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12 ロイドとキス ※
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聖女の血筋か。
最初にザクソン公爵が我が家に来た時に、僕の魔力は色が付いていないって言っていたな。
僕に触れていると体が楽になるってロイドも言うし、ロイドの魔力との親和性は高いんだろう。狂暴化した時に、なにか役に立たないだろうか。
そんなことを寝ながら考えていたら、隣で僕に抱き着いて寝ているロイドに心配される。
「眠れないのか」
「うーんなんか色々考えてしまって」
「ミエールのせいか」
「まあ、彼に言われたこともある」
「何を言われたんだ」
ロイドが「やっぱりあいつを殺しておくべきだった」と言うのははっきり聞こえない。
「僕って甘い?」
「奴に触らせたのか!」
ロイドが怒ってる。
「まさか。なんか廊下まで僕の甘い匂いがするって」
「・・・」
ロイドは僕の胴体をぎゅっとする。
「苦しい。どうしたの」
「絶対にあいつに触らせないで、そばにも寄らせないで。リアムはおれのだ」
「わかったよ」
向こうから近寄ってきたら無理じゃない? って軽く言えない感じだった。僕の返事で納得したのか、抱きつく力が弱まる。
「・・・僕の家は聖女の末裔なんだって。ロイド知っていた?」
「ああ知っている。有名だからな」
「有名だったの? だから僕はロイドの相手に選ばれたのかな」
「・・・嫌なのか?」
「ううん。僕の魔力がロイドの役に立つなら嬉しい。だけどもっと役に立つにはどうしたらいいのかなって思う」
「リアムは居てくれるだけでいい」
「そんな曖昧なのは嫌なんだ。もちろんうれしいけど。もっと何かいい方法があるならって思うんだ」
「…じゃあ試したいことがある」
「なに?」
「リアムとキスをしたい」
「え? キス?」
ロイドが赤面している。美少年の赤面、こっちも恥ずかしくなる。
「どうして?」
「粘膜に触れ合うと魔力の交換ができるんだ」
「あ、それ聞いたことがある。公爵から」
確か性行為は魔力の交換にあたるって。だからそういう行為を不特定多数の人としている人とザクソン家が交わることはないとか。
「どうして父上とそんな話をしているんだ」ロイドちょっと怒ってる?
「一般論として聞いただけだよ」僕は宥める。
「でもさ、キスって好きな人とするものでしょ? そんな実験みたいにしていいの?」
「リアムは誰かとしたことがあるのか?」
「あるよ」僕は微笑む。
「だれだ相手は」
ロイドがむくっと起き上がって聞いてくる。
僕は笑って「父と母と兄だよ。でもほっぺにキスだったな」
一回目も今回も僕は誰とも付き合ったことなんてない!
ロイドはホッとして「それは数には入らない」と言う。慌てて可愛いな。
「おれはリアムとキスをしたい。それにキス以上のことも」
「さっきは魔力を確かめたいって言ってなかった?」
ロイドは真っ赤な顔で「違う、いやそれもあったけど、それは理由の一つで過ぎない。本当は一番の理由はリアムとキスがしたい。好きなんだ!」
ロイドが真っ赤になりながらも僕の目を見つめてくる。
ロイドの熱がうつったみたいに、僕も真っ赤になる。体だけじゃなく顔も熱い。胸がドキドキする。心臓が苦しい。好きってどういう意味で?
