疾風迅雷アルティランダー

エルマー・ボストン

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第四話 あなたの思い出

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「くっ…やはり親玉はデカいのでくるのが定石か…!しかしここで退くわけにはいかない…!ドレッドォ…ラァァァァァンス!!」

渾身の力を振り絞り、南は残り少ないエネルギーでなんとか敵を振り払う。


「くっ、そ!女だからって、アタシのことバカにしてるの…?!ちょっと!離れなさいよ、このぉっ!」

ジャネットは、まるで蚊を叩き落とさんばかりにバンキッシュの腕をブンブンと振らせ、ドローンを追い払う。

「ちっ…そろそろ3分…か。どうしたモンか。」

誰がどう見ても、他と一線を画す絶大な力を持ったジャックと零であったが、周囲に気を配りつつ、それでいて制限時間の中で数の暴力に抗うことは、流石に限界があった。

最後の手段が、無いわけではない。しかし…。

だが、他の2人は兎も角、ジャックは信じていた。
彼が呼んだ、あの男が来ることを。






「スピニング!キィィィーーーック!!」





それは、渋谷の真ん中に光明をもたらすかの如く、超スピードで現れた。
ストライクモードで、猛然と巨大ロボに突っ込んだアルティランダーは、瞬く間にアタックモードへと変形し、フル回転させた脚部に備わるタイヤをもってして、ベルダッグの足元を走り抜け様に蹴り付けたのだ。


「な゛、な゛ん゛だァァ?!何゛が起゛ぎだ?!」


バランスを崩し、ベルダッグがほんの少しだけ傾く。
それと同時に、わずかだがドローン軍団の力が緩くなった。1秒にも満たないその刹那に、スタードレッドとバンキッシュはフルパワーで離脱。体勢を立て直すのだった。


「バカパイロットか!来るならもっと早く来い、遅いぞ!」


南は身動きを取るのがやっとの状態で、悪態を突いて見せる。


「お待たせ!主役はさらに遅れてやってくる、ってな!…バカはオメーもだろーが!!」



「ナイスなタイミングだぜ!…総司さん、後は任せます。私はこれで。」

3分が経過し、みるみるうちにボディから光が消えていく零・七型。それを駆るジャックは、それに沿ってゆっくりメガネをかけると、ポツリと言い残して、瞬時にテレポートを発動。その場からあっという間に消えた。

「(えぇ…何だこの人、こわ…)」

あまりの豹変ぶりに、流石の総司も動揺を隠せない。


「ふぅ、助かったぁ…なんかムカつくけど…。」

ドローン軍団とベルダッグから距離を取り、ホッと胸を撫で下ろすジャネット。それを見て総司もフッと息をつき、闘志を燃やす。

「っと!大丈夫かい…えっと…まぁいいや!
さぁ、本当の戦いってのは、こっからだぜ!」

アルティランダーはサムズアップを決め、その親指を、ニュスペンソ目掛けて向ける。大いなる挑戦である。

「ぢょございなァァ!!雑魚が増えでも大して変わらんわ゛!!ぐらえ!白色破壊光線!!」

ニュスペンソの叫びと共に、ベルダッグの腕部分が縦にパカっと割れたかと思うと、瞬間、極太の2本の光線が、アルティランダー目掛けて放たれた。

が。

「へったくそ!そんなもん当たるかよ!おっとと、雑魚は引っ込んでな!!」

途轍もない反応速度で、まるでローラーブレードで障害物をスルリと躱すかのように、鋼鉄のボディが光線の間を走り抜けていく。
そしてマグ・ワイヤーを鞭のように巧みに操り、襲い来るドローンの群れを少しずつ叩き落とすのだった。
そのスピードたるや、まさに嵐のようだ。

「今度はこっちの番だ!名付けて、ガンスピナー改!くらえぇ!!」

超高速で走行を続けながら、腰に備わったガンを颯爽と抜き、引き鉄を引く総司。
相手はアルティランダーの数倍はあるかという巨体だ。放たれた銛は、簡単に命中した。


「な゛っ、な゛ぬ!!ベルダッグの装゛甲゛に穴を゛?!ぢぐじょう!ごごは一゛旦…」


殺傷能力の強い危険な武装を備えることに抵抗のあった士郎だが、平和のため、そして総司やその周囲を守るため、若干の改良を加えたのだ。
それが今、その願い通りに作用しようとしている。
流石ニュスペンソは百戦錬磨。
あれだけの光線の集中砲火にかすりもしないばかりか、それを掻い潜りながらの攻撃を成功させた小さな巨人を、すぐさま危険だと判断した。
そして、アルティランダーから距離を取ろうと後退をするも、



「逃がすかよ!…おりゃアァァァァァァッッ!!」



追撃とばかりに、総司は宙にガンスピナーを連射。今度はベルダッグの頭部を狙うため、放物線を描くように遥か高くへスピナーを見舞った。
だが…。

「な゛める゛な゛よ゛!同゛じ手゛んかぐわねど!!」

ベルダッグは軽々とそれを回避すると、ここぞとばかりに背中のバーニアを噴射。その巨体からは想像もつかない猛スピードで、一気にアルティランダーに迫る。

「ぐばばばば!バガめ゛フ゛ェ゛イ゛ン゛トに引っがかってぐれだば!ごれでもぐら゛え!」

まるで勝ち誇ったかのような歓喜の雄叫びを上げると同時に、ベルダッグの口にあたるであろう部分に、ミサイルが顔を覗かせた。


「げっ!あんなとこから?!ヤバい……ッ!!」


コックピットに、ロックオンされていることを知らせるアラート音が鳴り響く。


「ぐばばばばばば!!ごれで終゛わ゛りど!!グッバイ!!」



その時。


何かがベルダッグの口元にぶつかり、鈍い金属音と共に爆発が起こったのだ!
凄まじい轟音に、思わず目を伏せていた総司は、驚きの眼差しを敵機に向けた。



「げばァァァァ?!な゛、な゛んだ?!何゛が起ごだだ?!ご、ごん゛なごど!!ギィィエ゛ァァァァァァァァァァァァ!!」


驚きを隠せないのは、ニュスペンソも同様であった。あまりの突然の出来事に奇声を上げ、ひたすらにパニックを起こす。


「んもぅ!ソウジ!ボサッとしてないで、さっさとやっつけちゃいなさいよ!」


「バカに見せ場を譲るのは癪だが…
ドレッドも僕も、今ので限界だ。…ちっ。」


アルティランダーに、通信が入る。
モニターには映っていないため、総司には何が起きたかは分からない。
しかしその口ぶりで、共闘していた宇宙人の女子と、メガネが何かをした、ということは理解ができた。

そう、バンキッシュは捕縛したドローンの一体を、スタードレッドはダガーを、ベルダッグの露出したミサイル部分に向かって思い切りブン投げ、見事直撃させたのである。


「キ、キミがやってくれたのか!
ありがとう!
…おいメガネ!バカはオメーもだっつってんだろーが!!

っと!これで…どうだァァァァァァッ!!」


虫の息となったベルダッグにトドメを刺さんと、アルティランダーは瞬時にダッシュモードへと変形を果たし、猛進する。
そして、先ほど回避され、アスファルトに突き刺さっていた何本もの銛、もといスピナーに対して次々と交互にマグ・ワイヤーを引っ掛け、そして巻き取り、を繰り返し、加速を続けていく!

その速度を利用してワイヤーを引っこ抜き、突撃を続け、脚部へと突き刺す!


「ぐべェェ?!崩゛れぢばう…!」


「まだだ!安全第一ィ!!」

ブレーキとアクセル、2本のワイヤーを巧みに操り、スケートのスピンのような動きで、突き刺さっていた残りのスピナーに引っ掛ける
するとその後急速にバック、からの加速。
パチンコの要領で飛び上がる!

今度は、先ほどと同じ手だ。離陸の勢いで引っこ抜いたスピナーを、ワイヤーを巻いて回収。
両手に携え飛び続け、遂に巨体・ベルダッグの頭部に、これでもかとばかりに突き刺した!

「これに懲りたら!宇宙へ帰んなァァァァァァ!!」


「な゛ア゛ア゛ア゛?!ごんな゛んアリがァァァァ??!」


コックピットが、静かに火花を散らす。


ベルダッグ、機能停止。
全身からほんのりと煙を噴き出しながら、ライト・アイが、わずかな点滅の後にフッと消える。僅かに前傾姿勢になったまま、両手をダランと下げ、ピクリとも動かなくなった。

大爆発を起こさせなず、且つコックピットも潰さず、その周辺だけを狙った、総司の神業であった。

「必殺!!…えっと…アルティメットハリケーン!!」
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