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battle45…予期せぬ治療
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それから翌日の朝、悟浄以外に三蔵と喧嘩していた事実を知られぬまま、宿をたった一行。街を出て二日経った頃だった。
「くしゅ…」
「なんだぁ?八戒風邪か?」
「解りませんが…何だか調子がでないんですよね…」
「解んねえじゃなくて、それは単に風邪引いたんだろうが…」
「そう…なんでしょうか…くしゅ…」
「あぁあ、次の街か村までどのくらい?」
「結構近いはず…なんですが…」
そう言いながらも頑張って運転していく八戒。少ししたところで休憩を取っていた。
「あぁあ……どうするな…」
「チッ…おい、こっち座れ」
そういい八戒を助手席にのせた三蔵は自身が運転席に乗りこんだ。
「え…三蔵運転できるの?」
「何とかなるだろ」
「ちょ…っ!!え?」
「行くぞ」
そういってアクセルを踏む。荒っぽいながらも何とか次の街が見えてきた。そのまま乗り込み、宿屋に向かう。
「さてと…八戒も寝かせて……今回は一部屋ずつ取れたからゆっくりと出来るよね…」
「すみません…急かしてしまって…」
「なにか出来ることある?」
「大丈夫です。ここの宿のお嬢さんも優しい方で、薬ももらったので…」
「そっか……私隣の部屋に居るからね?」
「ありがとうございます。」
そういっておやすみ、と言い残して雅は八戒の眠る部屋を後にした。何とも騒がしい食事の場面も出くわすことになるが、何とか落ち着くかの様に旅路の疲れを癒そうとしていた。
「ぷっはぁーー、やっぱ、湯船はいいなぁ」
「だな…!」
「雅も入ってんだろうな!」
「そりゃ、一緒じゃないのが残念だけど?」
「黙れ、糞河童」
「うわ…三蔵マジでキレそう」
「冗談だって!」
「貴様のは冗談に聞こえねえからな」
「ははは…」
そんな会話をされているとも知らずに雅はのんびりと女湯に浸かっていた。艶やかに洗われた髪もしっかりと乾かして、部屋に戻る。
「いいお湯だった……!」
そうして荷物を片付けると八戒の様子をみに隣の部屋に向かっていった。
コンコン
『……はい』
「八戒…?どう?」
「雅ですか…ありがとうございます。まだ熱下がらないみたいで…はは、情けないですね…」
「そっか…お薬なかなか効かない?」
「そんなこともないと思うんです。体のだるさは大分落ち着いてきてると思うので…」
そう話しているとキィっと扉は開き三蔵が入ってくる。
「どうだ、調子は…」
「あぁ、三蔵まで…すみません…こんな時に…」
「こんな時もどんな時も関係ねえだろうが。ちょうどいいからゆっくりと治す事だけ考えろ」
「ありがとうございます。」
そしてゆっくりと目蓋を閉じる八戒をみて雅と三蔵は部屋を後にしていった。
「八戒…早く良くなるといいね…」
「大分疲れが溜まってたんだろう、ゆっくりと寝かせてやれ…」
「そうだね」
そういってそれぞれの部屋に別れていった。
そんな何でもない一日が終わろうとしていた時だ。
キャァァーーー!!!!
