29 / 33
第四話 あなたの思い出
6
しおりを挟む
「はン!アンタらなんかが私に敵うと思ってんの?!」
同じ兵器とはいえ、体格や重量に大きな差がありすぎるのだ。誰がどう見ても、モグモグ星人たちに勝ち目は無かった。
逃げ惑っていた街の人たちから、歓声と拍手が巻き起こる。
「ぐぐ、ぐぞぉ!ごーなっだら!」
浮かぶホログラムが、ワナワナと震えたかと思えば…
「おまいら!みんなみーーんな出でぐるだ!おまいら!」
宇宙船上部が開き、カタパルトが現れた。
そして、とてつもない速さでワラワラとモグモグ兵器が発進してくるではないか!
「げっ…!何この数、キモッ!!聞いてないんだけど…。」
「オイたちゃ、あの、マボロシの!捕獲!本気だど!総動員で来でるだ!」
あっという間にスクランブル交差点は、まるで砂糖に蟻が群がるかのように、モグモグ星人の機体で溢れ返ってしまったのだった。
「うっ…これはちょっとヤバいかも…。」
「お゛じ!お゛まびら!がかれェー!!」
ボス格の合図とともに、バンキッシュに向かって一斉に飛びかかる下っ端たち。その光景は、軍隊蟻が大きな獲物を集団で狩る、まさにそのものであった。
「ぎえぇぇキモいキモいキモい!!は、離れなさいってばァァァァァァ!!」
ただでさえ機動性のあまり良くないバンキッシュ。素早く組み着かれ、徐々に身動きが取れなくなっていく。
「負ける、ってことはないかもだけど…どうしよぉコレェ…!全然動けなくなってきたじゃァん!」
「ばばばばば!!ええ゛どえ゛えど!ほんでこんまま、マボロシのアイツを、レ゛ーダー゛で探るんだ!ごい゛だげいりゃあ、すぐに゛見つがるにぢげぇね゛ぇだど!!」
「ドレッド!ダガー!!」
ジャネットのピンチに颯爽と現れたのは、宿敵とも言えるスタードレッドであった。
ドレッドはダガーを携えた突進により、バンキッシュにまとわりつく多数の一部を破壊した。
「あっ!赤いの!この前はよくも!」
「この前の宇宙人!貴様…一体何がしたい?!仲間割れか?!」
「ちっがうわ!こんなダッサいのとツルむワケないでしょ!…うちの領土になる…予定のニポンを…壊されたくないだけよ!…おりゃアァァァァァァァァァァ!!」
破壊されたその隙を突き、ジャネットはパワーを全開に入れ、全身を覆っていた残りの連中を吹き飛ばした。
かと思えば、すぐさま次の機体群が宇宙船から続々と現れ、2人の前に立ちはだかる。
「キリがない」というヤツである。
「な、なんだこの数は…?!どれだけの人員が船内にいるというのだ?!」
渋谷の空が、真っ黒に染まっていく。
一つ一つの攻撃力などは大したことはないものの、視界やレーダーは遮られ、そしてまとわりつかれることで、行動に制限が現れ始める。
「コイツら『ドローン』よ、遠隔操縦。安くて大量生産ができて、しかも小型化して運搬、その上合体して巨大化もできる…って、便利なシロモノなの!」
「随分詳しいんだな!
やはり!仲間なのでは?!」
「そう見える?!コレがァ?!あーもう鬱陶しいなぁ!」
奇しくも背中合わせになりながら、機腕をバタバタさせながら、必死で兵器の群を払い除けようとする2人。だがそれも、徒労に終わろうとしていた。
バンキッシュとスタードレッドが、黒く、覆われていく。
「赤いのも宇宙人も、苦戦してるな…!俺も何とかして、アルティランダーを使えればな…くそっ、肝心な時に役に立てないなんて、俺は…ちきしょう!」
壁に手をかけながら、必死にその場をやり過ごそうとしていた総司は、同じく必死の抵抗を続ける2人の様子を見て1人、唇を噛んでいた。そして、壁に拳を強く、叩きつける。
後ろを振り返ったり、事態をマイナスに捉えることを好まない総司であったが、
「肝心な時に何もできない」
ことに対しては、人一倍過敏に反応する傾向にある。
脚を怪我した後に、そのせいで他人を助けられなかったことを悔やんだことが、何度あっただろう。
その昔、両親が行方不明になり悲しみに暮れる百合子と鉄矢を、ただ抱きしめることしか出来なかった自分が、どれほど小さな存在に感じたことだろう。
あの時のように、
『何もできない自分』が、再び今ここで、顔を覗かせている。
悲しみと怒り。混ざり合った感情で、より黒くなっていく空を見上げる総司。
だがその目に、一筋の光が飛び込んでくるのだった。
「ビィィィムゥ…エメラルドォォォォォォ!!」
それは、光と共に現れた。
黒い空を文字通りに割き、赤と銀に輝くメタリックボディのロボットが、一瞬にして。
そして瞬く間に、前方に突き出すように構えた腕部から、まるで光の柱と見紛うばかりの超出力のビームを、ビルの合間を縫うようにして放つのだった。
「な、何だ、あの機体は…?!」
「ちょっ、ウソでしょ…アレって…!」
「な゛、な゛に゛ィィ!!お、おまいは?!おまいはァァァァァァ!!」
その機体、そして搭乗者を、
知っている者と、知らない者。
そう、その名とその姿は、広大な宇宙の海に、強く轟いているのである。
「待たせたなァ、お前ら!さぁ!ヒーローの登場だ!!」
コックピットに座すは、ジャック=西条。
メガネを外し、バリバリに眼を見開いたその男は、今日この日は俗に言う「スーツ」ではなく、パイロットとしての紺色の「スーツ」に身を包んでいるのだった。
同じ兵器とはいえ、体格や重量に大きな差がありすぎるのだ。誰がどう見ても、モグモグ星人たちに勝ち目は無かった。
逃げ惑っていた街の人たちから、歓声と拍手が巻き起こる。
「ぐぐ、ぐぞぉ!ごーなっだら!」
浮かぶホログラムが、ワナワナと震えたかと思えば…
「おまいら!みんなみーーんな出でぐるだ!おまいら!」
宇宙船上部が開き、カタパルトが現れた。
そして、とてつもない速さでワラワラとモグモグ兵器が発進してくるではないか!
