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第20話 ゴールドの狙いとエレメンタルアームズ
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飛び出したクリアはそのままエレメンタルアームズに触れる直前だった少年の手を掴み、大声で叫ぶように言った。
「死にたいんですか⁉︎」
……突然現れた新たな人物にそんなこと言われても、少年は理解できるはずもなく。
呆気に取られつつも、はっとした少年はクリアの手を払い除け後ろに向かって距離を取った。
「いきなり現れてなんなんスかアンタは? この人らの仲間っスか?」
少年の問いに、クリアは首を横に振った。
「はあ?」
ならなんで邪魔するんだと言わんばかりに少年はクリアを睨みつけてくる。
「もう一度言います。死にたいんですか?」
彼は知らないのだろう。
無闇に他人のエレメンタルアームズに触る事がどれ程危険な事なのかを。
クリアですら、散々読み漁った古い文献で偶々得た知識なのだ。
——間に合って良かった。
クリアは、みすみす行われようとしていた少年の自殺行為を止められた事に安堵しつつ、説明することにした。
「いいですか、この二人が持っている武器はエレメンタルアームズという特別な武器なんです。持ち主本人か、その持ち主が認めた人以外が奪おうとか悪意を持って触れるとですね——」
説明しながらレッドのエレメンタルアームズにクリアが触れた瞬間。
触れた箇所から高熱の炎が放出され、あっという間にクリアは炎に包まれてしまった。
……正確にいえば、放出した所から力を使って吸収していたので包まれそうになった、だが。
いきなりのことに少年どころか伏せってる二人も再び呆気に取られるが、そんなことはお構いなしにクリアはそっとエレメンタルアームズから手を離した。
そして炎の放出を止めたエレメンタルアームズを指差してクリアは言ってのけた。
「ね、危ないでしょ?」
恐らく、それを見せられた三人はこう思ったことだろう。
『わざわざ実演して見せる必要はあったのか?』と。
特に、クリアのことを知らない少年は今の力を見てより警戒を強めた様に見える。
「んで、オレに死にたいんですか? なんて言っておいてものともしてないアンタはいったい何者なんスか?」
——そういえば、何も状況もわからないまま飛び出して来たのをすっかり忘れていた。
そのことを思い出したクリアは、自己紹介をしようとこほんと咳払いをした。
「ボクは——」
「そいつはクリア。『ディールーツ』という、世界中にあるとある遺物を集める為にどんな手段でも使ってくる危険な組織の一員だ。……久しぶりだな」
自己紹介をグリーンに奪われてしまい、挙句の果てに印象も最悪になりそうな紹介のされ方に普段温厚なクリアも流石にムッとする。
「『久しぶりだな』、じゃないんですよ! なんですか今のボクの紹介! そんな言い方されたらボクの印象が悪くなってしまうでしょう! そもそも、『ディールーツ』の正式な許可を得た遺跡調査の邪魔をしたのはそちらじゃないですか! 本来なら『ディールーツ』に害をなしたものとして指名手配されてもおかしくないのはそっちなんですよ⁉︎」
少々興奮気味に力説して誤解を解こうとするクリアに、相変わらずの優し気な笑みを浮かべながらクリアに言葉を返してきたのは、いつの間にか立ち上がっていたレッドだった。
「まあまあ、落ち着けって。グリーンもちょっと酷い言い方だったぞ? クリアのおかげでゴールドは危険から回避できたし、俺らは動けるようになるまで時間をもらえたし。それには感謝しようぜ」
エレメンタルアームズを拾ったレッドは、「助かった!」と言わんばかりにクリアに向かってニカっと笑った。
クリアはそれに釣られる様に、つい「あ、いえいえ」と片手を振って返してしまった。
……そんな和やかな空気が一瞬流れ。
「閃光雷鳴‼︎」
少年、もといゴールドが放った術式が辺りを激しい光で照らし、クリア達の視界を奪った。
光は一瞬でクリアの視界が戻ったのもすぐだったが。
——ゴールドの姿は既にそこには居なかった。
……彼の額のゴーグルはこの術式用に使用するものだったらしい。
二人の束縛が解けたのに、少しゴールドをそっちのけで話し込んでしまった隙をつかれてしまったのが良くなかったとクリアは少し反省する。
