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第76話 話し合い2
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「失礼、少々冷静さを欠いていたようだ。クリア、今回話すべき議題を上げてもらえるか」
「はい」
ガウスの言葉に返事をしたクリアは、立ち上がり一つづつ解決するべき問題を挙げていく。
「一つ目は先ほども言った通り、『セインテッド』と今後どう関わっていくかです。今回ミヤを取り戻す為、無理を言ってブルーさんに協力してもらったことで事態はより悪化してしまいました」
クリアは内心、初めは敵対関係になったことでブルーの立場についてはどうでもいいと思っていた。
しかし、今はイエナと再会した際の彼女の反応を見てしまったこと、そしてブルーの思惑を汲まずに反逆者扱いしたイクス王の対応を見て、少しばかり可愛そうに思えた。
ブルーはイエナのためというのが行動理念大半ではあるが、王国の不祥事によって発生した事件の解決のためリスクを負ってまでクリアと協力したに過ぎない。
それに対してのイクス王の対応がどうにも腑に落ちなかった。
故に、反逆者としての濡れ衣を着せられたブルーを何とかしてやりたいと思って題に挙げたのだった。
「これに関して、ボクはブルーさんの意志を尊重すべきかと。ブルーさん、貴方はどうしたいですか?」
クリアの質問について、ブルーは始めからそう答えるように考えていたように即答する。
「あたしはイエナ王女にもう一度会えただけで十分よ。後は王がどう思っていようと、少なくとも事件の被害者達を解放して国政の関係者としての責任を果たせれば国を追い出されようと構わないわ。
もちろん、その後もあたしは国の意思関係なく『ディールーツ』さんのルーツ回収のお邪魔はするでしょうけどね」
「そんな……ブルーさん⁉︎」
ブルーの言葉に、真っ先に反応したのは当然イエナだった。
今にも泣きそうな顔で「嘘ですよね?」と言いたげにブルーを見つめている。
「あのね、イエナ王女。あたしは貴方のためにあの国であの地位を手に入れたわ。
あたしの中で一番大切なのは貴方なの。
だから、今の王がクリアと手を組んだあたしに対してどう処罰するかより貴方を取り戻すことを優先しただけ。
それ以外はあたしなりの正しいと思うことをしてるだけ」
「なら、国で起こった事件解決の為に尽力したと言えばいいじゃないですか! お父上が私に何も説明しなかったことも、そのせいで『所有者』の方々を探すためにあんな事件が起こったことも計画したお父上の責任が大きいです!」
あれだけガウスに気圧されていたイエナがここまではっきりとブルーに言ったことにクリアは少し呆気に取られた。
『いなくならないで!』という思いが強く込められた言葉に、二人の絆の強さがひしひしと伝わってくる。
「……とまあ、王女はおっしゃってますが。とりあえず口を挟んで申し訳ないですが優先すべきは王が何を考えているかを知ることかと」
クリアが口を挟めば、イエナはつい感情的になってしまったことを反省したように「すみません……」とクリアに言った。
「……ボクの見解になりますが、あのミヤや被害者の女性の意識を奪った道具に対して何か裏があるのではないかと」
何故そう思うのかを、クリアは端的に説明した。
「そんな……その道具に我が王家に伝わる唯一無二のエレメントである聖属性のエレメントが使われていたなんて……」
イエナの信じられないといった言葉に、他の一同も同じ気持ちのようだった。
そもそも聖属性について知らないガウスとヒカリも、事の重大さに気付いたように驚きを表情に浮かべている。
「この事について王家に関わるイエナ王女とブルーさんすら知り得ない道具だと言う事になります。
つまり、問題なのはその道具を誘拐犯に渡し、その上使い方まで詳しく教えた人物がいる」
「それって……」
クリアの言葉に、皆同じ人物を思い浮かべたのだろうと予想するのは難しくなかった。
代表して口に出したイエナは、信じたくはないだろうが。
「皆さんの予想が合っているとは限りませんが……皆さんが思い浮かべたその人物が限りなく黒だと、ボクは思います」
あえてその名は口に出さなかったが、クリアも当然その人物を思い浮かべている。
『セインテッド王国』現国王である、セインテッド・アーク・イクス。
あの王が王族秘蔵の道具を使い誘拐を手引きした可能性がかなり高いとクリアは思っている。
そうなると、結局のところクリアが初めに考えていた王国側が『所有者』を見つける為にあえて起こしたということに戻ってきてしまう訳だが。
——そしてその為に手引きしたことを知られたくない故にボクとブルーさんを捕まえようとしたという感じか?
