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第15話 兄妹の絆
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——これは、まだ、間に合うかも知れない。
そう直感したクリアは、血は繋がってはいない、しかし誰よりも自分の自慢の妹だと胸を張って言えるミヤを信じて、祈るように叫んだ。
「ミヤ! 君にこんなこと言うのは本当に酷い兄さんだと思う! 不甲斐ない兄でごめん! でも、ミヤだから信じてる……! ミヤならそんな奴に負けたりしないって! ……だから少しだけでいい、頑張って!」
「バカがァ! そんな言葉が届くわけねェだろうがァ!」
クリアは祭壇から見て正面の壁を足場にして一度体制を整えると、思い切り蹴り出してミヤに向かって両手を広げて飛び込んだ——。
それは、ザ・クロにとって絶好のチャンス。
無論、それを見逃すはずもなく。
「観念したかァ。ならとっととくたばっちまいなァお兄様ァ!」
飛び込んでくるクリアに向け、ザ・クロは狙いを定め闇分子攻撃を再び放つ。
——同時に、勝利を確信した笑みを浮かべたのが、クリアの目に映った。
放たれた高出力の闇の分子は、クリアに直撃し、無慈悲にも消し飛ばした。
……そうならなければ、おかしかったと、ザ・クロは思ったことだろう。
「やっとここまで来れた。待たせてごめんね……。そして……よく頑張ったね、本当にありがとう」
「オ……ニイ……サマ……」
「うん、もう大丈夫。後はボクに任せて」
「…………」
クリアには、間違いなくザ・クロが殺意を込めて放った闇の分子の塊は直撃していた。
……だが、クリアもただ馬鹿正直に突っ込んでいった訳ではない。
クリアが飛び込んだ直線上に、クリアが作り出した差し込む光の柱があったのだ。
ザ・クロは恐らく、持続する攻撃を当てれば光の柱を通り抜けた後のクリアを撃墜できると思っていたことだろう。
しかし、ザ・クロは、攻撃を持続させられなかった。
打ち出した直後に、ミヤが一時的に身体を取り戻してくれたのだ。
それにより、光によって弱体化した闇の分子のみを受け、クリアはミヤの元に辿り着いた、というわけだった。
クリアは愛しそうにミヤを抱きしめると、【力】を使うために集中する。
「くそォ! この娘意外とやるじゃねェか!」
サラの体を再びザ・クロが乗っ取ったことを示すように、大量の闇のエレメントがサラの体から溢れ出す。
ザ・クロはクリアから逃れようとするが、あくまで体は幼いの少女のもの。
抵抗しようともがきはするが、クリアの腕力から抜け出すことはできなかった。
さらに、力で勝てないとわかると、今度は体から波動の様に闇の分子を連続して放ち始めた。
しかし、放たれる分子も全てクリアに『吸収され』、もはやクリアの吸収許容量を超えさせるまでどうしようもない。
ようやく、そんな状況にまでザ・クロを追い込んだ。
「だがよォ、近付いただけじゃ身動きは取れねェがなにも解決してねェぞお兄様ァ! てめェが許容超過するまでこっちはいくらでもエレメントを撃ち続けてやってもいいんだぜェ⁉︎」
「いや、ザ・クロ……もう終わりだ。お前はボクら兄妹の絆を、そしてミヤ・ウィルという少女を甘く見すぎたんだ!」
「ふざけんなァ! とっとと許容超過させてくたばらせてやらァ!」
「……せっかく自由になったはずが束の間で残念だったね、ザ・クロ。でも、ミヤを泣かせたことは許せない。この娘は返してもらうよ」
クリアはそう言うと、自分の【力】をミヤの体を包むように広げていく。
「てめェ、まさか——」
「そのまさか、さ。せめてボクの中で安らかに眠れ、ザ・クロ!」