「……それで、いきなり手を出しちゃいましたけど、なんでこんな状況でゴールドさん……でしたっけ? 彼は誰だったんですか?」
そもそも、何故エレメンタルアームズを持たなくてもかなり強い二人がゴールドという少年にしてやられてあんな状況になっていたのか。
クリア的にはとても興味があった。
……同時に、仕方ないとはいえせっかく二人を束縛した事を邪魔してしまったゴールドへの罪悪感もあり。
もはやここにいる二人に聞くしかないクリアは説明を求めた。
まあ、敵対関係にある二人が答える義理はないので、クリアは返答をあまり期待はしていなかったが。
しかし、意外にも、グリーンの方から説明をしてくれたのだった——。
どうやって知ったのかは教えてくれなかったが、この森にルーツが隠されていることを知って二人がこの森を進んでいた時、たまたまゴールドと出会った。
そこから、彼の住む村の村長なら何か知っているかも知れないと案内をゴールドが名乗り出たらしく。
そこから、それなりの距離を進み、休憩したいとゴールドから申し出があったのがこの場所だったらしい。
……そう、この場所にゴールドが仕掛けていた罠があるとも知らず。
ゴールドの頼みで二人が軽く木を切り倒し、休憩スペースを作り改めて自己紹介をした時だった。
レッドがゴールドから求められた握手に快く応じた瞬間。
『スタンガン』の如く電撃を流され、そのままレッドは動けなくなったという。
そして正体を表したゴールドに対応しようとしたグリーンも、あらかじめ地面や木に仕掛けられていたゴールドの罠型の術式を受けてしまい、同じく地に伏せる結果となった。
「恥ずかしい話だが、こんな感じだ。やつは出し抜くことに関しては頭が切れるらしい」
グリーンの説明で大方の理解を得たが、クリアにはまだ分からないことがあった。
「何故、彼はあなた方を狙ったんでしょうか。わざわざ罠まで用意してたということは、誰かを襲うつもりはあったのでしょうが。あなた方だったからなのか、もしくは誰でもよかったのか」
正直、この二人は側から見てもかなり強いことは見た目だけで誰でもわかるだろう。
直接戦った事があるクリアすら戦うのは面倒と思うぐらいには。
——その二人に対してわざわざ追い剥ぎ目的で手を出すのか?
余程自信があるか、最初から二人のエレメンタルアームズが目的じゃない限り追い剥ぎ行為にしてはリスクが高い。
考えれば考える程謎だとクリアは思った。
「死にたいんですか⁉︎」
……突然現れた新たな人物にそんなこと言われても、少年は理解できるはずもなく。
呆気に取られつつも、はっとした少年はクリアの手を払い除け後ろに向かって距離を取った。
「いきなり現れてなんなんスかアンタは? この人らの仲間っスか?」
少年の問いに、クリアは首を横に振った。
「はあ?」
ならなんで邪魔するんだと言わんばかりに少年はクリアを睨みつけてくる。
「もう一度言います。死にたいんですか?」
彼は知らないのだろう。
無闇に他人のエレメンタルアームズに触る事がどれ程危険な事なのかを。
クリアですら、散々読み漁った古い文献で偶々得た知識なのだ。
——間に合って良かった。
クリアは、みすみす行われようとしていた少年の自殺行為を止められた事に安堵しつつ、説明することにした。
「いいですか、この二人が持っている武器はエレメンタルアームズという特別な武器なんです。持ち主本人か、その持ち主が認めた人以外が奪おうとか悪意を持って触れるとですね——」
説明しながらレッドのエレメンタルアームズにクリアが触れた瞬間。
触れた箇所から高熱の炎が放出され、あっという間にクリアは炎に包まれてしまった。
……正確にいえば、放出した所から力を使って吸収していたので包まれそうになった、だが。
いきなりのことに少年どころか伏せってる二人も再び呆気に取られるが、そんなことはお構いなしにクリアはそっとエレメンタルアームズから手を離した。
そして炎の放出を止めたエレメンタルアームズを指差してクリアは言ってのけた。
「ね、危ないでしょ?」
恐らく、それを見せられた三人はこう思ったことだろう。
『わざわざ実演して見せる必要はあったのか?』と。
特に、クリアのことを知らない少年は今の力を見てより警戒を強めた様に見える。
「んで、オレに死にたいんですか? なんて言っておいてものともしてないアンタはいったい何者なんスか?」
——そういえば、何も状況もわからないまま飛び出して来たのをすっかり忘れていた。
