25 / 33
第四話 あなたの思い出
2
しおりを挟む
一方その頃、ジャックと士郎は、坂田宅で居間で麦茶をすすっていた。
「さて、今回は私とアナタ、二人だけのようですね。是非…お聞かせ願えませんか。『声』について。」
ジャックはひとしきり麦茶をすすった後、静かに切り出した。
「…先に、聞かせてくれ。アンタ、ただモンじゃねぇな。」
士郎はというと、グラスをギュッと握ったまま、肩を震わせている。ジャックを見つめるその眼差しは、どこか遠くを見据えている様だった。
「アナタを信用しないワケではありませんが、それは言えません。ただ、どうやらある程度はお分かりのようだ。ご想像にお任せします、とだけ。」
ジャックは困った様に笑う。
「そうか。まぁ、分かったよ、うん。何となくな。なんか何となく似てるからなァ、アンタ。」
士郎はため息をつく。その様子を見て、ジャックはピクリと眉をひそめた。
「人に話すのは、これが初めてだ。息子や孫たち、総司にも言うとらん。」
士郎は決心したように、膝をパンと叩いた。
「話そう。俺の最愛の妻…知恵のことを。」
「上野の一件、出遅れたそうね。未確認生命体が現れたというのにも関わらず。」
彗は、まるで嵐の前の空のように静かに声を張り上げ、社長専用の椅子に座りながらグルングルンと回転していた。
「は…この度は、誠に…。」
「いいのよ言い訳は。今後どうするか、大切なのはそこ。どうするの?」
終わらない社長からの追求に、南は顔を伏せながら苦々しく、恐る恐る口を開く。
「お、恐れながら…。彼らの動きを追っていたのですが、行動があまりに早すぎまして…。
で、ですので、僭越ながら、これ以上は調査とパイロット、二足の草鞋は困難かと…。」
「…そうね。このあたりが潮時かしらね。」
「え、何ですかそれ…こわ…。」
ジャックは、士郎の話の導入部分すら聞くことなく、突然ドン引きし始めた。
「何ですか急に…ノロケですか…こわ…。」
「えっ?いやいや違うよ?!何?!何が?!だ、だって『声』とか言うからさ…?
えっ?!違うの?!」
いい歳をしたじいさんは、若者のように狼狽えた。
「えっと…すみません、全然違います…。」
ジャックは、細い目をより細くした。
「な、何じゃそりゃァ!!!アンタが勿体ぶった言い方するから!!勘違いしたんじゃん!!
恥ずかしいわ!!
もう!!言いづらいとかそういうのいいから!!もっとわかりやすく説明せんかい!!」
「お、仰るとおりです…!すみません、かなり重大な内容なもので、濁すのが鉄板かなと…。」
しどろもどろになるジャックを、士郎は涙目で睨みつけ続けていた。
「わ、わかりました…。はぁ、自分で撒いた種ですし、アナタはまぁ、大丈夫だと思いますから…。
あ、でもコレ、他言無用でお願いしてますので…。」
メガネを拭きながら、ジャックはため息をつき、改めて真剣な面持ちで視線を上げた。
「私ね。地球人じゃないんですよ。」
「さて、今回は私とアナタ、二人だけのようですね。是非…お聞かせ願えませんか。『声』について。」
ジャックはひとしきり麦茶をすすった後、静かに切り出した。
「…先に、聞かせてくれ。アンタ、ただモンじゃねぇな。」
士郎はというと、グラスをギュッと握ったまま、肩を震わせている。ジャックを見つめるその眼差しは、どこか遠くを見据えている様だった。
「アナタを信用しないワケではありませんが、それは言えません。ただ、どうやらある程度はお分かりのようだ。ご想像にお任せします、とだけ。」
ジャックは困った様に笑う。
「そうか。まぁ、分かったよ、うん。何となくな。なんか何となく似てるからなァ、アンタ。」
士郎はため息をつく。その様子を見て、ジャックはピクリと眉をひそめた。
「人に話すのは、これが初めてだ。息子や孫たち、総司にも言うとらん。」
士郎は決心したように、膝をパンと叩いた。
「話そう。俺の最愛の妻…知恵のことを。」
「上野の一件、出遅れたそうね。未確認生命体が現れたというのにも関わらず。」
彗は、まるで嵐の前の空のように静かに声を張り上げ、社長専用の椅子に座りながらグルングルンと回転していた。
「は…この度は、誠に…。」
「いいのよ言い訳は。今後どうするか、大切なのはそこ。どうするの?」
終わらない社長からの追求に、南は顔を伏せながら苦々しく、恐る恐る口を開く。
「お、恐れながら…。彼らの動きを追っていたのですが、行動があまりに早すぎまして…。
で、ですので、僭越ながら、これ以上は調査とパイロット、二足の草鞋は困難かと…。」
「…そうね。このあたりが潮時かしらね。」
「え、何ですかそれ…こわ…。」
ジャックは、士郎の話の導入部分すら聞くことなく、突然ドン引きし始めた。
「何ですか急に…ノロケですか…こわ…。」
「えっ?いやいや違うよ?!何?!何が?!だ、だって『声』とか言うからさ…?
えっ?!違うの?!」
いい歳をしたじいさんは、若者のように狼狽えた。
「えっと…すみません、全然違います…。」
ジャックは、細い目をより細くした。
「な、何じゃそりゃァ!!!アンタが勿体ぶった言い方するから!!勘違いしたんじゃん!!
恥ずかしいわ!!
もう!!言いづらいとかそういうのいいから!!もっとわかりやすく説明せんかい!!」
「お、仰るとおりです…!すみません、かなり重大な内容なもので、濁すのが鉄板かなと…。」
しどろもどろになるジャックを、士郎は涙目で睨みつけ続けていた。
「わ、わかりました…。はぁ、自分で撒いた種ですし、アナタはまぁ、大丈夫だと思いますから…。
あ、でもコレ、他言無用でお願いしてますので…。」
メガネを拭きながら、ジャックはため息をつき、改めて真剣な面持ちで視線を上げた。
「私ね。地球人じゃないんですよ。」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる