恋だとか愛だとか

篠月珪霞

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「「リゼルお姉さま」」
「やあ、アリア、サーシャ」

厩舎に向かう途中、可愛い妹たちに呼び止められた。
妹たちは双子で、見分けがつかない者が多いほどそっくりである。ちなみに父もその1人だったりする。

「遠乗りに出かけるんですの?」「お姉さま?」
「ああ、ちょっとひとっ走りしてこようかと思ってね」
「「わたくしも行きたいですわ」」

思考もそっくり。声質も似ているから、ぴったり重なることも多い。
連れてって、連れてってと幻聴も聞こえる。
あまりに重なりすぎて思わず吹き出すと、2人が揃って首をかしげ、ふわふわの金髪が揺れる。

「お姉さま?」「お姉さま?」

あ、ちょっとずれた。
それも面白い。

「アリア、お前はこれから礼儀作法の時間だろう?」
「むー」
「サーシャは刺繍の先生がもう来てたぞ」
「…刺繍、苦手なんですもの」

双子が同じ授業でないのは、得意分野が違うからだ。
アリアはマナー方面が、サーシャは刺繍など手先を使う分野が苦手だ。なので、ときどき、こういうことがある。

「苦手だからって、入れ替わっちゃだめだぞ、この間みたいに」
「「むーーーー」」
「淑女がむくれた顔を見せてもだめ」
「外ではちゃんとしてますもの」「してますもの」
「アリア、言葉を端折らない」
「はあい」
「サーシャも、急なお客様があってどこから見られてるか分からないから、部屋の中、あと家族の前だけでね。ここは外に近いから」
「はあい」

しぶしぶといった感じではあるが、頷く双子の妹たち。可愛い。

「今度、一緒に行こうな」
「「はい!」」

元気に返事する双子の頭を撫でると、嬉しそうに目を細める。いつ見ても可愛い。
可愛い可愛い妹たちを送り届けてから、また踵を返した。
















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