そのことを思い出したクリアは、自己紹介をしようとこほんと咳払いをした。
「ボクは——」
「そいつはクリア。『ディールーツ』という、世界中にあるとある遺物を集める為にどんな手段でも使ってくる危険な組織の一員だ。……久しぶりだな」
自己紹介をグリーンに奪われてしまい、挙句の果てに印象も最悪になりそうな紹介のされ方に普段温厚なクリアも流石にムッとする。
「『久しぶりだな』、じゃないんですよ! なんですか今のボクの紹介! そんな言い方されたらボクの印象が悪くなってしまうでしょう! そもそも、『ディールーツ』の正式な許可を得た遺跡調査の邪魔をしたのはそちらじゃないですか! 本来なら『ディールーツ』に害をなしたものとして指名手配されてもおかしくないのはそっちなんですよ⁉︎」
少々興奮気味に力説して誤解を解こうとするクリアに、相変わらずの優し気な笑みを浮かべながらクリアに言葉を返してきたのは、いつの間にか立ち上がっていたレッドだった。
「まあまあ、落ち着けって。グリーンもちょっと酷い言い方だったぞ? クリアのおかげでゴールドは危険から回避できたし、俺らは動けるようになるまで時間をもらえたし。それには感謝しようぜ」
エレメンタルアームズを拾ったレッドは、「助かった!」と言わんばかりにクリアに向かってニカっと笑った。
クリアはそれに釣られる様に、つい「あ、いえいえ」と片手を振って返してしまった。
……そんな和やかな空気が一瞬流れ。
「閃光雷鳴‼︎」
少年、もといゴールドが放った術式が辺りを激しい光で照らし、クリア達の視界を奪った。
光は一瞬でクリアの視界が戻ったのもすぐだったが。
——ゴールドの姿は既にそこには居なかった。
……彼の額のゴーグルはこの術式用に使用するものだったらしい。
二人の束縛が解けたのに、少しゴールドをそっちのけで話し込んでしまった隙をつかれてしまったのが良くなかったとクリアは少し反省する。
「……それで、いきなり手を出しちゃいましたけど、なんでこんな状況でゴールドさん……でしたっけ? 彼は誰だったんですか?」
そもそも、何故エレメンタルアームズを持たなくてもかなり強い二人がゴールドという少年にしてやられてあんな状況になっていたのか。
クリア的にはとても興味があった。
……同時に、仕方ないとはいえせっかく二人を束縛した事を邪魔してしまったゴールドへの罪悪感もあり。
もはやここにいる二人に聞くしかないクリアは説明を求めた。
まあ、敵対関係にある二人が答える義理はないので、クリアは返答をあまり期待はしていなかったが。
しかし、意外にも、グリーンの方から説明をしてくれたのだった——。
どうやって知ったのかは教えてくれなかったが、この森にルーツが隠されていることを知って二人がこの森を進んでいた時、たまたまゴールドと出会った。
そこから、彼の住む村の村長なら何か知っているかも知れないと案内をゴールドが名乗り出たらしく。
そこから、それなりの距離を進み、休憩したいとゴールドから申し出があったのがこの場所だったらしい。
……そう、この場所にゴールドが仕掛けていた罠があるとも知らず。
ゴールドの頼みで二人が軽く木を切り倒し、休憩スペースを作り改めて自己紹介をした時だった。
レッドがゴールドから求められた握手に快く応じた瞬間。
『スタンガン』の如く電撃を流され、そのままレッドは動けなくなったという。
そして正体を表したゴールドに対応しようとしたグリーンも、あらかじめ地面や木に仕掛けられていたゴールドの罠型の術式を受けてしまい、同じく地に伏せる結果となった。
「恥ずかしい話だが、こんな感じだ。やつは出し抜くことに関しては頭が切れるらしい」
グリーンの説明で大方の理解を得たが、クリアにはまだ分からないことがあった。
「何故、彼はあなた方を狙ったんでしょうか。わざわざ罠まで用意してたということは、誰かを襲うつもりはあったのでしょうが。あなた方だったからなのか、もしくは誰でもよかったのか」
正直、この二人は側から見てもかなり強いことは見た目だけで誰でもわかるだろう。
直接戦った事があるクリアすら戦うのは面倒と思うぐらいには。
——その二人に対してわざわざ追い剥ぎ目的で手を出すのか?
余程自信があるか、最初から二人のエレメンタルアームズが目的じゃない限り追い剥ぎ行為にしてはリスクが高い。
考えれば考える程謎だとクリアは思った。
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