僕が色々考えてしまって何も言えないでいると「好きなんだ。リアム・・・だめか」
僕は甘酸っぱい気持ちになって「いいよ」って言った。
こんなかわいい子のキスをもらっていいのかな。
「リアム、好きだ」
胸が甘酸っぱくてドキドキして、両手で顔を挟まれたと思ったら目を閉じた一瞬で触れるだけのキスをされた。
唇の柔らかさに驚いて、えって思って目を開けようとしたら、またキスをされる。
いつの間にか薄く開いていた唇の間にロイドの薄い舌が入り込み、何度か僕の舌を舐めた。全てが一瞬で、目を開け時にはキスは終わっていた。
まだ両手で顔を挟まれていた、
目の前に頬を染めて切ない瞳で僕を見ている幼いロイドがいた。顔も丸くて僕より背も低いのに、少し大人っぽく見えて、違う意味でドキッとする。
「・・・ロイド」
「リアム好きだ」
僕は唇に手を当てる。ロイドにぎゅっと抱きしめられる。まだロイドの方が背が低いのに、顔だって丸くて幼いのに、なんだか大人の人みたいだ。
「ロイド慣れている?」
「リアムが初めてだ。だけど何回もリアムとキスしたいって思ってたんだ」
恥ずかしい告白をされて僕も真っ赤になる。
「それなんか恥ずかしい」
「好きなんだ。リアムとキスしたいってずっと思っていた。リアムのことを考えるだけで胸が苦しいんだ。だけどその苦しさが嫌じゃない。胸がギュッと痛くなる」
熱にうなされたような告白だ。顔が熱くて、胸がぎゅうーと苦しくなる。ロイドもこんな気持ちなんだろうか。
「僕も」
僕もって言うだけで精一杯だった。
ロイドの熱が移って、何かを言いたいけれど、何を言ってもロイドの言葉には足りないと思った。
まだ僕もロイドの体も幼いけれど、ロイドが狂暴化した時に僕は死んでしまうかもしれない。その前にロイドと思い出がほしい。
ふいにそんな風に思った。
僕たちは、慣れない手つきでお互いに体を触った。髪や頬に触れたり、手の指にキスをしたり。
それだけで胸が高鳴って、頬が上気する。
「リアム綺麗だ」
「ロイドも肌がすべすべで綺麗だ」
「リアムと触れ合うと気持ちいい。リアムの魔力がおれを包んでいるみたいだ」
「うん、僕もロイドの魔力を感じる。熱いよ。ロイド」
「リアム」
何度も何度もただキスをして抱きしめあう。
それだけで僕たちはお互いに夢中になった。魔力が混じり合うのを感じる。キスが気持ちいい。キスだけでこうなるなら、もっと深く混じり合ったら一体どうなってしまうのだろうか。
狂暴化していないロイドと、僕は彼と繋がりたいと思った。でもロイドは狂暴化を経ないと大人になれない。
それに狂暴化が治まった後、たとえ僕が生きていても、僕はロイドの前から消えないといけない。
そんな運命だった。
僕はほんの少しだけ悲しいなって思った。
最初にザクソン公爵が我が家に来た時に、僕の魔力は色が付いていないって言っていたな。
僕に触れていると体が楽になるってロイドも言うし、ロイドの魔力との親和性は高いんだろう。狂暴化した時に、なにか役に立たないだろうか。
そんなことを寝ながら考えていたら、隣で僕に抱き着いて寝ているロイドに心配される。
「眠れないのか」
「うーんなんか色々考えてしまって」
「ミエールのせいか」
「まあ、彼に言われたこともある」
「何を言われたんだ」
ロイドが「やっぱりあいつを殺しておくべきだった」と言うのははっきり聞こえない。
「僕って甘い?」
「奴に触らせたのか!」
ロイドが怒ってる。
「まさか。なんか廊下まで僕の甘い匂いがするって」
「・・・」
ロイドは僕の胴体をぎゅっとする。
「苦しい。どうしたの」
「絶対にあいつに触らせないで、そばにも寄らせないで。リアムはおれのだ」
「わかったよ」
向こうから近寄ってきたら無理じゃない? って軽く言えない感じだった。僕の返事で納得したのか、抱きつく力が弱まる。
「・・・僕の家は聖女の末裔なんだって。ロイド知っていた?」
「ああ知っている。有名だからな」
「有名だったの? だから僕はロイドの相手に選ばれたのかな」
「・・・嫌なのか?」
「ううん。僕の魔力がロイドの役に立つなら嬉しい。だけどもっと役に立つにはどうしたらいいのかなって思う」
「リアムは居てくれるだけでいい」
「そんな曖昧なのは嫌なんだ。もちろんうれしいけど。もっと何かいい方法があるならって思うんだ」
「…じゃあ試したいことがある」
「なに?」
「リアムとキスをしたい」
「え? キス?」
ロイドが赤面している。美少年の赤面、こっちも恥ずかしくなる。
「どうして?」
「粘膜に触れ合うと魔力の交換ができるんだ」
「あ、それ聞いたことがある。公爵から」
確か性行為は魔力の交換にあたるって。だからそういう行為を不特定多数の人としている人とザクソン家が交わることはないとか。
「どうして父上とそんな話をしているんだ」ロイドちょっと怒ってる?