……いや、何か違うな。
確信はないが、何かが違うとクリアの直感が告げている。
——情報を渡したくないのなら、捕まえるなんて遠回りなことをせずその場で打ち取ってしまった方が早いはず。
それなのに、わざわざ捕まえ自分の元まで連れてくるように言ったのは何故だ?
「どうしたんだクリア?」
「……え? あ、すみません」
つい思考にふけってしまったクリアは、ガウスが声をかけてきた事で意識を話し合いに戻した。
クリアの言葉を最後に、ガウスが口を開くまで誰も言葉を口にしなかったのは……何故だろうか。
「ただ、あの道具が王家と繋がりがあることを証明するのは難しいでしょう。それこそ、同じ聖属性をキャスティングできるイエナ王女が道具について告発でもしない限……り……?」
「どうしたの?」
クリアが不自然に言葉を切った事に、ブルーが問いかける。
この時、クリアはまた別のことを思ったのだ。
——なんで王女とヒカリは同じ誘拐犯に襲われて意識が残っていたんだ?
「…………そうか‼︎」
突然クリアが短い沈黙の後に大きめな声で思い付いたように声を出したせいで、その場にいた全員がクリアに注目する。
その中で、クリアが知るべきことを口にしようとした時。
「イエナ王女、貴方は襲われた時のこと、覚えていらっしゃるのですか?」
クリアが口に出そうとした事を先に言ったのは、クリアの胸の中で眠っていたはずのミヤだった。
「はい」
ガウスの言葉に返事をしたクリアは、立ち上がり一つづつ解決するべき問題を挙げていく。
「一つ目は先ほども言った通り、『セインテッド』と今後どう関わっていくかです。今回ミヤを取り戻す為、無理を言ってブルーさんに協力してもらったことで事態はより悪化してしまいました」
クリアは内心、初めは敵対関係になったことでブルーの立場についてはどうでもいいと思っていた。
しかし、今はイエナと再会した際の彼女の反応を見てしまったこと、そしてブルーの思惑を汲まずに反逆者扱いしたイクス王の対応を見て、少しばかり可愛そうに思えた。
ブルーはイエナのためというのが行動理念大半ではあるが、王国の不祥事によって発生した事件の解決のためリスクを負ってまでクリアと協力したに過ぎない。
それに対してのイクス王の対応がどうにも腑に落ちなかった。
故に、反逆者としての濡れ衣を着せられたブルーを何とかしてやりたいと思って題に挙げたのだった。
「これに関して、ボクはブルーさんの意志を尊重すべきかと。ブルーさん、貴方はどうしたいですか?」
クリアの質問について、ブルーは始めからそう答えるように考えていたように即答する。
「あたしはイエナ王女にもう一度会えただけで十分よ。後は王がどう思っていようと、少なくとも事件の被害者達を解放して国政の関係者としての責任を果たせれば国を追い出されようと構わないわ。
もちろん、その後もあたしは国の意思関係なく『ディールーツ』さんのルーツ回収のお邪魔はするでしょうけどね」
「そんな……ブルーさん⁉︎」
ブルーの言葉に、真っ先に反応したのは当然イエナだった。
今にも泣きそうな顔で「嘘ですよね?」と言いたげにブルーを見つめている。
「あのね、イエナ王女。あたしは貴方のためにあの国であの地位を手に入れたわ。
あたしの中で一番大切なのは貴方なの。
だから、今の王がクリアと手を組んだあたしに対してどう処罰するかより貴方を取り戻すことを優先しただけ。
それ以外はあたしなりの正しいと思うことをしてるだけ」
「なら、国で起こった事件解決の為に尽力したと言えばいいじゃないですか! お父上が私に何も説明しなかったことも、そのせいで『所有者』の方々を探すためにあんな事件が起こったことも計画したお父上の責任が大きいです!」