「や、やめ——」
ザ・クロの言葉は最後まで発されることは無かった。
今、この場にいるのはもうクリアただ一人だけだったからだ。
ザ・クロからミヤを解放するためにクリアが出した答えは、ミヤごと一度クリアが『吸収し』、その後ミヤを闇のルーツから切り離して再構成する、というかなり乱暴な方法だった。
しかし、吸収する際にルーツの膨大な量のエレメントを吸収しきれるかが、勝負の分かれ目だったのだが。
思わず拍子が抜けてしまうほど、ザ・クロによる抵抗は無かった。
——しかし、念には念を入れなければ。
そう思ったクリアは、光の柱の中に入るため移動した。
もし取り込んだ闇のルーツ……もといザ・クロがクリアの中で暴走した時のために、光の分子を多量に取り込んで対処するためだった。
クリアは、一度自分の体内の状態を確認してみる。
……意外にも、ザ・クロが何かしようとする気配は感じられなかった。
むしろ、不気味なぐらいまったく反応が無くなっている。
クリアはそのことに安堵すると、ミヤを呼び出すため、全神経を集中させる。
——それからクリアとミヤが再開するまで、そう時間はかからなかった。
ミヤは意識を取り戻すと、即座にクリアに抱きつき泣きじゃくりながら何度もごめんなさいと繰り返した。
クリアは、そんなミヤを抱きしめながら、「大丈夫、大丈夫だよ」と頭を撫で慰める。
それは、ミヤが泣き疲れて寝てしまうまで続いたのだった。
「……辛い思い、させちゃったね」
クリアに抱きかかえられた眠るミヤは、あどけない寝顔を見せてくれた。
しかし、決して寝ているのにも関わらずクリアの服から手を離そうとしなかったのは、まだ恐怖が体に染み付いてしまっているからだろうか。
「起きたら、またちゃんと謝らないとね……。今はゆっくりと、お休み」
ポンポンと頭を撫でると、ミヤは少しだけ嬉しそうな顔をした気がしたのを見て、無事ミヤを取り戻せたことにもう一度クリアは心から安堵した——。
そう直感したクリアは、血は繋がってはいない、しかし誰よりも自分の自慢の妹だと胸を張って言えるミヤを信じて、祈るように叫んだ。
「ミヤ! 君にこんなこと言うのは本当に酷い兄さんだと思う! 不甲斐ない兄でごめん! でも、ミヤだから信じてる……! ミヤならそんな奴に負けたりしないって! ……だから少しだけでいい、頑張って!」
「バカがァ! そんな言葉が届くわけねェだろうがァ!」
クリアは祭壇から見て正面の壁を足場にして一度体制を整えると、思い切り蹴り出してミヤに向かって両手を広げて飛び込んだ——。
それは、ザ・クロにとって絶好のチャンス。
無論、それを見逃すはずもなく。
「観念したかァ。ならとっととくたばっちまいなァお兄様ァ!」
飛び込んでくるクリアに向け、ザ・クロは狙いを定め闇分子攻撃を再び放つ。
——同時に、勝利を確信した笑みを浮かべたのが、クリアの目に映った。
放たれた高出力の闇の分子は、クリアに直撃し、無慈悲にも消し飛ばした。
……そうならなければ、おかしかったと、ザ・クロは思ったことだろう。
「やっとここまで来れた。待たせてごめんね……。そして……よく頑張ったね、本当にありがとう」
「オ……ニイ……サマ……」
「うん、もう大丈夫。後はボクに任せて」
「…………」
クリアには、間違いなくザ・クロが殺意を込めて放った闇の分子の塊は直撃していた。
……だが、クリアもただ馬鹿正直に突っ込んでいった訳ではない。
クリアが飛び込んだ直線上に、クリアが作り出した差し込む光の柱があったのだ。
ザ・クロは恐らく、持続する攻撃を当てれば光の柱を通り抜けた後のクリアを撃墜できると思っていたことだろう。
しかし、ザ・クロは、攻撃を持続させられなかった。