「一般論として聞いただけだよ」僕は宥める。
「でもさ、キスって好きな人とするものでしょ? そんな実験みたいにしていいの?」
「リアムは誰かとしたことがあるのか?」
「あるよ」僕は微笑む。
「だれだ相手は」
ロイドがむくっと起き上がって聞いてくる。
僕は笑って「父と母と兄だよ。でもほっぺにキスだったな」
一回目も今回も僕は誰とも付き合ったことなんてない!
ロイドはホッとして「それは数には入らない」と言う。慌てて可愛いな。
「おれはリアムとキスをしたい。それにキス以上のことも」
「さっきは魔力を確かめたいって言ってなかった?」
ロイドは真っ赤な顔で「違う、いやそれもあったけど、それは理由の一つで過ぎない。本当は一番の理由はリアムとキスがしたい。好きなんだ!」
ロイドが真っ赤になりながらも僕の目を見つめてくる。
ロイドの熱がうつったみたいに、僕も真っ赤になる。体だけじゃなく顔も熱い。胸がドキドキする。心臓が苦しい。好きってどういう意味で?
僕が色々考えてしまって何も言えないでいると「好きなんだ。リアム・・・だめか」
僕は甘酸っぱい気持ちになって「いいよ」って言った。
こんなかわいい子のキスをもらっていいのかな。
「リアム、好きだ」
胸が甘酸っぱくてドキドキして、両手で顔を挟まれたと思ったら目を閉じた一瞬で触れるだけのキスをされた。
唇の柔らかさに驚いて、えって思って目を開けようとしたら、またキスをされる。
いつの間にか薄く開いていた唇の間にロイドの薄い舌が入り込み、何度か僕の舌を舐めた。全てが一瞬で、目を開け時にはキスは終わっていた。
まだ両手で顔を挟まれていた、
目の前に頬を染めて切ない瞳で僕を見ている幼いロイドがいた。顔も丸くて僕より背も低いのに、少し大人っぽく見えて、違う意味でドキッとする。
「・・・ロイド」
「リアム好きだ」
僕は唇に手を当てる。ロイドにぎゅっと抱きしめられる。まだロイドの方が背が低いのに、顔だって丸くて幼いのに、なんだか大人の人みたいだ。
「ロイド慣れている?」
「リアムが初めてだ。だけど何回もリアムとキスしたいって思ってたんだ」
恥ずかしい告白をされて僕も真っ赤になる。
「それなんか恥ずかしい」
「好きなんだ。リアムとキスしたいってずっと思っていた。リアムのことを考えるだけで胸が苦しいんだ。だけどその苦しさが嫌じゃない。胸がギュッと痛くなる」
熱にうなされたような告白だ。顔が熱くて、胸がぎゅうーと苦しくなる。ロイドもこんな気持ちなんだろうか。
「僕も」
僕もって言うだけで精一杯だった。
ロイドの熱が移って、何かを言いたいけれど、何を言ってもロイドの言葉には足りないと思った。
まだ僕もロイドの体も幼いけれど、ロイドが狂暴化した時に僕は死んでしまうかもしれない。その前にロイドと思い出がほしい。
ふいにそんな風に思った。
僕たちは、慣れない手つきでお互いに体を触った。髪や頬に触れたり、手の指にキスをしたり。
それだけで胸が高鳴って、頬が上気する。
「リアム綺麗だ」
「ロイドも肌がすべすべで綺麗だ」
「リアムと触れ合うと気持ちいい。リアムの魔力がおれを包んでいるみたいだ」
「うん、僕もロイドの魔力を感じる。熱いよ。ロイド」
「リアム」
何度も何度もただキスをして抱きしめあう。
それだけで僕たちはお互いに夢中になった。魔力が混じり合うのを感じる。キスが気持ちいい。キスだけでこうなるなら、もっと深く混じり合ったら一体どうなってしまうのだろうか。
狂暴化していないロイドと、僕は彼と繋がりたいと思った。でもロイドは狂暴化を経ないと大人になれない。
それに狂暴化が治まった後、たとえ僕が生きていても、僕はロイドの前から消えないといけない。
そんな運命だった。
僕はほんの少しだけ悲しいなって思った。
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