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春の章 始まり編
5 マーキング
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「アルカさん、……聞いても良いですか?」
「駄目だ。私語は一切許さない。働け」
「え~、俺、アルカさんが急に休んだ分、めちゃくちゃ頑張ったんすよ~」
「それは正直ありがとう。でも質問は、一切、受け付けない」
はっきりと一言ずつ強調すると、情報室で1番若くお調子者のウルクが不満そうに唇を尖らせた。
「だって皆が聞いてこいって、俺に押し付けるんですよ」
「どうせ借金か弱み握られてるんだろ、お前。日頃の素行が悪いから、俺に怒られる羽目になる」
「あっ、アルカ様!お許しください、怒らないでぇ!」
「ウルク君は無駄口叩けるだけ、余裕があるんだよな?やっぱり仕事が出来る奴は違うなあ。あ、そうだ、そんなウルク君にぴったりの任務がある」
どん、と書類の山を目の前に積むと、ウルクは項垂れた。
「明日の午前までまとめ」
「……かしこまり」
とぼとぼと書類の山を持って、自分のデスクへ引っ込むウルクの背中を見送る。
ついでに、固唾を飲んで聞き耳を立ていた職員を睨む。
このクソ忙しいのにと殺気を送ると、皆さっと机に齧りついた。
そもそも今は決算前の繁忙期で、ラストスパートの最中なのだ。
結局欠員カバーのため、どうしても現地任務を抜けられない1名以外を除いて、全員を呼び戻してまでいる。
無駄口を叩いている暇は、無い。
来期予算のための今期の使用経費まとめ、A級以上のクエスト進捗まとめ、クローズ案件の精査など、やる事は山積みだ。
せめて経理員だけでも、増員出来るように進言はしたい。
だが、時に公に出来ない金を動かすことがあるため、軽々には踏み切れないまま過ぎている。
それにクエストの進捗は各員がこまめにまとめていれば、本来土壇場で慌てる必要も無い。
それなのに、つい後回しになり、毎年度末デスマーチを開催し続けていて悪循環だ。
どうにかしなければ、いずれ死人が出る。
いや、既に自分が倒れていた。アルカは溜息を吐いて席を立った。昼の休憩を取るのを、すっかり忘れていた。
忘れていたというのは自分への建前で、本当は情報室から出たくなかったのだ。
情報局はギルド総本部最上階のワンフロアを使用していて、その一画に情報室と局長室が2部屋続きで設置されている。
勿論防音と防犯のために、遮蔽用の結界魔術等が何重かに掛けられていて、室員以外は入室できない。
そしてギルド総本部の、職員用カフェテリアや食堂は1階。
移動距離が長いため、そこまでに多くの職員と擦れ違うのが常だ。
だから出来ることなら、部屋に引きこもっていたかった。
何故なら本日アルカは、室員始めほぼ全職員の注目を浴びていたからだ。
前世を思い出した衝撃のせいか、本当に完全に忘れていたのだ。
魔力調整をしたら大なり小なり、相手の魔力気配を纏うことを。アルカはすっかり失念していた。
しかも一昨日アルカに与えられた、レグルスの強力な魔力はかなりの量で、例えるなら空のコップを7割程度満たすくらいというもの。
これ程の量の譲渡は、滅多に出来ることじゃない。
アルカの総魔力量は上位に入るものだが、レグルスのそれは規格外ということになる。
その上、それだけのことをしても、昨日のレグルスの魔力は揺らぐことがなく平常だった。とんでもないことである。
他者から譲渡された魔力を完全に自身の魔力に変換するには、少なくとも数日はかかる。
その間、当然他者の魔力が、残滓のように身体に在り続ける。
今回のように規格外の量ならば、変換にはもっと時間がかかるだろう。
つまり今のアルカは、レグルスの気配をかなり濃く、通常ではありえないほどに纏っていた。
それでも魔力残滓と言うのは、誰にでも判るものじゃない。
人は全て魔素を持っているが、魔法を仕事として使えるかは才能次第。
大多数は初級レベルの魔法しか使えないし、魔術素養が低い者が大半だ。中には全く使えない者もいる。