その叫び声は夜中と言うにふさわしい時刻に響き渡った。
「何だってんだ…?!」
「チッ…」
「な…なに?」
「……んー…もう朝飯?」
思うことはそれぞれだったにも関わらず、声のする方に集まってきた。しかし時遅かったのか、街の住人は何人か切られていた。その開いては妖怪…街や村を荒らしている元凶達だった。
「なんなんだ…一体…」
「こっちに、避難してください!!」
しかし切られたもの達は既に息絶えている。そんな中だった。
「目を開けて!!ねえ!!」
若い女性が小さな子供を抱き抱えて泣き叫んでいた。切られたのはどうやら娘の方で、母親が生き残ってしまったらしい。
「おい、そんな所に居たら…」
そう声をかけながら悟浄は女性に手を貸した。
「でも…!この子……この子が…!」
「…見せて…?」
そういって悟浄の体の脇からひょこっと顔を出した雅。手を翳し、女の子の体に意識を集中させた。
「ン……」
「良かった、もう大丈夫!」
「嘘…ありがとうございます!」
「良かった!」
「雅、早く退いてろ」
「ん、そうする…」
そうして退き、走り出した。しかしそんな時だ、子供を抱き抱えた女性が思うように立ち上がれなく、妖怪に目をつけられた。
「けけけ!!!」
それに気付いた悟浄だったが鎌は他の妖怪を切り刻んでる最中、カシャンと戻るが早いか振り上げるが間に合わなかった。しかしその女性の間に入った悟浄の体には妖怪の爪が食い込んでいた。
「ふ…ふはははは!!」
「…死ねよ」
そういいながらも鎌を振り上げた。いともあっさりと刈っていく。カシャンと収まったのを合図にどさりと倒れ込んだ悟浄。女性は怖くなり走り逃げていく…
「悟浄!!」
「おい、大丈夫かよ!悟浄!!」
「あぁんま揺らすなって……ッッ…」
「退いて?」
ポウっと淡い光が悟浄の体を包み込む。しかしなかなか落ち着かない。
「退け、雅」
「え…三蔵?」
「くっそ重てえな…」
「……ハハ…わり」
そう言いながらも三蔵は悟浄を担いで宿に戻る。手当てを施すものの傷口からの影響だろう、熱が出始めた。
「代わろうか…?雅」
「大丈夫だよ…」
「そっか…またなんかあったら言ってな?」
「おやすみ、悟空」
「おい…」
「あ…三蔵…」
「お前は大丈夫なのか?」
「うん、大分コントロール出来てきたみたい…」
「ならいいが……」
そう言うと三蔵は自室に戻っていった。
しかし、妖怪の爪痕がどれほどのものか解らない。うなされ始める悟浄を前に雅は、意を決して三蔵の部屋に訪ね行った。
コンコン……
『誰だ』
「三蔵…?」
「どうした…」
「三蔵にお願いがあって……」
「なんだ…」
「私、悟浄の治療に回らせて…?」
「さっきまで居たから同じ事だろうが…」
「そうじゃなくて…」
「……どういうことだ…」
「八戒にすごく前に聞いたの、力の使い方教わり始めの頃だったかな…私の力、使い方によっては最大限に引き出せる方法があるって…」
「…それで?」
「でも、それするには三蔵に許可もらわないと…やれない」
「なんだ許可って…」
「肌で…伝えるの…」
「……」
一瞬沈黙が二人を包んだ。それもその筈、肌で伝えるという事がどういう状況かは三蔵も容易に想像できたのだ。
「お願い…このままじゃ…薬も切れてる中で悟浄悪化するばっかになっちゃう…それに八戒もあの状態じゃ力使わせるわけにも行かないし…」
「…今回ばかりは俺が止めてもやるんだろうが」
「…三蔵…」
「それに、雅なら言い出すとは思ってた」
「え……」
「目の前で刺されたんじゃな…ただし、間違うなよ、治療だからな…」
「ありがとう…」
ペコリと頭を下げて、雅は部屋を出ていく。その背中を見送って三蔵はポツリと呟いた。
「なんで雅の力が治癒なのか…こういう時は本当に役立つと言うか、役に立ってほしくねえって言うか…」
そんな呟きが雅に聞こえている訳もなかった。雅は悟浄の部屋に入ると悟浄の服を脱がし出す。
「ごめんね…痛いよね…」
「クッ…ンアァ!!ハァハァ…」
「この位でいいかな…」
パンツはそのままに、ジャケットだけ脱がせ、インナーは切り開いた。そのまま取り去ると自身も下着のみになる。ごそりと悟浄の居るベッドに入ると、そっと傷口に手を当て、力をこめる。しかし限界もあった。そっと頬を包み込むと悟浄の唇に自身のそれを重ね、ふぅっと息を吐き入れる。ゆっくりと離れると雅は悟浄の胸に顔を埋め寄り添いながら願い続けた。
ただ、悟浄の傷が癒えるように…
悟浄の悪夢が消え去るように…
