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第6話 天災
しおりを挟む満身創痍の状態で王の城へと転移した魔法使いは、起こった出来事の全てを話した。
兵士からその報告を受けた王は、玉座に腰かけたまま驚愕の表情を浮かべ首を数度横に振った。
「……あの勇者と武闘家がやられるとは。……そして何よりも、あの役立たずが我々に歯向かうなどと……!!」
王の目は怒りで血走り、全身が細かく震えていた。
そのまま王は玉座の肘置きを思い切り殴りつけた。
「これは王家だけではなく、我々全人類に対する裏切りであり万死に値する!!よって、神官の一族及び神官が所属していた教会連中を最も残虐な手段を用いて直ちに処刑せよ!!」
「はっ!!」
指示を受けた兵士たちは、すぐさま部屋を飛び出していく。
そして、側近と王しかいなくなった部屋の中、王は独り不快そうな表情のまま呟く。
「……勇者と武闘家、それに魔法使いも大して役に立たなかったな。あんな神官ごときに敗北するなど、一体我々が異世界から呼び出すのにどれほど金と手間がかかったと思ってるのだ。チッ……まぁいい、手駒はまだまだある。魔法使いを再度、神官にぶつけろ。それを拒否するようなら殺してしまえ」
「承知しました」
王の横に控えていた側近は、深く礼をすると転移魔法を使用したのだろう、一瞬でその姿を消した。
とうとう部屋の中には王以外誰もいなくなった。
王は片肘をつきながら、貧乏ゆすりをし苛立ちを隠そうともしないまま、大きなため息をひとつついた。
◆◆◆◆
――神官は何かに導かれるように、ただひたすらに森の中を歩く。
その姿はさながら幽鬼のようであった。
ゆっくりと、一歩一歩を踏みしめる度に、その足跡から周囲の草木が枯れ、そして散っていく。
一度広がり出した死の波は着実に周囲を蝕んでいき、それは留まることを知らない。
際限なく、見境なく生命を奪っていく今の神官の存在は、まさに『天災』と呼ぶ他ない。
……ただ、他の天災と決定的に異なる部分がある。
それは、『憎悪』という感情を持ち、それによって行動するということだ。
……いや、もはや『憎悪』そのものであると言った方がいいだろう。
そんな神官が次に取る行動はひとつである。
神官は歩みを止めることなく右手を振り下ろし、容易く空間を引き裂いた。
裂けた空間、その先に見えるのは草原とやや離れたところには巨大な城と非常に発展した城下町がある。
神官の黒い瞳はその城を真っ直ぐに見つめていた。
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