あれだけガウスに気圧されていたイエナがここまではっきりとブルーに言ったことにクリアは少し呆気に取られた。
『いなくならないで!』という思いが強く込められた言葉に、二人の絆の強さがひしひしと伝わってくる。
「……とまあ、王女はおっしゃってますが。とりあえず口を挟んで申し訳ないですが優先すべきは王が何を考えているかを知ることかと」
クリアが口を挟めば、イエナはつい感情的になってしまったことを反省したように「すみません……」とクリアに言った。
「……ボクの見解になりますが、あのミヤや被害者の女性の意識を奪った道具に対して何か裏があるのではないかと」
何故そう思うのかを、クリアは端的に説明した。
「そんな……その道具に我が王家に伝わる唯一無二のエレメントである聖属性のエレメントが使われていたなんて……」
イエナの信じられないといった言葉に、他の一同も同じ気持ちのようだった。
そもそも聖属性について知らないガウスとヒカリも、事の重大さに気付いたように驚きを表情に浮かべている。
「この事について王家に関わるイエナ王女とブルーさんすら知り得ない道具だと言う事になります。
つまり、問題なのはその道具を誘拐犯に渡し、その上使い方まで詳しく教えた人物がいる」
「それって……」
クリアの言葉に、皆同じ人物を思い浮かべたのだろうと予想するのは難しくなかった。
代表して口に出したイエナは、信じたくはないだろうが。
「皆さんの予想が合っているとは限りませんが……皆さんが思い浮かべたその人物が限りなく黒だと、ボクは思います」
あえてその名は口に出さなかったが、クリアも当然その人物を思い浮かべている。
『セインテッド王国』現国王である、セインテッド・アーク・イクス。
あの王が王族秘蔵の道具を使い誘拐を手引きした可能性がかなり高いとクリアは思っている。
そうなると、結局のところクリアが初めに考えていた王国側が『所有者』を見つける為にあえて起こしたということに戻ってきてしまう訳だが。
——そしてその為に手引きしたことを知られたくない故にボクとブルーさんを捕まえようとしたという感じか?
……いや、何か違うな。
確信はないが、何かが違うとクリアの直感が告げている。
——情報を渡したくないのなら、捕まえるなんて遠回りなことをせずその場で打ち取ってしまった方が早いはず。
それなのに、わざわざ捕まえ自分の元まで連れてくるように言ったのは何故だ?
「どうしたんだクリア?」
「……え? あ、すみません」
つい思考にふけってしまったクリアは、ガウスが声をかけてきた事で意識を話し合いに戻した。
クリアの言葉を最後に、ガウスが口を開くまで誰も言葉を口にしなかったのは……何故だろうか。
「ただ、あの道具が王家と繋がりがあることを証明するのは難しいでしょう。それこそ、同じ聖属性をキャスティングできるイエナ王女が道具について告発でもしない限……り……?」
「どうしたの?」
クリアが不自然に言葉を切った事に、ブルーが問いかける。
この時、クリアはまた別のことを思ったのだ。
——なんで王女とヒカリは同じ誘拐犯に襲われて意識が残っていたんだ?
「…………そうか‼︎」
突然クリアが短い沈黙の後に大きめな声で思い付いたように声を出したせいで、その場にいた全員がクリアに注目する。
その中で、クリアが知るべきことを口にしようとした時。
「イエナ王女、貴方は襲われた時のこと、覚えていらっしゃるのですか?」
クリアが口に出そうとした事を先に言ったのは、クリアの胸の中で眠っていたはずのミヤだった。
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