく。
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