凜恋心

降谷みやび

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rest1… 感情 (pov.三蔵)

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最近…雅に触れていない…

だからどうと言うわけでもないんだが……


「悟浄?ねぇね!!」
「なぁに?雅。どうしたの」



……何悟浄と話してやがる……



バカみたいに醜い嫉妬が心を貪る……


「はーっかい!ねえね、これみて?」
「おや、これはまた…」
「白竜、遊ぶ?」
「キュキュ!!」


クソだっせぇ…

対人ならまだしも白竜にまで嫉妬かよ……



「みぃぃぃやび!!」
「キャ…!悟空!!いきなり飛び付いてくるのやめて!ビックリする…」
「わりぃ!!」



おい…

何勝手に触れてやがる……


最近の俺は…
こんな事ばかりだ……


少し触れていなかっただけで……


ほんの少し二人きりの時間が持てなかっただけで……



こんなにも雅の体温を求めている…


あんなにも女は煩わしいと思っていたのに……


いっその事出会わなければ……


そう思ってしまうほどだ……


「さぁんぞ!!」
「……なんだ」
「こっち来て?」
「……なんだ」
「一緒に八戒の淹れてくれたお茶のもうよ!」


俺の気なんか知らねえで……


あぁあ……


出会わなければよかったなんて…


なんで一瞬でも考えたんだ……



「ほら三蔵?どうぞ」
「あぁ」
「なぁに変な顔してんの三蔵」
「うるせえよ」


そうだ……

こいつらが居るから雅も笑っていられる………


その笑顔が狂おしいほど
愛おしいくせに……


仕方ねえな……


出会っちまったんだから……



「三蔵?どうしたの?」
「渋かったでしょうか……」
「……いや、そんなことはない」


今夜は街に着けるだろうから…

そこでは確実に
同じ部屋……


いや…


同じベッドで…


同じ夜を……



他の誰にも味わえない程の


甘い夜を……


雅……覚悟しておけ…
俺は離してやれそうにない……


嫉妬で狂った俺を
バカだと笑うだろうが………


それでもいいさ…



目一杯……

いつも以上に…


愛して…愛して……


俺で満たしたい……



煩悩の塊だな……

何が三蔵だ………


お前の前じゃただの男って訳か…



触れて、キスして……抱き締めたい気持ち……



今は抑えててやるよ……


その笑顔で俺の心は
少しだけ満たされたから……




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