疾風迅雷アルティランダー

エルマー・ボストン

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第四話 あなたの思い出

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「はン!アンタらなんかが私に敵うと思ってんの?!」

同じ兵器とはいえ、体格や重量に大きな差がありすぎるのだ。誰がどう見ても、モグモグ星人たちに勝ち目は無かった。
逃げ惑っていた街の人たちから、歓声と拍手が巻き起こる。

「ぐぐ、ぐぞぉ!ごーなっだら!」

浮かぶホログラムが、ワナワナと震えたかと思えば…

「おまいら!みんなみーーんな出でぐるだ!おまいら!」

宇宙船上部が開き、カタパルトが現れた。
そして、とてつもない速さでワラワラとモグモグ兵器が発進してくるではないか!

「げっ…!何この数、キモッ!!聞いてないんだけど…。」

「オイたちゃ、あの、マボロシの!捕獲!本気だど!総動員で来でるだ!」

あっという間にスクランブル交差点は、まるで砂糖に蟻が群がるかのように、モグモグ星人の機体で溢れ返ってしまったのだった。

「うっ…これはちょっとヤバいかも…。」

「お゛じ!お゛まびら!がかれェー!!」

ボス格の合図とともに、バンキッシュに向かって一斉に飛びかかる下っ端たち。その光景は、軍隊蟻が大きな獲物を集団で狩る、まさにそのものであった。

「ぎえぇぇキモいキモいキモい!!は、離れなさいってばァァァァァァ!!」

ただでさえ機動性のあまり良くないバンキッシュ。素早く組み着かれ、徐々に身動きが取れなくなっていく。

「負ける、ってことはないかもだけど…どうしよぉコレェ…!全然動けなくなってきたじゃァん!」

「ばばばばば!!ええ゛どえ゛えど!ほんでこんまま、マボロシのアイツを、レ゛ーダー゛で探るんだ!ごい゛だげいりゃあ、すぐに゛見つがるにぢげぇね゛ぇだど!!」



「ドレッド!ダガー!!」

ジャネットのピンチに颯爽と現れたのは、宿敵とも言えるスタードレッドであった。
ドレッドはダガーを携えた突進により、バンキッシュにまとわりつく多数の一部を破壊した。

「あっ!赤いの!この前はよくも!」

「この前の宇宙人!貴様…一体何がしたい?!仲間割れか?!」

「ちっがうわ!こんなダッサいのとツルむワケないでしょ!…うちの領土になる…予定のニポンを…壊されたくないだけよ!…おりゃアァァァァァァァァァァ!!」

破壊されたその隙を突き、ジャネットはパワーを全開に入れ、全身を覆っていた残りの連中を吹き飛ばした。

かと思えば、すぐさま次の機体群が宇宙船から続々と現れ、2人の前に立ちはだかる。
「キリがない」というヤツである。

「な、なんだこの数は…?!どれだけの人員が船内にいるというのだ?!」

渋谷の空が、真っ黒に染まっていく。
一つ一つの攻撃力などは大したことはないものの、視界やレーダーは遮られ、そしてまとわりつかれることで、行動に制限が現れ始める。

「コイツら『ドローン』よ、遠隔操縦。安くて大量生産ができて、しかも小型化して運搬、その上合体して巨大化もできる…って、便利なシロモノなの!」

「随分詳しいんだな!

やはり!仲間なのでは?!」

「そう見える?!コレがァ?!あーもう鬱陶しいなぁ!」

奇しくも背中合わせになりながら、機腕をバタバタさせながら、必死で兵器の群を払い除けようとする2人。だがそれも、徒労に終わろうとしていた。
バンキッシュとスタードレッドが、黒く、覆われていく。


「赤いのも宇宙人も、苦戦してるな…!俺も何とかして、アルティランダーを使えればな…くそっ、肝心な時に役に立てないなんて、俺は…ちきしょう!」 

壁に手をかけながら、必死にその場をやり過ごそうとしていた総司は、同じく必死の抵抗を続ける2人の様子を見て1人、唇を噛んでいた。そして、壁に拳を強く、叩きつける。

後ろを振り返ったり、事態をマイナスに捉えることを好まない総司であったが、

「肝心な時に何もできない」

ことに対しては、人一倍過敏に反応する傾向にある。
脚を怪我した後に、そのせいで他人を助けられなかったことを悔やんだことが、何度あっただろう。
その昔、両親が行方不明になり悲しみに暮れる百合子と鉄矢を、ただ抱きしめることしか出来なかった自分が、どれほど小さな存在に感じたことだろう。

あの時のように、

『何もできない自分』が、再び今ここで、顔を覗かせている。
悲しみと怒り。混ざり合った感情で、より黒くなっていく空を見上げる総司。

だがその目に、一筋の光が飛び込んでくるのだった。



「ビィィィムゥ…エメラルドォォォォォォ!!」


それは、光と共に現れた。
黒い空を文字通りに割き、赤と銀に輝くメタリックボディのロボットが、一瞬にして。

そして瞬く間に、前方に突き出すように構えた腕部から、まるで光の柱と見紛うばかりの超出力のビームを、ビルの合間を縫うようにして放つのだった。



「な、何だ、あの機体は…?!」

「ちょっ、ウソでしょ…アレって…!」

「な゛、な゛に゛ィィ!!お、おまいは?!おまいはァァァァァァ!!」

その機体、そして搭乗者を、
知っている者と、知らない者。
そう、その名とその姿は、広大な宇宙の海に、強く轟いているのである。

「待たせたなァ、お前ら!さぁ!ヒーローの登場だ!!」

コックピットに座すは、ジャック=西条。
メガネを外し、バリバリに眼を見開いたその男は、今日この日は俗に言う「スーツ」ではなく、パイロットとしての紺色の「スーツ」に身を包んでいるのだった。
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