それだけを願い、めまいが軽くなれば何度も唇を重ね吹き込んでいく。抱いて、温もりと同時に体全身で気を送っていく。気付けば、悟浄の寝息も心地よく、規則正しくなっていた。安心したのだろうか、雅もそのまま寄り添い夜を明かしたのだった。
翌朝、誰よりも一番驚いたのは当然の事ながら悟浄だった。
「……やっべ…俺…記憶ねえんだけど……」
「…ン…」
「おい、雅…?」
「あ…ごめん…寝ちゃってた……?」
「それより…これ…」
「治療…大丈夫、三蔵にも話してやってることだから…」
「治療って……」
「それより傷、どう?」
「……あ、そっか…俺…」
「その様子なら大丈夫そうだね…」
「まさかとは思うが…この状態で一晩?」
「ん。これしか思い付かなかった…八戒は風邪だし、昨日のあの状態で薬も切れてきてる。ある意味よそ者の私達に回す分なんてないでしょ?」
そう言いながらも服を着ていく雅。
「先に小さい子助けるのに力出しちゃったし……私に出来る最終手段…」
「……雅…」
しっかりと着込み終わるとくるりと向きを変えて雅は悟浄の首に巻き付いた。
「でも、ちゃんと出来て良かった。」
「雅…?」
「ご飯、食べれそうならまた後でね?」
「……あぁ」
ゆっくりと離れる雅。『あっ…』と思い出したかの様に振り替えると申し訳なさそうに悟浄に伝え始めた。
「あの…悟浄?」
「何?」
「ごめんね…?」
「…?何が?」
「その…気、送るためとは言え…何回かキスして…意識ないのいいことに……ほんとごめん!!」
言うだけ意って悟浄の返事を聞くこともない内に雅は部屋から出ていった。残された悟浄は、呆気にとられながらも、みるみる内に顔は赤面していく。
「キスって……何回も…?俺…覚えてねえんですけど……くっそ、勿体ねえ……」
そう呟きながらゆっくりと唇をなぞっていた。
「くしゅ…」
「なんだぁ?八戒風邪か?」
「解りませんが…何だか調子がでないんですよね…」
「解んねえじゃなくて、それは単に風邪引いたんだろうが…」
「そう…なんでしょうか…くしゅ…」
「あぁあ、次の街か村までどのくらい?」
「結構近いはず…なんですが…」
そう言いながらも頑張って運転していく八戒。少ししたところで休憩を取っていた。
「あぁあ……どうするな…」
「チッ…おい、こっち座れ」
そういい八戒を助手席にのせた三蔵は自身が運転席に乗りこんだ。
「え…三蔵運転できるの?」
「何とかなるだろ」
「ちょ…っ!!え?」
「行くぞ」
そういってアクセルを踏む。荒っぽいながらも何とか次の街が見えてきた。そのまま乗り込み、宿屋に向かう。
「さてと…八戒も寝かせて……今回は一部屋ずつ取れたからゆっくりと出来るよね…」
「すみません…急かしてしまって…」
「なにか出来ることある?」
「大丈夫です。ここの宿のお嬢さんも優しい方で、薬ももらったので…」
「そっか……私隣の部屋に居るからね?」
「ありがとうございます。」
そういっておやすみ、と言い残して雅は八戒の眠る部屋を後にした。何とも騒がしい食事の場面も出くわすことになるが、何とか落ち着くかの様に旅路の疲れを癒そうとしていた。
「ぷっはぁーー、やっぱ、湯船はいいなぁ」
「だな…!」
「雅も入ってんだろうな!」
「そりゃ、一緒じゃないのが残念だけど?」
「黙れ、糞河童」
「うわ…三蔵マジでキレそう」
「冗談だって!」
「貴様のは冗談に聞こえねえからな」
「ははは…」
そんな会話をされているとも知らずに雅はのんびりと女湯に浸かっていた。艶やかに洗われた髪もしっかりと乾かして、部屋に戻る。
「いいお湯だった……!」
そうして荷物を片付けると八戒の様子をみに隣の部屋に向かっていった。
コンコン
『……はい』
「八戒…?どう?」
「雅ですか…ありがとうございます。まだ熱下がらないみたいで…はは、情けないですね…」
「そっか…お薬なかなか効かない?」
「そんなこともないと思うんです。体のだるさは大分落ち着いてきてると思うので…」
そう話しているとキィっと扉は開き三蔵が入ってくる。
「どうだ、調子は…」
「あぁ、三蔵まで…すみません…こんな時に…」
「こんな時もどんな時も関係ねえだろうが。ちょうどいいからゆっくりと治す事だけ考えろ」
「ありがとうございます。」
そしてゆっくりと目蓋を閉じる八戒をみて雅と三蔵は部屋を後にしていった。
「八戒…早く良くなるといいね…」
「大分疲れが溜まってたんだろう、ゆっくりと寝かせてやれ…」
「そうだね」
そういってそれぞれの部屋に別れていった。
そんな何でもない一日が終わろうとしていた時だ。
キャァァーーー!!!!
