疾風迅雷アルティランダー

エルマー・ボストン

文字の大きさ
18 / 33
第三話 夢を追いかけて

2

しおりを挟む
「うっす!新入りのヤベ ミサオっす!よろしくっす!」

ガッツは、工事現場で働いていた。
悟ったのだ。ある程度の金銭を稼がねば、食うに困る、と。
何故彼らは窃盗や略奪をせず、潜伏に徹しているのか?
それは、宇宙人たるガッツたちなりの矜持…なのかもしれない。

アスファルトをガシガシ削るドリルの音にかき消されながら、ガッツに1人の男が話しかける。

「なぁニイちゃん!どこのクニの人やぁ?えろぅ日本語上手いなぁ?!」

「えぇ?!何すかぁ?!聞こえねっす!!」

「おれぁなァ?!大阪から来とるんや?!お笑いやっとんねん!」

「えぇぇ?!お祓い?!取り憑かれてんすかぁ?!つーか、変な喋り方っすねぇ!!宇宙訛りっすかぁ!!」

小型翻訳機も、工事現場の轟音の中では、なかなかに性能が低下してしまう。

「何やニイちゃんオモロいなぁ!!おれぁ檜山っちゅーねん!気軽に勇者って呼んどくれや!!」

「うっす!!キング!!」


異星人たちは、慣れない土地で各々新しい出会いを重ねていた。
彼らはまだ知らない。これが、自分たちの運命を変える遭遇であることを。


その頃主人公は、ボサボサの頭と半裸の状態で、寝ぼけながら歯を磨いていた。ハゲ頭をボリボリとかく、ヒゲのおっさんと共に。

「おっちゃん…俺、思うんだけどさ…。今の俺、完全に穀潰しだよね…。」

総司は、歯ブラシと真剣味を口に含みながら、士郎に問うた。

「何言ってんだ、細かいこと気にすんなよ。お前じゃなきゃ、誰がアルティランダーのデータを取るんだ。何度も言うが俺はな、お前に、俺の夢全部託してンだ。俺の方が礼を言いたいくらいだよ。」

士郎は戯けた口調で返す。

「いや、そう言われるとありがてぇけど、だってさぁ…百合ちゃんだってアルバイト漬けなんだろ。俺だけ何もしないってワケにも…。」

柄にもなく項垂れ、歯を磨く手が止まる。いくら坂田家の面々が底抜けに人が良くても、身体の自由がきかなくても、居候の身でありながら何もしないでのんびりしているのは、非常に心が痛んでいた。

「まぁ、ホラ…テストパイロットだし…?」

「それとこれとは話が違うだろ。車潰した、っていうのも…あるし…。」

沈黙と、普通の汗と変な汗が流れる。
総司はうがいをした後、顔を洗う。

「…よし、決めた。働くぞ。」

両頬を叩いたかと思うと、総司は静かに、力強く息を吐いた。

「そんなこと言ってもよぉお前、どうする気だ?言っちゃ悪いが、その…大丈夫かいな?」

「・・・スタークラウンに聞いてみる、とか・・・?」

総司は、行き当たりばったり感全開で呟く。

「お前、何も考えてねぇな。疑われてるのに雇ってもらえるわけないわ。」

「要はさ、あの赤いやつの部署に関わらなきゃいいんだろ?よし、善は急げだ!ジャックとやらに連絡してみよ。」

口をすすいで、勢いよくペッ!と吐き出した総司は、そのまま慌ただしく士郎の部屋へと戻る。そして、以前ジャックに渡された名刺を、ガサガサと探し始めた。

「総司…本当に大丈夫かいな…。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、10人の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

大絶滅 2億年後 -原付でエルフの村にやって来た勇者たち-

半道海豚
SF
200万年後の姉妹編です。2億年後への移住は、誰もが思いもよらない結果になってしまいました。推定2億人の移住者は、1年2カ月の間に2億年後へと旅立ちました。移住者2億人は11万6666年という長い期間にばらまかれてしまいます。結果、移住者個々が独自に生き残りを目指さなくてはならなくなります。本稿は、移住最終期に2億年後へと旅だった5人の少年少女の奮闘を描きます。彼らはなんと、2億年後の移動手段に原付を選びます。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

処理中です...