多くは本能に任せた結果的な魔力調整は出来ても、意図して使えるのは魔法職の者だけ。
ましてや完全自在に魔力調整をコントロール出来る者は、レグルスのようなほんの一握りだ。
だから出勤時に通りを歩いてる時には、気付かなかったのだ。
総本部に近づくにつれ、時折視線が煩いと感じたが、いつものことと流してしまった。
異変に気づいたのは、ギルドの職員用口でだった。
足をロビーに踏み入れた瞬間、一斉に数十人の視線が突き刺さった。
そう、ここは全国約180カ所に在るギルドの、総本部。
数十倍の倍率を潜り抜けた、全国のエリートが集う場所。そのほとんどが、中級以上の魔法職資格を持っている。
「キャー!!アルカ様からレグルス様の気配がするぅ!」
しまった、と思った時既に遅く、誰かの黄色い悲鳴を皮切りに、ロビーは阿鼻叫喚となったのだった。
努めて無心で早足で廊下を歩いていると、計ったようなタイミングで、呼び出しから戻って来たレグルスとかち合う。
ピリッとフロアの空気が張り詰めた。
「アルカ君!ちょうど良かった、お昼まだなら食べに行きましょう」
そこかしこから小さな悲鳴が上がる。
「……いや、俺はちょっと」
用事が、とは肩を掴んだ手の、有無を言わせぬ力強さに消された。
今度は明らかな悲鳴と、どよめきがはっきり聞こえる。
ちら、と窺えば、レグルスは衆目からは上手く隠して、悪い表情で笑っていた。
「局長、絶対わざと遊んでますね?」
堪え切れず睨むと、レグルスは目を真ん丸にした。
「いえ、割と本気の牽制です」
心外だと言わんばかりの表情がアルカを責めるようで、何だか腹が立った。
牽制ってたって、自分を盾にして虫除けにする算段に違いない。なのに何故、逆ギレしてんだ。全く割に合わん。
「なんか高い食事奢ってください」
「はい!喜んで!」
ニコッと良い笑顔で威勢良く返事をしたレグルスに、居酒屋かよとツッコミつつ、ぐいぐい背中を押されて歩き出したのだった。
危うくそのまま、街のレストランに連れて行かれそうになるのを何とか防いで、カフェテリアでサンドイッチとコーヒーのセットを奢らせた。
それから視線を避け続け、中庭の裏手と林の境界にある、隅の木陰のベンチへと腰を落ち着ける。
この場所は余り人が来ない穴場で、今は昼時も過ぎて人の気配は全く無い。
「これは全然高くない食事なんで、無効ですねー」
隣に座ってサンドイッチを食みながら、すっとぼけている上司を仰ぎ見て、アルカは溜息を吐いた。
「局長、俺、生命の危機なんですが」
「は?なんで?誰のせい?詳しく教えて」
レグルスは瞬時に真顔になり、何なら薄っすら殺気が漏れている。
「貴方のせいですね」
「えっ?俺?なんで?」
本気で言ってんのか、この人。
若干焦ったように目を瞬かせたレグルスが、しつこく食い下がってくる。
「助けていただいた分際で言うのもなんですが、貴方なんで油に火を注ぐ真似をするんですか」
全国の貴族から求婚者が切れないくらいに、レグルスはモテる。
もちろんギルド職員内にもファンは多数いて、その恨み妬みを買うなんて御免被る。
「……、だってホラ、しばらく君から俺の気配がするのは、どうしようもないじゃん。魔力調整なんて戦場でする事もあるんだし、別に恥ずかしがることも無いでしょ」
「ここは戦場じゃないです」
「ぐ……、それにホラ、君も俺もその気の無い人たちに迫られて、困ってたじゃない?2人ともパートナーが居るって思われれば余計な接触もなくて、どっちも助かるでしょ?」
「マーキングが消えていつまでもそのままなら、直ぐにバレるのはどうお考えで?」
困ったように唸るレグルスに、はい論破~と心の中で煽りを入れる。
たった1日で浮足立った感覚は大分消えて、元のアルカのように、大分気安く接することが出来てホッとした。
いつまでも推しが推しがと騒いでいるのは、精神衛生上よろしくない。
勿論レグルスが憧れの存在であるのは、変わらないが。
「分かった!定期的に魔力調整しよう!」
「何1つ分からないです。……優秀な脳ミソ、どこに置いてきたんですか」
仕事以外ぽんこつか?実は情緒ぽんこつだったのか?