その叫び声は夜中と言うにふさわしい時刻に響き渡った。
「何だってんだ…?!」
「チッ…」
「な…なに?」
「……んー…もう朝飯?」
思うことはそれぞれだったにも関わらず、声のする方に集まってきた。しかし時遅かったのか、街の住人は何人か切られていた。その開いては妖怪…街や村を荒らしている元凶達だった。
「なんなんだ…一体…」
「こっちに、避難してください!!」
しかし切られたもの達は既に息絶えている。そんな中だった。
「目を開けて!!ねえ!!」
若い女性が小さな子供を抱き抱えて泣き叫んでいた。切られたのはどうやら娘の方で、母親が生き残ってしまったらしい。
「おい、そんな所に居たら…」
そう声をかけながら悟浄は女性に手を貸した。
「でも…!この子……この子が…!」
「…見せて…?」
そういって悟浄の体の脇からひょこっと顔を出した雅。手を翳し、女の子の体に意識を集中させた。
「ン……」
「良かった、もう大丈夫!」
「嘘…ありがとうございます!」
「良かった!」
「雅、早く退いてろ」
「ん、そうする…」
そうして退き、走り出した。しかしそんな時だ、子供を抱き抱えた女性が思うように立ち上がれなく、妖怪に目をつけられた。
「けけけ!!!」
それに気付いた悟浄だったが鎌は他の妖怪を切り刻んでる最中、カシャンと戻るが早いか振り上げるが間に合わなかった。しかしその女性の間に入った悟浄の体には妖怪の爪が食い込んでいた。
「ふ…ふはははは!!」
「…死ねよ」
そういいながらも鎌を振り上げた。いともあっさりと刈っていく。カシャンと収まったのを合図にどさりと倒れ込んだ悟浄。女性は怖くなり走り逃げていく…
「悟浄!!」
「おい、大丈夫かよ!悟浄!!」
「あぁんま揺らすなって……ッッ…」
「退いて?」
ポウっと淡い光が悟浄の体を包み込む。しかしなかなか落ち着かない。
「退け、雅」
「え…三蔵?」
「くっそ重てえな…」
「……ハハ…わり」
そう言いながらも三蔵は悟浄を担いで宿に戻る。手当てを施すものの傷口からの影響だろう、熱が出始めた。
「代わろうか…?雅」
「大丈夫だよ…」
「そっか…またなんかあったら言ってな?」
「おやすみ、悟空」
「おい…」
「あ…三蔵…」
「お前は大丈夫なのか?」
「うん、大分コントロール出来てきたみたい…」
「ならいいが……」
そう言うと三蔵は自室に戻っていった。
しかし、妖怪の爪痕がどれほどのものか解らない。うなされ始める悟浄を前に雅は、意を決して三蔵の部屋に訪ね行った。
コンコン……
『誰だ』
「三蔵…?」
「どうした…」
「三蔵にお願いがあって……」
「なんだ…」
「私、悟浄の治療に回らせて…?」
「さっきまで居たから同じ事だろうが…」
「そうじゃなくて…」
「……どういうことだ…」
「八戒にすごく前に聞いたの、力の使い方教わり始めの頃だったかな…私の力、使い方によっては最大限に引き出せる方法があるって…」
「…それで?」
「でも、それするには三蔵に許可もらわないと…やれない」
「なんだ許可って…」
「肌で…伝えるの…」
「……」
一瞬沈黙が二人を包んだ。それもその筈、肌で伝えるという事がどういう状況かは三蔵も容易に想像できたのだ。