「げっ…!何この数、キモッ!!聞いてないんだけど…。」
「オイたちゃ、あの、マボロシの!捕獲!本気だど!総動員で来でるだ!」
あっという間にスクランブル交差点は、まるで砂糖に蟻が群がるかのように、モグモグ星人の機体で溢れ返ってしまったのだった。
「うっ…これはちょっとヤバいかも…。」
「お゛じ!お゛まびら!がかれェー!!」
ボス格の合図とともに、バンキッシュに向かって一斉に飛びかかる下っ端たち。その光景は、軍隊蟻が大きな獲物を集団で狩る、まさにそのものであった。
「ぎえぇぇキモいキモいキモい!!は、離れなさいってばァァァァァァ!!」
ただでさえ機動性のあまり良くないバンキッシュ。素早く組み着かれ、徐々に身動きが取れなくなっていく。
「負ける、ってことはないかもだけど…どうしよぉコレェ…!全然動けなくなってきたじゃァん!」
「ばばばばば!!ええ゛どえ゛えど!ほんでこんまま、マボロシのアイツを、レ゛ーダー゛で探るんだ!ごい゛だげいりゃあ、すぐに゛見つがるにぢげぇね゛ぇだど!!」
「ドレッド!ダガー!!」
ジャネットのピンチに颯爽と現れたのは、宿敵とも言えるスタードレッドであった。
ドレッドはダガーを携えた突進により、バンキッシュにまとわりつく多数の一部を破壊した。
「あっ!赤いの!この前はよくも!」
「この前の宇宙人!貴様…一体何がしたい?!仲間割れか?!」
「ちっがうわ!こんなダッサいのとツルむワケないでしょ!…うちの領土になる…予定のニポンを…壊されたくないだけよ!…おりゃアァァァァァァァァァァ!!」
破壊されたその隙を突き、ジャネットはパワーを全開に入れ、全身を覆っていた残りの連中を吹き飛ばした。
かと思えば、すぐさま次の機体群が宇宙船から続々と現れ、2人の前に立ちはだかる。
「キリがない」というヤツである。
「な、なんだこの数は…?!どれだけの人員が船内にいるというのだ?!」
渋谷の空が、真っ黒に染まっていく。
一つ一つの攻撃力などは大したことはないものの、視界やレーダーは遮られ、そしてまとわりつかれることで、行動に制限が現れ始める。
「コイツら『ドローン』よ、遠隔操縦。安くて大量生産ができて、しかも小型化して運搬、その上合体して巨大化もできる…って、便利なシロモノなの!」
「随分詳しいんだな!
やはり!仲間なのでは?!」
「そう見える?!コレがァ?!あーもう鬱陶しいなぁ!」
奇しくも背中合わせになりながら、機腕をバタバタさせながら、必死で兵器の群を払い除けようとする2人。だがそれも、徒労に終わろうとしていた。
バンキッシュとスタードレッドが、黒く、覆われていく。
「赤いのも宇宙人も、苦戦してるな…!俺も何とかして、アルティランダーを使えればな…くそっ、肝心な時に役に立てないなんて、俺は…ちきしょう!」
壁に手をかけながら、必死にその場をやり過ごそうとしていた総司は、同じく必死の抵抗を続ける2人の様子を見て1人、唇を噛んでいた。そして、壁に拳を強く、叩きつける。
後ろを振り返ったり、事態をマイナスに捉えることを好まない総司であったが、
「肝心な時に何もできない」
ことに対しては、人一倍過敏に反応する傾向にある。
脚を怪我した後に、そのせいで他人を助けられなかったことを悔やんだことが、何度あっただろう。
その昔、両親が行方不明になり悲しみに暮れる百合子と鉄矢を、ただ抱きしめることしか出来なかった自分が、どれほど小さな存在に感じたことだろう。
あの時のように、
『何もできない自分』が、再び今ここで、顔を覗かせている。
悲しみと怒り。混ざり合った感情で、より黒くなっていく空を見上げる総司。
だがその目に、一筋の光が飛び込んでくるのだった。
「ビィィィムゥ…エメラルドォォォォォォ!!」
それは、光と共に現れた。
黒い空を文字通りに割き、赤と銀に輝くメタリックボディのロボットが、一瞬にして。
そして瞬く間に、前方に突き出すように構えた腕部から、まるで光の柱と見紛うばかりの超出力のビームを、ビルの合間を縫うようにして放つのだった。
「な、何だ、あの機体は…?!」
「ちょっ、ウソでしょ…アレって…!」
「な゛、な゛に゛ィィ!!お、おまいは?!おまいはァァァァァァ!!」
その機体、そして搭乗者を、
知っている者と、知らない者。
そう、その名とその姿は、広大な宇宙の海に、強く轟いているのである。
「待たせたなァ、お前ら!さぁ!ヒーローの登場だ!!」
コックピットに座すは、ジャック=西条。
メガネを外し、バリバリに眼を見開いたその男は、今日この日は俗に言う「スーツ」ではなく、パイロットとしての紺色の「スーツ」に身を包んでいるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる