【完結】BLゲーにモブ転生した俺が最上級モブ民の開発中止ルートに入っちゃった件

漠田ロー

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レグルスの章

幕間 ある男の手記より

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 ある男の手記より抜粋。

 メイ、ザジ、俺たちは何処で間違えたんだろう。このところ、そればかり考える。

 孤児院でメイと兄弟になった日?
 ザジとテスタの森で出会った日?
 3人でパーティーを組んだ日だろうか。それとも俺がザジに恋したから?

 もしくは、ランカーになるのを夢見たのが悪かったのか?
 貧しい日々から抜け出して、飯を腹一杯食って、酒を飲んで、良い仕事と家を持って。皆と同じ夢を見たのが悪かったのか?

 俺たちには、そんなに過ぎた夢だったのか?

 本当に知らなかったんだ。
 竜が番に、あんなに執着する生き物だったなんて。竜にも人のような、いや、それ以上の愛情があるなんて。

 数百年以上生きる竜が、生涯たった一匹としか番わないなんて。

 俺たちは本当に、なんてことをしてしまったんだ。
 俺たちは恨まれて当然だ。あの慟哭が、今でも耳にこびりついて離れない。

 俺たちのたった1度の過ちが。
 あんな、あんなことになるなんて。 

 俺たちがしたことで、あんなにたくさんの人が、(―掠れて判読不可)

 どう償えばいいんだと、1日足りとも忘れたことはない。

 あの時、逝ってしまったお前に、今では憎しみすら覚えるよ。お前は命を代償にしたから、きっと皆に顔向け出来るよな。

 違うんだ。そんなこと思っちゃいないんだ。違うんだ。

 なあ、メイ。俺は今、俺たちがしたことの、1番の犠牲に向き合ってるんだ。

 本当にあの子には、大変なものを背負わせてしまった。申し訳ない。詫びる言葉も無い。
 詫びることなんて出来ずに、自己満足の優しさを与えるしか出来ない。

 たくさんの人から家族を奪った代償に、俺たちは子供を作らないことにしたのに。

 けれど俺たちは、あの子を愛してしまった。罪を忘れぬように引き受けたことなのに、これほど救われるなんて。
 いつしか罰が罰ではなく、救いになってしまった。犠牲者には顔向け出来ない。俺は地獄に堕ちるだろう。

 俺はもう長くない。だから最期に罪滅ぼしをしたい。もう残り少ない命だから、あの子のために使いたい。

 ああ、これすらも傲慢で自己満足だ。

 メイ、お前だけは俺のそういうところが嫌いだと、言ってくれていたな。兄弟よ。

 そうだ、俺たちは英雄じゃない。英雄なんかじゃない。

 ただの罪人だ!竜を狂わせ、多くの人々の命を奪った元凶だ!
 救世主なんかじゃない!

 償っても償っても、まだ追いかけてくる。

 自分たちの尻拭いをしただけで、英雄だなんて取り立てられて、空の椅子に座らせられて、それでも民に償おうとしてきたのに、皆、俺を称賛するんだ。

 俺はただ、罪を償っているだけなのに。

 メイ、メイ。なんでお前だけ、楽になったんだ。
 なんで俺たちを置いていったんだ。

 (―薬の影響か支離滅裂)

 ああ、そうだった。俺はお前を殺したな。
 大丈夫。俺も同じところに行く。待っていて欲しい。

 ああ、これでようやく、楽になれる。
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