「お願い…このままじゃ…薬も切れてる中で悟浄悪化するばっかになっちゃう…それに八戒もあの状態じゃ力使わせるわけにも行かないし…」
「…今回ばかりは俺が止めてもやるんだろうが」
「…三蔵…」
「それに、雅なら言い出すとは思ってた」
「え……」
「目の前で刺されたんじゃな…ただし、間違うなよ、治療だからな…」
「ありがとう…」
ペコリと頭を下げて、雅は部屋を出ていく。その背中を見送って三蔵はポツリと呟いた。
「なんで雅の力が治癒なのか…こういう時は本当に役立つと言うか、役に立ってほしくねえって言うか…」
そんな呟きが雅に聞こえている訳もなかった。雅は悟浄の部屋に入ると悟浄の服を脱がし出す。
「ごめんね…痛いよね…」
「クッ…ンアァ!!ハァハァ…」
「この位でいいかな…」
パンツはそのままに、ジャケットだけ脱がせ、インナーは切り開いた。そのまま取り去ると自身も下着のみになる。ごそりと悟浄の居るベッドに入ると、そっと傷口に手を当て、力をこめる。しかし限界もあった。そっと頬を包み込むと悟浄の唇に自身のそれを重ね、ふぅっと息を吐き入れる。ゆっくりと離れると雅は悟浄の胸に顔を埋め寄り添いながら願い続けた。
ただ、悟浄の傷が癒えるように…
悟浄の悪夢が消え去るように…
それだけを願い、めまいが軽くなれば何度も唇を重ね吹き込んでいく。抱いて、温もりと同時に体全身で気を送っていく。気付けば、悟浄の寝息も心地よく、規則正しくなっていた。安心したのだろうか、雅もそのまま寄り添い夜を明かしたのだった。
翌朝、誰よりも一番驚いたのは当然の事ながら悟浄だった。
「……やっべ…俺…記憶ねえんだけど……」
「…ン…」
「おい、雅…?」
「あ…ごめん…寝ちゃってた……?」
「それより…これ…」
「治療…大丈夫、三蔵にも話してやってることだから…」
「治療って……」
「それより傷、どう?」
「……あ、そっか…俺…」
「その様子なら大丈夫そうだね…」
「まさかとは思うが…この状態で一晩?」
「ん。これしか思い付かなかった…八戒は風邪だし、昨日のあの状態で薬も切れてきてる。ある意味よそ者の私達に回す分なんてないでしょ?」
そう言いながらも服を着ていく雅。
「先に小さい子助けるのに力出しちゃったし……私に出来る最終手段…」
「……雅…」
しっかりと着込み終わるとくるりと向きを変えて雅は悟浄の首に巻き付いた。
「でも、ちゃんと出来て良かった。」
「雅…?」
「ご飯、食べれそうならまた後でね?」
「……あぁ」
ゆっくりと離れる雅。『あっ…』と思い出したかの様に振り替えると申し訳なさそうに悟浄に伝え始めた。
「あの…悟浄?」
「何?」
「ごめんね…?」
「…?何が?」
「その…気、送るためとは言え…何回かキスして…意識ないのいいことに……ほんとごめん!!」
言うだけ意って悟浄の返事を聞くこともない内に雅は部屋から出ていった。残された悟浄は、呆気にとられながらも、みるみる内に顔は赤面していく。
「キスって……何回も…?俺…覚えてねえんですけど……くっそ、勿体ねえ……」
そう呟きながらゆっくりと唇をなぞっていた。
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