「アルカ君、君、今なにか失礼なこと考えてない?」
「そんな訳ないじゃないですか」
保温用タンブラーに淹れてもらった、熱いままのコーヒーを啜る。
「まあ、その話は俺に任せてもらえば、悪いようにはしませんよ」
過去一の頼もしい笑顔のレグルスに、胡乱げな目をしてから、アルカは何度目かの溜息を吐いたのだった。
「駄目だ。私語は一切許さない。働け」
「え~、俺、アルカさんが急に休んだ分、めちゃくちゃ頑張ったんすよ~」
「それは正直ありがとう。でも質問は、一切、受け付けない」
はっきりと一言ずつ強調すると、情報室で1番若くお調子者のウルクが不満そうに唇を尖らせた。
「だって皆が聞いてこいって、俺に押し付けるんですよ」
「どうせ借金か弱み握られてるんだろ、お前。日頃の素行が悪いから、俺に怒られる羽目になる」
「あっ、アルカ様!お許しください、怒らないでぇ!」
「ウルク君は無駄口叩けるだけ、余裕があるんだよな?やっぱり仕事が出来る奴は違うなあ。あ、そうだ、そんなウルク君にぴったりの任務がある」
どん、と書類の山を目の前に積むと、ウルクは項垂れた。
「明日の午前までまとめ」
「……かしこまり」
とぼとぼと書類の山を持って、自分のデスクへ引っ込むウルクの背中を見送る。
ついでに、固唾を飲んで聞き耳を立ていた職員を睨む。
このクソ忙しいのにと殺気を送ると、皆さっと机に齧りついた。
そもそも今は決算前の繁忙期で、ラストスパートの最中なのだ。
結局欠員カバーのため、どうしても現地任務を抜けられない1名以外を除いて、全員を呼び戻してまでいる。
無駄口を叩いている暇は、無い。
来期予算のための今期の使用経費まとめ、A級以上のクエスト進捗まとめ、クローズ案件の精査など、やる事は山積みだ。
せめて経理員だけでも、増員出来るように進言はしたい。
だが、時に公に出来ない金を動かすことがあるため、軽々には踏み切れないまま過ぎている。
それにクエストの進捗は各員がこまめにまとめていれば、本来土壇場で慌てる必要も無い。
それなのに、つい後回しになり、毎年度末デスマーチを開催し続けていて悪循環だ。
どうにかしなければ、いずれ死人が出る。
いや、既に自分が倒れていた。アルカは溜息を吐いて席を立った。昼の休憩を取るのを、すっかり忘れていた。
忘れていたというのは自分への建前で、本当は情報室から出たくなかったのだ。
情報局はギルド総本部最上階のワンフロアを使用していて、その一画に情報室と局長室が2部屋続きで設置されている。
勿論防音と防犯のために、遮蔽用の結界魔術等が何重かに掛けられていて、室員以外は入室できない。
そしてギルド総本部の、職員用カフェテリアや食堂は1階。
移動距離が長いため、そこまでに多くの職員と擦れ違うのが常だ。
だから出来ることなら、部屋に引きこもっていたかった。
何故なら本日アルカは、室員始めほぼ全職員の注目を浴びていたからだ。
前世を思い出した衝撃のせいか、本当に完全に忘れていたのだ。
魔力調整をしたら大なり小なり、相手の魔力気配を纏うことを。アルカはすっかり失念していた。
しかも一昨日アルカに与えられた、レグルスの強力な魔力はかなりの量で、例えるなら空のコップを7割程度満たすくらいというもの。
これ程の量の譲渡は、滅多に出来ることじゃない。
アルカの総魔力量は上位に入るものだが、レグルスのそれは規格外ということになる。
その上、それだけのことをしても、昨日のレグルスの魔力は揺らぐことがなく平常だった。とんでもないことである。
他者から譲渡された魔力を完全に自身の魔力に変換するには、少なくとも数日はかかる。
その間、当然他者の魔力が、残滓のように身体に在り続ける。
今回のように規格外の量ならば、変換にはもっと時間がかかるだろう。
つまり今のアルカは、レグルスの気配をかなり濃く、通常ではありえないほどに纏っていた。
それでも魔力残滓と言うのは、誰にでも判るものじゃない。
人は全て魔素を持っているが、魔法を仕事として使えるかは才能次第。
大多数は初級レベルの魔法しか使えないし、魔術素養が低い者が大半だ。中には全く使えない者もいる。
多くは本能に任せた結果的な魔力調整は出来ても、意図して使えるのは魔法職の者だけ。
ましてや完全自在に魔力調整をコントロール出来る者は、レグルスのようなほんの一握りだ。
だから出勤時に通りを歩いてる時には、気付かなかったのだ。
総本部に近づくにつれ、時折視線が煩いと感じたが、いつものことと流してしまった。
異変に気づいたのは、ギルドの職員用口でだった。
足をロビーに踏み入れた瞬間、一斉に数十人の視線が突き刺さった。
そう、ここは全国約180カ所に在るギルドの、総本部。
数十倍の倍率を潜り抜けた、全国のエリートが集う場所。そのほとんどが、中級以上の魔法職資格を持っている。
「キャー!!アルカ様からレグルス様の気配がするぅ!」
しまった、と思った時既に遅く、誰かの黄色い悲鳴を皮切りに、ロビーは阿鼻叫喚となったのだった。
努めて無心で早足で廊下を歩いていると、計ったようなタイミングで、呼び出しから戻って来たレグルスとかち合う。
ピリッとフロアの空気が張り詰めた。
「アルカ君!ちょうど良かった、お昼まだなら食べに行きましょう」
そこかしこから小さな悲鳴が上がる。
「……いや、俺はちょっと」
用事が、とは肩を掴んだ手の、有無を言わせぬ力強さに消された。
今度は明らかな悲鳴と、どよめきがはっきり聞こえる。
ちら、と窺えば、レグルスは衆目からは上手く隠して、悪い表情で笑っていた。
「局長、絶対わざと遊んでますね?」
堪え切れず睨むと、レグルスは目を真ん丸にした。
「いえ、割と本気の牽制です」
心外だと言わんばかりの表情がアルカを責めるようで、何だか腹が立った。
牽制ってたって、自分を盾にして虫除けにする算段に違いない。なのに何故、逆ギレしてんだ。全く割に合わん。
「なんか高い食事奢ってください」
「はい!喜んで!」
ニコッと良い笑顔で威勢良く返事をしたレグルスに、居酒屋かよとツッコミつつ、ぐいぐい背中を押されて歩き出したのだった。
危うくそのまま、街のレストランに連れて行かれそうになるのを何とか防いで、カフェテリアでサンドイッチとコーヒーのセットを奢らせた。
それから視線を避け続け、中庭の裏手と林の境界にある、隅の木陰のベンチへと腰を落ち着ける。
この場所は余り人が来ない穴場で、今は昼時も過ぎて人の気配は全く無い。
「これは全然高くない食事なんで、無効ですねー」
隣に座ってサンドイッチを食みながら、すっとぼけている上司を仰ぎ見て、アルカは溜息を吐いた。
「局長、俺、生命の危機なんですが」
「は?なんで?誰のせい?詳しく教えて」
レグルスは瞬時に真顔になり、何なら薄っすら殺気が漏れている。
「貴方のせいですね」
「えっ?俺?なんで?」
本気で言ってんのか、この人。
若干焦ったように目を瞬かせたレグルスが、しつこく食い下がってくる。
「助けていただいた分際で言うのもなんですが、貴方なんで油に火を注ぐ真似をするんですか」
全国の貴族から求婚者が切れないくらいに、レグルスはモテる。
もちろんギルド職員内にもファンは多数いて、その恨み妬みを買うなんて御免被る。
「……、だってホラ、しばらく君から俺の気配がするのは、どうしようもないじゃん。魔力調整なんて戦場でする事もあるんだし、別に恥ずかしがることも無いでしょ」
「ここは戦場じゃないです」
「ぐ……、それにホラ、君も俺もその気の無い人たちに迫られて、困ってたじゃない?2人ともパートナーが居るって思われれば余計な接触もなくて、どっちも助かるでしょ?」
「マーキングが消えていつまでもそのままなら、直ぐにバレるのはどうお考えで?」
困ったように唸るレグルスに、はい論破~と心の中で煽りを入れる。
たった1日で浮足立った感覚は大分消えて、元のアルカのように、大分気安く接することが出来てホッとした。
いつまでも推しが推しがと騒いでいるのは、精神衛生上よろしくない。
勿論レグルスが憧れの存在であるのは、変わらないが。
「分かった!定期的に魔力調整しよう!」
「何1つ分からないです。……優秀な脳ミソ、どこに置いてきたんですか」
仕事以外ぽんこつか?実は情緒ぽんこつだったのか?
「アルカ君、君、今なにか失礼なこと考えてない?」
「そんな訳ないじゃないですか」
保温用タンブラーに淹れてもらった、熱いままのコーヒーを啜る。
「まあ、その話は俺に任せてもらえば、悪いようにはしませんよ」
過去一の頼もしい笑顔のレグルスに、胡乱げな目をしてから、アルカは何度目かの溜息を吐いたのだった。
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