猜疑心の塊の俺が、異世界転生して無双するとかマジあり得ない

エルマー・ボストン

文字の大きさ
14 / 23
仲間なんて俺は知らない

俺、怖がられてる?

しおりを挟む
「これが、毒を分析した結果なんだけど…。」

俺のスキル
存在経緯の発露バースバックグラウンド』と『万物の記憶サイコメトリー』で、毒の成分の分析、そして矢自体の記憶を読み取って、敵の詳細な情報を得、そして万一に備えて、毒の対策を一考していた。

「分析結果も、ステータスみたいに表示できるんですね…すごい…。」

「『カオスドルガ』の牙の毒か…毒性は強いし、しかもとんでもなく希少なモンだよ。血清を用意するのは、難儀だろうね。
ただ、確かフロル草で効果を和らげることができる、って聞いたことあるね。」

「はい、師匠。」

「フロル草、薬屋で売ってる。用意、しとこ。」

我ながら、細かいことまでよくわかるもんだ。まぁでも、異世界なのに
「サソリの毒だ」とか、フツーなこと言われなくてよかった。蛇とかサソリとかだったら、やっぱりここはヨーロッパだろって思うところだった。


「で、肝心のアジトの情報がコレ…。」

「文章化だけじゃなく、マッピングに…何だいコリャ?!映像まで出てくるのか?!」

宙に浮かぶウィンドウの群れ。
必要な情報が事細かに文章として表示され
その中の一つに、矢の持つ『記憶』、つまり俺たちを襲った者の『足取り』を辿った結果、所持者が出入りしたと思われる建築物の全景が映し出される。

「ここがアジト、かな。どれどれ。
3番通り、50番地…。海沿いの、倉庫みたいだな。」

「こんなこと、まで、わかる、すごい。
勇者様、この後、どうする?」

アミアに問いかけられ、俺はウィンドウを全て閉じた。

「ん。場所も分かったから、転送魔法使っていつでも攻め込めるしな。
焦らなくていいんじゃない?
もう少し、ここでゆっくりしてようよ。そうだなぁ、夕方…あれがこの世界の時計だよね?あれの針が、1番下に来た時にチャチャっと行こうぜ。」

俺は、壁にかけてあるこの世界の鳩時計らしきものを指差し、そのまま冷たいデザートを頬張る。甘ぁい。

この短時間でここまで情報を出したからか、みんなの俺を見る目が普段と違って見える。
驚きと尊敬、あとは…人によっては畏怖もあるだろうか。
何にせよ、俺を見る目が良くも悪くも変わったのは確かだ。

「で、でも本当に大丈夫ですかね…。罠っていう可能性も、あるんじゃ…。」

ミレットが、オドオドしながら口を開く。かなり怖気付いているようだ。

「無くはないだろうけどさ。この世界って、スキルとか魔法で追跡されること、よくあるの?あるなら罠なんじゃない?
無いなら、そんなこと考えてもいないはずだけど。」

「こんな追跡スキル、聞いたこと、ない。勇者様、だけ。」

「そ、そっか。それなら、安心ですね。」

「…大丈夫か?ミレット。顔色悪いぞ?
無理しないで、休んでれば?」

余裕ぶっこく俺たちに対して、震えが止まらない様子のミレット。
先ほどの一件で、恐怖心を大いに掻き立てられているに違いない。

「す、すみ、ません…そうさせてもらいますね…。このままじゃ私、お役に立てそうにありませんし…。」

そう言うと、ミレットは少しだけ安堵を浮かべた気がした。
俺たちはというと、約束の時間までは情報収集をしつつ今日の宿探し、そこでミレットには待機してもらう、ということになったのだった。

…が。
食堂の店主さんが宿屋を紹介してくれたおかげで、すんなり事が運んだ。
みんな良い人すぎる。
そんなこんなで、俺たちは宿屋に場所を移し、ダラダラしていた。

「なんか、決めた時間までだいぶあるな。どうする?行っちゃう?もう。」

「え?もうですか?!私、心の、準備が…。」

「アンタは待機だろ、何バカなこと言ってんだい。」

「じゃ、ミレットの部屋、安全確認したら、行こ。」

やる気満々な俺たち。
それに反して、怯え続けるミレット。
武芸者の第六感か何かかな。

「わ、わかりました…。あ、あの…気をつけて行ってくださいね…。」

俺たちはミレットを部屋まで見送り、施錠したのを確認し、宿屋を後にした。


…その、ほんのわずかな間の出来事だった。

ガシャアーーーン!!

「キャァーーーーーーーーッ!!」

ガラスの割れる音と、ミレットの悲鳴が聞こえてきた。
それを聞き、俺たちは急いで宿屋へと引き返し、ミレットの部屋の扉を開ける。

…荒らされた形跡は無い。ただ、窓が外からブチ破られているのみだ。

「…ミレット!」


見ると、テーブルの上に乱雑な字で記された脅迫文が、割れた窓ガラスで突き刺さっていた。

「娘は預かった。返してほしくば、勇者を縛り、今日の深夜2の刻に、1番小さな娘が4番街20番地まで連れて来い。」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

転生?憑依?したおっさんの俺は【この子】を幸せにしたい

くらげ
ファンタジー
鷹中 結糸(たかなか ゆいと) は、四十目前の独り身の普通という名のブラック会社に務めるサラリーマンだった。だが、目が覚めたら細く小さい少年に転生?憑依?していた。しかも【この子】は、どうやら家族からも、国からも、嫌われているようで……!? 「誰も【この子】を幸せにしないなら俺が幸せにしてもいいよな?」

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

推しがラスボスなので救いたい〜ゲーマーニートは勇者になる

ケイちゃん
ファンタジー
ゲームに熱中していた彼は、シナリオで現れたラスボスを好きになってしまう。 彼はその好意にラスボスを倒さず何度もリトライを重ねて会いに行くという狂気の推し活をしていた。 だがある日、ストーリーのエンディングが気になりラスボスを倒してしまう。 結果、ラスボスのいない平和な世界というエンドで幕を閉じ、推しのいない世界の悲しみから倒れて死んでしまう。 そんな彼が次に目を開けるとゲームの中の主人公に転生していた! 主人公となれば必ず最後にはラスボスに辿り着く、ラスボスを倒すという未来を変えて救いだす事を目的に彼は冒険者達と旅に出る。 ラスボスを倒し世界を救うという定められたストーリーをねじ曲げ、彼はラスボスを救う事が出来るのか…?

処理中です...