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最終章 旅路の涯
122 真央
ハッとするとイザベラと共に、テスタ口に佇んでいた。
「アルカちゃん、あんた……」
イザベラが目を丸くした。同じ加護持ちなのだ、感じるのだろう。
現にアルカとて、これまで感じなかった女神の力をイザベラから感じる。
「……一時的なものだそうです」
「神命を受けたんだね?」
「はい……。それも身に余る大役を……」
告げられた言葉の数々を反芻する。しかし、考えれば考えるほど、思考が働かない。
「アルカちゃん、しっかりおし!」
バチンと背中を叩かれ、痛みに霧散していた意識がはっきりした。
「女神様は、出来ない試練は与えない。途轍もない試練で、苦しくても辛くても絶望しても、死に物狂いで努力したら必ず超えられるんだ。私も通った道だ」
かつてイザベラたち英雄は恐怖と絶望を抱えながら、全てを賭けて死力を尽くして来たのを思い出す。
「あんたは1人じゃない。女神も竜も契約者も、それから魔女に影使い、おまけにギフテッドや国の生え抜きたちまで付いてんだよ。これだけ力になる者が居れば、何だって超えられるさ!」
「……イザベラさん」
「女神様はゆっくりしろなんて言ったけど、私ゃまだまだ現役よ!私も力になるさ、必要な時は直ぐに呼んどくれ」
「はい、ありがとうございます……!」
イザベラの力強い言葉と笑顔に、励まされて頷く。
「さて、私は1度、坊主のところに顔を出さねば。アルカちゃん、女神様とどのくらい話した?」
「体感的には3時間程かと……?」
「あらまあ、じゃあ1週間は経っていないと思うけど……」
「1週間!?」
「そうなのよ。女神様の結界内は時間の進み方が、他の迷宮より段違いに遅くてね。私が最初お会いした日も、一晩泊まって翌日帰ったつもりが、1ヶ月以上過ぎててね」
「ヤバい……、レグルスが発狂してるかも……」
「目に浮かぶわねぇ……、私はそこの街で鶏を買って北に戻るから、アルカちゃんは王都に帰りなさい」
「は、はい!イザベラさん、ジークのことよろしくお願いします!」
イザベラの言葉に甘え、緊急転移陣を開いて王都の自室へと帰還すると、時間は昼過ぎだった。
直ぐにでもレグルスと会いたかったが、逆に言えば今が1番良いかも知れない。
アルカは部屋を出て、一路王城を目指した。
前回騒ぎを起こしたが、アルカはしれっと城門を潜った。
王城正面の貴賓棟ロビーが観光用に解放されているため、普通に正面から入り、受付からランスロットへの取り次ぎを頼む。
暫く待つと迎えの下級文官が小走りにやってきて、アルカを本丸の主棟へと導く。
通りすがりの前庭は冬だと言うのに、様々な花が咲き乱れ良く手入れされている。
「アルカ君、どうしたんだ!?」
エントランスホールで待ち構えていた、ランスロットが慌てて寄って来た。
「閣下、先触れもなくお尋ねした挙げ句、お呼び立てする形になり誠に申し訳ございません」
貴族の礼を執るとランスロットは形式的に受けてから、直ぐに耳打ちしてきた。
「アルカ君、分かってるだろう?前回の件もあるし、王宮に近付くのは不味い」
「は。しかし、女神の神託を授かりました故、レイへお取次ぎいただきたいのです」
ランスロットだけに聞こえるように呟くと、顔を強張らせてから腕を引かれて、エントランスから人気の無い廊下へ連れ出された。
「き、君はどうしてそう、巻き込まれ体質なんだ……!私も庇いきれなくなるぞ」
「こればっかりは、私もどうにも……」
大貴族の仮面が剥がれたランスロットは、随分親しみ易い雰囲気で額に手を当てた。
成る程ハンクと親友だということを、漸く実感する。
「待て、レグルス君は?」
「……一先ず、ランスロット様とレイ、第2王子の間の、内内の話に留めたく」
「……はぁ、……付いて来なさい」
色々飲み込んだらしいランスロットが、眉間を揉みながら歩き出した。
やはり損な性分らしい。少し笑いを堪えて、アルカも後に続いた。
以前来た第2王子の私室へ来ると、ランスロットはアルカに確認した。
「私も聞かせていただくよ」
「は。閣下にも無関係な話ではございません」
ランスロットは肚を決めたのか頷いて、扉をノックした。
「お兄さん!」
部屋を開けると、教師に何事か習っていたレイと王子が目を丸くした。
「き、貴様、何故ここに……」
やや怯えたような王子が、レイを背中に隠した。ランスロットが部屋から人を下げさせ、防音結界を敷く。
「レイ、君に話がある」
「あた……、僕に?」
「待て、前回の件」
「前回?何もありませんでしたよね?」
ね、と念押しで微笑むと、王子はまた怯えた顔を引き攣らせた。
王子の向かいのソファに座ると、ランスロットも静かに隣に座る。
「宰相、どういうことだ」
「殿下、これは内密の重要な件になります故、少しこの者の話を聞いていただけませぬか」
「う、うむ……、宰相がそう言うなら」
ランスロットの助け舟に目礼をして、レイに向き直る。
「レイ、君の帰る方法が分かった」
「!!」
がたんと席を立ったレイに、座るように指示する。
「間もなく大災厄が起きる。その時に君のスキルを使って、役割を果たしてもらえれば、君は帰れる」
「本当!?あたし帰れるの!?」
「大災厄!?」
「何のことだ!?」
わっと3人に詰め寄られ、アルカはどうどうと宥める。
「まず、レイ。君は自分のスキルが何か分かるか?」
「スキル?光魔法じゃなくて?」
「……分かった。これは後で2人になってから、教える」
「王子殿下、宰相閣下。そう遠くない先に、北のセドルアから厄災が発生します。十中八九、スタンピードと見て間違いないでしょう」
「何だって……!?」
ランスロットは顔を青褪めさせた。大災厄のスタンピード、直ぐに古代竜の惨事を思い出したのだろう。
「宰相閣下は水面下で、その準備を進めていただきたいのです。避難計画や封印部隊の配置など。また魔術師協会はもちろん、王宮の戦闘人員も即応出来るように。あとウチの代表にも、水面下でよろしくお願いします」
「あの山頂の異変が、スタンピードの前触れなのだな……」
一国の宰相に対する物言いではないが、多分ランスロットは気にしない筈だ。既に言われたことを、現実的に考え始めている。
「ま、待て!貴様何故、そんなことが分かるのだ!」
予想通り、第2王子がキャンと鳴いた。
「女神の神託を授かりました」
ぽかんとしてから、第2王子はまた鳴き始めた。
「何故、貴様なのだ!証拠はあるのか!?レイだって神託を受けられるのに、知らぬではないか!」
チラとレイを見ると頷いた。レイの言う神託とはシナリオのことだろうが、ちょうど良いので利用させてもらう。
頷き返したレイが、そっと王子の腕を取った。
「王子、あるよ、スタンピード。冬の終わりに、大きいのが来る。僕と王子は、役目を果たさなきゃ」
冬の終わりの大規模スタンピード。キミアカのシナリオにもあった最終イベントだ。
ただ、あのシナリオには、メイヒムの件なんて書いてなかった。
何故かセドルアからスタンピードが起きて、レイとパートナーが力を合わせて乗り越えて、目出度くエンディングとなる筋書きだ。
「スタンピードが起きましたら、災厄の元凶である魔物を封印するのに、レイには重要な役目が下されました。そして、殿下にも光封印で、ご助力をお願いする可能性がございます」
「な、何……!私にも女神からのご下命が……!?」
王子の頬が一瞬で紅潮する。
こいつ、このちょろさで大丈夫か?と宰相を見たが、さっと視線を逸らされた。
「はい、何卒お願い申し上げます」
「ふ、ふん。国の一大事に、私を頼るのは賢明な判断だ。相分かった。レイと共に助太刀しよう。女神の御為に」
「殿下、ありがとうございます」
少し照れながらふんぞり返る第2王子が、一周回って面白くなってさえきた。
「セドルア山の結界が解けたら、スタンピードが始まりますので、その際は直ぐにお迎えに上がります」
「分かった。これを持て」
「有り難く頂戴致します」
第2王子は収納袋から徐ろに伝令陣と、王宮への緊急転移陣を渡した。
「では、少しレイと2人にしていただけますか?女神様の命故、他者に明かせぬのです。また、宰相閣下は、恐れながらお待ちいただけませんか」
王子と宰相は頷いて、漸くレイと2人きりになる。
「お兄さん、あたし本当に帰れるんだよね!?」
急いで寄って来たレイを座らせ頷く。
「いいかい、手短に言うよ。君は転生じゃなくて、憑依だ。君はあっちの世界でまだ生きてる」
「……あたし、やっぱり帰れるんだ!」
「ああ、ただ、そのために、君はスタンピードの時に憑依のスキルを使う必要がある」
「憑依スキル……、あたしにはその力があるんだね?」
「そう。スキルを使うにはまず、自分の力を理解すること。君は1人につき1度だけ、この世界の生き物に自由に乗り移れる。それで、君に最後に憑依して欲しい生き物がいるんだ」
女神に聞いた憑依スキルを説明する。
「1人につき1度だけ……、ってことは、他に憑依すると、この体には戻れないってこと……?」
「そうだ。そして、この世界にはもう1人憑依者がいて、そいつがスタンピードを起こすんだ。君にはそいつが入ってる体に憑依してもらって、そいつを追い出して欲しい」
レイは目を丸くした。
「そんなこと出来るの?だってぶっつけ本番だよ!出来なかったら……」
「女神は君たちを、元の場所に還すと約束した。……だけど、時空を超えるチャンスは1度きり。それを逃すと、女神が再び力を蓄えるまで、数百年は必要だそうだ」
「そんな……」
「やるしかないんだ。真央、覚悟を決めるんだ」
「……真央」
レイは目を見開いて、自らの名前を呟いた。
「そうだった、あたしは真央。久し振りに誰かに呼ばれたなぁ……」
レイこと真央は、笑った。初めて見る柔らかい笑顔だった。
「分かったよ、お兄さん。あたし、やる。やるよ!」
「ああ!俺もサポートするから、頑張れよ!」
にこっと笑った顔に、知らぬ少女の面影が重なった気がした。
「アルカちゃん、あんた……」
イザベラが目を丸くした。同じ加護持ちなのだ、感じるのだろう。
現にアルカとて、これまで感じなかった女神の力をイザベラから感じる。
「……一時的なものだそうです」
「神命を受けたんだね?」
「はい……。それも身に余る大役を……」
告げられた言葉の数々を反芻する。しかし、考えれば考えるほど、思考が働かない。
「アルカちゃん、しっかりおし!」
バチンと背中を叩かれ、痛みに霧散していた意識がはっきりした。
「女神様は、出来ない試練は与えない。途轍もない試練で、苦しくても辛くても絶望しても、死に物狂いで努力したら必ず超えられるんだ。私も通った道だ」
かつてイザベラたち英雄は恐怖と絶望を抱えながら、全てを賭けて死力を尽くして来たのを思い出す。
「あんたは1人じゃない。女神も竜も契約者も、それから魔女に影使い、おまけにギフテッドや国の生え抜きたちまで付いてんだよ。これだけ力になる者が居れば、何だって超えられるさ!」
「……イザベラさん」
「女神様はゆっくりしろなんて言ったけど、私ゃまだまだ現役よ!私も力になるさ、必要な時は直ぐに呼んどくれ」
「はい、ありがとうございます……!」
イザベラの力強い言葉と笑顔に、励まされて頷く。
「さて、私は1度、坊主のところに顔を出さねば。アルカちゃん、女神様とどのくらい話した?」
「体感的には3時間程かと……?」
「あらまあ、じゃあ1週間は経っていないと思うけど……」
「1週間!?」
「そうなのよ。女神様の結界内は時間の進み方が、他の迷宮より段違いに遅くてね。私が最初お会いした日も、一晩泊まって翌日帰ったつもりが、1ヶ月以上過ぎててね」
「ヤバい……、レグルスが発狂してるかも……」
「目に浮かぶわねぇ……、私はそこの街で鶏を買って北に戻るから、アルカちゃんは王都に帰りなさい」
「は、はい!イザベラさん、ジークのことよろしくお願いします!」
イザベラの言葉に甘え、緊急転移陣を開いて王都の自室へと帰還すると、時間は昼過ぎだった。
直ぐにでもレグルスと会いたかったが、逆に言えば今が1番良いかも知れない。
アルカは部屋を出て、一路王城を目指した。
前回騒ぎを起こしたが、アルカはしれっと城門を潜った。
王城正面の貴賓棟ロビーが観光用に解放されているため、普通に正面から入り、受付からランスロットへの取り次ぎを頼む。
暫く待つと迎えの下級文官が小走りにやってきて、アルカを本丸の主棟へと導く。
通りすがりの前庭は冬だと言うのに、様々な花が咲き乱れ良く手入れされている。
「アルカ君、どうしたんだ!?」
エントランスホールで待ち構えていた、ランスロットが慌てて寄って来た。
「閣下、先触れもなくお尋ねした挙げ句、お呼び立てする形になり誠に申し訳ございません」
貴族の礼を執るとランスロットは形式的に受けてから、直ぐに耳打ちしてきた。
「アルカ君、分かってるだろう?前回の件もあるし、王宮に近付くのは不味い」
「は。しかし、女神の神託を授かりました故、レイへお取次ぎいただきたいのです」
ランスロットだけに聞こえるように呟くと、顔を強張らせてから腕を引かれて、エントランスから人気の無い廊下へ連れ出された。
「き、君はどうしてそう、巻き込まれ体質なんだ……!私も庇いきれなくなるぞ」
「こればっかりは、私もどうにも……」
大貴族の仮面が剥がれたランスロットは、随分親しみ易い雰囲気で額に手を当てた。
成る程ハンクと親友だということを、漸く実感する。
「待て、レグルス君は?」
「……一先ず、ランスロット様とレイ、第2王子の間の、内内の話に留めたく」
「……はぁ、……付いて来なさい」
色々飲み込んだらしいランスロットが、眉間を揉みながら歩き出した。
やはり損な性分らしい。少し笑いを堪えて、アルカも後に続いた。
以前来た第2王子の私室へ来ると、ランスロットはアルカに確認した。
「私も聞かせていただくよ」
「は。閣下にも無関係な話ではございません」
ランスロットは肚を決めたのか頷いて、扉をノックした。
「お兄さん!」
部屋を開けると、教師に何事か習っていたレイと王子が目を丸くした。
「き、貴様、何故ここに……」
やや怯えたような王子が、レイを背中に隠した。ランスロットが部屋から人を下げさせ、防音結界を敷く。
「レイ、君に話がある」
「あた……、僕に?」
「待て、前回の件」
「前回?何もありませんでしたよね?」
ね、と念押しで微笑むと、王子はまた怯えた顔を引き攣らせた。
王子の向かいのソファに座ると、ランスロットも静かに隣に座る。
「宰相、どういうことだ」
「殿下、これは内密の重要な件になります故、少しこの者の話を聞いていただけませぬか」
「う、うむ……、宰相がそう言うなら」
ランスロットの助け舟に目礼をして、レイに向き直る。
「レイ、君の帰る方法が分かった」
「!!」
がたんと席を立ったレイに、座るように指示する。
「間もなく大災厄が起きる。その時に君のスキルを使って、役割を果たしてもらえれば、君は帰れる」
「本当!?あたし帰れるの!?」
「大災厄!?」
「何のことだ!?」
わっと3人に詰め寄られ、アルカはどうどうと宥める。
「まず、レイ。君は自分のスキルが何か分かるか?」
「スキル?光魔法じゃなくて?」
「……分かった。これは後で2人になってから、教える」
「王子殿下、宰相閣下。そう遠くない先に、北のセドルアから厄災が発生します。十中八九、スタンピードと見て間違いないでしょう」
「何だって……!?」
ランスロットは顔を青褪めさせた。大災厄のスタンピード、直ぐに古代竜の惨事を思い出したのだろう。
「宰相閣下は水面下で、その準備を進めていただきたいのです。避難計画や封印部隊の配置など。また魔術師協会はもちろん、王宮の戦闘人員も即応出来るように。あとウチの代表にも、水面下でよろしくお願いします」
「あの山頂の異変が、スタンピードの前触れなのだな……」
一国の宰相に対する物言いではないが、多分ランスロットは気にしない筈だ。既に言われたことを、現実的に考え始めている。
「ま、待て!貴様何故、そんなことが分かるのだ!」
予想通り、第2王子がキャンと鳴いた。
「女神の神託を授かりました」
ぽかんとしてから、第2王子はまた鳴き始めた。
「何故、貴様なのだ!証拠はあるのか!?レイだって神託を受けられるのに、知らぬではないか!」
チラとレイを見ると頷いた。レイの言う神託とはシナリオのことだろうが、ちょうど良いので利用させてもらう。
頷き返したレイが、そっと王子の腕を取った。
「王子、あるよ、スタンピード。冬の終わりに、大きいのが来る。僕と王子は、役目を果たさなきゃ」
冬の終わりの大規模スタンピード。キミアカのシナリオにもあった最終イベントだ。
ただ、あのシナリオには、メイヒムの件なんて書いてなかった。
何故かセドルアからスタンピードが起きて、レイとパートナーが力を合わせて乗り越えて、目出度くエンディングとなる筋書きだ。
「スタンピードが起きましたら、災厄の元凶である魔物を封印するのに、レイには重要な役目が下されました。そして、殿下にも光封印で、ご助力をお願いする可能性がございます」
「な、何……!私にも女神からのご下命が……!?」
王子の頬が一瞬で紅潮する。
こいつ、このちょろさで大丈夫か?と宰相を見たが、さっと視線を逸らされた。
「はい、何卒お願い申し上げます」
「ふ、ふん。国の一大事に、私を頼るのは賢明な判断だ。相分かった。レイと共に助太刀しよう。女神の御為に」
「殿下、ありがとうございます」
少し照れながらふんぞり返る第2王子が、一周回って面白くなってさえきた。
「セドルア山の結界が解けたら、スタンピードが始まりますので、その際は直ぐにお迎えに上がります」
「分かった。これを持て」
「有り難く頂戴致します」
第2王子は収納袋から徐ろに伝令陣と、王宮への緊急転移陣を渡した。
「では、少しレイと2人にしていただけますか?女神様の命故、他者に明かせぬのです。また、宰相閣下は、恐れながらお待ちいただけませんか」
王子と宰相は頷いて、漸くレイと2人きりになる。
「お兄さん、あたし本当に帰れるんだよね!?」
急いで寄って来たレイを座らせ頷く。
「いいかい、手短に言うよ。君は転生じゃなくて、憑依だ。君はあっちの世界でまだ生きてる」
「……あたし、やっぱり帰れるんだ!」
「ああ、ただ、そのために、君はスタンピードの時に憑依のスキルを使う必要がある」
「憑依スキル……、あたしにはその力があるんだね?」
「そう。スキルを使うにはまず、自分の力を理解すること。君は1人につき1度だけ、この世界の生き物に自由に乗り移れる。それで、君に最後に憑依して欲しい生き物がいるんだ」
女神に聞いた憑依スキルを説明する。
「1人につき1度だけ……、ってことは、他に憑依すると、この体には戻れないってこと……?」
「そうだ。そして、この世界にはもう1人憑依者がいて、そいつがスタンピードを起こすんだ。君にはそいつが入ってる体に憑依してもらって、そいつを追い出して欲しい」
レイは目を丸くした。
「そんなこと出来るの?だってぶっつけ本番だよ!出来なかったら……」
「女神は君たちを、元の場所に還すと約束した。……だけど、時空を超えるチャンスは1度きり。それを逃すと、女神が再び力を蓄えるまで、数百年は必要だそうだ」
「そんな……」
「やるしかないんだ。真央、覚悟を決めるんだ」
「……真央」
レイは目を見開いて、自らの名前を呟いた。
「そうだった、あたしは真央。久し振りに誰かに呼ばれたなぁ……」
レイこと真央は、笑った。初めて見る柔らかい笑顔だった。
「分かったよ、お兄さん。あたし、やる。やるよ!」
「ああ!俺もサポートするから、頑張れよ!」
にこっと笑った顔に、知らぬ少女の面影が重なった気がした。
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