打ち出した直後に、ミヤが一時的に身体を取り戻してくれたのだ。
それにより、光によって弱体化した闇の分子のみを受け、クリアはミヤの元に辿り着いた、というわけだった。
クリアは愛しそうにミヤを抱きしめると、【力】を使うために集中する。
「くそォ! この娘意外とやるじゃねェか!」
サラの体を再びザ・クロが乗っ取ったことを示すように、大量の闇のエレメントがサラの体から溢れ出す。
ザ・クロはクリアから逃れようとするが、あくまで体は幼いの少女のもの。
抵抗しようともがきはするが、クリアの腕力から抜け出すことはできなかった。
さらに、力で勝てないとわかると、今度は体から波動の様に闇の分子を連続して放ち始めた。
しかし、放たれる分子も全てクリアに『吸収され』、もはやクリアの吸収許容量を超えさせるまでどうしようもない。
ようやく、そんな状況にまでザ・クロを追い込んだ。
「だがよォ、近付いただけじゃ身動きは取れねェがなにも解決してねェぞお兄様ァ! てめェが許容超過するまでこっちはいくらでもエレメントを撃ち続けてやってもいいんだぜェ⁉︎」
「いや、ザ・クロ……もう終わりだ。お前はボクら兄妹の絆を、そしてミヤ・ウィルという少女を甘く見すぎたんだ!」
「ふざけんなァ! とっとと許容超過させてくたばらせてやらァ!」
「……せっかく自由になったはずが束の間で残念だったね、ザ・クロ。でも、ミヤを泣かせたことは許せない。この娘は返してもらうよ」
クリアはそう言うと、自分の【力】をミヤの体を包むように広げていく。
「てめェ、まさか——」
「そのまさか、さ。せめてボクの中で安らかに眠れ、ザ・クロ!」
「や、やめ——」
ザ・クロの言葉は最後まで発されることは無かった。
今、この場にいるのはもうクリアただ一人だけだったからだ。
ザ・クロからミヤを解放するためにクリアが出した答えは、ミヤごと一度クリアが『吸収し』、その後ミヤを闇のルーツから切り離して再構成する、というかなり乱暴な方法だった。
しかし、吸収する際にルーツの膨大な量のエレメントを吸収しきれるかが、勝負の分かれ目だったのだが。
思わず拍子が抜けてしまうほど、ザ・クロによる抵抗は無かった。
——しかし、念には念を入れなければ。
そう思ったクリアは、光の柱の中に入るため移動した。
もし取り込んだ闇のルーツ……もといザ・クロがクリアの中で暴走した時のために、光の分子を多量に取り込んで対処するためだった。
クリアは、一度自分の体内の状態を確認してみる。
……意外にも、ザ・クロが何かしようとする気配は感じられなかった。
むしろ、不気味なぐらいまったく反応が無くなっている。
クリアはそのことに安堵すると、ミヤを呼び出すため、全神経を集中させる。
——それからクリアとミヤが再開するまで、そう時間はかからなかった。
ミヤは意識を取り戻すと、即座にクリアに抱きつき泣きじゃくりながら何度もごめんなさいと繰り返した。
クリアは、そんなミヤを抱きしめながら、「大丈夫、大丈夫だよ」と頭を撫で慰める。
それは、ミヤが泣き疲れて寝てしまうまで続いたのだった。
「……辛い思い、させちゃったね」
クリアに抱きかかえられた眠るミヤは、あどけない寝顔を見せてくれた。
しかし、決して寝ているのにも関わらずクリアの服から手を離そうとしなかったのは、まだ恐怖が体に染み付いてしまっているからだろうか。
「起きたら、またちゃんと謝らないとね……。今はゆっくりと、お休み」
ポンポンと頭を撫でると、ミヤは少しだけ嬉しそうな顔をした気がしたのを見て、無事ミヤを取り戻せたことにもう一度クリアは心から安堵した——。
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